1 日時 平成14年2月25日(月) 15:00〜17:30
2 場所 共用第4特別会議室(406号室)
3 出席者
(OTO推進会議)4 議題
大河原推進会議議長、行天委員(議長)、谷村委員、豊島委員、眞木委員、山本委員、金森委員、兼重委員、高瀬委員、本田委員、村上委員、グロンディン委員、權委員(問題提起者)
[議題1]国内事業者
[議題2]在日大韓民国大使館 趙 経済課長 他(関係省庁)
[議題1]農林水産省総合食料局 小林品質課長 他
[議題2]経済産業省商務情報政策局情報通信機器課 川上環境リサイクル室長
公正取引委員会事務総局経済取引局取引部取引企画課 粕渕相談指導室長(OTO事務局)
中城大臣官房審議官、佐々木企画官、岡参事官補佐
(1) 新たに導入された登録外国認定機関制度の活用(有機JAS)
(2) 家電リサイクル法に基づくリサイクル料金設定への大小区分の導入
(3) 個別に順次審議すべきとされたもの以外の案件の検討状況
5 審議の概要
[議題1]新たに導入された登録外国認定機関制度の活用(有機JAS)
(1) 事務局から問題の背景、問題提起内容及び所管省庁の対処方針等について説明
(問題の所在)(2) 問題提起者から提起内容の説明
1) 英語等による申請を認めるなど、申請を容易にする措置を講ずるべき
2) 「JAS制度と同等制度を有する国」要件の緩和
-オーストラリア以外に属する機関の登録促進-(3) 所管省庁から対処方針の説明
現在、登録外国認定機関として登録されている5機関は、いずれもオーストラリアに属する機関である。同国政府は、自国の機関が登録外国認定機関として認められるよう強力な支援を行っており、オーストラリアに属する機関の登録数の増加をもって、登録外国認定機関の登録が進んでいるとは解し得ない。
問題提起者としては、オーストラリア以外の国に属する機関の登録が促進されるよう農林水産省が以下の具体策を講ずることを要請する。-英語等による申請を認めるなど、申請を容易にするための措置-
登録外国認定機関の登録に係る標準処理期間が新たに定められたことにより、登録申請のインセンティブが高まったとの話を外国の認定機関から聞いた。
しかし、当該機関によれば、実際に登録申請を行おうとしたところ、申請に係る書類及び資料を全て日本語で提出するよう求められ、翻訳に要する費用だけでもかなりの金額になることが判明したため、登録申請に係る事務を中断しているとのことであった。
したがって、農林水産省は、登録外国認定機関の増加を図る観点から、登録外国認定機関の登録申請に係るコストを軽減するため、当該申請について、日本語による申請のほか、英語等による申請を認めるべきである。-「JAS制度と同等制度を有する国」要件の緩和-
この要件について、農林水産省は、「厳正・客観的・公平な認定の確保、そのための相手国政府を通じた当該外国法人の管理・監督の必要性」を理由に当該要件は必要とするが、「厳正・客観的・公平な認定の確保」のための外国法人の管理・監督は、農林水産省自らが「国際的に信頼性が確立している機関」としている機関(IOAS:International Organic Accreditation Services)を通じても可能であり、「JAS制度と同等制度を有する国」を要件とする合理的理由とはならない。
登録外国認定機関については、本来、当該機関が有する認定能力に着目すべきであり、農林水産省も「国際的に信頼性が確立している機関」と認めているIOASに登録されている外国法人については、例えばアメリカ等、現在「JAS制度と同等制度を有する国」に指定されていない国の外国法人であっても、登録外国認定機関として登録される門戸を開くべきである。
-焦点を絞った広報の実施-
広報については、ホームページによるPR及び申請書類の書き方についての事前相談を実施しているとのことであるが、漫然としたPRではなく、輸入事業者や各国大使館等からのヒアリング等を実施することにより、実際のニーズを把握し、当該ニーズに焦点を絞った積極的な広報活動を実施すべきである。
-英語等による申請を認めるなど、申請を容易にするための措置-(4) 委員からの主な発言等
外国登録認定機関の申請は法令に基づく登録、許可等の申請を国が受け付けるものである。我が国政府に申請されるものについて、我が国の国語(公用語)である日本語を用いることは当然のことである。したがって、英語等他の言語を用いることは認められない。他法令においても、外国語だけでの申請を認めている例はない。(日本へ入国するための査証申請等外国において在外公館に対して行われるものは除く。)-「JAS制度と同等制度を有する国」要件の緩和-
