平成16度第2回OTO専門家会議議事要旨


1 日時 平成17年2月7日(月)15:00〜17:00

2 場所 内閣府共用第4特別会議室(406号室)

3 出席者

(OTO推進会議)
大河原推進会議議長、片田委員、北岡委員、行天委員(議長)、黒田委員、佐々波委員、 谷村委員、眞木委員、槙原委員、松下委員、山澤委員、朴委員、金森委員、兼重委員、木村委員、高瀬委員、千野委員、本田委員、宮智委員、村上委員

 (問題提起者等)
在日米国商工会議所 ベイツ理事、垣貫特別顧問兼法務サービス委員会共同委員長、後藤企業内弁護士小委員会副委員長
在日米国大使館 ファントージ経済担当参事官

(所管省庁)
総務省行政管理局企画調整課 白岩行政手続室長、小森企画官 他

(OTO事務局)
藤岡OTO室長(大臣官房審議官)、渡辺企画官、岩田参事官補佐

4 議題

(1) パブリック・コメント手続等の改善
(2) その他

5 審議の概要

 (1) 事務局から問題提起の概要及びその論点について説明

1) 論点1 法制化されるパブリック・コメント手続の対象範囲について

 手続の対象範囲等は改正法案の中でどのように規定されるか。

2) 論点2 パブリック・コメント手続の実効性の確保について

1] モニタリングの強化

 既存の制度が問題の発生を事前に抑止する上で十分ではないのではないか。制度として解決する仕組みを整備すべきではないか。
 閣議決定に基づく現行の調査を個別案件名を公表するなどしてモニタリングの機能を強化すべきでないか。
 問題提起者が主張するような事例を把握して、各省に改善を促すための仕組みを制度として整備すべきでないか。

2] 担当窓口の設置

 各省の対応を促すための仕組みは制度として総務省が整備するべきでないか。少なくとも各省に担当窓口を設置し、問合せに対して説明責任を果た すこ とを求 めるべきでないか。

3] 意見募集期間の確保

 休日や休日が多い時期を意見募集期間から除外するよう各省に働きかけるべきではないか。

3) 論点3 英文によるパブリック・コメントの暫定的な提出について

 日本を外国企業にとって魅力ある進出先とするとの政府方針を踏まえ、外国企業に英文による暫定的な提出を認めることを推奨するなどの対応がと れな いか。
 電子政府の総合窓口については、英文版を作成すべきではないか。

4) 論点4 審議会その他の勉強会における議論への参加機会の拡大について

1] 一般からの意見受付の検討

 中央省庁等改革基本法第50条第2項の趣旨を踏まえ、広く意見を受け付けることを制度として検討すべきでないか。

2] 外国企業団体の意見表明機会の拡大

 その他の勉強会についても、利害関係者への意見聴取の機会は与えられることとなっているか。
 審議会等については、利害関係者に意見聴取の機会を与えるという「審議会等の整理合理化に関する基本的計画」の規定の実効性はどのように担保されるの か。
 審議会その他の勉強会が、法律や命令等の基本的な枠組みを議論する場となっている場合で、外国企業が利害関係者である場合には、特に意見表明の機会を与 えることを制度として検討することはできないか。

(2) 所管省庁から論点に対する回答について説明
1) 論点1 法制化されるパブリック・コメント手続の対象範囲について

 できるだけ原則として対象にしようという動きの中で、内容が軽微であるとか、緊急を要するものなど、誰もが理解できるものを適用除外にしてい く方 向で検 討中。
 
2) 論点2 パブリック・コメント手続の実効性の確保について

1] モニタリングの強化

 手続が適切か否かの判断は、政策判断と密接に関わるものであり、第一に総務省と各省との間の分担の問題がある。総務省としては、毎年度実態調 査を してお り、その結果手続が外形的にみて適切でないものについて数値を発表している。事案の内容に応じ、手続的な問題があるものを必要があれば公表することは十分 考えられる。

2] 担当窓口の設置

 現在でも各省に手続の担当窓口はある訳で、ここで苦情を受け付けることもできるのではないか。別途苦情受付窓口を設ける必要性については検討 が必 要。

3] 意見募集期間の確保

 逆に個人など休日期間がないときちんとしたコメントを作れないという人もおり、一般的なルールを設けることはできない。実務上は、30日の期 間が とれな いケースもあり、こうした場合に案の公表ができない、ということを言われることがあるので、制約を課すほど公表がなされないということにもなりかねない。 まず30日を確保することが第一であり、その後案件に応じた判断を促すということが必要ではないかと考える。
 
