平成11年度第9回OTO専門家会議議事要旨



1 日時 平成12年3月8日(水) 15:00〜16:00

2 場所 経済企画庁官房特別会議室(729号室)

3 出席者

(OTO推進会議)

大河原推進会議議長、眞木委員(議長)、久米委員、谷村委員、豊島委員、山本委員、米倉委員、金森委員、兼重委員、高瀬委員、塚田委員、本田委員、宮智委員、村上委員
(OTO事務局)
経済企画庁 薦田調整局審議官、市川調整局貿易投資対策官


4 議題

(1)高速自動車国道等における自動二輪車の二人乗り禁止規制の撤廃
(2)その他


5 審議の概要

議題1 高速自動車国道等における自動二輪車の二人乗り禁止規制の撤廃

○事務局から、11月24日の第1回専門家会議での委員の発言を整理し論点を説明

○ この後、審議

(委員の主な発言と事務局の応答)

(1)高速道路における二人乗りの危険性に関するアメリカとの理論的闘争は、警察庁に分がないと言わざるをえない。高速道路における自動二輪車の死亡事故率が高いのは事実であるが、二人乗りだけ禁止ということの論拠にはならない。最大の弱点は日本に高速道路における二人乗りのデータがないことであり、アメリカから二人乗りは危険ではないというデータが提出されている限りは、警察庁に分がない。後部座席の安定性についてアメリカ及び警察庁で異なる主張があるが、どちらもそれぞれの前提条件からすれば正しいものである。現実には、二輪車は乗っている人が体を動かすので、スキーのように上手下手に左右されるものである。論理的には、韓国のように高速道路では自動二輪車は走行不可というほうがまだ分かりやすい。事故率が高いなどの理由で規制をかけるのは、国際的に通らない理屈である。
二輪車の運転に対する評判が悪いということは事実であり、このままでは国会で法案が通らない可能性が高い。この辺りの事情に関しては、妥当な方法でなされたアンケートの結果などを基にアメリカに事情を説明して、当面の解除は待ってもらうしかないのではないか。日本の二輪業界は最初に日本の技術力が認められた業種の一つである。二輪業界が先頭に立って、ライダーの教育を徹底をしたり、もっと広報を強化するなど、二輪車が支持される基盤を作る努力をすべきである。そのような努力により数年後には二人乗りの問題は解決するのではないか。

(2)この問題は貿易の問題以前に、安全の問題である。二人乗りは同乗者の方に問題があり、四輪車と違い、直接風圧などの影響を受けるものである。疲労度も高いし、眠くなったり、貧血を起こすことも考えられる。高速道路の利用は遠距離への運転なのでなおさらである。これは一般道でも同じことだが、一般道では10〜50kmのスピードで走っており、高速道路とは致死率が違う。運転者の教育だけで片付く問題ではない。まず、後部座席のハードウェア面での安全性を確保することが重要であり、教育等はその後議論する問題ではないか。

(3)本件に関しては、本流ではない問題が自分の判断を狂わせている要素が大きい。暴走族の問題がなければ、本件は全面的に支持するところである。標準的な高速道路が危ないという理屈は解せない。公共事業費で、最高で安定的なシェアを誇る公共事業を数十年やっておきながら、オートバイで走ると危ない、重量のある車両は駄目だという説明は納税者として解せない。また、今までのところ暴走族に対し徹底的に規制が行われているという印象がない。暴走族の問題は警察が恒常的に取り扱うべき問題である。もちろん警察は取り扱っていると言うだろうが、そのような印象は受けない。