登録外国認定機関に同等性要件を課している理由
1) 登録外国認定機関の場合には、a)距離的に遠いため定期的な調査が困難であること、b)日本の主権が及ばないため強制的な立入検査等を行うことができないことから、日本国内の登録認定機関に対する信頼確保措置とは別途の方法により、適正な業務を担保する必要がある。2) 日本向けに出荷している生産者等を認定(以下「日本向け認定」という。)している登録外国認定機関は、一般に、当該国内向けに出荷している生産者等も認定(以下「当該国内向け認定」という。)している。
したがって、当該国内向け認定業務が適正に実施されていることが担保されていれば、日本向け認定業務も適正に行われていると期待できる蓋然性は高くなると考えられる。当該国内向け認定業務は、国によって、民間による任意の制度、国よる任意の制度、国による強制的な制度に基づくもの等区々であるが、少なくとも我が国の認定制度と同様、a)当該国政府機関等による検査、b)格付がなされていないものに表示がなされないよう、格付表示の厳正な管理、c)格付を行う際の規格適合性についての判定が裁量により左右されることなく客観的・公平に行われること、d)格付に合致しないものに表示がなされた場合の是正措置等があれば、適正に実施されている可能性が高いと考えられる。3) 逆に、我が国と同様の認定制度が確立していない場合には、当該国内向けでさえ有機食品が適正に供給されているか疑問であり、日本向けの食品の有機性が適正に保たれることを期待することは難しいと考えられる。
以上のことから、我が国の有機制度では、登録外国認定機関の登録については、当該機関の所在する国の認定制度が我が国の認定制度と同等性を有する国に所在するものに限定することとされている。(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(以下「法」という。)第19条の6の4第2項で準用する第19条の6の2)
指摘のように、世界的に見れば同等性のない国あるいは有機制度のない国においても立派な認定機関は多分存在するだろうが、我が国の登録認定機関の仕組みは、国内の場合、外国の場合を問わず、法定の要件を満たした場合は、行政の恣意的な判断を排除して、すべて登録しなくてはならない仕組みとなっているため、不適正な認定が行われるおそれのある認定機関を排除するため、一律に、同等性の要件が規定されているものであり、個々の認定機関の能力が仮に国際的に認められるレベルであるとしても、例外をみとめて、同等性のない国の機関を認めることはできない制度となっている。(法第19条の6の4第2項で準用する第16条第2項)-焦点を絞った広報の実施-
国としては申請に必要な各種の情報をホームページに英語で掲載を行っており、誰でもアクセス可能となっている。また、登録申請について申請書の記載方法を指導するなど、個別の相談に応じており、国として講じうる措置は講じていると考えている。ビジネスとして関心を持っている者が必要な情報にアクセスすることは当然のことであり、個別の機関が登録されることによって利益を得るものが行うべきものと考える。オーストラリア政府が登録外国認定機関として認められるよう強力な支援を行ったのも同国に属する機関が登録されることにより、同国産品の輸出拡大という利益が得られるためであり、受益者負担の原則からも、利益を得る者が必要な負担を担うことは当然のことである。なお、2月22日にオーストリアの1機関が登録され、登録外国認定機関は6機関となっている。また、アメリカともほとんど協議は終っている。
1) 所管省は、日本語を用いることは当然であると説明しているが、当然であることをなぜ殊更「日本語で記載するものとする」と要領に明記するのか。これをわざわざ規定したのは何か特別な理由があったのか。あるいは、法律上求められているのか。(5) 議長による総括〔農林水産省からの回答〕2) 日本語で提出するよう要求している資料の標準的なボリュームはどれ位か。
これは、当然のことを当然に書いてあるということ。外国から質問があったので明記した。〔農林水産省からの回答〕3) 三、四十ページの資料の審査に3か月の標準期間が要るというのは民間企業だったら気が遠くなるような、信じられない話。3か月かかること自体問題。国際化時代にこんなことをやっていたら日本の沈没する原因の一つを農水省が作ることになる。
A4サイズで三、四十ページ。4) 日本語を使用するのは当然だから当然のことを書いたという所管省の説明では議論にならない。日本語の使用が強制された戦時中とは時代が違う。
