平成14年度第5回OTO推進会議専門家会議議事要旨


1 日時:平成15年2月4日(火)14:00〜16:20

2 場所:内閣府共用第4特別会議室 406号室

3 出席者:

(OTO推進会議)
大河原推進会議議長、黒田委員(議長)、北岡委員、行天委員、小柴委員、佐々波委員、島野委員、谷村委員、眞木委員、グロンディン委員、金森委員、兼重委員、高瀬委員、本田委員、宮智委員

(所管省庁)
議題1:財務省関税局業務課 居戸課長
     厚生労働省医薬局食品保健部検疫所業務管理室 松浪室長
     農林水産省生産局植物防疫課 齊藤課長
     農林水産省生産局畜産部衛生課国際衛生対策室 杉浦室長
議題2:国土交通省自動車交通局技術安全部技術企画課国際業務室 和迩室長

(OTO事務局)
加藤官房審議官、塩澤参事官、渡辺企画官、岡参事官補佐

4 議題
 (1)通関・検疫業務の24時間、365日営業の実現
 (2)けん引自動車及び被けん引自動車に係る車検制度
 (3)その他
5 審議の概要

議題1 通関・検疫業務の24時間、365日営業の実現

(1) 事務局から、提起された課題、所管省庁による措置の概要(案件を巡る背景)及び課題・論点について説明

(課題・論点)
(財務省・厚生労働省・農林水産省に対し)
1) 通関・検疫業務については、輸出入における利用者の利便性の向上ばかりでなく、国際競争力を強化、向上させる観点からも、全国の港湾、空港において、24時間、365日体制の整備を行うことが必要不可欠であり、できる限り速やかに対応すべきではないのか。
2) 通関・検疫業務の24時間、365日体制の整備のためには、人員の大幅な増員が望めない状況を踏まえて、民間への業務の一部委託の可否を含めて勤務時間・体制等の見直しを行うとともに、ITの活用を一層促進し、業務の迅速化、省力化を図るべきではないのか。
3) 通関・検疫業務の24時間、365日実施の効果が十分発揮されるものとなるよう、所管各省で連携を図るべきではないか。少なくとも恒常的に需要が見込まれる地域においては、積極的に対応すべきではないのか。
(財務省に対し)
4) 現在、執務時間外において臨時の手続を求める要請の多い通関官署(5官署)においては、既に執務時間外に職員を常駐させ、効率的な業務処理体制を整備しているということであるが、基本的には全国的に整備すべきではないのか。少なくとも恒常的に需要が見込まれる地域においては、積極的に対応すべき。また、15年3月末まで税関の執務時間外における通関体制の試行を実施している8官署については、引き続き実施すべきではないのか。
5) 24時間、365日体制の整備に伴い、臨時開庁手数料の廃止の検討を含め手数料の負担を軽減すべきではないのか。

(厚生労働省・農林水産省に対し)
4) 厚生労働省及び農林水産省が行う検疫業務については、一部の地域において定時開庁時間を長く設定しているものの、24時間、365日体制に向けた措置は今のところ何ら講じられていない。24時間、365日の輸入手続実施がその機能を十分に発揮できるために、通関手続のみならず、検疫業務についても、24時間、365日体制の実現を図るべきではないか。少なくとも恒常的に需要が見込まれる地域においては、積極的に対応すべきではないか。
5) 検疫業務の24時間、365日実施を図った場合に必要となる事務(運営)経費について、現在、通関手続きにおいて徴収している臨時開庁手数料のような料金を徴収することは妥当ではないと考えるが、所管省においては、どのように考えているのか。


(2) 所管省庁からの説明

(財務省回答)
課題・論点1)及び4)に対し
1.執務時間外の業務処理については、需要の多い税関官署において、365日・24時間通関が可能な体制をとっているほか、その他の官署においても事前の申請があった場合は、審査・検査に当たる要員が手当てできない等業務の執行に支障がある場合を除き、職員を配置し、輸出入者の需要に応じた取扱いをとっているところである。
2.近年の港湾の24時間フルオープン化へ向けた動きに対応する上での問題点等を把握するため、平成14年10月15日から全国の主要港湾のコンテナ貨物取扱実績が多い6税関8官署において、税関の執務時間外(平日17:00〜21:00、土日休日08:30〜17:00)に職員を配置する通関体制の試行(7DAYSオープン・トライアル)を行っているところである。
3.現在行っている試行の評価を行った上で、本年7月から本格的に整備する方向で今後検討してまいりたい。
その際、具体的には、通常の執務時間外に通関手続の需要が多い官署において一定の時間帯に職員を常駐させるとともに、これ以外の時間帯においても事前の要請により必ず対応するなど、全国の主要港湾を中心として24時間の通関需要に的確に対応できる体制を構築してまいりたい。
  (注)夜間・深夜又は休日における通関の需要が少ない官署まで全てを365日・24時間職員を常駐させて開庁することは、行政効率上問題があり、不適当と考えられる。

課題・論点2)に対し
1.人員について、税関は、これまでも限られた職員を可能な限り効率的に配置し、通関業務の一層の合理化に務めてきたところである。本年7月の本格実施にむけ、更に必要な勤務時間体制等の整備を行ってまいりたい。
2.民間等への業務委託について、通関業務は、
1) 武器、覚せい剤等の社会悪物品等の密輸取締りを行い、我が国に輸出入される貨物を国境で管理すること(ボーダーコントロール)及び犯則調査並びに没収を行うことは、国家の基本的な責務であること、
2) 適正かつ公平な関税等の賦課徴収及び通関手続の処理を図るため、輸出入貨物に対する審査・検査を行い、輸出入の「許可」を行うとともに、輸出入者に対する立入調査など、国民の権利に直接影響を及ぼす公権力の行使を行うものであること、
3) 上記のような事務を厳正に執行するにあたり、職員は国家公務員法上の守秘義務により守られるべき輸出入者の商取引情報等を取り扱うこと、
から、その根幹のところについては民間等への業務委託に依ることはできないと考えている。
3.通関手続の電子化等について、税関は、昭和53年以来、通関情報処理システム(NACCS)により通関手続の電子化を推進し、輸出入申告においては既にその9割を電子的に処理しているなど、これまで通関手続におけるITの活用を積極的に推進してきたところである。
最近では、大型X線検査装置の配備を進めるとともに、一回の入力・送信で全ての必要な輸出入・港湾関連手続を行うことを可能とするシングルウィンドウ・システムの導入(本年7月中を目途に実現)に向けた作業を進めるなど、通関手続の様々な面においてIT化等を推進しているところである。今後ともこうしたIT化等を通じた事務の効率化、利用者利便の向上に努めてまいりたい。