(4)警察庁の理由に関しては、今まで否定的な意見が太宗を占めていたと思うので、そのことはおりこんで欲しい。

(5)国民感情の点から考えると、現段階で解除に踏み切れないのはやむを得ないのだろう。短期ではそのとおりだが、中長期では今後いろいろな意味で変わりうる問題である。中高年層のユーザーの増加や、新たなニーズも増えてくる可能性がある。欧米でどのようにオートバイが利用されているのかを調査してはいかがか。その際、将来どのような二輪車の利用スタイルになるのかがひとつのポイントになる。さらに、海外での自動二輪車に関する免許制度、検定方法など、OTO事務局で幅広く調査して、将来につなげる必要がある。現在においては、国民感情などから二人乗り禁止解除は現実性がないのかもしれないので、将来に備えて事態の推移に対応できるようにすべきである。
(事務局)
・やるということであれば、12年中にやらせていただきたい。予算の面も手当てができる。
(6)アメリカの車線1レーンの幅と、日本のものとの幅は同じなのか。
(事務局)
・車線の幅員は、警察庁の資料によれば、日本は3.5m、アメリカは3.66m、ドイツ・フランスは3.75mである。路肩の幅員は、日本が2.5m、アメリカが3.6m、ドイツ・フランスが3mである。
(7)日本の道路のほうが狭いこともあり、道路事情の面から見ても二人乗りの禁止解除は出来ないのではないか。

(8)国民感情や、マナーの問題によりそういう結論になるのはやむを得ないのではないか。二輪車の悪い評判に足を引っ張られているような気がするが、マナーアップをしていかないと、いつまでも解決しないのではないか。もう少しマナーアップにつながる教育の工夫をする必要がある。マナー面での成果をあげることが解決につながる。同乗者がいるという意識を運転手に持ってもらうことが必要なのはもちろん、一人乗りでのマナーアップも、技術的な面も含めてカリキュラム等を検討する必要がある。

(9)取締方法の確保より、もっと良い表現はないか。なお、暴走族は危険以上の問題である。

(10)本件は、本当にOTOの話なのか。OTOは全ての規制を扱うところではない。アメリカは、二人乗り解禁により輸入が3割増えると言っているが、根拠のない話である。起きるかもしれない事故というのは、はっきりとした問題である。後ろに乗っている人はくたびれる。やはり本件は安全の問題である。

(11)暴走族の問題以外に、一般に二輪車の権利義務の認識が薄いのではないか。権利を主張する前に、自覚と義務を持って欲しいというのが国民の感情の中にあるのではないか。二人乗りの講習・免許等を言う前に、二輪車の運転自体の問題があるのではないか。

(12)意見は出尽くしていると思うが、最終的な論点は安全の確保だと思う。講習や免許の導入ということもあるが、いかに安全を確保するかを強調したらどうか。

(13)欧米の統計では高速道路での二人乗りでも事故の増加がないとのことである。二輪車は四輪車に比べてスポーツ的な要素が強く、事故を起こすのは運転者の腕が悪いというのに近い。絶対安全にするという観点では、韓国のように、全面的に禁止するほうが筋が通っている。アメリカの論理は、安全を無視して貿易のみの観点から言っているとは思えず、安全ではないということは少なくとも立証されていないので解除しろというのがアメリカ側の論証であり、これまでこれを覆す論拠は日本側からは提出されていない。安全を確保する手段が増えるのはもちろん結構なことであるが、警察庁において、高速道路での二人乗りが危険であるということが論証されていないことが、この問題の出発点である。

(14)絶対に安全ということはあり得ない。他の件と違い、安全に関しては、疑わしきは罰するというのが安全を確保する基本的態度であるべきである。

(15)台湾では二輪車に4〜5人も乗っているのを見たことがある。台湾でどれくらい事故が発生しているか調べるのも意義があるのではないか。暴走族は世界中に存在する。若者の一時的なはしかのようなもので絶滅することはなく、程度が問題なのである。
○議長による総括
(1)我が国においては、自動二輪車の危険な運転を行うものが見られることなどから、自動二輪車が安全でないとのイメージが国民の間にあり、現状のままでは二人乗り禁止規制の解除は困難であると考えられる。

(2)したがって、当面は、所管庁は、自動二輪車の安全な運転を定着させるなどのために、二人乗りに関する講習の導入、自動二輪車の危険運転取締の強化、自動二輪車の後部座席のハード面での安全性の確保等について早急に検討すべきである。

(3)OTO事務局においては、自動二輪車に関して、その利用スタイルや利用に対する意識、また免許制度などについて、幅広く、海外の動向も含め調査し、平成12年中にその結果を得るべきである。
以 上
(速報のため事後修正の可能性あり)

[問合せ先]経済企画庁調整局市場開放問題苦情処理対策室
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