現在の世界の状況は、少なくともビジネスに関しては英語が世界の公用語みたいになりつつあるのだから、こういう審査資料に関する英語の適用を拒否するのが当然であるとは言い得ないと考える。
今は全部英語で受け付けろとは言わないが、英語の記述を、名前だけではなく、内容が記述されている部分についても極力適用範囲を広げるべき。
英語の適用については、法律の規制がないのであるならば、先陣を切って弾力的に取り組むべき。5) WTOの公用語は、英語、フランス語及びスペイン語の3か国語であり、特に英語が中心になっており、全部英語で届ければよいことになっている。日本語で書かなければいけないというこれまでの通念が、このグローバル時代に合っているかどうか極めて疑問である。
〔農林水産省からの回答〕6) (問題提起者に対して)EUは、英文の申請が認められているのか。
例えば特許等他の制度をみても、我が国の場合は、願書は日本語となっており、我が国の他の制度を含めて全体として英語による申請を認めるという流れの中でJAS制度も一緒にやるべきだという議論ならあるかと思うが、JAS制度だけ別にやるというのは、我々(農林水産省)の能力の問題もあるし、制度的にやっていいのかということについても大いに疑問がある。〔問題提起者からの回答〕7) アメリカは、政府よりは民間のしっかりとした機関の方が信用されているという印象がある。今までは、有機農産物についても民間の信用ある機関の認定によって、事が運んでいたはず。
問題提起者はドイツの例しか把握していないが、ドイツでは英語による申請も認められている。
所管省の説明では、本当の有機であるかどうかを消費者に保証するのが大事とのことだが、政府による管理・監督等があるかどうかを基準とするのは、形式論である。この規定は変えないのか。〔農林水産省からの回答〕8) OTOにJASに係わる苦情が来たのはこれで8回目。その内容は共通しており、諸外国から言うと、何でこういうことをされるのか分からない、理解し難いというもの。しかもそれがすっきり解決した例はない。
例えば、オーストラリアの小麦から農薬が出たという案件があったが、この原因究明については、登録認定機関ルートでも勿論調べるが、それと並行して相手国政府を通じて実態解明をしてもらう。そういったことから、ある程度の政府の関与というものは求めざるを得ない。全て政府の機関である必要はないと思うが、政府の関与である程度責任を持ってやる仕組みは必要。
こういった条件は、最低限必要だと考える。まずその国においてしっかりとした制度で管理し、その国の中でもちゃんと有機としての仕事をしているところがプラスアルファとして日本へ持ってくるというのが現実的姿だと考える。
どこの国にも特殊な事情はあるので、ローカルな規制は必要だと思うが、少なくとも国際的に通用する品物に対して壁を立てるようなローカルな規制は、合理的な根拠があってどうしても必要なものに限られるべき。
今回の話も、国内産業保護及び過当競争を防ぐためというなら分からないでもないが、本来、消費者の安全を守って行政コストを引き下げることが目的であるならば、そもそもJASは極力最小限の適用に抑えるべきであって、国際的に通用しているものが日本で通用しないというのは、おかしな話。
日本の個別事情を客観的に立証できるもの以外は、棚上げすべき。9) 消費者の関心は、本当に有機なのかということ。JAS規格と同等制度を持っていなければならないという農林水産省の基本的な出発点が正しいかどうか極めて疑問である。
アメリカとは協議を終えたということであるが、具体的にはどのような状況となっているのか。〔農林水産省からの回答〕10) 国際的な調和、ハーモニゼーションの流れの中で、JAS制度は、定期的にオーバーホールする考えはあるのか。
アメリカを同等制度を有する国として認めるに当たっての条件等について、公文で確認しているところ。アメリカからの返事がなかなか来ず、現在、返事待ちの状況。〔農林水産省からの回答〕11) せっかく世界標準があって、それぞれの標準が合致するのなら、A国で認められた認証機関、認定機関については、B国でも当然受入れられてしかるべきである。どうしてそこまで進まないのか。
JAS法の中にも国際的調和を考えるようにという規定が置かれ、JAS規格は5年間で全部ローリングして洗い直すということを法律上規定している。コーデックスの規定があれば、コーデックスの規定にできるだけ準拠するよう必要な手直しは現に行っている。
