平成11年度第6回OTO専門家会議議事要旨


1 日時 平成12年2月3日(木) 15:00〜17:10

2 場所 経済企画庁特別会議室(436号室)

3 出席者

(OTO推進会議)

大河原推進会議議長、行天委員(議長)、久米委員、小柴委員、佐々波委員、谷村委員、豊島委員、眞木委員、山本委員、金森委員、兼重委員、高瀬委員、本田委員、宮智委員、村上委員
(問題提起者)
リック A・デ ランバート米国大使館上席商務官、岡山東京商工会議所国際部国際経済担当課長 他
(所管省庁)
運輸省 中山自動車交通局技術安全部技術企画課長、警察庁 伴交通局都市交通対策課長、自治省 下河内消防庁予防課長 他
(OTO事務局)
経済企画庁 薦田調整局審議官、市川調整局貿易投資対策官
4 議題
(1)けん引自動車及び被けん引自動車にかかる車検制度の改正等

(2)モーターホーム(大型キャンピングカー)にかかる保管場所証明の発行基準等の見直し

(3)消防法における外国基準の受入れ

(4)その他


5 審議の概要

議題1 けん引自動車及び被けん引自動車にかかる車検制度の改正等

○事務局から問題の背景、問題提起内容及び所管省庁の対処方針等について説明

(問題の所在)

・けん引自動車、被けん引自動車がそれぞれが単独で新規登録検査を受けることができるように制度を改正すべきではないか。

・一定の基準を満たす場合には連結仕様検討書の作成を不要とする等、同検討書作成にかかる登録する側の負担を軽減するべきではないか。

○問題提起者より提起内容につき説明
(1)我が国では、キャンピングトレーラーの販売台数は、1998年時には、約450台であり、未だ普及していない。その理由の一つはトレーラーの登録制度にあると考えられる。

(2)我が国では、トレーラーを登録するためにけん引自動車毎に連結仕様検討書を作成しなければならず、検査に合格すると、トレーラーの車検証にけん引自動車の車名・型式が指定される。また、同検討書には、駐車ブレーキ力等の専門の業者に依頼しなければならないような複雑な計算を必要とする項目があり、このことが販売するための妨げとなっている。

(3)一方、欧米では、自動車のけん引能力(トレーラー重量)が公表されており、ユーザーは、そのけん引能力に応じてトレーラーを自由にけん引することができる。よって、我が国では事実上不可能なトレーラーのレンタルが行われており、また、共同所有、中古販売等が行われやすく、トレーラーの普及につながっている。

(4)けん引するために必要な駐車ブレーキ力は、最近の自動車では、車両重量から算出できるものである。したがって、運輸省がけん引自動車の駐車ブレーキ力と車両重量の相関を算出し、けん引自動車とトレーラーの車両重量のガイドラインのようなものを作成すれば、車検証にけん引自動車の車両重量を記載する等によって、トレーラーの登録手続きが簡素化され、トレーラーの輸入・販売が促進される。


○所管省から対処方針につき説明

(1)道路運送車両の保安基準に基づき、走行性能や駐車ブレーキ力等、連結状態での安全性を確保することが必要であり、安全性の確認は、連結仕様検討書によって効率的に行われている。

(2)連結車両に関する規定について、我が国の駐車ブレーキ力を含むブレーキ基準は、国連の場で日米欧が作成した世界的な基準である。また、ドイツ、オーストリア等においては走行性能を規定し、スイスにおいては最小回転半径を規定している。けん引能力については、欧米では、乗用車を含めた全ての自動車にけん引重量等の表示が義務付けられている。

(3)我が国のトレーラーは、貨物運送用の大型セミトレーラーが主流であるが、キャンピングトレーラーの保有台数については堅調に増加している。

(4)重量、制動装置、最小回転半径から判断して、キャンピングトレーラー等の軽量トレーラーについては、安全性の確保を前提として、連結時の基準適合性に係る手続きを簡素化できる余地がある。安全面やけん引能力の表示方法等、今後の課題があるが検討していく。


○ この後、審議

(委員の主な発言)

(1)最近の自動車の技術水準に鑑みると、連結状態で保安基準の適合性を確認しなければならないというのは現実的ではない。欧米並にトレーラー単独で車検を受けることは可能であるはずだ。

