平成15年度第4回OTO専門家会議議事要旨


1 日時 平成16年3月2日(火)15:00〜17:30

2 場所 内閣府共用第4特別会議室(406号室)

3 出席者

(OTO推進会議)
大河原推進会議議長、北岡委員、黒田委員(議長(議題3、4))、谷村委員(議長(議題1、2))、眞木委員、松下委員、朴委員、金森委員、兼重委員、高瀬委員、本田委員、宮智委員

(問題提起者等)
議題1:在日米国商工会議所 ジョンソン理事 他
議題4:在日米国大使館 レトール上席商務官、玉田商務専門官 他

(所管省庁)
議題1:財務省関税局総務課 振角課長 他
議題2:財務省関税局業務課 塚越課長 他
議題3:財務省関税局業務課 塚越課長
     厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課検疫所業務管理室関谷室長
     農林水産省消費・安全局衛生管理課国際衛生対策室 釘田室長
     農林水産省消費・安全局植物防疫課検疫対策室 大村室長
議題4:国土交通省自動車交通局技術安全部技術企画課国際業務室 和迩室長

(その他)
議題1:独立行政法人通関情報処理センター 平田理事 他

(OTO事務局)
加藤大臣官房審議官、渡辺企画官、岩田参事官補佐

4 議題

(1) 「NACCSの利用料金の低廉化(平成13年度問題提起プロセス)」
    「Air-NACCSの料金体系の見直し(OTO案件の総点検)」
   (対策本部決定の検証)
(2) 「輸入手続の簡素化・迅速化(OTO案件の総点検)」(対策本部決定の検証)
(3) 「通関・検疫業務の24時間、365日営業の実現(OTO案件の総点検)」(対策本部決定の検証)
(4) 「けん引自動車及び被けん引自動車に係る車検制度の改正等(OTO案件の総点検)」(対策本部決定の検証)

5 審議の概要

議題1 「NACCSの利用料金の低廉化(平成13年度問題提起プロセス)」
     「Air-NACCSの料金体系の見直し(OTO案件の総点検)」
     (対策本部決定の検証)

(1) 事務局から対策本部決定に至る経緯等について説明

1) 本件で提起された課題は、NACCSの総経費を削減することなどを通じて利用料金の低廉化を図るべき、というもの。

2) 推進会議では、総経費の削減に取り組み、その成果を利用料金に反映させること、平成16年9月までに料金体系を見直し、そのために第三者機関を設置すること等を求めた意見をまとめ、これを受けて対策本部決定がなされた。
(2) 所管省庁から対策本部決定への対応状況の説明
[財務省(通関情報処理センター)]
 
1) 利用料金の透明性を高めるという点については、従来からいわゆるパブリックコメントを実施し、算定根拠、理由等の情報を提供するなど、情報公開を通じた利用料金の透明性の向上に努めてきた。

2) 業務の効率化、適正化については、独立行政法人化に伴って作成された中期計画において、組織の再編や、職員数並びに一般管理費及び業務経費の削減に係る数値目標を設定しているほか、次期システムの調達に当たっては、競争入札の範囲の積極的な拡大を行うこと等により、経費の削減を図ることとしている。

3) 平成14年4月に、パブリックコメント等必要な手続を経て、主要業務の料金の大幅な値下げを実施。

4) Air-NACCSの利用料金のあり方について、審査等を行うため、有識者及び利用者による「Air-NACCS利用料金検討会議」を設置。オブザーバーも参加し、議事録をホームページで公表する等中立性、透明性の確保に努めている。

5) 問題提起者等からは、特定の民間企業に8年間という長期の契約でシステムの開発・運用を任せていることについての問題が指摘されているが、次期システムについては、外部専門家の意見を聴取する等、既存のシステムにとらわれることなく、幅広く検討を行うとともに、競争入札の範囲の積極的な拡大等により、経費の削減を図ることとしている。

