展示内容:
「SiC半導体用高温真空炉(KG−2000)」 関西学院大学と岩崎電気株式会社は、「SiC(シリコンカーバイド)半導体用高温真空炉」を共同開発し、製品化した。同炉は、金子忠昭・関西学院大学理工学部教授らの提案による技術シーズ(TLOひょうごと関西学院大学から出願した特許2件)と岩崎電気株式会社が出願した特許(高温加熱炉)との産学連携で実を結んだ。
SiCは高速、大電力、高集積素子指数が高いという特徴を持ち、従来のSi(シリコン)半導体に代わる次世代半導体として期待されている。関西学院大学理工学部では(財)新産業創造研究機構を管理法人としたNEDO技術開発機構のマッチングファンド事業で液相成長法(LPE)によるSiC半導体基板作成の研究をするため高温炉の開発が必要となり、光応用技術で実績のある岩崎電気株式会社との共同開発に至った。
SiC半導体基板をデバイスにする際にはアニール処理(熱処理)が必要となるが、同炉は従来機では実現が難しかった急激なアニール処理(3分以内に2000℃に)が可能になった。また、カーボンフリー仕様の為、熱源から試料へのカーボンコンタミネーション(不純物)などの心配が不要である。次世代半導体デバイスを扱うメーカーにとっては、高温アニ―ル炉として応用できる画期的な製品と言える。
同製品は、岩崎電気株式会社が製造し、伯東株式会社を通じて今年4月より販売されている。
『製品名:SiC半導体用高温真空炉(KG−2000)』 (写真1)
■主な製品特徴
1.カーボンフリー(ヒーター、断熱材などにカーボンを一切使用していない)
2.2チャンバー方式(シングル、マルチチャンバー対応可能)
3.最高制御温度 : 2200℃(プロセス用加熱)、900℃(予備加熱)
4.瞬間高速昇温可能: 試料温度800℃→2000℃まで、3分以内
5.大面積処理可能 : 4インチウェハ対応型
6.大面積均熱分布 : 直径100mm、1500℃にて±10℃以内
7.排気方式 : 油回転ポンプ+ターボ分子ポンプ
8.到達真空度 : 10 -5Pa台
9.不活性ガス導入 : 可
■製 造 : 岩崎電気株式会社
■販売代理店 : 伯東株式会社
■発 売 日 : 2004年4月
■販売目標 : 初年度5台、次年度以降10台
■販売価格 : 約5000万円〜1億円
なお、関西学院大学では2003年度に、特許庁事業により知的財産管理アドバイザーの派遣を受け、すでにルール化をしていた知的財産の機関帰属に加え、知財ポリシーの制定や発明対価の取扱いを決定するなど、知的財産管理体制の構築を全学的に推進している。
2004年4月には、既設の研究推進機構に研究支援、知的財産支援、産官学連携支援の3つのセンターを設け体制の強化を行った。今回の産学連携は関西学院大学の知的財産を社会に還元する取り組みの一環である。 |