有機の基準自体もコーデックスの基準とほとんど同じ。そういった意味でJAS制度が国外製品をブロックするための制度であるという意識は持っていない。実際にも登録外国認定機関から入ってくる有機農産物は結構大きな量であり、国内の有機農家はかなり少ないので、むしろ国外の方に利用されている面が多い制度ではないかと考えている。〔農林水産省からの回答〕12) この国際化の時代において、やはりJAS制度そのものをもっと大きく見直さなければならない。相互認証という部分については、まだ非常に乖離している。JAS制度がスタートした時点では食品別の規格を作るなど消費者保護の機能を発揮したとおもうが、今の国際化時代で、日本の消費者を取り巻く環境も大きく変わってきている。日本の消費者保護と言うのであれば、大きく整合化を図っていくべき。
世界全体がそこまで進歩していないということなのかもしれない。我が国がヨーロッパなど外国に申請する場合も同等性の審査を求められている。もし、世界的に標準的な機関があって、それは各国政府よりも上にありその機関が認定すれば合格ですよという世界的なコンセンサスが日本も含めてとられた折には、そのような事もあり得るかもしれないが、残念ながら現時点ではそこまで成熟していないのが実態。
せっかく登録外国認定機関という制度が新しく導入されたのであるから、これをできるだけ広げよう、つまり、できるだけこの認定機関を増やし、輸入業者や消費者の便宜に適うようにしようとするのが本来取るべき基本的姿勢。いろいろな問題が起きた時に、その観点からアプローチすることが大事である。
特にビジネスの分野で英語が国際的な言語となっていること及びできるだけ認定機関を増やすという観点から、まず英語、できれば他の言語も含めて英語等による登録申請を認めるなど、登録外国認定機関の登録を容易にするための具体的措置を講ずるべきである。
本当に有機であるということを消費者が安心できるような適正な検査・認証が行われているか否かが問題であり、検査・認証の中身が重要。JAS制度と同等制度を有する国という指定が全てのスタートとするのはリジッドに過ぎる。もっと弾力的に考えるべき。
所管省においては、輸入業者等がその希望する機関を登録外国認定機関として円滑に活用できるよう、国際的に信頼性が確立している機関、例えばIOASに登録されている機関については、登録外国認定機関として登録されることが可能となるようJAS法を改正し「JAS制度と同等制度を有する国」という要件を撤廃する等所要の措置を講ずるべきである。
[議題2]家電リサイクル法に基づくリサイクル料金設定への大小区分の導入
(1) 事務局から問題の背景、問題提起内容及び所管省庁の対処方針等について説明
(問題の所在)(2) 問題提起者から提起内容の説明
1) リサイクル料金を設定する際においては、その透明性が確保されているか。また、それは、リサイクル・コストを適正に反映したものとなっているか。
2) リサイクル・システムが、自由競争に反する市場支配的行為や不当な取引制限等によって、海外メーカー等の日本市場参入を排除するものとなっていないか。
1) 日本の「特定家庭用機器再商品化法」(通称:「家電リサイクル法」)第19条によれば、特定家電製品の製造・輸入業者は、本法対象製品の廃棄物の引取りを求めた者(消費者)に対し、リサイクルにかかる料金を請求できるとなっている。(3) 経済産業省から対処方針の説明2) リサイクル料金については、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の各品目毎に一律に決まっており、例えば、冷蔵庫の場合、製品のメーカーや大きさにかかわらず、全て同一金額の4,600円である。
一方、韓国の家電メーカーは、主に小型の低価格製品を生産・販売しており、リサイクル料金として大型・小型を区分せず一律の料金が適用されることとなると、日本の製品に比べ付加価値の低い製品に同額のリサイクル処理コストがつき、これを消費者に転嫁する形となるため、これが結果的に韓国企業の価格競争力を弱めている。3) これに関し、日本の経済産業省は、リサイクル料金は自由競争の原理によりメーカーが自主的に決めるものであり、制度的な介入は難しいと説明しているが、a)日本の大手家電メーカーが、本件対象の家電製品のリサイクル料金を一律横並びに設定しているのは、市場支配力を利用した一種の談合的料金設定に当たると思われ、自由競争に反すると判断される。b)このような料金設定行為は、省エネ型の小型家電製品を製造・販売している韓国メーカー等にとって、マーケットアクセスを妨げる要因として働いている。c)これは、結局、消費者販売価格に転嫁され、公害防止・省エネ・環境改善等家電リサイクル法の本来の目的を害する結果を招くおそれがあるものと思われる。