3) 論点3 英文によるパブリック・コメントの暫定的な提出について

 手続の対象には国内にしか関係のない規制もあるほか、手続自体まだ浸透を進めている途上にあることなどから、英文による提出を認めることまで 推奨 すべき かは疑問。
 他方、e-Gov(電子政府の総合窓口)においては、各府省におけるパブリック・コメントの英文化の取組状況を踏まえつつ、これに対応した情報の提供の あり方について検討したいと考えている。
 
4) 論点4 審議会その他の勉強会における議論への参加機会の拡大について

1] 一般からの意見受付の検討

 審議会にも民意の反映という役割があるところ、重ねてパブリック・コメント手続をとるかどうかは審議会で判断すべき問題。

2] 外国企業団体の意見表明機会の拡大

 行政運営上の懇談会はそもそも意思決定をまとめるものではないので、何か制度的な決まりをつくることは考えていない。基本的計画については、 それ ぞれの 審議会において適切に対応していると考えている。外国企業団体の意見表明機会についても、各審議会で判断すべき問題と考える。

(3) 問題提起者意見
[在日米国商工会議所]

1)  閣議決定に基づく現行の手続は各府省で一様に実施されている訳ではない。裁量を最低限にするため、パブリック・コメントの義務付けを解除する範囲は極め て限定的とすべき。また、府省が大きく関与している法律の改正案についても手続を義務付けるべき。

2)  総務省の現行の調査は不適切であった案件の具体的内容が公表されていないので、これを公表すべき。
 制度の根本に関わる部分について説明責任を果たすよう、統一された窓口があることが望ましい。
 休日や休日が多い時期の除外は、その分期間を長くとるようにということなので、休日を利用する人々にとっても、不利益になるものではない。

3)  対日投資を促進して日本経済の成長を図ることは政府の施策でもある。日本に所在する外国企業の世界的なネットワークを活用して有益なコメントを入手する ためにも、当初の英文によるコメントの提出を認めるべきである。

4)  正式な審議会については「基本的計画」で利害関係者からの意見聴取を行うことになっているとのことであるが、外国企業団体にその機会は与えられていな い。実効性はどのように担保されているのか。その他の勉強会についても同様であり、法律や命令などの基本的な枠組みを議論とする場合で、外国企業団体が密 接に関連する利益を有する場合には、特に意見表明の機会を与えることを制度的に検討すべき。
 
[在日米国大使館]

(本問題提起を支持する立場から意見を陳述。)
(4) 委員からの主な発言等
1)  総務省の実施状況調査によれば、募集期間10日未満のものがあるが、適切でないとは分類されていないようである。判断は誰がどのようにして行っているの か。
(総務省)10日未満にならざるを得ない理由があったことから適切でないとは言えなかったもの。実施状況調査に掲載した不適 切事 例については、各省が閣議 決定の申し合わせ事項を遵守しているか否かを総務省が判断して整理したもの。
2)  「一定期間を一律に義務付けた場合、当該期間を確保できないことを理由として意見募集期間を短縮したり、そもそも手続に付さない案件が増加するおそれも あると考える」と総務省の回答にあるが、これが実態だとすると閣議決定は役に立たないものということになる。総務省はこのような回答をしたことを妥当と考 えているのか。
(総務省)そのような誤解を与えたとすれば適切でなかったかもしれないが、議院内閣制をとる我が国において、例えば法律の施 行日 までの期間が30日ぎりぎ りだった場合に、30日間を必ず義務付けると、パブリック・コメント自体ができなくなる、と言われる場合があることを言ったものである。
3)  パブリック・コメントの募集をホームページに掲載した時点で、登録ユーザーに電子メールで通知するシステムを整備して欲しい、との問題提起に対して、電 子政府の総合窓口を利用して欲しいとの回答になっているが、民意を吸い上げて適切な行政を行いたいということであれば、関心が高い利害関係者にはあらかじ め情報を提供して意見を求めるぐらいの熱意があるのは当然であり、それが安い費用でできるならぜひ検討すべきではないか。
(総務省)否定しているわけではないが、現在、パブリック・コメント手続について電子政府の総合窓口で一括公表すべく努力し てい るところであるので、まず はそれを活用いただけないかということ。情報の提供について、今後各府省でそういう努力をしていくことはあり得るのではないかと考えている。
4)  貿易関係で日本のコミットメントを変えるような法令の改正があった場合には、ガット10条により、事前に加盟国のコメントを求めなければならないとされ ている。これは当然英語でなされるものであるが、総務省にもそうした国際義務をある程度考慮していただきたい。
(総務省)そうしたルールがあることは承知しているが、総務省が取り組んでいるのはその前の案の段階で国民に提示するという こと をまず義務付けるという問 題。また英語に関しては、貿易に関するものという仕切りで何かするとすれば別の議論もあるかもしれないが、今は案を公表するというインフラの整備に取り組 んでいるところで、現在はそこまで手が伸びていない。
5)  ガット加盟国への通知の場合にも、通知期間が短すぎて対応出来ないということが時々みられて問題となっていた。意見の募集は、ある程度の期間を取らない と、コメントを一切受け付けないのと同じことになる。
 