6) 問題提起者等からは、官民の負担比率についての問題が指摘されているが、官と民の利用者のそれぞれの受益割合に応じて、それぞれの利用者が利用料金を負担しており、国の負担割合を増やし、民間利用者の利用料金を引き下げることは、利用者負担の原則を根底から覆すことになるため適切ではない。
(3) 所管省対応に対する問題提起者等意見
[在日米国商工会議所]

1) Air-NACCSの利用料金については、現在、Air-NACCS利用料金検討会議で検討が進められているところであり、重要な段階にある。仮に、右会議で有為な提案がなされるに至らなかった場合は、失望することになる。

2) 特定の民間企業に8年間という長期の契約でシステムの開発・運用を任せていることが問題であり、再契約交渉を通じ経費削減を図るべき。

3) ACCJビューポイントという意見書においても述べているところであるが、NACCSは通関手続を円滑にすることを目的としており、国の徴税手続の一環でもあるから、基本的なインフラとして、主に国が負担すべき性格のものと考える。
(4) 委員からの主な発言等
1) センター役員の給与総額はインターネットで公表されており、理事長と常勤役員が給与総額の90%を得ると仮定すると平均1,800万円となり、職員の平均は799万円であり、一般水準と比較して決して低い水準ではない。人件費は元々高いのであるからこれを13%削減したとしても直ちに評価できるものでもない。こうした人件費の削減に厳しい姿勢を示さないと対外的に迫力が出ない。
(財務省(通関情報処理センター))職員の給与については、税関や民間から実務経験を有する即戦力になる方に出向してもらっていることを背景とした金額となっている。
2) 大口割引については、第2回Air-NACCS利用料金検討会議の資料において、通関情報処理センターの考え方として、「大口割引という営業政策は、いろいろな目的の手段として有効と判断される場合に、それぞれの企業の計算と責任において実施されるものであり、同じ論理でNACCSもやるべきだと言われても困る」としているが、例えば、銀行では大口預金者への利子優遇や手数料割引などが一般的である。大口客の方が経費率が低いのであるから、当然還元するというのが常識的な考え方であり、大口割引を行わないという通関情報処理センターの考えは世間の常識に合わないのではないか。
(財務省(通関情報処理センター))先の考え方は、平成13年に利用者の代表を集めて議論(次期航空システム利用料金に関する検討会議)した際に、「大口割引等の導入は公平の観点から認められないが、激変緩和として3年間の時限措置を入れる」ことで構成員が合意したという経緯があり、これを再度引用したものである。利用料金については、まさに第三者機関で審議しているところであるため、その検討を見守るべきと考えている。

(問題提起者(在日米国商工会議所))平成13年の会議には、当商工会議所も参加したが、政府関連の組織が行う公式な会合においては、自由な議論が出来づらい雰囲気もあり、その検討結果に余りに重きを置くのはいかがかとも思う。
3) 職員の給与に関しての先程の説明は理解できない。これから経費を削減してコストを下げようというとき、普通ならばモラルの問題として、給与水準についても当然考えるべきことである。また、大口割引については、公平を期すためにできない、とのことであるが、大口利用者は経費率が低いのだからその分を返すのが公平だという考え方もあることを指摘しておきたい。

4) システムについて8年間の契約というのは、非常に長期ではないか。また、財務省(通関情報処理センター)は次期システムに関して競争入札の範囲を積極的に拡大するとしているが、これは現在の契約の反省に基づいたものなのか。
(財務省(通関情報処理センター))民間企業であれば当初の開発費などもまとめて支払い、自分の資産とすることができるが、センターではそういうことができないため、国のシステムに準じた形で、特定の民間企業にハード、ソフトとも全て作っていただき、いわばリース契約でシステムライフ期間の8年間で延払いするという契約形態をとっている。次期システムについては、反省ということではなく、こうした面も含めて、どうするか考えることとしている。
5) データ通信の分野の進歩は非常に早いためにシステムはすぐ陳腐化し、競争力がなくなってしまう。次の見直しの際には2、3年のスパンで考えるべきである。
(5) 議長による総括等
1) 平成13年度の問題提起を経て、平成14年度の総点検作業において再度課題が提起された本件は、NACCSの利用料金の低廉化を実現するための措置としていくつかの対応を求めたものであった。