課題・論点3)に対し
1.平日夜間及び土日休日等の執務時間外における対応については、これまでも、特に恒常的に需要が見込まれる成田空港、関西空港等の空港においては、所管各省が連携してそれぞれ必要な時間帯に職員を常駐させるなど積極的に対応してきている。なお、通関・検疫業務の連携については、平成9年から通関手続を処理する通関情報処理システムとこれら検疫手続を処理するシステム(注)とのインタフェイス化を実現している。
(注)動物検疫に係る手続を処理するシステム:動物検疫手続電算処理システム
植物検疫に係る手続を処理するシステム:輸入植物検査手続電算処理システム
食品衛生に係る手続を処理するシステム:輸入食品監視支援システム
2.港湾においても、税関は、現在、港湾の24時間フルオープン化に向けた取組みの一環として、税関の執務時間外における通関体制の試行を行っており、関係機関に対しても当該試行への協力を要請してきている。
今後とも、通関・検疫業務のそれぞれの需要に応じ、恒常的な需要が見込まれるような場合には、関係機関が連携して必要な職員や予算の手当を図りつつ、積極的に対応していく必要があると考えている。

課題・論点5)に対し
1.臨時開庁手数料は、税関の執務時間外に勤務することに伴い発生する行政コストは、受益者である申請者自身が負担すべきとの観点から徴収しているものである。
  ただし、行政サービスの費用負担のありかたについては、このような受益者負担の原則がある一方で、最終的な受益が国民全体に及ぶような行政サービスについては、国民負担によるとの考え方もあるところである。
2.構造改革特別区域における特別措置として、地方公共団体による自発的な規制改革や、民間事業者による国際物流の効率化に向けた取組みを促すことにより、我が国貿易の振興を図る観点から、臨時開庁手数料を2分の1に軽減することとし、構造改革特別区域法に定めたところである。
3.今後、港湾の24時間フルオープン化が進展し、平日夜間及び土日休日にも恒常的な通関需要が発生する場合、税関に対してはこれに応じた通関体制の整備が求められるが、その時には、これに伴う費用負担のあり方についても検討してまいりたい。

(厚生労働省回答)
課題・論点1)に対し
港湾の24時間、365日体制の整備については、「新総合物流施策大綱」や「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」等においてフルオープン化が求められており、他省庁とも連携しながら十分対応することを基本としている。一昨年、港湾荷役の労使交渉妥結に伴い、輸入食品についても年末年始の受付を実施しているところであり、新たな情勢の都度、各検疫所長に文書で指示を出している。税関と異なり、食品の検疫は輸入だけで、輸出は関係ないこともあり、昨年10月から先月末までの取り扱い件数は18件と少ない。これは、事前審査制度の活用等によるものと思われるが、税関の執務時間外における通関体制の試行の状況を見極め、必要に応じ体制を整備してまいりたい。

課題・論点2)に対し
ITの活用については、輸入食品監視システムを平成7年から導入しているが、来年度も一層の迅速化、効率化を図るため、システムの見直し、一部補強を行うこととしている。
また、業務委託については、5大検疫所あるいは横浜、神戸の検査センターで集約的に実施しているモニタリング検査に関し、今通常国会において、検査を民間委託できるように食品衛生法改正を予定しているとともに、予算面においても委託費を計上しているところ。

課題・論点3)及び4)に対し
各省庁との連携については、今後とも一層の連携を図りながら、お互いに協力して事業が円滑に進むようにやってまいりたい。また、体制の実現については、財務省の税関の執務時間外における通関体制の試行にあたり夜間あるいは土日休日の受付もやっているが、利用実績はわずかである。税関の様子も見極めつつ、必要に応じて体制整備を行っていきたい。

課題・論点5)に対し
手数料については、輸入食品については一切徴収していないし、今後、24時間、365日の業務を実施する際においても予定していない。

(農林水産省回答)
課題・論点1)及び4)に対し
現在、成田空港、関西国際空港等、恒常的に動植物検疫業務が見込まれる空港においては交代制勤務等により既に深夜を含め全ての要望に対応するよう措置しているところ。
その他の海港における動植物検疫の24時間365日化については、港湾管理者より具体的な計画、時間外の輸入動植物の検査の需要予測等が明確になった後、速やかに、家畜の伝染性疾病及び病害虫の侵入防止のための水際での検疫を適正に実施し、万全の検疫措置を講じるため動物検疫所、植物防疫所として必要な体制整備等を行うことにより対応したいと考えている。
なお、検疫の24時間化を実施する上では、港湾管理者等により夜間検査に必要な照明等の設備が整備されることが前提となる。

課題・論点2)に対し
家畜の伝染性疾病及び病害虫が我が国に侵入した場合、その被害は動植物の輸入者だけではなく農業生産者ひいては国民全体に及ぶこととなる。そのため、動植物等の輸入者等個人に検査を受けること等の義務を課し、動植物検疫に関する専門的知識を有する動植物防疫官が、法令に基づき検査し、個人の所有する動植物等について必要な場合には廃棄を含む措置を命令し、または自ら措置を実施しているものである。
これは、検査を受ける個人に対するサービス業務と異なり、個人の権利を規制する国境措置であり、その実施に当たっては全国均質な専門技術に基づき一元的に実施し、極めて公正かつ厳格に実施する必要があること、輸入時に統一的な対応を行うことが効果的、効率的であることから、国自ら実施しているものであり、動植物検疫業務の民間等への委託は不可能。
 しかしながら、検査に必要な申請手続き等については、平成9年度からオンライン化するとともに税関手続きシステム、食品衛生システムともインタフェースにより連動させ、海空港における輸入手続きのワンストップサービスを実現してきたところであり、現在更に海港湾における港湾手続き(国土交通省、経済産業省、法務省、地方自治体等)のシステムを連携したシングルウインドウ化に平成15年の夏を目途に取り組んでいるところ。これにより、動植物検疫の手続き業務の迅速化、省力化を図ることとしている。