6)  英語の問題は互恵的であるか、という観点からではなく、世界語であるという認識に基づいて検討すべきもの。最初に英語で出して、後から翻訳が追いつけば 日本語で出すという要求は極めて理が通っていて、世界情勢を反映しているようにも思うが、なぜこれを制度として取り入れられないか。
(総務省)英語の提出を否定している訳ではない。実務上は受け入れている場合もある。しかしながら、制度として取り入れる場 合に は法律上の義務という問題 になるため、必要性については疑問を持っている。
 かつて、アメリカのゴア副大統領が、アメリカ政府はパブリック・コメント手続があるばかりに国会が立法した行政規制を即時に施行できないとの問題認識を 示したことがある。アメリカは一つの極で日本も一つの極だと思う。これから着地点を探していくことが大事。例えば、男女共同参画に関するものなど、英訳す べきものかどうかなど、今のところ判断材料もないし、私どもの任の範囲内ではない。義務付けを一般化することまでは難しいと考える。貿易の観点から英文の 意見を受け付けることが適切ではないかという勧告ができるかということであれば、それは総務省の任ではない。勧告権限を総務省設置法から導き出すのは困難 である。総務省は、閣議決定の取りまとめ役として、各省ができるだけ整合性を持って実施してくださいというところまでしかできない。
7)  パブリック・コメントという問題についての総務省の役割、あるいは責任や権限とはどういうものか。
(総務省)閣議決定の取りまとめ役として承ったのは行政制度の基本ということで、すべてのものを通じて行政に共通で認められ るよ うな事項についての共通の 基盤を整えるということで、たまたま取りまとめを仰せつかっているのだと思う。権限については、閣議決定から導くのは困難。いずれにせよ、各府省の調整を して、閣議決定で申し合わせた事項の励行を促すところまでで、そこまでは各府省から協力あるいは了解をいただいていると理解している。
8)  手続が適切であるか否かについて価値判断している部分もあるようだが、これもその権限の範囲のものと考えられるのか。
(総務省)少し踏み込んでいるとみられても仕方がない面もあるが、総務省は閣議決定に書かれている手続あるいは申合せ事項と 異な ることの指摘をしているに 過ぎないもので、個別の案件の適否に踏み込んだものにはなっていない。
9)  今回の問題提起については、総務省が各省の縦割り型の行政権限にどう対応するかという問題もあり、同情する部分がある。
 しかしながら、過去のパブリック・コメントの状況を調べてみると、期間設定の仕方が非常に恣意的なものとなっていて、これが各省の権限の中で行われてい ることは非常に問題。総務省は大変な問題に向きあっているというのが感想。
 また、問題提起者によれば、コメントの提出の抑制を求められた事例もあるとのことであるが、これはどういったものであったのか。
 総務省には、下手に弾力的な制度は作らないでいただきたいということを申し上げたい。
(問題提起者)ACCJの役員になって10年になるが、必ず毎年何回かは、30日に満たない間にパブリック・コメント手続に 付さ れた案を翻訳、配布し、コ メントを集め、また日本語に翻訳し、各省に提出するという作業を行っている。役所は年末、年度末、お盆などに合せて行うのを好んでいるようで、どれだけ休 みをつぶしたのかはもう記憶していないほど。
 昨年の6月、厚生労働省は、個人情報保護法に関するガイドラインへのパブリック・コメントを15日という短期間で実施し、しかも我々がコメントを提出し た直後に同ガイドラインを成立させた。我々の意見が考慮されたとは到底思えない。
 特許庁や司法制度改革推進本部、知的財産戦略本部、経済産業省や金融庁では、英語で先に提出することを認めてくれることもあるが、認めてくれないところ も多い。
10)  パブリック・コメント制度を行政手続としてきちんとするならば、法律できちんと決めるべきものは決めるべき。当然、対象範囲もきちんと決める形。一般 に、法制化の一番のメリットは、救済措置や不服申立てであると思うが、法制化する場合、誰が見ても期間が短いとか非常に不十分な対応しかしていないという 場合、どういう救済なり、不服申立てなりが現実にできるか、そういう議論は行っているのか。
(総務省)非常に難しい問題である。我が国においては客観的な訴訟は認めていないので、訴訟あるいは行政不服審査法のスキー ムに はなかなか乗ってこないだ ろうと思う。最も重要なのは、提出された意見を行政機関にきちんと考慮させることだと思うが、これを後からでも縛りをかけることについて、今、法制的な検 討を行っているところ。不服審査法あるいは訴訟といった観点は、行政手続法の手続ができた次のステップの議論であると思う。
11)  休日を30日の計算から除外することがなぜできないのかがよく分からない。
(総務省)休日を除外すべきかどうかという点については、30日の意見募集期間を確保することが大事であり、一律に義務付け する ことは難しいと考えてい る。休日をカウントしない方がいいということは一般的に言えると思うが、休日をカウントしない場合には実質的に期間を延長することになるので、一律に義務 付けることまではできない。
12)  私的な勉強会は、開催していることが発表されることもあれば、されないこともある。こういう場で何か結論を出したときにそのまま政策あるいは規則になる こともあれば、ならないこともある。重要な点は、こうした勉強会に出ていると、問題の所在がよく分かるようになる。これは非常に重要な情報なのだと思う。 総務省の回答は、参加を認めるかどうかは各審議会等であるいは各府省で適切と考えられる時期に適当な方法で行うべきで、一律な義務付けはしないというもの であるが、そのようにしてしまうと、こういうものは公表したくないというのが恐らく本音であるから、公表されないことになる可能性が高い。テーマぐらいは 公表すべきではないか。各省や審議会の判断ということだけではなくて、一種の指針みたいなもの、ガイドライン的なものを作成すべきではないか。
(総務省)中央省庁再編の際に定めた閣議決定において、懇談会等についても審議会等の情報公開に準じた措置を講ずるように決 めて おり、懇談会等についても 公開するというのが政府の方針である。
13)  現行の調査は、各省からの自己申告にのみ基づくものであり、誠に遺憾。集める側と出す側との認識がずれている最大の理由は、肝心な総務省が一方的な情報 しか集めていないというところに問題がある。きちんと相手側の情報も集めて立派な実情調査をしてもらいたい。
(5) 議長による総括
1)  本件は、現行の閣議決定に基づくパブリック・コメント手続の制度が、透明性等の観点からいまだ不十分であるとの認識に基づき、同手続等の改善に関して問 題提起がなされたものである。