2) 今回検証の結果、財務省から、NACCSの運営・管理を行う通関情報処理センターの中期計画において経費削減に係る数値目標を設定している等、利用料金の低廉化に向けた取り組みに関する報告があった。

3) また、Air-NACCSの利用料金に関する第三者機関として、Air-NACCS利用料金検討会議を設置し、検討を進めているとのことであり、財務省は、概ね対策本部決定の方針に沿った対応を行っていることが確認できた。

4) 他方、検証に際して問題提起者等からは、経費の削減や利用料金引き下げのための方策に係る要望が表明された。

5) 財務省には、問題提起者等の要望、ならびに関連する委員からの意見について検討するとともに、本会議での検証に際しての議論を検討会議に報告の上、引き続き対策本部決定の実施のための適切な対応に努めること、ならびに利用料金に関する最終的な検討結果等について、適宜事務局を通じて推進会議に報告することを求める。

議題2 「輸入手続の簡素化・迅速化(OTO案件の総点検)」(対策本部決定の検証)

(1) 事務局から対策本部決定に至る経緯等について説明
1) 本件は、我が国における物流面の効率化を促し、時間的、経済的コストを削減するためには、輸入手続の簡素化・迅速化を図ることが重要であるとして、簡易申告制度の改善ならびにワンストップサービス(シングルウィンドウ化)の推進を求めたものであった。 
  
2) 推進会議では、簡易申告制度の継続的輸入要件の見直し、ならびにシングルウィンドウ・システムの早期供用開始を行うべき、また、同システムの供用開始後も利用者の視点から検討を行うべきとした意見をまとめ、これを受けて対策本部決定がなされた。
(2) 所管省庁から対策本部決定への対応状況の説明
[財務省]
 
1) 簡易申告制度の改善については、「直近1年間に24回以上輸入許可を受けた貨物」から「直近1年間に6回以上」に見直し、平成15年4月から施行。

2) シングルウィンドウ化については、平成15年7月に実現しているところ、今後も引き続き利用者の意見を踏まえ、より利便性の高いものにしていきたい。
(3) 委員からの主な発言等
1) ワンストップサービス(シングルウィンドウ化)の推進について、1965年にFAL条約(国際海上交通の簡易化に関する条約)が採択され、以来世界90数か国が締結しているのに日本がしていないのは何か事情があるのか。問題がないのなら早く批准してはどうか。
(財務省)外務省を中心に締結のための検討を進めているところであるが、加盟の遅れについては、どの省庁からも早期批准の要望がなかったからと聞いている。例えばe-Japan2003等により早期に締結するようにとの指示を受けており、外務省、国土交通省等とともに締結に向けて作業を進めているところである。
2) 同条約に加盟することでシングルウィンドウに何か変化があるのか。加盟国は紙1枚で済むところが、日本はシングルウィンドウ化で窓口はひとつになっても、紙は何枚にも分かれているという話を聞いている。
(財務省)電算システムとしてのシングルウィンドウというのは、港湾手続を電子上の手続として1回の入力・送信で終了できるようにしたもので、FAL条約とは別のものであるが、他方、同条約締結に向けた議論の過程で、業務の手続の簡素化、適正化と取り組むことになるため、結果としてシングルウィンドウに反映することができるよう取り組みたい。
3) 同条約締結が40年間も放置されていたのは驚きであり、一日も早い締結を望みたい。

