ネットアンケート「あなたはどう思いますか?研究のためのヒト受精卵の作成」 

 新しい技術や研究手法が登場すると、それによって治療法のなかった病気が治せるようになったり、予防できるようになったりすることに期待が高まります。患者さんには大きな希望となりえますが、医療として使えるようにするには、病気で何が起きているのか、どういう医療行為が安全で効果的なのかを知るための研究が必要です。その際、ヒトの細胞などを使ったり、誰かに参加してもらったりする場合には人の尊厳や人権に関わるような生命倫理上の問題や、安全性の問題等に適切に対応するための一定のルールが必要です。

 国は、研究者が守るべきこうしたルール(法律や指針など)を作っています。これらのルールは科学や技術の進歩に伴い、見直しや追加が必要になります。今回は、ヒトの受精卵を新たに作って行う研究について、皆さまの率直なご意見をお聞かせください。
※アンケート募集は8月31日で終了させていただきました。多くの御回答をいただき、ありがとうございました。


内閣府科学技術・イノベーション推進事務局
日本科学未来館
ネットアンケート実施期間:2021年8月2日~31日

アンケートに先立ち、ヒト受精卵についてご説明します。

■ヒトの受精卵をつかっての研究について
 日本ではヒトの受精卵を「生命の萌芽(ほうが)」と位置づけ、研究などに利用することを原則として禁止してきました。例外として、不妊治療を目的とする生殖補助医療(いわゆる不妊治療)の現場で生じた「もう母体に戻さないことが決まったヒトの胚」を提供者の同意の下、目的を生殖補助医療の向上や、特定の病気に関する研究に限定して利用することを認めてきました。こうした母体に戻さない(「滅失する」といいます。)と決めたヒト胚を「余剰胚」と呼んでいます。
※胚(はい)とは、受精などによって発生を始めた卵のことをいいます。下の図の受精直後の受精卵から細胞分裂を経て、胎内に戻す時期の状態である胚盤胞はいずれも「胚」と呼びます。

参考

■新たに受精卵を作って行う研究
 余剰胚はすでに受精を終えて、数日がたった状態です。この状態の胚でも多くのことを研究できますが、受精の直後から細胞分裂のはじめに起こる変化を理解するための研究もあります。
 そこで、受精前の卵子から受精卵を新しく作り、それを研究に使うためのルールについて、国で話し合いが行われています。こうした、研究のために新しく受精させて作るヒト胚のことを「新規胚」と呼んでいます。
※海外での研究から、マウスなどの動物とヒトとでは、受精直後に起きることに違いがあることがわかっています。つまり、動物の受精卵を使った研究では分からないことがあるのです。
※現時点で使うことのできる卵子は、不妊治療の目的で採取された卵子のうち、治療には使わずに滅失することが決まったもので、研究のためだけに新たに採取することはありません。
※研究に使われた新規胚は、神経のもととなるつくり(「原始線条」といいます。)ができる前まで(受精後14日以内)しか培養することができないルールがあります。また、母体に移植されることは禁止されています。

参考

ヒト受精卵を新たにつくって行う研究について、皆さまの率直なご意見をお聞かせください。
※アンケート募集は8月31日で終了させていただきました。多くの御回答をいただき、ありがとうございました。

ご協力お願いいたします。