2)  パブリック・コメント手続は、法制化されることにより、意見提出期間がより明確に規定されるようになるなど、実効性が一定程度高まることが期待される。 総務省は、引き続き手続の法制化の早期実現に向けた取り組みを進めるとともに、法制化後の手続の周知に努めるべきである。

3)  一方で、問題提起者は、現行の手続のもとで適切でない事例がみられることから、手続の実効性を確保するための制度面の対応を求めている。総務省は、手続 が適切に実施されていない事例がみられるという問題提起者の主張に基づき、各省庁の実施状況について調査などを実施して現状を把握するとともに、改善を促 すための制度面の対応を検討すべきである。その検討に際しては、弾力的判断が許される状況を極力排除することが望ましい。

4)  また、手続に問題があると思われたときに、そのことを指摘する窓口がないとの問題提起者の主張は理解できるものである。総務省は、法制化を契機に関係省 庁に担当窓口を設けさせ、制度の周知に努めるよう協力を求めるとともに、実施した手続について情報提供等の面で便宜を図るよう促すべきである。

5)  加えて、総務省は、問題提起者の指摘を踏まえつつ、関係省庁に対して、個々の案件に応じて、年末年始等、休日が多くなる可能性のある時期には、意見提出 期間を長く設定するとともに、少なくともコメントの抑制を図っているといった誤解を与えることがないように対応すべきことを、改めて周知すべきである。

6)  さらに、外国企業等については、我が国経済における重要性の高まり等に鑑み、その便宜を図るため、総務省は、電子政府の総合窓口における英文によるパブ リック・コメント情報の提供のあり方について検討すべきである。関連して、外国企業等に当初英文によるコメントの提出を認めるべきかどうかという点につい ても、外国企業等が利害関係者となる可能性がある場合には、認めるべきであることを関係省庁に周知すべきである。

7)  審議会その他の勉強会への外国企業等の参加機会の問題について、総務省は、各省において判断すべき問題であり、また「審議会等」に含まれない「懇談会 等」は、そもそも制度化になじまないもの、と主張している。しかしながら、我が国における「審議会等」や「懇談会等」での議論が、実質的に政策形成の場と なっており、対外的にその不透明さが問題とされているのであれば、こうした場への外国企業等の参加機会を拡大させ、透明性を確保することは、重要な市場開 放問題であり、制度的に対応すべきものである。総務省は、「審議会等」に関して、外国企業等が利害関係者である場合に、「基本的計画」に基づく適切な対応 が行われているか、調査を実施し、実態を把握すべきである。また、「懇談会等」についても、これに準じた対応を促すための制度上の措置を検討すべきであ る。
6 その他
次回の専門家会議の日程について事務局から説明。

以上

(速報のため事後修正の可能性あり)

[問い合わせ先]内閣府市場開放問題苦情処理対策室
TEL 03-3581-0384(直通)