4) すなわち、製品の大きさを区分せずリサイクル料金を一律に設定することは、自由競争原理の阻害、家電リサイクル法の目的との乖離、消費者負担の拡大等の観点から問題があると思われ、家電リサイクル法第21条に従い、政府が積極的に介入し、指導・是正すべき事案であると考えられる。
5) リサイクル料金に係る制度の趣旨は、自由競争の原理に基づいて各メーカーが自主的に料金を決定するということであり、国の制度的関与は適切ではないと経済産業省は主張するが、現実には自由競争が行われておらず、その現状に問題の本質がある。
現在、リサイクル処理については、A、B2つのグループの選択肢しかないが、この中で有利なところを選んで契約しようとしても、現実にはA、B両グループとも、例えば冷蔵庫は4,600円と、一律に金額が決まっており、結論的には選択の余地がない状況。6) 各韓国メーカーがA、Bグループと契約するに当たって、その4,600円の内訳についての情報公開を求めても、透明性が確保されておらず、十分な情報が得られない状況となっている。
リサイクルの原価がどうなっているのかクリアでなく、経済産業省において公表するなどの措置を講じてほしい。
1) 家電リサイクル法第20条に基づき製造業者等が定める料金(再商品化等料金)は、各製造業者等が、それぞれ個別に定めた額であり、結果として一部の製造業者等を除き同一となっているが、韓国大使館の見解にあるような「市場支配力を利用した一種の談合的料金設定」が行われた経緯はない。(4) 公正取引委員会の発言2) 家電リサイクル法第20条に基づき製造業者等が定め、公表する料金は、各製造業者等がそれぞれ決定することとされており、例えば韓国メーカーが独自の判断で大きさによって異なる料金を設定することも可能。また、リサイクルに必要な業務の委託契約は民間企業同士の契約によるものであり、料金カテゴリーも含め、委託料金は契約により定められることとなる。
なお、平成12年9月に大手製造業者等が現在の再商品化等料金を公表する際には、複雑な料金体系は排出者からの正確な料金徴収が困難という流通団体の意見等を踏まえ、各特定家庭用機器ごとに、大きさによらず同一に設定されたものと聞いている。また、日本国内の企業の中にも、主に小型の家電製品を製造・販売している製造業者等は存在する。
また、法第21条第1項に基づく勧告は、同条同項において「製造業者等が前条第1項の規定により公表した料金が特定家庭用機器廃棄物の再商品化等に必要な行為を能率的に実施した場合における適正な原価を著しく超えているとき、又は製造業者等が特定家庭用機器廃棄物の引き取りに際し、同項の規定により公表した料金以外の額を請求しているとき」に行うものとされており、本件はこの要件に該当せず、主務大臣が勧告をすることはできない。
これらのことから、本件は政府が指導・是正すべき事案ではないと考える。
個別論として独占禁止法上の問題の有る無しは、なかなか言いがたいが、一般論を言えば、単に結果的に料金が同じになっていることだけをもってしては、独占禁止法上問題となるとは言えない。(5) 委員からの主な発言等
しかし、事業者間で料金を決めるというような話し合いがもしあれば、その時点で独占禁止法上の問題が生じると思われる。
1) この家電リサイクル法は初めての試みだから、当然業界団体でいろいろな研究をやっているはず。互いの資料や考え方を議論しないと、リサイクル施設はスタートできない。このような場合に、当事者の意図にかかわらず、結果としては談合行為であったという解釈は取り得るか。(6) 議長による総括〔公正取引委員会からの回答〕2) 家電リサイクルの流れをみると関係者が多数にわたっており、仮に大小で料金に格差を設けたとしても、非常に小さな差にしかならないという気がするがいかがか。
具体的な事実に接しているわけではないので、今の情報だけで判断することはできない。独占禁止法上の不当な取引制限と呼ばれているものは、事業者間で共通の意思が設けられたかどうかが最大の眼目となる。仮にその様な共通意思の形成がメーカー間で行われていなければ、単に料金が同じになったからといって、すぐに独占禁止法上問題が生ずるものではないというのが、一般的なお答えになる。
当初、大小料金差の話を聞いた際には、3分の2、1位の料金差が出るかなという印象を受けていたが、リサイクルの流れをみると、固定費というものが相当かかるのではないかと思う。差を設けても数百円の差に止まる気がするがいかがか。〔問題提起者からの回答〕3) リサイクル施設を事業者が共同して動かすシステムは、アメリカ、ドイツ等の外国でも結構あると思うが、どのような状況か。