課題・論点3)に対し
 現在、成田空港、関西国際空港等の恒常的に動植物検疫業務が見込まれる空港においては交代制勤務等により全ての業務に対応しているところ。
また、農林水産省の動植物検疫、厚生労働省の食品衛生及び財務省の税関のいわゆる「輸入関連手続」については、すでにオンライン化、ワンストップサービス化を図っている(平成9年度から)。さらに、現在「港湾関連手続」についてオンラインシステムの整備が進められていると聞いており、平成15年には「輸出入関連手続」と「港湾関連手続」の連携が図られることとしており、現在、財務省が実施している税関の執務時間外における通関体制の試行に関する調査結果等も踏まえながら、関係省庁との連携に努めてまいりたい。

課題・論点5)に対し
  現時点において、動植物検疫については、検査手数料は徴収していない。


(3) 委員からの主な発言と所管省庁等の応答

ア (委員) 通関業務の根幹については民間等への業務委託によることはできない主たる理由として、職員は国家公務員法上の守秘義務により守られる輸出入者の商取引情報等を取り扱うことが挙げられているが、民間企業でも機密保持契約を結び、守秘義務は非常に厳重に行われている。この国家公務員法上の守秘義務というのは、民間企業の機密保持契約とどう違うのか。
(財務省) 違うのは、刑罰によって担保されているというところが大きく違う。中身について民間の場合は契約でどこまで機密保持をかけるとか、いろいろな設計の仕方がある。
(委員) 「根幹の部分」という場合の、根幹には明確な定義があるのか。
(財務省) 国が本来公権力の行使として行う輸出・輸入の許可に係る税関の審査、検査などを根幹と考えている。
(委員) 根幹でない部分については民間に委託している例は多数あるのか。
(財務省) 例えば、申告書自体は守秘義務の関係があるが、申告書を保管することを民間委託するとか、いろいろ努力はしており、今後ともそういう周辺的なところについて、民間に委託する方が効率的かつ有効に仕事ができるという点があれば取り組んでいきたい。
イ(委員) 執務時間外に勤務することに伴い発生する行政コストは、受益者である申請者自身が負担すべきであるとなっている。時間内の申請による業務は、受益者は国民全体であって、執務時間外のものは申請者だと、極めて明解な区別を設けている。今後もこれを論理的に守っていくつもりか。
 また、構造改革特別区域では臨時開庁手数料を2分の1にするとしているが、これは我が国貿易の振興を図る観点から、半分はその貿易の振興に役立つと考えるのか。全面的に役立つのだったら無料にすべき。
(財務省) 最初の論点だが、今白紙で制度設計をした場合、本当に今のやり方がいいかどうかというのは意見の分かれるところだと思う。ただ、明治時代に税関が運上所と言われたときに、役所の時間しかやらないのを、少しサービスで新たに夜とか時間外にやろうというときに、お金をいただいたというところからこの制度が始まっている。
 日本とヨーロッパは、執務時間内の通関は無料であるが執務時間外は一定の料金をいただくという考え方の制度をとっている。アメリカは昼も夜も一定の料金を、さらに夜は追加的料金をいただき、薄く広くとるという考え方である。シンガポールは基本的には夜も昼もとらない。ただ、職員が行って検査をするときだけ、その手数料をとる制度になっている。ご指摘のとおり、どの制度が論理的に正しいかということは世界も区々であり、日本にとってどれが今一番いいかというところは議論の余地があると思っており、我々も一生懸命引き続き議論をしていきたい。
 構造改革特別区域の手数料については、経済特区という話が出てきて、そもそもの議論を少しおいてでも、ご要望にお答えして何とかこの機会に引き下げたいという財務省の強い意思で行ったものである。
ウ(委員) 3省の24時間、 365日の対応への根本的なスタンスとして、需要を見きわめてとか、あるいは需要予測を考えてとか、そういうことを共通に言っている。例えば、大型X線検査装置はその一例ですが、IT化の進展により、人件費よりも設備投資に金がかかるようになると、設備の運用としては24時間、365日、仕事が平準化されることが一番効率的である。設備投資の大きい民間企業なら必ずそう考える。この方向をとる以上は、24時間、 365日の需要を喚起することによって、ピーク時の需要をなるべく低いところに持っていく。全体を平準化することで、建物とか設備の投資を押さえることができる。何となく周りがうるさいから24時間、 365日やりますというのではなくて、合理的な運営として、近代化された設備を持った税関あるいは港湾を運用すべきである。

エ(委員) 臨時開庁分の申告の表を見ると、平日夜間の申告が圧倒的に多く、日曜日に働きたいという人は余りいない。何も全省庁上げて 365日というよりは、思い切って日曜はやめて、普通の日は夜の9時とかに延長する方が社会的なニーズにも合うと思う。船というのは日本の休日に関係なく入ってくるから、休日とか土曜日は開けておくべきである。

