平成13年度第4回OTO専門家会議議事要旨


1 日時 平成14年3月7日(木) 15:00〜16:20

2 場所 共用第4特別会議室(406号室)

3 出席者

(OTO推進会議)
大河原推進会議議長、谷村委員(議長)、佐々波委員、島野委員、豊島委員、眞木委員、八城委員、山本委員、金森委員、高瀬委員、本田委員、宮智委員、グロンディン委員、權委員

(問題提起者)
在日米国商工会議所 ジョンソン理事 他

(所管省庁)
財務省 菅原関税局総務課事務管理室長 他

(OTO事務局)
中城大臣官房審議官、佐々木企画官、岡参事官補佐

4 議題

 (1) Air-NACCSの料金体系の見直し
 (2) その他

5 審議の概要

(1) 事務局から問題の背景、問題提起内容及び所管省庁の対処方針等について説明

(問題の所在)
 Air-NACCS(通関情報処理システム)の料金体系の見直し等
(2) 問題提起者から提起内容の説明
1)  NACCSの料金体系が固定月額制から従量制に変更されて、ACCJ会員企業の負担は以前に比べ20%?30%増加している。実際、コンピュータを使う時、横軸に利用件数、縦軸に費用総額をとると、利用件数が増えると費用総額の増加額は減少する曲線になる。これが現実のコンピュータシステムである。NACCSセンターの従量制によると、永久的に直線的な関係で費用総額が増えていくことになる。大手ユーザーの負担が膨大に上昇することになる。したがって、上限料金制や大口割引制を即座に導入すべきである。また、NACCSの料金体系については実勢コストを反映すべきである。

2)  さらに、NACCSの根本的な目的は、関税と消費税を徴収することである。これは、所得申告の際に国民から料金を徴収するようなものである。英国、米国、ドイツは税関システムの料金を課していないので、日本も利用料金を廃止すべきである。これは、e‐Japan計画に基づく電子商取引の増大や日本の景気にもよい効果があるだろう。

3)  NACCSの利用料金の更なる低廉化、蓄積された剰余金等を検討するために、有識者会議の設置を提言する。この有識者会議は、独立した専門家、NACCS利用者、政府の代表者で構成されるべきである。

 (3) 所管省庁から対処方針の説明
1)  NACCSは国際物流の中で一体不可分として進行していく税関手続と民間業務を相互に密接に関連させながら同時に処理していくことで、空港における迅速な国際物流を実現している。官民共同出資で設立された通関情報処理センターが運営している。

2)  NACCSの運営に必要な経費のうち、税関業務の処理に必要な経費については、税関が使用者として利用料金を負担しており、平成13年度で海・空を合わせて約55億円、うち航空分は約31億円を支払っている。

3)  NACCSは純然たる民間業務を処理しており、税金である国費ですべての経費を負担することは適当でなく、受益者負担の原則により利用者にも適切な費用負担を求めることが必要である。国及び民間が利用に応じて負担すべきで、行政の負担割合を高め、実質的な補助金を交付することは適当でない。

4)  通関情報処理センターは料金の改訂について、3回の検討会等を通じて十分に利用者と協議した上で料金の改訂を行った。大口割引や月額上限制は賛同が得られなかった。一部の利用者の料金負担が増加することから、激変緩和措置を3年間について導入した。また、ホームページ上で財務諸表等を公開しており閲覧することは可能である。今後も情報公開の推進や、競争入札の対象範囲の拡大や業務の外部委託の拡大等更なる業務の効率化を推進して、経費の削減に努めてまいりたい。

 (4) 委員からの主な発言等
1)  NACCSの料金は、経費が先に決まってから料金が決まるものである。プログラム開発運営が長期にわたり特定企業に固定し、資料によるとその開発経費が経費の大半を占めている。これらは事実か。
〔財務省からの回答〕
 プログラム開発を担っている企業が結果的に固定しているのは事実である。経費は12年度の63億円から13年度は49億円に、そして14年度は多分8〜9億円減額になるように経費の削減を図っている。経費は下方硬直的になっていない。
2)  この認可法人の性格を教えてほしい。役員人事はどうなっているのか。また、センターは民間業務も行っているということであるが、英米独とはその点で異なっているのか。
〔財務省からの回答〕
 センターは特別な法律によってひとつに限って設けられた法人で、認可法人と呼ばれるもので特殊法人等に含まれる。民間業務を行っている点で、英米独と異なっている。米国の場合はシステムは無料だが、税関手続自体が有料になっている。また、英独はクリアリングハウスという民間システムを通じてアクセスすることになり、このシステムは有料である。役員は常勤が6名、非常勤が3名で、うち5名が公務員OBである。
3)  問題提起者の指摘にあるように、構造が非競争的にできている料金設定の仕方で、インターネットのような定額制が増えている世の中に逆行している。
〔財務省からの回答〕
 使い放題は需要拡大のために行われているが、NACCSは成田や関空の貨物を対象としており、全体の量が決まっている。要するに、利用者間でお互いにどのように負担していただくことが公平かという問題である。
4)  外国の輸入者はマイノリティーで、マジョリティーの意見だけを聞いていればいつもマイノリティーである外国の輸入者は否定されることになる。公平に扱っているのかどうか。
〔財務省からの回答〕
 大口割引は検討会の中で反対が多く賛同が得られなかった。大口割引を主張された方も最終的には納得されたと聞いている。

