1 日時 平成16年1月22日(木)14:00〜16:00
2 場所 内閣府共用第4特別会議室(406号室)
3 出席者
(OTO推進会議)
大河原議長、黒田委員(部会長)、金森委員、兼重委員、高瀬委員、千野委員(苦情申立者)
在日米国大使館 マーク・ワイルドマン上席商務官、同須藤上席商務専門官 他(所管省庁)
国内事業者
国土交通省住宅局 川本住宅生産課長、同坂本建築生産技術企画官 他(OTO事務局)
内閣府 加藤大臣官房審議官、渡辺企画官、岩田参事官補佐 他
4 議題
OTO番号656「「住宅の品質確保の促進等に関する法律」における新技術導入の促進・円滑化」について
5 審議の概要
○事務局からこれまでの経緯について説明
(1) 昨年9月25日に開催された前回苦情処理部会での審議の結果、国土交通省は対応を再度検討すべきとの議長総括をいただいた。○国土交通省から苦情申立者提案書に対する見解、前回部会における専門委員質問に対する回答の報告
(2) 前回部会の終了後、国土交通省からは昨年10月16日付で、委員からのご指摘事項等を踏まえ、苦情申立者からの具体的な提案に基づいて検討したいとの見解をいただいた。
(3) これを受けて、申立企業からは設計図書におけるベイトシステムのシロアリ検知装置の埋設確認等を内容とする提案書を提出いただいたところ。なお、アメリカでも同様にプラスチックの検知装置が仕様どおりに埋設されていることの確認をもって、現場確認としているということである。本日は、この提案書を踏まえ、国土交通省から回答をご報告いただく予定。
(1) 昨年10月16日付の検討結果は、有効な防蟻性能を有していること、ならびに設計図書に位置づけた上で施工現場において防蟻措置が講じられていることを確認できることを前提に、住宅性能表示制度において評価を行う上で、ベイトシステムの商品特性等に応じてどういう対応の仕方があるのかを商品の実態に即して提案願ったものである。
(2) これを受けて提出いただいた申立者提案書には、設計図書に一定の位置づけを行うこと、設計図書どおり施工されていることを現場検査によって確認できるような措置を講ずること、ベイトシステムが防蟻そのものについて一定の性能を有している、あるいは一定の効能があることを第三者からの評価を受けるとの提案があったが、これらの基本的な条件が満足されれば住宅性能表示制度において評価対象とすることは十分可能であると判断した。今後、苦情申立者と私どもとで細部にわたり直接調整することにより、具体的な運用、移行がスムーズにいくのではないかと考えている。
(3) ベイトシステムの効能等、評価基準上の位置づけについては、公平・中立性を有する機関によって学識者等の専門家による審査を経て、地盤の防蟻措置と同様の有効な防蟻性能があることが確認できれば、一義的に対象とすることが可能である。○苦情申立者から、国土交通省見解に対する意見、前回部会における専門委員質問に対する回答の報告
(4) 設計住宅性能評価における評価方法については、以下の3点が必要。1点目は、地盤の防蟻措置として、ベイトシステム自体を用いることを明確にすること。これは、設計内容説明書を設計住宅性能評価申請書に添付すればよいと思う。2点目は、ベイトシステムが有効な防蟻性能を有するように、実際の配置などが取扱マニュアルどおりに行われるという内容を確認できること。これは、配置ルールなどの仕様が別途審査機関等で評価された内容に即したものであることが分かるように仕様書に記載し、かつ審査書の写しを添付すれば可能と考えられる。3点目は、ベイトシステムがマニュアルあるいは取扱説明書等の配置ルールに従って実際の敷地に対して行われていることを確認することであり、配置図等の配置位置を示した図書を添付すればよい。
(5) 建設住宅性能評価については、現場検査によって行われるが、これは、ベイトシステムは検知装置の埋め込み等をするので、検査時期についてはそれがいずれかの段階の中で一番見やすい時期に現場検査をすると位置づければよいのではないかと思っている。
(6) 以上の基本的な条件に対する考え方はいずれも提案者の趣旨に沿ったものと考える。なお、品確法上、住宅性能評価上の位置づけと関わりない提案についてはコメントは差し控える。
(7) 前回の質疑において、委員からの質問あるいは宿題となっていた件について、まず、防蟻剤としてヒ素がまだ使用されているのかとの質問については、規則上は毒物あるいは毒性のある化学物質として禁止されてはいない。日本しろあり対策協会でも、これまでヒ素を含む薬剤を認定した例はない。ただし、歴史的には大正期からヒ素を使う風習があったようであり、全く流布していないということではない。
日本しろあり対策協会の認定薬剤が人への安全性にどのように対応しているかとの部会長からの追加質問については、同協会が認定する際は、木材保存協会と共同して日本木材保存剤審査機関を設け、そこで人命、人への安全等についても、例えば薬剤を吸引する、あるいは皮膚接触等によっても人体への影響がない許容量の範囲内となることを確認することとなっている。
リスクをかけて認定しているのかとの委員の質問については、品確法の特別評価方法認定で現在までに認定されているものは443件。これらは、リスクをかけて認定したというよりは、一定の学識的知見に基づき認定している。
防蟻剤の国内マーケットについては、公式な統計データがないので、日本しろあり対策協会等から聞いた状況のみを報告すると、原材料の約5割程度が輸入に依存しているとのことである。
(マーク・ワイルドマン在日米国大使館上席商務官)