4) 現在のシングルウィンドウというのは、各省庁のシステムをつないだだけという話を聞いている。ワンストップサービスの目的というのは手続を簡素化し、時間的にも費用的にも安く仕上げるというのが目標であり、重複業務の配慮や申請書類の簡素化をやっていただき、効率化を実施していただきたい。
(4) 議長による総括等
1) 本件は、平成14年度の総点検作業において、輸入手続の簡素化、迅速化のための措置として簡易申告制度の改善、ならびにワンストップサービスの推進を求めたものであった。

2) 今回検証の結果、平成15年度関税改正において簡易申告制度の継続的輸入要件が見直され、また、平成15年7月にはシングルウィンドウ化が実現するなど、対策本部決定が着実に実施に移されていることが確認された。

3) 財務省には、引き続き対策本部決定の方針に沿って、さらなる輸入手続の簡素化、迅速化につながるよう、今後とも利用者の利便性の観点から重複業務見直し等輸入・港湾関連手続の見直しに積極的に取り組むことを期待する。また、既存システムの相互接続にとどまらず、関係省庁が連携して速やかにワンストップサービスの一層の推進が図られることを期待する。

4) なお、検証に際して指摘のあったFAL条約の締結をめぐる問題については、できる限り早期に対応がなされることを期待する。

議題3 「通関・検疫業務の24時間、365日営業の実現(OTO案件の総点検)」
     (対策本部決定の検証)

(1) 事務局から対策本部決定に至る経緯等について説明
1) 本件で提起された課題は、税関の執務時間の延長並びに時間外手数料の廃止を求めるとともに、検疫業務も併せて24時間、365日体制を整備すべきというもの。

2) 推進会議では、通関・検疫業務の24時間、365日体制に向けて業務の外部化やIT化などの取り組みを進めるべき、また執務時間外手数料については撤廃も含め、軽減を検討すべき、との意見をまとめ、これを受けて対策本部決定がなされた。

3) 問題提起者等からは、各所管省の対応を評価する旨の御意見とともに、24時間・365日体制の実現、ならびに、税関の執務時間外の手数料の減額・撤廃に向けて取組みを推進して欲しい旨の要望をいただいている。
(2) 所管省庁から対策本部決定への対応状況の説明
[財務省]
 
1) 平成15年7月より、全国の主要港湾を含む14官署において、執務時間外の通関需要がある官署において一定の時間帯に職員を常時配置する税関の執務時間外における通関体制の本格実施を行った。

2) IT化の一層の促進については、議題2で回答のとおり、平成15年7月からシングルウィンドウ化を実施。

3) 執務時間外の手数料については、平成16年度の手数料改定において、従来の7,800円から4,100円に引き下げることとしており、これにより経済改革特別区域においては2,050円になる。

[厚生労働省]
 
1) 平成15年7月より各食品等輸入届の手続を行う窓口において、執務時間外連絡窓口を設置し、要望に対し適宜対応する体制をとった。また、実際に貨物が到着する7日前から食品等の輸入届出を受け付ける事前届出制度については、平成15年の速報値ですが、輸入届出件数約170万件中60万件弱が活用。24時間化という点については、今後とも、予算要求や定員要求等を通じて体制の充実を図っていきたい。

2) 業務の外部化等については、輸入食品の命令検査に係る部分については、従来公益法人に限定されていたところを撤廃し、民間の参入を可能とし、検疫所が実施しているモニタリング検査の試験事務についても、登録検査機関に委託できるとする改正を行った。

[農林水産省]
 
1) 動物検疫、植物検疫とも、従来から事前に要請があった場合には執務時間外であっても検疫業務を実施している。なお、恒常的に延長要望のあるところについては、平成16年10月までには税関と同様の執務時間の延長を実施することとしている。

2) 業務の外部化、IT化の促進については、検査手続きシステム管理等の事務については、民間委託を進めてきており、平成9年度からはオンライン化するとともに、税関手続、食品衛生システムと連動させワンストップを実現するとともに、平成15年7月からはシングルウィンドウ化を実現している。