(財務省) まさに我々も悩んでいるところである。去年ぐらいまでは税関としてはニーズがあればやるということだったが、民間の方からすると土日、夜間に税関が開いていないからということになって、トライアルをやってみましょうということで今実施しているところである。税関としても、ニーズにきちんと対応するということだが、政府全体としても潜在的ニーズをきちんと掘り起こすのも政府の仕事だと思う。
オ(委員) 検疫に関して、開庁時間にかなりのばらつきが見られるが、このばらつきの原因は何か。
(農林水産省) 植物検疫について、空港での検査時間は、便の発着にかなり影響を受ける。それから、物流等の関係で、やはり昼間から夕方、夜もそんなに遅くない時間ということになる。関西空港は、基本的に空港自体が24時間ですので、24時間開けているが、深夜帯には便は到着しないので、実質的には夜中の検査というのは非常に少ない。
例えば成田空港ですと、朝方に東南アジア便が到着します。東南アジアからランとかの花類、野菜などが来ると、その検査は朝に出てくる。それから、ヨーロッパ便やアメリカ便は、どちらかというと昼から午後が多いから、その時間に検査をやる。ただ、その量が多いので検査が夜中までかかっている。飛行機の便は大体10時で終わるが、そのために夜中2時半ぐらいまでは検査をやれる体制をとっている。
(委員) 税関のどれぐらいが検疫に関係するのか。
(財務省) 税関のデータでは、大体2割ぐらいが検疫に関係あるもので、残りの8割は税関の輸入・輸出の処理だけである。
(委員) 税関が開いていて、検疫が閉まっているときは、改めて出直すのか。
(厚生労働省) 食品の場合は必ずしも全品検査ではない。反復輸入していて全然問題ないものもある。そういうものが事前に届出されると、過去の状況を調べて、その時点で輸入届を受理するので、それを持っていけばいつでも通関できる。抜き取り検査を行うモニタリング検査については若干影響するが、その他の場合には直接税関の窓口とは一致しない。

(農林水産省) 基本的には税関の開庁時間とほぼ一致している。例えば関空は24時間であれば24時間になっている。一致していない部分についても事前の要請があるものについては対応している。その他の空港の場合には、国際便が入る時間というのは大体決まっているので、それに合わせて出動態勢をとる。実際には、検査に先立って検査の申請があるので、貨物の検査申請があれば、検査官が出向くといった機動的な運用をしている。

カ(委員) 物流を考えると、この20年間で世界的に発展してきたものが、クーリエ業務です。昼間に物が集まって、夜間に運送し、翌日朝、相手先に届ける。やはり夜間に物流を行うのが一番効率よく、道路も混んでいない。流通業者から見れば、試行期間だけの何カ月間を自分の流通システムを変えてテストしようというのはなかなかしないので、余りデータとして出てこない。既に24時間、 365日体制を行っている他国の例を見て、その中で自然的に配分がどうなっているかを見るべきで、そこで初めてニーズがあるかどうかというのがわかる。6カ月の試行期間では絶対わからない。ぜひ他国のデータも見た上で、幅広く検討すべきです。

(委員) 今の点に関して、例えば夜についた方が非常に国内の配送上便利だということですが、飛行機が来なければ荷物はつかないので、成田等の空港、例えば午前零時から朝まで飛行機が飛んでいるのか。また、港の場合、夜中の午前1時とか2時に岸について荷揚げするのは、普通の商慣行としてあるのか。

(財務省) 税関が今苦労しているのはどちらかというと海の方です。空は、飛行機の飛んでいる時間は対応している。関西空港以外の多くの空港の場合には、騒音問題その他で夜間の飛行機の離発着ができないところが多い。CIQ含めて空港のオープンしている時間は基本的には対応するようになっている。
キ(委員) 歴史的経緯に鑑み臨時開庁手数料とっているということだが、歴史的経緯というのは何か。臨時開庁のためにかかる経費を埋めるためにとっているのか、その目的がよくわからない。年間どのぐらい収入があるのか。
(財務省) 制度自体ができたのが古いということを言うために歴史的経緯という言葉を使用した。現在徴収しているのは、時間外に税関職員を出して通関手続を行うので、その人件費見合いとして徴収している。臨時開庁手数料は、朝の5時から8時半と、夕方の17時から22時が 7,800円で、夜の10時から朝の5時までが 8,300円です。臨時開庁手数料は、全体で年間20億円ぐらいです。
(委員) 現在の手数料は、いつ決めたのか。
(財務省) 臨時開庁手数料については、モデルをつくり、例えば1件あたりどれぐらいかかるかというのを3年に1回計算して、1時間当たり 7,800円とかを決めている。
ク(委員) ヨーロッパはお金をとっており、アメリカは広く薄くとの説明であったが、今の日本の相場というのは、他の国に比べて高いのか。
(財務省) それは為替の問題があるので、なかなか比較が難しい。例えば去年の秋に調べたデータによると、日本は1時間当たり 7,800円とすると、アメリカの場合は、昼も夜も商品価格の0.21%で、下限が25ドルで 3,000円強です。夜については制度として追加手数料があるが、今は実行されていない。ヨーロッパ諸国は1時間当たり 2,000円とか 3,000円で、オランダが夜の時間外が 5,000円で、ヨーロッパ諸国に比べると日本は少し高いぐらいです。シンガポールは基本的にゼロで、検査があったときに30分当たり職員を1人配置すると20シンガポールドルで千数百円になる。
ケ(委員) そもそも通関、検疫という仕事は、日本に限らず世界中どこの国でも、関税の徴収や社会悪物品が入って来ないよう行われている。現在、通関・検疫業務の目的は、大分変わってきており、如何にして国際的に人、モノ、金、情報の物流を促進して、経済を活性化させるかが大事になっている。そういう観点から通関・検疫業務を見直すことが、非常に大事である。

コ(委員) 主として発展途上国から帰ってくると検疫質問票を書かされるが、集めた質問票には保存期間があり、どこかに保管しているのか。また、かつて日本で伝染病が発生した際に、質問票が活用された事例はあるのか。