運搬費、工場での処理コストは大型の方が高いが、一方、処理後の「有価物」についても大型の方が高い価値を有するので、トータルすればそれ程変わらないという説明を聞いている。
しかし、これはシミュレーションの段階での話であり、この段階で本当のコストは出ていないので、実際はこの1年間の結果に基づいて話し合わないといけないと思う。4) 本当に日本への新規参入の制限になっているのかということについて考えると、例えば23万円という高い冷蔵庫と1万円という安い冷蔵庫があったとしても、その価格差というものは残る。リサイクル料金が同一だから格差がないわけではない。確かに同じリサイクル料金がプラスアルファされるから、相対的な比率で考えているのかもしれないが、それでも、元々の23万円対1万円という価格差が減るわけではない。そういう意味では、外国からの新規参入業者に対して市場に入ってくるのを阻止する制度とまでは言えないのではないか。
次に、料金の設定の仕方についてみると、結局、大型と小型で本当にコスト差がどれ位あるかというのが争点。大きく差があるなら、ある程度差をつけるべきで、あまり差がないなら、原価上、制度運用としてある程度統一的な料金となっていても止むを得ないと思う。
そこで、経済産業省への質問として、a)現行のリサイクル料金について、問題があるのかないのか、どの程度の枠内におさまっていれば妥当なのか調査したことがあるのか、b)不当な料金を設定した場合には、規制できる制度になっているわけだが、今後、ある程度実績が蓄積した後に、大型、小型で原価がどうなっていて、これについて差をつけるべきか否かについて、調査する気はあるのか。5) 自由経済であれば、今やリサイクルが必要。リサイクルに幾らかかるかを前提に物を売るべき。その観点について問題提起者はどのように考えているのかお聞きしたい。
一方、経済産業省に対しての質問は、本当に自由にできるならいいが、やはりリサイクルをある程度強制するなら、行政の取組みについてどのように考えているのか。また、統一的な価格となっている理由として、販売店が消費者も混乱するというのがあったが、その様なことは消費者に聞けばよいのであって、販売店がその様なことを言っているのはおかしい。6) リサイクル・コストの実状を知りたい。例えば、冷蔵庫についてリサイクル処理工場が要する費用は幾らなのか。
EUでは拡大生産者責任の体制となっているが、我が国の場合、検討段階での産業界からの強い反対により、現在の制度となったと思うが、今後の見通しについて経済産業省は、どのように考えているのか。7) 統一的料金になっていることについて、販売業者による消費者にとって分かり難いという主張を素直に受けるというのは、信じられない。
世の中には、大きさ別になっているものが多く存在し、かえって、大小区分があった方が消費者は混乱しないはず。
業者は、管理が嫌だからそのようなことを言っているとしか聞こえない。どのような分析をしたのか。8) いわゆる家電製品は、関税条項の対象となっており、関税条項を無効化するような構造は、国際法違反になる。家電リサイクル法自体は見たところ関税条項を無効化しているとは読めないが、運営次第ではそういうこともあり得る。
国内的な立場だけでなく、国際問題になったらどうなるか、特に韓国はWTO加盟国ですから、その点も考えるべき。9) どうも不透明であるが、正にデータがないと議論が進まない。今日は、時期尚早である。データ不足との感じを強く受ける。
10) 確かに、最初は見積もり価格を基にして原価をみていたということは仕方がないと思う。
今後の問題として、a)施行からある程度経過してデータが集まった後、そのデータに基づいて、現在設定されている料金が適正料金に対してどの程度のものとなっているか公表することは可能か、また、b)もう少し細かな数値のものを事務局等へ提出することは可能か。-これまでの質問に対して-〔問題提起者からの回答〕
1) 実際には一律料金ではなく、多少差があるという話があったが、私が知る限りでは、実際、処理工場に渡される冷蔵庫の金額は一律4,600円と理解している。それは、Aグループ、Bグループとも同じ。
指定法人については、5,590円となっているが、これは、運搬費用が余計にかかるからと聞いている。