3) 動物検疫、植物検疫とも、検査手数料は徴収していない。
(3) 委員からの主な発言等
1) 臨時開庁手数料(執務時間外の手数料)については、平成16年度の手数料改定等において、引き下げを行ったとのことであるが、これは、政府が大きな方針を立てれば可能になるもの、ということか。
(財務省)政府全体で3、4年ごとに手数料見直しを行っており、電子化の推進等業務の効率化を配慮して今回4,100円という形となったもの。特区の部分については政策的なものと整理できる。
2) 通関・検疫業務の24時間、365日化を進めるに当たり、国の側の負担はどれほど増えているか。
(財務省)本格実施を行った平成15年7月から12月までの期間で比較すると、執務時間外の輸出入の申告件数が前年比で1.7倍に増加している。

(厚生労働省)主要港6か所で6名増員したほか、輸入食品監視支援システムの更改費用で約2億円を計上した。

(農林水産省)植物検疫で837名定員のところ7名、動物検疫で299名定員のところ7名増員。
3) 食品衛生監視員の数が10年前に比べると62パーセント増となっている一方、輸入食品の検査率は半分に落ちていると聞いている。国民の食品に対する不安感がいろいろある中で、今説明のあった人員の増員は行政要求に照らし、適正なものなのか。
(厚生労働省)通関・検疫業務の24時間、365日化対応で6名増員とは、確かに少ないかもしれないが、少しでも開庁時間の延長を図っていきたいとしているところである。行政需要に見合った適正な人員の数というのは出していないが、輸入食品を届出あるいはモニタリング検査を行うために留め置くということがないような体制はとれているものと考えている。
4) 定員要求等を行う場合は、通関も検疫も同じだと思うが、フルオープンするために大体どれくらいの状況が必要なのかという見通しをはっきりさせ、より具体的な説得力ある形で行った方が、財政当局の理解や国民の支援を得られるのではないか。

5) 意見としての要望は24時間オープン化であるが、コストと便利性という問題で、コストに見合ったものであるのか教えて頂きたい。
(財務省)平成15年7月の本格実施以降の申告状況をみると、平日と土曜日の件数が伸びてきた一方、日曜日に関しては非常に少ないという状況。適切に需要に対応することが重要だと考えており、貨物の流れを見つつ、対応していきたい。

(厚生労働省)時間外連絡窓口では、平日17時から21時、休日8時半から17時の間に、届け出をしたいという連絡を受け付けるが、実際何時に手続を行うかについてはその都度適宜対応している。

(農林水産省)例えば植物検疫でみると、執務時間外については、平成15年は4,200件ほどの需要があり、これらは事前に連絡をもらい対応してきているところであるが、今後もその推移を見つつ、十分な対応をしていきたい
(4) 議長による総括等
1) 本件は、平成14年度の総点検作業において、通関・検疫業務の24時間、365日営業の実現に向けて、各所管省にいくつかの対応を求めたものであった。

2) 今回検証の結果、各所管省からは、執務時間外の対応や業務の効率化・省力化に向けた取り組み等に関する報告があり、概ね対策本部決定の方針に沿った対応が行われていることが確認できた。

3) 各所管省には、問題提起者等から寄せられた意見も参考としつつ、引き続き対策本部決定に従い、通関・検疫業務の24時間、365日の実施の実現に向けて取り組むことが求められる。

4) その際、各所管省には、本当の意味での24時間、365日の実施の実現のために必要となる適切な人員や費用について、具体的に検討すべきとの本会議における指摘を十分踏まえることを期待する。

5) さらに関連して、「輸入手続の簡素化・迅速化」の検証作業においても指摘があったFAL条約をめぐる問題については、関係省庁が十分連携して早期締結に向けた取り組みを進めることを期待する。

議題4 「けん引自動車及び被けん引自動車に係る車検制度の改正等(OTO案件の総点検)」
     (対策本部決定の検証)