(厚生労働省) 質問票を書く場合と書かない場合があるが、コレラの流行地から到着する飛行機については必ず質問票を出していただくことになっている。旅行客を留め置くことはできないので、例えば下痢をしていれば検疫所の診察室で検査を行うが、検査結果が判明したら、都道府県や市町村と連携をとる。コレラが発生した場合、各都道府県に搭乗者名簿を送って同じツアーに行った人を追いかけて、国内法で伝染病対策をやっている。結構これは活用されている。
(委員) 質問票を書かせるよりは、搭乗者名簿に情報が全部載っているので、これを活用したほうが効率的なのではないか。
(厚生労働省) 質問票には検査結果が出た場合の連絡先の記載をお願いしており、連絡先の管轄の保健所に連絡をしている。搭乗者名簿からではこれは困難だと思われる。
(委員) 他の国ではあのような質問票を書かされた記憶はない。費用対効果を考えた場合に、職員をはりつけて、旅行客に住所、氏名、電話番号等を書かせることが本当に必要かどうか。自覚症状がある人は診察を受けるとしても、自覚症状がない人は、どうして質問票を書くのか。
(厚生労働省) 自覚症状がない有病者は自分で診断できないためそのまま通過してしまう。これでは困るため質問票を書いてもらう必要がある。かなりの効果が上がっていることは間違いない。
サ(委員) 試行期間というのは、去年の10月15日から3月末までということになっているが、4月から7月の本格的実施までの間、試行はどうなるのか。
(財務省) 3月までの半年間の数字をきちんと評価した上で、7月以降の本格的な実施を検討している。そのときに、先のご指摘のように、潜在的ニーズ、あるいは今後政府としてどう考えるかというのは非常に難しいが、具体的な数字だけでなく、今後の見通し等をできるだけ関係者の方からヒアリングを行った上で、7月からの本格的な体制をつくりたい。その体制については、執務時間外に具体的にニーズの多いところは常駐させ、それ以外は事前に申請があれば対応するという形で、港湾の24時間フルオープン化に的確に対応できるようにしていきたい。恒久的にやりますと宣言し、やっていくことが民間の物流を変えて、どんどん荷物が夜なり土日にも動くようになれば、それに合わせて税関も人を配置していくという形でやっていきたい。
 それから、4―6月は、今の形を少し微調整して試行期間を延長したい。3月までの試行を7月まで延長して、7月から本格実施という形を検討している。外の方から見たサービス水準は落とさないようにしたい。
シ(委員) 日本の通関手続は大変だと悪く評価されているので、PRキャンペーンを長くやってほしい。イメージの改善に非常に効果があると思う。
(財務省) 政府としても、前向きに取り組んでいることをPRしていきたい。
ス(委員) 厚生労働省に伺いたい。今度の法改正案で委託の制度を取り入れると、食品の監視員についてはどのようになるのか。
また、以前、試験設備の購入はコスト高なのでレンタル等を検討していたと聞いているが、外部委託になるとその点は変更があるのか。
(厚生労働省) 検疫所には800名近い職員がいるが、そのうち食品衛生監視員は268名である。来年度は15名の増員を予定している。
機器については、購入のものもあるし、リースのものもある。限られた予算で年々検査件数も増えてきている。効率化の面からも、従来、検疫所だけでやっていた検査を登録検査機関にも委託できるよう、法改正を予定している。
(委員) 委託の割合の方が多くなるのか。
(厚生労働省) 今一番検疫所が困っているのが、例えば中国野菜みたいに一時的に全数検査をやらなければならないこと。平均量で職員を配置しているので、大きな波が来ると徹夜に近いような作業をやらないと処理できない。そういう特別な要請がある検査を民間に出すことによって、わざわざ役人を配置しないで効率化が図れるのではないかと考えている。全部を出すのではなくて、経費面あるいは人員配置面等を考慮して民間委託することとしている。
(委員) 中国野菜のような各国の情報は事前に調査し、うまく連携してほしい。国民の側から見て、効率化のために安全が犠牲になっているというふうにとられないように、新たな工夫を今後も続けていただきたい。
(厚生労働省) 一言付言したい。今回、内閣府に食品安全委員会を設置するとともに、食品安全基本法をつくる。我々はリスク管理を実施し、リスク評価は食品安全委員会の方に移っていくことになるが、十分連携が図れるのではないかと考えている。
 (4)議長による総括
 日本の通関・検疫業務において、国際的に遜色にない水準であるためには、全国の主な港湾、空港において、通関・検疫業務の24時間、 365日実施を図ることが、物流面の効率性を促し、また、国際競争力の観点からも重要であり、さらに的確に需要を判断し、できる限り速やかに必要な対応を行うべきである。
 所管省は、勤務時間体制等の見直しを行うとともに、可能な限り業務の外部化やIT化の一層の促進により、業務の更なる効率化、省力化を推進し、速やかに講ずべき措置の具体化に取り組むべきである。その際、通関・検疫業務の24時間、 365日実施の効果が十分発揮されるものとなるよう、所管各省は密接に連携を図るべきであり、少なくとも恒常的に需要が見込まれる地域においては積極的に対応すべきである。
 財務省は、通関業務の24時間、 365日の実現において、少なくとも恒常的に需要が見込まれる地域においては、積極的に対応すべきである。また、15年3月末まで税関の執務時間外における通関体制の試行を実施している7港湾については、引き続き実施すべきである。
執務時間外の手数料について、24時間、 365日体制の整備に伴い、その手数料の軽減を検討し、所要の措置を講じるべきである。
 厚生労働省及び農林水産省が行う検疫業務については、通関業務と密接に連携を図るべきであり、24時間、 365日の実現において、少なくとも恒常的に需要が見込まれる地域においては、積極的に対応すべきである。
議題2 けん引自動車及び被けん引自動車に係る車検制度
(1) 事務局から、提起された課題、所管省庁による措置の概要(案件を巡る背景)及び課題・論点について説明
 (課題・論点)
○ 「トレーラーの自動車検査証に牽引可能な車名・型式を記載する現行制度を維持」する理由は何か。
むしろ、現行制度は廃止し、所管省が「簡素化された代替的な制度」とする、自動車検査証に最大牽引重量を記載し、その数値を超えない範囲でトレーラーを牽引する方法のみとすべきではないか。
○ 検討結果が出されてから既に2年以上が経過しているが、未だ簡素化の措置が講じられていない。
所管省は、「具体的な検討を更に進め」とするが、法令上の措置を含め具体的措置が講じられるのは、いつになるのか。
○ 所管省は、実施時期及び実施に向けた具体的な作業工程を明確に示し、迅速な対応をとるべきではないか。


