第28回市場開放問題苦情処理推進会議議事要旨


1 日時 平成13年6月11日(月)10:00〜11:35

2 場所 内閣府共用第4特別会議室406号室

3 出席者

(OTO推進会議)

大河原議長、片田委員、行天委員、小柴委員、佐々波委員、島野委員、谷村委員、豊島委員、眞木委員、八城委員、山本委員、グロンディン委員、權委員、金森委員、兼重委員、高瀬委員、本田委員 (所管省庁) 厚生労働省 池谷医薬局審査管理課長、光岡医薬局審査管理課課長補佐 (OTO対策本部、OTO事務局) 竹中経済財政政策担当大臣 内閣府 小林政策統括官、梅村官房審議官、塩澤参事官、坪内企画官 他  議題
(1)第15回から第18回までの苦情処理部会における審議結果報告
(2)平成12年度海外派遣ミッションの結果報告
(3)その他
5 議事要旨

・議長より、経済財政政策担当大臣が後ほど11:00頃に見える旨説明があった後、審議が開始された。

(1)第15回から第18回までの苦情処理部会における審議結果報告

ア 本年2月、3月、5月に開催された第15回から第18回までの苦情処理部会での審議結果について、部会長を務めた谷村委員より以下のとおり報告。
2月16日に開催された第15回部会では、前回の部会以降の苦情の受付・処理状況について事務局より報告があり、それに対する委員からの意見・質問があった。また、申立者と所管省庁から意見を聴取し審議する案件を4件選定した。
3月23日の第16回部会では「韓国の特殊車両の日本国内での運行」と「外国運転免許証の切替発行手続の簡素化」について、3月26日の第17回部会では「体外診断薬に係る規制緩和」と「保健機能食品制度案の白紙撤回」について、それぞれ審議した。
両部会を踏まえた第18回部会を5月14日に開催し、4つの案件について部会としての意見を取りまとめた。また、第15回部会以降の苦情の受付・処理状況について事務局より報告があり、それに対する委員からの意見・質問があった。
今回の4つの案件はいずれも人の生命・身体・安全に関わる難しい問題をはらんでおり、熱心な審議・検討が行われた。まだまだ十分とはいえないという面もあるが、ある程度評価したい、と考えている。
イ 引き続き、OTO事務局から詳細について説明。
ウ 厚生労働省から補足説明 体外診断薬であっても誤診につながれば保健衛生上問題になるため慎重に審査している。しかし、出来るだけ簡素化できるところは簡素化を行い、また基準を定めることにより承認不要化できるところについては検討を進めていきたい。同時に、6ヶ月という審査期間を定めており、それについては到達可能ということで審査を進めている。誤診は患者に大変な迷惑をかけるため、両者のバランスをとりながら誠意をもって進めていきたい。

エ 委員の主な意見及び事務局等の回答は以下のとおり

(ア)1)「1968年道路交通条約に両国が加入又は日韓貿易協定を締結した上で」、と書いてあり、条約が要るということだと思うが、道路交通条約には日本は入っているのか。要するに「上で」というが、条約を結ぶ意志が日本になかったら回答にならない。2)加盟国の者が国際免許を持っていれば自国の免許を与えるという条約が出来たと記憶しているがどうか。3)体外診断薬の審査承認手続については、外国のデータを活用するということはしているのか。日本人の体質は違うので独自の審査が要るということなのか。この3点について伺いたい。
(事務局)1)については、日韓とも加盟していない。法律の規定を超えるような特例については条約がないと措置が法律上とれない。従って、(1)68年の道路交通条約への加盟、(2)二国間協定、(3)国連の場において行われている自動車の基準の調和・相互認証を進めるための多国間協議の促進、の3つの方法のうち一番早い方法をもってこれを変えていく。加盟への意志について、日本では、国土交通省は支障なしとしているが、政府としては未精査の段階。

(イ)貿易摩擦の問題はいつもそうだが、一つ解決すると、また次の障害が出てくる。日本に入る意志がある、と言わないと答えにならないのではないか。また、向こうに入る意志がないときに、先方に入ってくれ、と言わないと答えにならないのではないか。
(事務局)韓国は前向きに検討している、と聞いている。

2)については、国際免許証への切替は出来るが、期間が1年間と限定されている。今回の苦情は国際免許証ではなく、日本の免許証への切替の問題。また、委員御質問のような条約はないと認識しているが、確認して後ほど回答する。

(厚生労働省)3)については、外国データの受け入れをしている。体質の話があるが、確かに飲む薬やアルコールではアメリカ人と日系人ではかなり違うデータが出てきている。ただ、診断薬についてはそういう状況があっても科学的に審査可能であり、外国データの受け入れをしている。

