展示内容:
ヒト由来神経細胞およびミクログリア細胞株の作製;神経疾患の病態解明および治療法への応用ヒト神経由来細胞の培養は、倫理的側面、細胞の少なさより検討は困難である。この問題点を克服するため、ヒト胎児由来のニューロン、ミクログリアを分別培養し、ヒト不死化細胞株を作製した。細胞株作製はカナダ、ブリティッシュコロンビア大学神経部門・キム研究室で同大学の倫理基準に基づき行われた。
ヒトニューロン由来細胞株(A1細胞:上画像)は、ヒトニューロンと神経芽細胞腫(SY5Y)のハイブリッドにより作製された。A1細胞は免疫化学、RT-PCRよりneurofilamentを有していた。アルツハイマー病の原因物質とされるbeta-protein
fragmentを添加するとapoptosisが誘導された。
不死化ヒトミクログリア細胞株(HMO6:上画像)はv-myc oncogeneを導入して作製された。HMO6細胞は貪食能を有し、ミクログリア特有の抗原が認められた。Lipopolysaccharide、beta-protein
fragmentの添加によりヒトミクログリアのサイトカイン発現が増加したが、HMO6細胞でも増加した。A1、HMO6細胞ともに、それぞれヒト由来ニューロン、ミクログリアに類似した性格を有し、実験系で有用であることが確認された。これらの細胞がヒト神経系の病態解明のために利用されることが期待される。
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