Aグループ、Bグループが自分の判断との差が大きい場合は、指定法人のところへ持っていくことができる仕組みだという説明だが、指定法人は、規模の小さい企業を念頭に置いた制度であって、ある程度以上の販売額、輸入額があると、結果論としては、AグループかBグループという選択しかない。2) リサイクル処理の結果出てくる有価物も考慮すると大小区分でそれほど価格の差はないとの説明があったが、実際の具体的な料金の内訳が示されず、業者としては納得できない状況。抽象的な説明だけでは納得できない。業者が料金の内訳、算定根拠を聞いても明らかにしてもらえない。透明性を確保すべき。
内訳に関して、国が調査するというのも一つの方法だと思うし、結果としては、輸入業者等にその内訳を透明にして提供しないと、それに基づく独自の自主的判断はなかなか難しい。
また、市場原理といっても、実際にはA、B2グループしかない場合に市場原理を通すというのは限界がある。
このような状況だからこそ、ある程度国が指導を行い、実質的な競争原理に合わない部分がないように、そして、透明性が保てるようにしてほしいというのが私どもの要望である。3) 極端に言えば、輸入業者等が販売戦略として、リサイクル料金は業者が全部負担するというのも販売戦略としては検討の可能性があると思う。
その場合、戦略としてそれを決定するには、Aではいくら、Bではいくら、自社で独自に行った場合はいくらというように、料金内訳を基に比較ができないと意思決定はできない。〔経済産業省からの回答〕
1) 家電リサイクルについては、日本が世界の先頭グループを走っている状況。アメリカ、ドイツ等はまだ行われていない。日本に先行して実施しているのはオランダ、ベルギー等の国。
オランダ、ベルギーでは、リサイクル料金を製品の販売価格に上乗せし、業界に一つの統一的な仕組みを作らせて、事実上、料金についても公共料金と同様に認可するという形をとっている。ただ、これについては、賛否両論あり、現在EU諸国全体をまとめたEU指令という形でリサイクルを行えないか、その場合、オランダ、ベルギーとは別の仕組みを採用すべきではないかという議論も出ている。2) 原価については、二つに分けて議論しないと混乱すると思う。
一つは、各メーカーがリサイクル料金として消費者に対して幾らの料金負担をお願いするかという問題であり、もう一つは、そのメーカーがリサイクルを行うのに、共同で処理システムをつくる場合に、コスト面をどのように考えるかという問題である。
第一の問題については、各企業が独自に判断しなければならないと理解しているし、そのように行われていると考えている。例えば、大小で区分を設けるとか、あるいは、他社よりも販売戦略上安く設定することも法律上何ら差し支えない。
第二の問題については、実態面として、収集運搬、リサイクル処理を各企業共同で行って効率化を図るという動きが、これは日本に限らずEUでも同じような動きが起きてくると思う。
日本の場合も、どの程度の工場を建設するか等の経営判断が分かれた結果として、A、B2つのグループに分かれて投資が行われたというのが実情だと思う。
消費者にチャージするお金については、法第20条でメーカーに公表義務が課せられており、また、このリサイクル料金は、リサイクルに必要な行為を能率的に実施した場合における適正な原価を上回るものであってはならないことになっており、経済産業省としては、この法律が施行される前にこの適正な原価を上回ることがない状況であることは確認しているが、ただ何分、制度施行以前の話であり、今年の3月で1年となる。
当然、その施行状況に基づいて、実績その他が出てくると思っており、その事由についても、引き続き見てまいりたい。3) 消費者の混乱については、議論の一環としてそういう声もあったということを紹介させて頂いた次第であり、経済産業省として販売店の声が適正であるという判断をしているわけでは必ずしもない。
4) 拡大生産者責任については、OECDでも議論してきているが、基本的には拡大生産者責任とは、必ずしも消費者の負担をゼロにすることを意味するのではなく、メーカーが自身が作った製品について、そのリサイクルの責任を負う、その責任の果たし方については、各製品やマーケットの実情に応じて決められるべきという考え方と承知している。
この拡大生産者責任と対をなす概念として、排出者責任というものがある。これは、昨今の自治体の粗大ゴミが有料化されていることからも分かるように、その製品によって便益を受けた者は応分の負担をすべきというものと理解している。