 (2) 所管省庁からの説明

ア 第1の論点、トレーラー(被けん引自動車)の自動車検査証にけん引可能な車名・型式を記載する現行制度を維持する理由については、まず、連結状態で運行する自動車は、連結状態での安全性を確保するために、連結状態での走行性能、駐車ブレーキ等々の安全基準が定めてられており、その遵守を義務付けている。
 現行制度においては、けん引自動車とトレーラーが連結した状態での安全基準の適合確認、これを検査という形で行った上で、その組み合わせであれば、全ての項目について確認がなされていることを含めて、当該組み合わせであれば全てOKという意味で、車名・型式を記載するというもの。
 つまり、この一定の組み合わせで使用する場合においては、自動車の使用者は、その検査証の車名・型式と同じけん引自動車を使うことによって連結状態での基準適合性の確認は簡便に行うことができる。一定の組み合わせで使う場合は、そのようなメリットがある。
 一方、今回新たに導入をしようとしている制度においては、連結装置を新たに取りつけた段階で自動車使用者から記載事項変更があった場合に、けん引可能な最大総重量を備考欄に記載をすることとし、この記載された最大けん引総重量を超えない範囲であれば、任意のトレーラーを検査証を特に変更することなくけん引可能とする。レンタルのキャンピングトレーラー等を検査証とのかかわりで言えば任意に使用できるようなる。
 ただし、この方式の場合には、自動車使用者は連結時に駐車ブレーキ、最大安定傾斜角度、最小回転半径等の技術的な検討を自ら行う必要がある。これは、別に検査するということではなく、自らの責任で確認するもの。
 ただ、その確認負担の軽減のために、ガイドブック等を作成し、必要な情報を周知することを予定している。
 キャンピングトレーラーはレンタルユースの場合を除いては、その大半は特定の組み合わせで一対一対応で運行されており、仮に現行制度の方を廃止した場合は、一対一対応で使用するユーザーにとって非常に不便なものになる。
  したがって、両方の制度を活かすことが必要である。
イ 第2の論点、検討結果として、最大けん引総重量をけん引自動車側の検査証に記載するという方法自体は確定をしているが、その具体化に2年以上掛かってしまっている点については、以下に述べるとおり。
 平成12年12月、キャンピングトレーラーの登録時手続簡素化に関する検討会において、自動車メーカー、トレーラー業界、ユーザー代表等の参加を頂き、どのような方法を採るべきかということを欧米の事例も調査しながら決めた。
 その際、方針は決まったが、検討課題が残されている。
 最大けん引重量を原動機、ブレーキ、連結装置の性能等から定めるに当たって、1)1関係者(自動車メーカー、トレーラー業界等)からの最大けん引重量に係るデータの提供を受けること、2)けん引に係る関係者間の役割分担、責任分担、3)連結装置の技術要件が検討課題となっている。また、欧米の例を参考に、安全なけん引を確保するための情報提供についても検討課題とされている。
 具体化に時間が掛かっている一つの事情としては、欧州式と米国式の両方のタイプが入ってきているということ、あるいは、交通環境の違い等が原因となり、どのような情報によりどのような関係者間の責任関係を定めるかということで、関係者間の利害が対立し、調整が非常に難航した。その作業をストップする状態もあり、2年という大変長い時間になったと思う。しかし、その後、進展があり、現在は、今年度内にも概ねのコンセンサスの方向性を得るべく調整が進んでいるところ。
 関係者間の完全なコンセンサスを得られ次第、その後の作業を鋭意進め、法令の整備、パブリックコメントの募集等の手続を踏まえ、さらに、ガイドブックの作成によってユーザーに周知するという作業を並行し、来年度末を目途に所要の措置を完了する予定である。
ウ 第3の論点、実施に向けて具体的な作業工程を明確に示し、迅速な対応をとるべきではないかということについては、迅速な対応をとることは、勿論、そのとおりと考えているが、既に申し上げたとおり、最大けん引重量に関する検討について、関係者間の利害が対立するという状況があり、やや不確定な要素も残っており、これを進めることが第一と考えている。
 今後、コンセンサスが得られ次第、所要の措置を講じ、来年度末を目途に完了させたいと考えている。


 (3) 委員からの主な発言と所管省庁等の応答

ア 国土交通省は、日本においては、渋滞が多い、坂道が多い等道路交通環境が欧米と異なる等の理由により、最大けん引重量に関して関係者間の利害が対立したとしているが、坂道が多い、渋滞が多いというのは日本の特殊事情だと本当に考えているのか。
(国土交通省)
 自動車メーカーが、日本は渋滞が多くて坂道が多い等交通環境の点でいろいろと検討課題が多く、欧米と同じようなやり方で最大けん引重量を定めるのは難しく、検討が必要としているものであり、国土交通省がこのように認識しているわけではない。関係者間の議論の中でこのような認識が出ているということ。
イ 関係者間の利害とは、トラクターヘッドのメーカー、つまり日本の車両メーカーと米国や欧州のトレーラー業界のことだと思う。そして、日本のキャンピングトレーラーのシェアは、今は米国の方が圧倒的に大きく、ここでいう対立とは、日本の車両メーカー業界と米国のトレーラー業界の対立ということか。
(国土交通省)
 最大けん引重量をどう定めるかについて、自動車メーカーの立場とトレーラー側との対立である。トレーラー側は、輸入車(外国メーカー)が多いが、国産メーカーも含め、また販売店等やRV業界等も入っている。
 ただ、もう1点、欧米間でけん引装置の規格が異なることから、その辺の調整もあった。
ウ 前回のこの案件の審議が平成11年2月3日、つまり今から丸3年と1日前にやっている。そのときの審議の結論は、平成12年3月、平成11年の問題提起プロセスでまとめられている。
 その検討結果としては、「所管省によれば、日本ではこれまでトレーラーの主流が貨物運送用の大型セミトレーラーであったため、キャンピングトレーラーに関する知見が十分になかったとのことである。また、道路運送車両の保安基準に基づき、走行性能や駐車ブレーキ力等、連結状態での安全性を確保することが必要であり、しかし、近年キャンピングトレーラーの普及が著しいことを踏まえ、重量、制動装置、最小回転半径から判断して、キャンピングトレーラー等の軽量トレーラーについては、安全性の確保を前提として、連結時の基準適合性に係る手続きの簡素化の余地があるとし、簡素化に向けて今後、自動車の性能と車両重量の相関関係を調査するなどによって検討するとしている。新しい製品を既存の制度の枠組みで処理できない場合には、その制度を見直すことが必要である。その際、安全性の確保は重要ではあるが、既に欧米で実施されている方法を我が国に導入するか否かの検討には長い時間をかけるべきではない。」となっている。
 長い時間をかけるべきではないという発言は私もしており、欧米でも長い歴史があり、半年もあれば十分ではないかと言ったところ。その時の運輸省の担当官は憮然とした顔で黙っていたから、半年では短過ぎると思ったのであろう。それにしても、丸3年と1日経って未だこの状態。あともう1年たって何とか措置とのことだが、丸4年以上というのは、何が何でも長過ぎる。
 しかも、その長過ぎる理由が、最大けん引重量に関して、日本は坂道が多いからと自動車メーカーが言ったから話がまとまらないのだとのこと。私には、この発言は非常に理解し難い。国土交通省の担当官としては、もう少し毅然たる態度で事に臨むべき。

