東京大学医科学研究所
科学技術振興機構 さきがけ
中村 貴史
革新的な抗癌生物製剤の開発
現在世界中において、生きたウイルスを利用して癌を治療する「癌ウイルス療法」に関する臨床試験が積極的に行われている。これは、ウイルスが本来持っている癌細胞に感染後、癌組織内で増殖しながら死滅させるという性質を利用する方法である。我々は、4半世紀前の日本国内で、痘瘡ワクチンとして重篤な副作用が無く使われていた純国産ワクシニアウイルスワクチン株の安全性に注目し、遺伝子組換え技術によりさらなる改良を加え、革新的な癌標的治療薬としての臨床応用を目指している。これまで癌を移植したマウスにおいて、その安全性はそのままに、細胞内の特定のマイクロRNAを指標にして、癌のみを標的破壊することを実証している。