家電リサイクルについても、メーカー、消費者、販売店が協力して、回収ルートをつくるということ、そして自らが製造、輸入した機器については、その製造者又は輸入者がリサイクル義務を負うという形で、拡大生産者責任の考え方に基づいた仕組みになっていると考えている。5) この家電リサイクルの仕組みについて、所管官庁としての管理責任があるのではないかとの点につきましては、法に基づいて、私どもが行うべきとされていることについては、責任を持って行わなければならないと考えている。
6) まだ施行初年度であり、いろいろな点が初めてのことで、私どものみならず、関係者皆が分からない部分が沢山あるという状況である。この施行を進めていく過程においては、特に消費者の理解がなければこの仕組みは回らないので、消費者の理解を得るという観点からも、その施行状況の公表に努めてまいりたい。
7) 各メーカーが定めるリサイクル料金については、法第20条第2項において、リサイクルに必要な行為を能率的に実施した場合における適正な原価を上回るものであってはならないと規定されており、私どもは、所管官庁としてこれを確認する法律上の義務があると考えている。したがって、状況に応じて、実績に基づいて確認をしていくつもりでいる。
提出については、どのようなデータが提出可能か、実際にやってみた結果に応じて考えなければならないと思うが、必要に応じ協力していきたい。
なお、リサイクル業者と各メーカーとの契約関係については、民間企業同士の契約であって、私どもが法律上タッチできることにはなっていない。
この問題は、施行後まだ1年であり、情勢はこれからも大きく変わっていく。製品も今後更に多様化するであろうし、企業努力により料金体系も変わっていくであろう。また、リサイクルについてのインフラやコストもこれから変わっていくはず。
経済産業省と問題提起者の両者においては、今後の情勢変化を見続けていかなければならない問題であることを認識して頂きたい。
特に、経済産業省は、適正なリサイクル料金について、所管官庁として絶えず見ていかなくてはならない。法律には、適正な原価という概念が導入されており、経済産業省としては、それを自分で判断する権限が与えられているわけだから、この価格形成に関して、これを民間同士の話として投げられるものではない。
一番重要なのは、リサイクル・コストの変化を絶えずできるだけ正確に把握することと、判断の基礎となる数字について透明性を確保することである。
経済産業省としては、今後もこのコストの問題について、絶えず調査を続け、その結果について透明性を確保するべきである。
問題提起者は、現在の料金決定が、自由な料金決定に対する不当な制限行為が行われているのであれば、その問題について、十分な背景資料をもって、公正取引委員会と相談しなければならない。そのようなことなしに、ただおかしいと言っているだけでは、納得は得られない。もっと直接公正取引委員会と話をすべき。
一方、公正取引委員会は、十分相談に乗るべき。
本日の議題について、事務局は、所管省等と調整し、できるだけ具体的な内容を盛り込んだ報告書の原案を作成し報告すること。その上で必要に応じ更なる検討を加えることとしたい。
[議題3] 個別に順次審議すべきとされたもの以外の案件の検討状況
(1) 事務局から説明
個別に順次審議すべきとされた案件以外の案件について、事務局から問題提起内容、所管省の対処方針、その後の状況等について説明。(2) 議長発言(総括)
2 紡績用洗い上げ獣毛輸入時のくん蒸について
5 乳幼児用肌着に含まれるホルムアルデヒドに関する規制の緩和
6 グルタルアルデヒドの変異原性試験方法の国際的整合化
9 構造用集成材のJAS規格格付申請に係る輸出国の試験データの受入れ
10 外国製木製防火戸の輸入促進
11 輸入品返品による関税・消費税の払戻し手続の簡素化
12 コーヒーメーカー用ジャグの関税分類の見直し
13 関税法等改正に係る法施行の事前周知について
14 のりの輸入割当申請手続の簡素・合理化
15 自動車用カーペットの輸入関税率の適正化
37 検疫有害動植物に係る日本の非検疫有害動植物リスト化方策について
問題提起された案件について、1月の推進会議以降、問題提起者の理解、納得を得られた案件があることは評価すべきことと思う。6 その他
一方で、問題提起者の納得を得られていないものもみられる。各々適切に対応していく必要があると考える。
また、先ほど事務局から説明があった個別審議以外の案件の検討状況について、追加意見のある方は、事務局に申し出て欲しい。
事務局及び所管省庁においては、更なる改善等の検討も含めて、引き続き対応を進めていただいた上で、これらの案件について報告書に取りまとめてまいりたい。
次回の専門家会議の日程について事務局から説明。