(2)新しい商品がこれから普及しようという時に、旧法のしくみの中で解決することには無理がある。今後の検討課題について、運輸省はいつまでに結果をまとめるのか。

(3)欧米におけるトレーラーの登録制度を我が国に導入すると、実際にどのような問題点があるのか。

(4)連結仕様検討書を作成するための複雑な計算を不要とするためのガイドラインのようなものを、現時点で作成することができるのか。

(5)連結状態で実際に起こった事故はどのようなものか。

(6)走行性能の基準を設けている国では、我が国と同様にトレーラーの車検証にけん引可能な車の条件を記載しなければならないのか。

(7)安全性の確保は重要だが、安全性を確認する方法が、欧米と日本で異なるのはおかしい。すでに欧米で実施されていることの検討なのだから、半年くらいで結論を出すべき。

(所管省等の主な発言)
(1)検討課題についてはまったく制約を設けずに、安全性を確保しながら登録手続きが簡素化できるのかについて検討する。

(2)安全性を確保する制度は必要である。欧米での方式で何か問題ないのか、事故がないのか、など、調査・検討に少なくとも1年くらいの時間をいただきたい。

(3)日本では、大型セミトレーラーが主流であるため、キャンピングトレーラーに関する知見が十分に無い。今後、問題点については調査する。

(4)自動車の性能と車両重量の相関関係を調査して、ガイドラインのようなものが作成できるのかについて検討する。連結使用検討書は車の諸元表から転記できるはずである。

(問題提起者)連結使用検討書に記載しなければならない駐車ブレーキ力は、諸元表の記載の値から計算するか、もしくはブレーキテスタで測定しなければ得られない。

(5)けん引自動車の重量が3トン以下の場合の死亡・重傷事故データを見ると、連結状態では11.4%、単体の場合は8.5%と連結時の方が死亡・重傷事故率は高い。

(6)走行性能の基準を設けている国については、車検証にけん引するための条件を記載してはいない。


○議長による総括

・現行の車検制度では、キャンピングトレーラーをレンタルに供することが難しい状況にある。

・運輸省は、けん引可能な車両の重量の上限を表示するという欧米型の方式を導入することを含めてキャンピングトレーラー登録時の手続きの簡素化について、長くとも1年以内に検討を終えるべきである。

・事務局の方で、問題提起者、所管省庁とも調整の上、できるだけ具体的な内容を盛り込んだ報告書の原案を作成し、報告いただきたい。その上で必要に応じ更なる検討を加えることとしたい。

議題2 モーターホーム(大型キャンピングカー)にかかる保管場所証明の発行基準等の見直し

○事務局から問題の背景、問題提起内容及び所管省庁の対処方針等について説明

(問題の所在)

・88ナンバーであるキャンピング自動車のうち、トレーラー(被けん引車)については、車庫証明の発行にかかる大きさの制限をなくすべきはないか。


○問題提起者より提起内容につき説明

(1)キャンピングトレーラー及びカーゴトレーラーにあっては、頻繁に使用する車両ではないことと、常にけん引しているわけではないことから、不慣れな運転者が交通量の多い市街地を走行すると渋滞及び事故等を引き起こす可能性が高い。

(2)このような事故等を回避するために、キャンピングトレーラー及びカーゴトレーラーを郊外の保管委託場所の駐車場に保管することにより、普段運転になれている自動車等で保管委託場所まで運転して行き、そこからレジャー等に行く事で事故等が減ると予測される。

(3)また、都心では駐車場が少ないことから、これらの車両が郊外に出て行くことにより、駐車場スペースが出来る事も考えられる。

(4)したがって、所管庁は88ナンバーであるキャンピング自動車のうち、キャンピングトレーラー及びカーゴトレーラーについては、車庫証明の発行にかかる大きさの制限をなくすべきである。


○所管庁から対処方針につき説明

(1)今回の要望にかんがみて、現在、キャンピングトレーラーの形状、使用実態について調査をしており、大型のモーターホームと同様の特例措置が講じられるか否かについて検討している状況にある。

(2)検討の結果、特段の問題が無ければ、小型のキャンピングトレーラーについても大型のモーターホームと同様の措置を講じたい。


○この後、審議

(委員の主な発言)

(1)キャンピング自動車にかかる保管場所証明の問題は、平成4年のOTO専門家会議においても取り上げられた。キャンピングカーの大きさ以外の観点からも議論された。その際、議長が、北海道でキャンプを楽しもうとしてキャンピングカーの車庫証明を取得しようとしたところ、住民登録している東京で取得するように言われた経験を語っておられた。また、トレーラーは必ず他の自動車でけん引するものであり、連結状態での大きさを考えると現規制の制限を越えており、特例措置の対象となると考えられる。さらに、キャンピングカーやキャンピングトレーラーは都内よりも、なるべく郊外を走る方が望ましい。したがって、本規制については現実的な対応を踏まえた措置をすべきである。