米国に本拠を置く本件申立企業(国内事業者)の要望に対して、国土交通省に心より感謝の意を表明する。今回いただいた返答は非常に建設的であり、申立企業の品確法に関する要望に十分対応するものであると理解している。また、本件に関し、OTO事務局及びOTO委員会のメンバーの皆様よりいただいた多大なる支援と協力に対して御礼申し上げる。国土交通省が建設的な結果を実現するための措置を素早く実行され、申立企業の製品が、日本の市場で公平な土台のもとに競争できることを期待している。
(国内事業者)
国土交通省から、私どもの提案に対する見解は提案書の趣旨に沿ったものとのコメントをいただいたが、全くそのとおりである。今後、詳細について、直接お話しをしてやり取りさせていただくということで理解している。
委員から質問いただいた私どもの商品の価格設定における日米格差については、アメリカの標準的な住宅を事例として、コストと価格の日米格差を示した資料を提出させていただいた。人件費、輸入にかかる費用も含む資材費、交通費等の格差によって結果的に価格差が生じているものである。
(1) ア.本件は、苦情申立者からポジティブレスポンスが非常に評価される旨発言があった。おそらく、これだけ早い期間でこういう解決に至ったのは、OTOの歴史の中でも記録的な早さではないかと思う。
イ.亜砒酸の使用自体は違法ではなく、今でも使われているようである。日本しろあり対策協会の認定も結局、ポジティブリストよりもっと弱い、リコメンデーションリストぐらいのものであると思う。人命に関わる問題であるから、危険なものを使うのは違法とされるべきではないか。例えば、日本しろあり対策協会がネガティブリストの表示を行うなど、危険なものをもう少し積極的に抑えることを考えたらどうかという気がする。
(国土交通省)日本しろあり対策協会では認定にあたり、亜砒酸を使うことは好ましくないという姿勢で活動をしている。こういう毒物というのは、有効な使い道もあれば、使い方によっては失敗することもあるので、取扱責任者がきちんと管理をしながら、製造、販売するという形が大切であると思う。(2) 本件苦情については、前回部会では国土交通省は、新システムは国土交通省が考えたシステムと合致しないから、考える必要もないというような回答だったが、今回は全く新しい方法を受け入れるという方向で回答された。ある意味では、非常に国土交通省を評価したい。これは、我々OTOの委員会が少しは役に立ったという例証の一つに今後なり得ると思う。
(3) ア.特別評価方法による認定が443件で、全て認定されたということであるが、その後これがもとになって表示制度の基準が変わったことはあるのか。
(国土交通省)特別評価方法認定とは、どの等級に該当するかを事前に評価するものであるから、基準自体を変えることは、時代のニーズにもよるが、技術ができたから直ちに基準を変えるという性格のものではない。イ.新技術は次々と科学技術の進歩とともに現れるものである。今回のような新技術の問題は、事前に評価基準を決めるときに、グローバルな視野からどれくらい先取りができているかという問題で大変難しい。今後は、ある程度グローバルな視野から、評価基準が決められる必要があるのではないか。
(国土交通省)指摘された視点は、基本的な視点の一つとしてやらなければならないと思っているので、そういう姿勢は持っているつもりである。メーカーや評価機関からもいろいろな意見をいただいているので、運用や基準の見直しは、常日頃心掛けている。ウ.ベイトシステムは、最初の検討のときに、全然論議の対象にならなかったのか。
(国土交通省)ベイトシステムがいい悪いということではなくて、設計図書で評価書を作り、現場検査で建設図書どおりできていることを評価書で示す仕組みなので、前回の部会では仮に後日設置する場合はこの評価書が作れないという手続の部分での対応を説明させていただいた。今回は、建設図書への記述の仕方、あるいは現場検査段階で用意できる一定の条件の提案があったので、同じ理解に立てそうだということで本日の報告に至っている。
エ.今回は大変いい対応を取っていただけたが、事前の対応がもう少し先取りの形で検討いただいていれば、苦情にならずに済んだかもしれない。
(4) ア.防蟻対策の確認法は、土壌処理の状態のチェックを実物の目視ということになっているが、この目視は施工中に行われるのか。それとも施工終了後、何日か経て行っているのか。
(国土交通省)施工終了後に行っている。イ.薬剤散布をした後で、その現場に行って眺めてもわかるのかという気がする。白っぽい粉がまいてあるからまいたらしいぐらいのことであるのだったら、悪いことをやろうと思っている人は簡単に悪いことができる。国土交通省だけではなくて、日本のやり方というのは、当初の検査を厳しくすることで万事解決という感じが強いが、むしろごまかしたことが後で分かった時には、厳しく対応するという方向に行政を持っていかないと、非常にコストの高い方法でやっている割に、実は抜け道があるという形になっているような気がする。
(1) 前回苦情処理部会における審議、ならびにその後の苦情申立者提案に基づき、国土交通省から、ベイトシステムを住宅性能表示制度において評価することを運用面で認め得るとの方針が示されたことは、当部会として極めて迅速かつ前向きな対応として評価する。
(2) 国土交通省ならびに苦情申立者におかれては、今後お互いによく協力して、意思疎通を図り、ベイトシステムを住宅性能表示制度で評価する上で必要となる検討を進めていただきたい。
(3) また、国土交通省におかれては、今回苦情処理部会で示された方針が早期に実現に至るよう、関係諸機関への連絡等、併せて必要な環境整備にも努めていただきたい。
(4) 国土交通省は、将来、適当な時期に随時、運用の実施等について、事務局を通じて当部会に報告されたい。
(5) なお、国土交通省は、品確法の運用において、今後も諸技術の変化に十分対応できるよう努めていただきたい。
以 上(速報のため事後修正の可能性あり)[問合せ先]
内閣府市場開放問題苦情処理対策室
TEL 03-3581-0384(直通)