エ 「日本は坂道が多い」というが、自動車メーカーは、アメリカやヨーロッパでは、もう既にやっているはず。アメリカで対抗するために、SUV等は、やはりできるようにしているはず。アメリカのロッキー山脈は低いものではなく、そのような坂道に対応できるようにしているはず。世界的な情報を取り入れるべきではないか。
 日本のメーカーは、BMWやフォード等に対抗するために、絶対出しているはず。

(国土交通省)
 正に時間が掛かってしまっているというところは、我々としても、決して良い状態だとは思っていない。
 自動車メーカーの話については、勿論我々も日本のメーカーが海外でそのような自動車を出しているということは承知をしている。その前提で議論している。
 一方で、輸入車メーカーからもデータを出すことに関し問題があるということを聞いている。渋滞、坂道、交通環境の話だけ述べたが、連結装置が異なり、加重のかかり方が違う点や、日本においては未だユーザーのキャンピングカーに関する認識が整っていないといった背景もある。メーカーは、ユーザーに対して安全規制以上の商品価値といったところまで含めた責任を追うし、苦情等をいろいろな場で受けて苦労しているという実情もある。
 確かに時間は掛かってしまっているが、ここに至って何とか方向性は出てきている。そこまでに至るプロセスが確かに前回の時点を考えれば非常に遅いと言われるかもしれないが、何とかその方向性は出つつあるので、この方向で進めたいと思っている。
オ 平成12年12月に下川検討会が検討結果を出した後の調整は、依然としてこの委員会がやっているのか。
(国土交通省)
 検討会は、この検討課題を残して終わっており、検討会参加の関係者を中心に、後の調整を行っている。
カ 調整の主体は、国土交通省か。
(国土交通省)
 そのとおり。
ク 下川委員会の「現行制度を維持しつつ」というのは、調整の結果、これは放棄され、最大けん引重量を表示する方式に変わったのか。それとも、下川委員会の結論をそのまま検討しているのか。
(国土交通省)
 下川委員会の結論自体は変えない形でまとめようとしている。どういう形で最大けん引重量を出すのか。だれがどんな責任を持つのか等の検討課題に関して、いろいろ考え方を整理している。大筋、最大けん引重量をけん引自動車の車検証備考欄に書き込み、レンタルによるキャンピングカーの利便性を向上させるという結論自体は何も変えていない。
ケ 現行制度を維持した場合、特定の車の車名・型式を書くということになるが、そうすると、書いた自動車を保護しているということにならないか。
(国土交通省)
 現行制度によれば、トレーラー側に車名・型式を書くことになっているが、制度改正後は、必ずしも書く必要はなく、改正後の利便性というのは、現行制度を残すことによって低下することはないと思っている。
コ 「維持しつつ」という言葉は、強く聞こえ過ぎている。書きたい人は書いていいと。確認が要らないため、消費者の利便性を考えると現行制度も入れておいた方が良いということ。
(国土交通省)
  完全な選択制と考えている。
サ 選択制か。書くと他のものは使えないという意味か。
(国土交通省)
  変更も当然可能である。
シ 国土交通省は、来年度末を目途としているが、15カ月と大変先の話であり、何を誰と誰の関係において調整するのか等を盛り込んだ作業工程表を四半期区切り作成し、問題を列挙するべきである。そうしないと、この問題は先送りになるのではないか。
(国土交通省)
  作業工程というか、コンセンサスを如何に得るかということである。いろいろ調整し、今まで進展がなかったところをここに来て何とか収めようという状況になっており、積み上げていって答えを出すということではなく、ひとつ切換えをして次の段階に持っていきたいという段階である。
ス 何が問題で、一体誰と誰がどう反対しているのか。問題がよく掴めない。
(国土交通省)
  当初、最大けん引重量を欧米式にメーカーに何らかの形で出してもらい、それをそのまま車検証に記入するということを考えていた。しかし、先程切り換えたと述べたのは、自動車メーカーが出すのは、最大けん引重量そのものではなく、もう少し諸元値的なもの、それを一定の計算式で変換して書くということとなる。
 つまり、最大けん引重量については、自動車検査の申請者、形式的にはユーザー、実質的にはトレーラー業界がそのようなけん引重量を算出するという方向に考え方を変えている。これで大体行けそうだということになっており、このような進展があったということ。
 したがって、確かに2年間掛かってしまったということで、我々の調整ペースについて、疑問を持つのは当然だと思うが、ここに至って方針を整理したので、この後は遅れることなく、来年度末を目標に所要の措置を完了させるということができると考えている。
セ 来年度末まで掛かるとのことだが、この1年間は何をやるのか。最後でまた1年掛かるという話か。
(国土交通省)
 大体方向は切り換えたが、最終的に関係者のコンセンサスを得る必要があり、その後、法令を整備する。また、実際に検査証に記入する最大けん引重量の算出を形式的にはユーザーに、実質的にはトレーラー業界に委ねる中で、トレーラー業界にも今いろいろと検討してもらっており、そのようなことをまとめて行かなければならない。
 また、ユーザーにもその様なことを理解してもらうようガイドブックを作成することも求められており、周知期間も必要である。このようなことを踏まえて、来年度末を目途にしている。
ソ 先程スケジュールという話があったが、来年度末までに行うべき事柄を明らかにした作業工程表はないのか。
(国土交通省)
 関係者間で完全にコンセンサスが得られれば、その後は比較的スケジュール的なものになると思うが、現段階では、そこまで至っておらず、一つの見通しということ。
 ただ、いろいろな状況から判断して、来年度末を目途にすることができるのではないか。
タ 「コンセンサスが得られ次第」、「目途」、「予定」と、安全弁が沢山あり過ぎる。むしろ逆に3月末に実施するためには、WTOへの通報をいつまでにやり、法令化はいつまでにやるのか、ガイドブックもいつまでか。そうすると、いつまでにコンセンサスを得る必要があるのかと、そのように示さないと、皆、大変痺れを切らしている。

