展示内容:
アルツハイマー病の早期画像診断法
アルツハイマー病(AD)特有の病理所見は老人斑および神経原線維変化の脳内蓄積である。アミロイドβ蛋白が凝集してできる老人斑はADを発症するかなり前の段階から脳内蓄積が始まっていることから、この老人斑の蓄積を非侵襲的に画像化できれば、発症前段階でADの病理学的異常を検出することが可能となる。PET(Positron
Emission Tomography)装置などの核医学的手法を用いて画像化を実現するためには、老人斑と特異的に結合し、且つ脳移行性の高いプローブ(低分子有機化合物)を開発することが必要となる。 我々はすでに2600個以上の化合物をスクリーニングし、前述の条件を満たす複数のプローブ候補化合物を見出している。遺伝的に脳内にアミロイドβが蓄積するTgマウスに[18F]BF-168(代表的な候補プローブの1つ)を静脈内投与した際のオートラジオグラフィを図1に示した。
<図1>[18F]BF-168はTgマウスのアミロイド斑に結合し、その結合はチオフラビン-S(アミロイドβ検出用試薬)のそれと一致した。一方、ワイルドタイプマウスにおいては結合は認められなかった。 現在、代表的な1候補プローブの毒性試験等を終え、臨床試験を計画中。我々の方法を導入することによりADの発症前、早期、鑑別、重症度診断および治療薬の効果のモニタリングが可能になると考えられる。 |