(2)現行の規制である自動車の長さ5.7mと幅1.9mについては、確固たる根拠があるのか。


(所管庁の主な発言)

(1)小型のキャンピングトレーラーについて、大型のモーターホームと同様の特例措置が講じられるか否かについて検討し、その結果、特段の問題が無ければ、大型のモーターホームと同様の措置を2001年3月までに講じたい。

(2)本規制は、市街地では保管場所の確保が困難な大きさを有するモーターホームに対する特例的な措置である。一般的な駐車場における大型自動車用の駐車スペースは、奥行き6m、幅2.5mであり、前後左右の余裕を勘案して長さ5.7mと幅1.9mの基準とした。


○議長による総括

・キャンピング自動車のうち、けん引式のもの(キャンピングトレーラー)は、市街地における駐車場所確保が困難と考えられる。

・所管庁においては、郊外にあるモータープールに保管することのできる自動車としての、現行の大きさの制限をなくすよう、1年以内に結論を出すべきである。

・事務局の方で、問題提起者、所管省庁とも調整の上、できるだけ具体的な内容を盛り込んだ報告書の原案を作成し、報告いただきたい。その上で必要に応じ更なる検討を加えることとしたい。

議題3 消防法における外国基準の受入れ

○事務局から問題の背景、問題提起内容及び所管省庁の対処方針等について説明

(問題の所在)

・特定の認証機関の合格・認証表示がないという理由で市場参入が阻害されていることは問題ではないか。

・明確な基準を定め、競争条件の整備を図るべきではないか。

・民間や外国の認証機関も含めた第三者認証制度を取り入れるべきではないか。


○問題提起者より提起内容について説明

(1)米国製や欧州製のオーブン、ガスレンジ、フライヤーまたは焼きもの機などの「業務用ガス機器」を輸入して都内のホテルやレストランの厨房に設置しようとしたところ、当該製品は原産国の規格・基準に合格している製品であるにも拘わらず、消防署に(財)日本ガス機器検査協会(以下「協会」という。)の検査(防火性能評定委員会の評定)を受けないと使用できないという指導をされた。そのため、改めて協会の検査を受けて表示をした。検査を受けるのに期間が1ヶ月程度、費用が1機種につき数十万円程度かかった。

(2)現在、我が国では、ガス消費量の大きい機器に関しては直接の法的規制がないが、実際に設置しようとすると、協会内に設置された委員会が決めた「業務用ガス機器の設置基準」を守るよう指導が行われている。この「業務用ガス機器の設置基準」は、協会による検査合格・認証表示が行われた機器のみを対象としており、表示がない機器に対しては設置基準が示されていない。これら一連の「姿がよく見えない規制」あるいは「判然としない基準」は不合理であり、困っている。

(3)そこで、防火という観点からやむなく規制を行うのであれば、合理的な設置基準を明示していただきたい。さらに、外国での検査データ等との相互認証を容易にするため、ガイドラインを設けていただきたい。

○所管省から対処方針につき説明
(1)消防法は、国民の生命、身体及び財産を火災から保護することを目的としている。消防法においては、防火対象物(例えば大きなビル)の中に設置することになっている消火器、スプリンクラー、火災報知器等を規制の対象としている。一方、火を使用する設備(例えばオーブンやレンジなど)は火災予防条例において規制の対象にしている。

(2)全国には東京消防庁のように規模の大きなものから小さいものまで900の消防本部がある。自治省消防庁では火気使用設備等について、火災予防を行う上での参考になるように火災予防条例準則(以下「準則」という。)を作り、準則を参考にして各市町村に火災予防条例を制定してもらっている。

(3)火気設備に関する基準で各市町村に規定してもらっているものは離隔距離である。火気設備と壁が密着していると熱により火災が発生する恐れがあるので、例えば15センチ離す必要がある、防熱板を付けたら壁から離さなくてもよい、建物が耐火構造であれば延焼の恐れがないので離隔距離が必要ない、などということである。

(4)離隔距離は、消費熱量が一定規模以下のものについては一律に決めることができるが、今回問題提起のあった業務用ガス機器のように消費熱量が大きいものについては、各消防機関が現場に行って、防熱板の構造等を見て、必要な離隔距離を確認している。

(5)協会が行う性能評定は自己認証である。協会が評定したものについては、火災予防条例を考慮した上で設置基準がまとめられている。自治省消防庁では各消防機関が判断する際に、協会の認証品で設置に当たっての基準が示されているものについてはその基準により設置するようにという通知を各都道府県に出している。