〔問題提起者からの回答〕
 我々の意見が前向きに考慮されなかった理由としては、センターは運営費を賄うように利用料金を決めるため、料金を引下げようというインセンティヴがないという構造的な問題だろうと解釈している。

5)  NACCSの処理件数は増加しているが、システムはきっちりと対応している。これは量が増えてもコストが上がらない、つまり量が増えれば料金が下がることを示している。また、多額の現金、積立金があるが、普通の企業だったら、このような現金を持たない。認可法人でもやはり効率を考えた経営を行うのが筋である。

6)  システム更改の8年の根拠は何か。8年というのは長すぎるので、これを変更するなり、柔軟に対応するつもりがあるのか。

〔財務省からの回答〕
 システムが8年間動くことを前提に経費計算をしており、これが7年、6年でも計算は可能であるが、現在は8年で設定している。また、関税制度の変更等で毎年プログラムの変更をしている。
 積立金が確かに多くあるが、これは大規模にプログラムを改変しなければならない時に、料金を引き上げることなく行うための費用である。地方消費税の導入の際などのプログラム変更にも多額の費用がかかった例もある。
 NACCSは大手、中小を含めた全体の業務量に対してシステムを構築する必要があり、そのシステム費用を皆さんでどのように分けていただくかということで、従量制を原則として負担していただいている。この従量料金の導入にあたり、一部の利用者の料金負担が増加することから、利用者との協議を踏まえて激変緩和措置を3年間について導入している。
7)  コストが変わればコストに応じたように料金を決めるのが公平ではないのか。一律の料金にする方が問題ではないのか。

8)  センターは関税と消費税を徴収することだけにしたらどうか。

9)  多額の剰余金、現金があるということは、取りすぎているということである。将来、システム開発に必要であるからというのは、将来使う人が払うべきで、現在の経費総額とは関係ない。結局、剰余金が還元されていない。

10)  現在、入札はどうなっているのか。このようなシステムについては、ノウハウや過去のソフトウエア開発の資産があるので、他社が安い値段で参入できるかというと、必ずしもそうではない。競争入札でコストが大幅に下がると考えるのは安易過ぎる。

11)  問題提起者は税金を払うのに利用料金を払わなければならないのかと主張しているのに対し、財務省は受益者負担で説明しているが、その受益とは何なのか。例えば、税金を払うためにいろいろな資料を作成する負担が、このシステムを使うことで軽減することが受益と考えるのか。伺いたい。

12)  利用料金が税関業務に対する対価という意味では問題提起者の主張はもっともであろう。もし利用料金が民間業務に対する対価であれば、これは民間業務への対価としては当然である。

〔財務省からの回答〕
 税関で申告書を受理し、徴税するという税関固有業務については、税関が利用料金として全額支払っている。民間の業務は、受益者負担という考え方で民間の方に負担していただいている。
 また、センターはこれまでも業務の実施について競争入札を実施してきたところであるが、今後とも可能な限り競争入札の対象を拡大する等、業務の実施の効率化に努めることにしている。
 (5) 議長による総括
1)  財務省は、問題提起者の指摘を真摯に受けとめて、これに対応することが基本的に重要である。システム開発にかかる競争入札の徹底、業務の外部化等について、平成14年度から速やかに講ずべき措置の具体化に取り組むことによって、業務の実施について更なる効率化・適正化を推進し、利用料金の一層の低廉化を実現するべきである。5年に一度の料金の見直し、経済事情に応じた弾力的な対応という現在の見直し方法では遅過ぎるので、速やかに総経費の削減を料金に還元させて、料金の一層の低廉化を実現すべきである。

2)  利用料金の適正化に資するために、一層の情報の公開等、利用料金の透明性の確保を図るべきである。NACCSの利用料金のあり方については、総経費の削減方策、利用者における費用負担のあり方等多角的な視点から中立的な立場で審査等を行うため、有識者を含めた適切な場を速やかに設置する等新たな料金体系の見直し方策を講じるべきである。4年ごとに収支が均衡するように料金を設定する中で、3年間にわたる激変緩和措置のような便法を用いざるを得なかったということ自体が料金体系の変更としては余りにも準備不足で、料金体系そのものにも疑義を持たざるを得ない。したがって、できるだけ早期に現在の料金体系を見直すべきである。その際、規模の経済性を反映するなど、実際のコストに基づいた合理的な料金設定にすべきである。

3)  利用者の利便性を高める観点等から、NACCS等輸出入関連手続に関して、各省庁のシステムを相互に接続、連携することによりワンストップサービスを推進することは重要であり、このことは「e-Japan」重点計画等電子政府を推進する上においても重要である。

 6 その他
  次回の推進会議の日程について事務局から説明。
以 上
 (速報のため事後修正の可能性あり)
[問合せ先]
内閣府OTO室
TEL  03-3581-0384  (直通)