クロストーク01:内閣府職員に求められる資質とは
クロストークに参加した職員
- 矢作 修己(YAHAGI Osamu) 大臣官房人事課長 (写真左)
- 水田 豊(MIZUTA Yutaka) 大臣官房参事官(人事課担当) (写真右)
クロストークの内容
内閣府は現在どのような役割を果たしているでしょうか。
また、今後どのような役割を求められるでしょうか。
・矢作 内閣府が果たすべき役割とは、内閣総理大臣の政策運営を支えるため、政策選択に資する情報の収集や政策効果の分析などを積極的に行うとともに、内閣総理大臣が直接担うにふさわしい業務を行うことです。
このため、個別の政策にも目を配りながら、国全体の在り方、いわば全体最適を考えながら、重要課題の解決に向けて企画立案・総合調整を行う。また、専門知識やスキルを高めながら必要な課題解決に取り組む。こうした役割の重要性は、今の世の中、今後ますます高まっていくものと考えています。
・水田 平成13年の中央省庁等改革により強化された内閣と内閣総理大臣のリーダーシップを支えることが内閣官房と内閣府の役割です。
内閣官房は時々の重要課題に対し、いわばプロジェクト方式で各府省から優秀な人材を集めて機動的に対応します。それに対し、内閣府は経済財政、科学技術・イノベーション、男女共同参画、防災、沖縄・北方対策など、国家として継続的に取り組むべき重要課題について、専門人材を育成しながら知恵の場として内閣や総理の意思決定を支えていくことが期待されています。こうした役割を今後とも内閣府が果たしていくためには、人材の育成が何より重要だと思います。
内閣府で働くことの魅力を教えてください。
・水田 私は、一定の専門性を持ちつつも様々な政策課題に携わっていけることではないかと思います。私の場合、景気判断や経済財政白書の作成、マクロ計量モデルを使った試算の作成などいわゆるエコノミスト的な分析業務を経験してきました。
一方、経済財政諮問会議の有識者議員をサポートし、経済再生と財政健全化に関する様々な政策課題や対応の方向性を検討する仕事も経験しました。専門性を磨きながらも幅広い重要課題に取り組んでいくことができるのは内閣府の特徴の一つだと思います。
・矢作 これまでに各省庁を始め、多くの方々と協働して取り組んで来たことは色々ありますが、特に企画官時代に、現在のこども子育て支援の枠組みを作るための法案を、厚生労働省や文部科学省の方々と、互いの知見を持ち寄って毎日のように話合いをしながら何か月もかけて作り上げたことは、とても貴重な経験であり、多くのことを学ぶとともに、その後の公務員人生においてもかけがえのない財産になっていると感じています。この法案は、与野党合意を経て実際に法律として施行され、本年4月に設置されたこども家庭庁の発足につながっています。
今後、内閣府職員に特に求められる能力やスキルは何でしょうか。
・水田 内閣府は重要課題についての政策立案、企画調整を担っています。政策とはすなわち変えていくことだとある先輩がおっしゃっていましたが、そのとおりだと思います。行政サービスを安定的に提供することも使命とする各省と比べて、内閣府の職員は何を変えていくべきかに常に敏感であることが求められると自戒も込めて思います。そのためにはデータを読み解き、課題を抽出する能力、各省や現場の課題に虚心坦懐に耳を傾ける能力、そして多様な背景を持つ方と協力しながら、変化に向けて粘り強く取り組んでいく姿勢が求められると思います。
・矢作 内閣府の求められる役割に照らして考えると、もちろん高度な専門知識やスキルの習得に熱心であることも大事ですが、それに加えて国民全体の立場に立って物事を考えられるよう視野を広げること、また、様々なバックグラウンドを持つ職員や調整相手となる人たちの意見に謙虚に耳を傾け、積極的に意見交換が行えることも重要です。それらを通じて、自らを高めることに高い関心があれば、なおのこと望ましいと思います。
最後に、このパンフレットを手にした学生へのメッセージをお願いします。
・水田 国家公務員の志望者数の減少が続いています。書籍やSNSなどを通じて国家公務員の働き方などに課題があることは広く知られてきました。このため、各省や内閣府では業務や働き方の在り方などの見直しに懸命に取り組んでいます。
一方、私は国家公務員の仕事の魅力が減じたとは思いません。この国の舵取りを担う内閣や総理を支える仕事のやりがいは他に代わるものはありません。こうした重要な業務は時に大変なこともありますが、人を大きく成長させてくれます。こうした思いを共有できる皆様が内閣府に加わっていただけることを楽しみにしています。
・矢作 内閣府の業務の一端に興味を持たれた方々が、そこを糸口に、広範な政策分野における課題や方策を柔軟に吸収されることを期待します。これからの社会を国民にとってよりよいものにしていくという目標を共有しながら一緒に働いていただける方々に、ぜひ内閣府の門をたたいていただきたいと考えています。
クロストークに参加した職員の経歴
経歴(矢作 修己)
- 平成6年
- 採用
- 平成11年
- 留学(米・ジョージタウン大学)
- 平成13年
- 地方分権改革推進会議事務局参事官補佐
- 平成14年
- 政策統括官(沖縄担当)付
参事官(企画・産業振興担当)付
参事官補佐(企画担当) - 平成15年
- 副大臣秘書官
- 平成17年
- 大臣官房総務課課長補佐(調整第3担当)
- 平成18年
- 同 課長補佐(調整第1担当)
- 平成19年
- 政策統括官(沖縄政策担当)付
参事官(総括担当)付参事官補佐(総括担当) - 平成20年
- 大臣秘書官
- 平成21年
- 大臣官房公文書管理課課長補佐
- 平成22年
- 政策統括官(共生社会政策担当)付
参事官(少子化対策担当)付企画官 - 平成24年
- 外務省国際協力局開発協力総括課企画官
- 平成26年
- 政策統括官(共生社会政策担当)付
参事官(青年国際交流担当) - 平成27年
- 内閣官房内閣広報室総理大臣官邸報道室長
- 平成29年
- 大臣官房参事官(総務課担当)
- 令和元年
- 北方対策本部参事官
- 令和2年
- 大臣官房参事官(人事課担当)
- 令和3年
- 現職
経歴(水田 豊)
- 平成8年
- 採用
- 平成13年
- 留学(英・ロンドン大学(LSE))
- 平成15年
- 副大臣秘書官
- 平成16年
- 産業再生機構担当室参事官補佐
- 平成17年
- 大臣官房総務課課長補佐(調整第2担当)
- 平成19年
- (独)日本貿易振興機構(JETRO)
ニューヨーク事務所 - 平成22年
- 政策統括官(経済社会システム担当)付
参事官(総括担当)付参事官補佐 - 平成23年
- 大臣秘書官
- 平成24年
- 政策統括官(経済財政分析担当)付
参事官(総括担当)付参事官補佐 - 平成26年
- 同 調査官
- 平成28年
- 計量分析室参事官事務代理
- 平成29年
- 経済社会総合研究所情報研究交流部長事務代理
併任 大臣官房総務課 - 平成30年
- 政策統括官(経済社会システム担当)付
参事官(企画担当) - 令和3年
- 政策統括官(経済財政分析担当)付
参事官(総括担当) - 令和4年
- 現職