(6)協会によれば、国産のものも含め、全体の業務用ガス機器の約4割程度しか評定を行っていないとのことである。残りの6割は消防機関が現場で安全性を確認して設置を認めている。その際、消防機関は製造者の試験データ等から安全性を判断している。

(7)協会の認証は自治省消防庁が行っているものではないので、協会に外国の認証を取り入れるよう言うことはできない。なお、協会によると、各国毎に使われるガスの種類、成分、供給圧力が異なること、この分野では国際規格が存在せず、各国毎に定められた規格基準に基づいて各国独自の検査認証が行われているとのことである。例えば日本とEU各国ではガス発熱量が大きく異なり、EU各国のガスで良好に燃焼したガス機器が日本のガスで良好に燃焼するとは限らない。また米国ではガス機器の限界消費量を25%アップした状態で燃焼確認を実施しており、日本のガスで良好に燃焼するとは限らない。よって外国の基準規格をとり入れるのは難しいとのことである。

(8)実態として、6割のものについては消防機関が現場で設置を認めている。協会の評定を受けていないと設置を認めないという消防機関があるとしたら、全国消防長会の場で、そのような取扱いをしないように指導していきたい。

○この後、審議

(委員の主な発言)

(1)本件に関しては2つの問題があると思う。ひとつは、どういう基準で消防の観点から合格にするのか。これに対して国としての統一基準を出すべきでないかとか、第三者機関の認定を受けるべきでないかという問題である。もうひとつは、それを誰が判断をするかという問題である。

(2)OTOでは従来、特定の法人の認証製品を優遇する、あるいは輸入品は実質的に再度検査が必要になる、ということを市場アクセスの観点から非常に問題であるとし、改善措置を講じてきた。現実に、通産省関連の制度や建築基準法で、民間や外国の認証機関も含めた第三者認証制度を活用できるよう制度が改正されている。消防法の基準は明確でないと感じるので、基準を明確にすると同時に、他の制度のような改正を考え、ぜひ今の問題を解決してもらいたい。

(3)基準が自治省消防庁から都道府県への通知で決められているのは具合が悪い。本当に必要な基準であるのなら国の明確な統一基準を決めて、法令で明確にすることが必要。

(4)消防法には、準則に従えなどという文言はなく「市町村条例で決める」としか書いていない。また、準則は政令でも省令でもない。しかし準則を見ると、一言一句準則通りに条例ができあがるようになっている。消防法に何の規定もない準則が法律以上の強制力を持っている。これは非常におかしい。

(5)準則の中には、その条文を読んでも何もわからない無意味な条文が半分くらいある。つまり実際は協会の基準にしたがって、協会のお墨付きをもらわないと何も出来ない条文がかなりある。加えて、不要と思われる条文がかなりある。準則には「有効に」という字句が37箇所、「必要な措置をとれ」が21箇所あるなど、極めてあいまいなものである。それが効力を発揮していることは非常に不透明である。

(6)準則を自治省消防庁の責任が明確になるように政令にすることを勧める。政令にする際には消防法を改正し、政令の位置付けをはっきり書くこと。不要な条文は、削るか直すかして、基準は出来るだけ数値化して基準に従って行動が出来るような本来あるべき基準にしていただきたい。また、新しく政令にする際には、外国基準の受入れを基本方針として明記していただきたい。

(7)もっと国が基準を決めるべきではないか。「自治省消防庁の仕事でない」、「自治体に任せます」では心配な面がある。各自治体でばらつきもあるだろう。

(8)自治省消防庁と協会の関係がよくわからない。自治省消防庁から都道府県への通知には協会の本のコマーシャルまで入っている。協会の作った基準をなぜ自治省消防庁は使っているのか。この協会が基準を作る前は自治省消防庁は何をよりどころにしていたのか。

(9)「業務用ガス機器の設置基準について」という通知を見ると自治省消防庁と協会が渾然一体となって行動していることがよく分かる。

(10)本件は自治大臣もメンバーであるOTOで審議している問題なのだから自治省消防庁も前向きに考える必要がある。市場開放、規制緩和という国策を遂行するためにぜひ協力せよという指導を自治省消防庁から協会にしていただきたい。自治省消防庁は市町村に対して綿密頻繁に指導しているのだから、同様に協会にも指導してほしい。