チ 形式的にはユーザーの責任、実態的にはメーカーがお手伝いというのは、法律構造から言えばナンセンスだと思う。これでは法律によって混乱が生ずるばかり。

(国土交通省)
 法律的には、単純にユーザーの責任である。
ツ ユーザーが分かるわけがない。最大けん引重量をユーザーが自分で試験するのか。どうやって決めるのか。ユーザーができるわけない。
(国土交通省)
 自動車検査の申請は、ユーザー名で出されるものであり、その意味において、ユーザーの責任となる。
 新規検査を受ける場合は、この話に限らず全て申請者はユーザーであるが、ただ、その前提となる算出方法について、ユーザーに分かってもらうよう、考え方としてはガイドブックを出し、また、実態的には、自動車メーカーあるいは販売社が、前提となるものをユーザーに提供するということになっている。
テ その目的は、メーカーによる製造物責任の回避か。
(国土交通省)
 製造物責任と車検は、違う話だと思う。
ト 違う話だとは考えられない。誰が最大けん引重量を決めるのか。むしろ一番中心となる問題は、製造物責任として超えた場合、誰がどのようになるのか、それが簡単にユーザーに回ってしまうというのは、法律上、社会上、適正ではないと思う。
(国土交通省)
 我々も、メーカーが最大けん引重量を定めるということを前提に今まで議論をしてきたが、なかなか打開がみられず、これまで述べたように整理したところ。
 その責任という話を申し上げたので、少し議論がややこしくなっているかもしれないが、当然、ユーザーが実質的な責任を追わないように、メーカーあるいは販売店の方でどう考えていくか、その辺を国が整理しながら検討してきた。そこが、この下川レポートの検討課題として残っているところである。検討課題として書かれているのは、関係者からの最大けん引重量に係るデータの提供、それから、そのけん引に係る関係者間の役割分担、当初からその点をどう検討するのかという課題の指摘を受けているところ。
 関係者、ユーザー代表にも入ってもらい、いろいろ議論をしてきた結果として、今このように結論を出し、来年度末ということになったわけだが、それではおかしいのではないかという指摘を頂くと、また調整が難航した状態に戻ってしまうということになる。我々としては、当然これは無理のない範囲で役割分担を考えようと思っており、ユーザーにも、その目的は、あくまでキャンピングカーをどう普及していくかということに置いてキャンピング協会にも議論してもらっているおり、そこは無理のない範囲で結論が出せるものと考えている。
ナ 確かに、今、委員が述べた責任論というのがよく分からない。アメリカやヨーロッパではどのようになっているのか。アメリカやヨーロッパでは責任をメーカーが取り、日本では排除しているようにも聞こえる。
 ただ、我々には、実態も分からない部分が多く、是非早く、国土交通省は、今述べたようなラインで制度を作り、パブリックコメントを募集すればよいのではないか。それに対して、この制度は、法律としておかしいと思われるなら、そこでパブリックコメントとして出せばよいのではないか。 私が是非言いたいのは、3月末は、「コンセンサスを得て」、「目途」、「予定」ではなく、必ず実施するとすべき。そのためには、遡って、このような段取りが必要だから、とにかく一応のコンセンサスを得て、法令を準備し、パブリックコメントを得て、WTOに出すといった作業工程を示し、進めていくべきというのが、この場の空気のように思われるが、如何か。

ニ 1つだけ質問したい。このように措置に長く時間が掛かっていると、このようなトレーラーを貸す値段がどんどん上がっていく。結局、全国規模の大きな会社しか、こういうようなトレーラーを貸すことについての利益を代表する者がなくなる。
 ヨーロッパでは、トレーラーを貸しているのは皆零細業者であり、あちこちにあって、どこに車を乗りつけてもすぐ借りられるようになっている。しかし、日本では、そういう零細業者は全く入る余地がなくなるのではないか。大企業のレンタカー業者でないと入れないということに、段々大企業しか入れないように国土交通省がしているのではないか。私は、それが非常に気になっている。

(国土交通省)
 我々としては、キャンピングトレーラーの制度が簡素化されて、そういうレンタカーの利便性が向上するということを目指して作業してきたところであり、何か特定の意図で遅らせるといったことは、全く考えていない。
ヌ 今の委員意見は、意図があるという指摘ではなく、主観的意図はともあれ、客観的に見るとこうなっているのではないかという指摘と思われ、そういうことも十分留意すべきである。
 
(4) 議長総括
 平成12年に検討結果が出されてから既に2年以上が経過しており、いまだに簡素化の措置が講じられていないということは、対応としては余りにも遅きに失している。国土交通省は、実施に向けて具体的な作業工程というものを公表し、遅くとも平成15年度中には確実に簡素化措置を実施するよう迅速な対応をとるべきである。「実施」が大事である。
 なお、制度設計や関係者間の責任の所在について、どこまで議論するか、あるいは、パブリックコメントを求めるべきとする意見については、引き続き考えていくことが重要ではないかと思う。
 (速報のため事後修正の可能性あり)
     
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