(1) 事務局から対策本部決定に至る経緯等について説明
1) 本件で提起された課題は、当時の車検制度ではけん引できる自動車があらかじめ個別に車検証に記載された車名、型式の自動車に限定されているため、輸入キャンプ用トレーラの普及を阻害しているというもの。

2) 推進会議では、 けん引自動車及び被けん引自動車に係る車検制度の改正について、遅くとも平成15年度中に確実に実施すべきとの意見をまとめ、これを受けて対策本部決定がなされた。

3) 事務局から事前に国土交通省並びに問題提起者等に対し、対策本部決定の対応状況、所管省対応状況に対する意見照会を行った。問題提起者等意見では、所管省対応状況に対する評価とともに、もともとの問題提起の趣旨に基づき、さらなる制度改正への要望をいただいている。
(2) 所管省庁から対策本部決定への対応状況の説明
[国土交通省]
 
1) キャンピングトレーラ等をけん引する自動車の自動車検査証に、当該自動車がけん引可能な重量の上限を記載し、キャンピングトレーラ等の自動車検査証に当該自動車の車名・型式が記載されていなくても運行できるよう、現在、省令改正等必要な手続を行っているところであり、年度末までに対応する予定。

2) 問題提起者等からの意見については、「キャンピングトレーラの登録時手続簡素化に関する検討会」の結論に基づき改正案を作成していること、また、けん引できるキャンピングトレーラ等の重量を自動車検査証に記載することは運行上の要件として必要である旨回答した。自動車検査証の記載は書類のみの記載申請であり、自動車取得の際に同時に行えば、追加の手続を要するものではない。けん引できるキャンピングトレーラ等の重量の算出については、簡易に計算できる方法を提示する予定。このため、手続がユーザーに過度の負担を課すものではないと考えているが、キャンピングトレーラがある程度普及した段階で、さらなる簡素化策の提案があれば検討を行う。
(3) 所管省対応に対する問題提起者等意見
[在日米国大使館]

1) OTO推進会議委員、政府の皆様に対し、けん引自動車及びレクリエーション用トレーラの車検制度にかかる法律規則の改正を検討していただき、アメリカ大使館を代表して御礼を申し上げたい。改正を心から歓迎する。

2) しかし、今回の改定では、まだ利用者は自動車のけん引能力を算定しなくてはならず、非常に手間がかかる。アメリカでは、このような要件は課されない。米国政府は日本国政府に対してさらなる規制緩和の検討をお願いしたい。日本において、トレーラを使う人の増加が期待されている。

3) 大使館が本件に関して平成11年にOTOに問題提起をしてから4年以上が経過し、専門家会議が提言をしてから3年以上が経過している。向こう12カ月以内にさらなる規制緩和が見られることを期待する。

[問題提起者]

1) 今回の改正は、キャンピングトレーラの普及、ひいては輸入促進のための追い風になると期待しているので、一日も早く実施していただきたい。1年前、国土交通省から、メーカーは最終結論として、国内ではけん引可能重量は公表しないとの決定をしたことを伺った。そのため国土交通省は方向性を転換し、けん引可能重量は自動車メーカーから切り離して考え、自動車の性能をもとに現行法規の範囲内でけん引可能重量を算出し、けん引自動車の車検証に記載するという新しい具体案が示された。私どもとしても、けん引可能重量の公表に対し自動車メーカーが消極的だったので、むしろ客観的な数字が出せてその方が良いのではと考え、この案を受け入れて現在に至っている。けん引可能重量を車検証に登録すれば、トレーラのレンタルや友人間での交換が容易にできるようになり、非常に望ましい姿となるであろう。