(11)自治省消防庁は外国のガス機器が日本ではうまく使えないと説明していたが、過去水道の給水装置でも同様の問題があった。日本水道協会は当時、外国の水道機器は基準が違うから日本に持ってきてもだめだと言っていたが、実際は水道法が改正され、外国の製品がどんどん入ってきている。外国の水道と日本の水道の差はガスの差どころではない。外国の水道は高圧、日本の水道は低圧。それでも簡単に使えるようになるし、各市町村では十分解決されている。そもそもガスは各市町村ごとにいろいろなガスを使っている。横浜市だけでも都市ガス、LPガス、都市ガスの中でもノズルの種類が2種類あった時代がある。このように使い分けは簡単に出来るわけで、協会がガスの種類が違うから外国の製品は難しいと言うからといって、それを簡単に信用するとは自治省消防庁は頼りない。

(12)協会に対し外国認証機関と相互認証が出来るか出来ないのか、OTOとして聞いてみる必要があるのではないか。

(13)業務用ガス機器は個別に消防署が見なければ安全かどうか判断できないものなのか。

(14)自治省消防庁によると問題提起者の受けた消防署の指導が間違っているとのことだが、これは基準が明確でないために、各消防署が混乱し「検査を受けなくてはだめだ」ということにつながっていると思われる。あいまいな基準のために消防署が混乱するのでは、自治省消防庁が言う安全の点からも問題であるし、消防署もやりにくいのではないか。基準を明確にすることが必要である。ぜひ改善していただきたい。

(15)市町村の消防署にはどれくらい実力があるのか。実力がないと自分で判断するのは怖いから、準則に基づいていれば無難だと考えてしまう。また、準則に関係して「協会の設置基準に基づいてやるように」という通知が自治省消防庁から出ているので、各自治体はだんだんそちらに逃げていっているのではないか。


(所管省の主な発言)

(1)火気設備は消防法では規制をしないで、条例に任せている。業務用のガス機器も小さなガスレンジと同様に火気設備として火災予防条例の対象となっている。一方、消防法の対象にしているスプリンクラー、火災報知器等は消防署では個別に確認できないので、検定制度を設け、自治省消防庁があらかじめ確認している。

(2)現行法令上、火気設備は市町村条例で定めることになっている。これを国が政令において定めることになると、地方自治体の自治事務から国へ事務を吸い上げることが必要になってくる。

(3)準則は各市町村が条例を作成する際のガイドラインである。一定の熱量以下のものは自治省消防庁がガイドラインを作った。消費熱量の大きいガス機器はいろいろな形態のものがあるので消防機関が判断するための基準を作れていないのが現状である。

(4)協会の作った基準をなぜ自治省消防庁が推奨しているかというと、協会に性能評定をされたものは協会が設置基準を定め、資料を持っている。また、性能評定されたものについては協会から設置基準について説明を受け、これで各市町村が火災予防条例を運用しても大丈夫である、と自治省消防庁が判断して通知している。協会ができる以前は、各消防機関が判断していた。

(5)消防機関が設置検査を行う際の基準については、地方自治体の自治事務とはいいながら、準則とかいろいろな指導をしている。しかし海外で認証を受けた製品を国内に持ちこんで、ガス機器本体として国内で使えるものとして相互認証を行うべきかどうかについては協会を指導する立場にない。所管官庁は通産省である。

(6)現状では自治事務として消防機関が検査を行い、その際個別に火気設備の安全性を確認している。確認は、消防長が判断することになっているが、実際はその下にある消防署の予防課が現場に出向いて確認を行っている。

(7)消防本部には東京消防庁のように大きなものから小さなものまである。各消防機関が離隔距離を判断するにあたり、はじめて海外から輸入されるものは、試験データを確認する。すぐに正確に理解できるかわからないが、よくわからなければ、おそらく東京消防庁など大きな消防本部に照会をして確認をしているのではないかと考えている。

(8)特定の公益法人が性能評定したものしか認めないという取扱いをすることは、条例の運用がおかしいと考えている。各消防署の指導が不適切であったという事例があったら、自治事務ではあるが、自治省消防庁として指導をしていくし、全国消防長会でそのような説明をさせていただく。


○ 議長による総括

・安全にかかわる機器に関する検査の問題は、広範な問題として残っている。問題は何のために、どういう最低の規制が必要なのか、そして誰が責任を持つべきなのか、ということだが、それについては今日の所管省の説明でははっきりしない。

・今日の審議でまとめは出来かねるので、もう少し議論をする必要があると思われる。事務局の方で必要に応じ、問題提起者と所管省庁と調整の上、再度議論をしたいと思うので、準備方お願いしたい。


議題4 その他

次回の専門家会議の日程について事務局から説明。
以 上
(速報のため事後修正の可能性あり)
[問合せ先]経済企画庁調整局市場開放問題苦情処理対策室
TEL 03-3581-5469 (直通)