機関名 国立大学法人 富山大学
リンク先 http://www.hrc.toyama-u.ac.jp/index_j.html

展示内容:
粉体は様々な分野で利用されている非常に重要な材料である。一般的に粉体の機能はその構成物質に依存するが、粉体の高機能化或いは新機能発現の方法として粉体表面修飾法が考えられている。しかし、既存の表面修飾法はほぼ湿式のめっき法に限られており、更には(1)不純物の混入、(2)調製工程が煩雑、(3)めっき液の環境負荷大、といった問題点もある。そこで、我々は乾式で粉体粒子表面を均一に修飾可能な「多角バレルスパッタリング法」を考案した。本法は、スパッタリングを行なう際に粉体試料を導入した六角バレルを回転させて粉体全体を攪拌する事で、個々の微粒子全面への修飾が可能である。更に、既存手法と比較して(1)不純物混入の防止、(2)調製工程の簡略化、(3)廃液処理が不必要、といった利点が見込める。本法を用いた修飾の一例として、ポリマー微粒子(平均50μm)にPt金属を修飾した試料の光学顕微鏡写真を図1に示す。修飾前試料(a)は白い球状ポリマー微粒子が修飾後(b)では全ての粒子に黒い光沢があり、表面には周囲の粒子から反射した光が写っている。これらの粒子をSEMで観察すると、表面は平滑であり島状構造も見られなかった。EPMAによる元素分析から、粒子表面に一様にPtが検出された。更に粒子断面のTEM観察より(図2)、Ptは粒子表面に密着した均一膜として修飾されていることが明らかとなった。様々な検討の結果、粉体の材質や形状によらず、粉体微粒子表面に金属・酸化物等を薄膜或いは超微粒子の形態で均一修飾できることが判った。以上の結果から、本法は既存手法と比較して粉体表面の均一修飾、それに伴う粉体の高機能化・新機能付与に極めて適した方法であると考えられる。現在、電気、光、電気化学用粉体材料に関して本法の適用可能性を検討している。

Pt金属を修飾した試料の光学顕微鏡写真
(図1)

粒子断面のTEM観察
(図2)

キーワード
粉体
表面修飾

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