2) しかし、今回の改正でも、専門的な連結検討の計算や、登録事務所での登録手続きは必要であり、ユーザーにとっては負担である。「けん引可能なキャンピングトレーラ等の重量」は、自動車の諸元値から導き出されるものなので、車名・型式ごとの「けん引可能なキャンピングトレーラ等の重量」数値の一覧表を作成することは容易にできる。そこで、今回の改正案を発展させたさらなる簡素化の要望として、このような一覧表を公表し、これに基づくけん引車とキャンピングトレーラ等の組み合わせならば、連結登録を不要とするという方法を提案する。今回の改正の実施状況を見ながら、約1年以内に更なる改正を検討いただきたい。
(4) 委員からの主な発言等
1) 問題提起者等意見に対する国土交通省の回答をみると、日本においては欧米のようにキャンピングトレーラをけん引する文化が十分根付いているとはいえないため、面倒な手続を必要とすると読める。しかし、面倒な手続があるから市場が小さく、新しい消費文化が根付かないと考えるのが普通のロジックである。文化が十分に根付いていないから手続が必要だという論法には納得できない。
(国土交通省)この記述は、「キャンピングトレーラ登録時手続簡素化に関する検討会」の中でとられている表現であり、引用に過ぎない。我々の立場で言っているわけではない。
2) ある機関がユーザーに対し、一覧表を提供するのは違法ではないと思う。それが簡単にできるのであれば、国土交通省の苦心と苦情申立者の要望はかなり近づいており、違法でなければ、本日、深刻な問題として取り扱う必要はないのではないか。
(国土交通省)ユーザー以外による計算、あるいは計算結果の公表は全く問題がないし、ユーザーの利便に資するのは大変結構なことである。記載事項の変更申請も、第三者に委託することが可能。大切なのは、けん引可能な最大重量を検査証に記載し、それを車両に備えつけること。

(問題提起者)国土交通省が今回の改正を行うという結論を出したことは大変評価しているが、今回の我々の提案は、このような簡単な方法もできるのではないかという、もう一歩踏み込んだ提案である。本日、提案する理由は、会議が終了すると、後々、我々がさらなる簡素化の要望を言っても、聞き入れてもらえないのではないかとの懸念からである。
3) メーカーは何百台、何千台と同じ車を作っているのだから、けん引可能重量の記載を全部の車について国土交通省が決めれば、すべて解決するのではないか。
(国土交通省)それはメーカーに対して新たな規制になるし、メーカーは安全な数値を出すことが新たな負担になる点を主張していた。
4) 車の性能を書くのは当たり前のことで、それが新たな規制なのか。
(国土交通省)メーカーはそのように考える。その範囲内での安全を証明しようとすると、新たな性能評価や耐久テストをする必要が生じるため、メーカーにとっては負担になると聞いている。

(玉田商務専門官)日本のメーカーがアメリカに輸出する車では、けん引可能重量が記載されている。
5) 輸出車には表示を記載しているのであれば、メーカーは試験するための規格基準を持っていると思う。新しい負担をかけるということではない。売れるとわかればメーカーも価値観が変わると思うので、将来の課題として、メーカーが表示についても検討課題にするわけにはいかないか。
(5) 議長総括
1) 平成11年度の問題提起を経て、平成14年度の総点検作業において再度課題が提起された本件は、けん引自動車及び被けん引自動車に係る車検制度の改正について、遅くとも平成15年度中には確実に実施するよう、迅速な対応を求めたものであった。

2) 今回検証の結果、国土交通省からは、キャンピングトレーラ等の登録手続きを簡素化するための省令改正等必要な手続きを平成15年度末までに行う予定である旨報告があり、対策本部決定が実施に移されていることが確認された。

3) 一方、検証に際して問題提起者等からは、国土交通省の対応への一定の評価とともに、欧米と同様に登録手続きを一切不要とするよう、更なる制度改正に向けた要望が表明された。

4) 問題提起者等は、改正省令施行後の動向を踏まえた上で、要すれば事務局に相談し、事務局は所要の対応を図られたい。
以上

(速報のため事後修正の可能性あり)

[問い合わせ先]内閣府市場開放問題苦情処理対策室
TEL 03-3581-0384(直通)