(ウ)体外診断薬の議論で「リスク」とは「診断が間違うかもしれない」ということか。そうであるならば、診断薬としての性能・効果を確認できればいいのであって、医薬品に分類する必要はないのではないか。
(厚生労働省)薬事法に疾病の診断に使うものについては医薬品である、という定義がある。

(エ)法律の定義の問題なら法律の定義を直したらいい。法律の定義が正しいかが今問題になっている。
(厚生労働省)誤診の恐れのないよう、品質を確保することが重要と考えている。

(オ)疾病とか怪我を治す医薬品と、診断のための効果が最大の問題となる体外診断薬がどうして同じにならなければならないのか。
(厚生労働省)診断薬には体外と体内と両方あり、要するに定義を、診断に用いるものは医薬品である、とさせていただいている。

(カ)させていただいておられたんでは、みんなが困る。

(議長)この問題は6年来の懸案で、委員は必ずしも納得はしていない。しかし、苦情処理部会では「年度内に」とか「なるべく早く」とか、注文をつけて、更に前進を図って欲しいという希望を出している。厚生労働省の方でも、平成13年度中に委員の疑念に答えるよう、しっかり検討し、答えを出して欲しい。

(キ)外国運転免許証の切替発行について、韓国側は事故発生率が低いという反証が出せればいい。1)昔はアメリカで取得した免許で日本の免許に切り替えられたが、今も出来るのか。2)外国人が切替をする条件を何故一律にしてしまわないのか。ある意味では規制緩和の逆行になるかもしれないが。
(事務局)客観的な基準はない。事故率の低さで運用上切替を認める国を決めている。ただ、議論になったのは、事故率が高いのは免許制度だけに起因するのかということ。道路事情、信号事情等もあり、因果関係が弱いのではないかとの議論があった。そこで、因果関係や客観的に証明するための調査・研究を行うことになっている。また、韓国は実技に係る確認の通過率も悪い。現在はその2つのデータを以って、自動的に切替えるのは困難としている。いずれにせよ、所管庁で客観的説明のための調査を実施することになっている。なお、アメリカで取得した免許を日本の免許に自動的に切り替えることは今は行っていない。

(ク)前は出来たが今は出来ない。理由は、日本人の多くがアメリカで免許を取得して日本の免許に切替えたからだ、と聞いている。それによりアメリカ人も切替できなくなったことは非常に不満である。また、日本の免許取得制度は厳しすぎる。事故率は個人には関係ない。個人の免許取得歴、事故歴の簡単な証明制度をつくるべき。
(事務局)そのような議論もあった。しかし、ペーパードライバーかどうかまではチェックできないため、事故歴で判断するのは困難ということであった。アメリカの免許の切替を認めていない理由の1つとして、州ごとに制度が異なることがあったと記憶している。

(議長)先ほどの68年条約の批准を促進することがひとつの具体的な提案になる。

(ケ)韓国の事故率は高い。ただ、通過率が低いことについては、一般的に再度試験を受ける場合には1回で受かる者が少ないのではないか。また、日本駐在の韓国人の多くはペーパードライバーではなく、業務上日常的に運転している者が多い。苦情の検討については、前向きな方向でお願いしたい。
(経済財政政策担当大臣入室)   

(2)経済財政政策担当大臣あいさつ

OTOが発足した1982年に私はアメリカにいた。日米貿易摩擦が厳しくなってきていた。その後OTOが果たした役割は大きかったと思う。1,000件の問題を扱ったと聞いている。小泉内閣は構造改革を進めるが、市場アクセスはこの構造改革の目に見えるいわば入り口の部分である。OTOの益々の活躍を期待したい。構造改革を進めると短期的には需要側が厳しくなる。本日発表のQEも残念ながらマイナスになっている。需要が低迷すると、対外的な輸入が減り黒字が拡大する可能性がある。ここで重要な点は、そういう状況が国際的にアクセプタブルでなければいけないということ。貿易摩擦、市場アクセスの問題は構造改革の中で隠れた問題として日本経済の大きな問題になることが懸念される。OTOは構造改革そのものであり、その中で重要性を持ってくる。皆さん方の貢献を構造改革の中心的なボディとしてこの会議を盛り上げて日本の市場アクセスを改善していってもらいたい。

(3)委員と経済財政政策担当大臣との意見交換

ア 意見交換の概略は以下のとおり。

(ア)構造改革の新しい方向で、事後審査型行政の方向に転じていることについて大変評価している。しかし、それをサポートするためのプロフェッショナル・インフラストラクチャーが整備されていないのが問題。弁護士、公認会計士の数等々。どのようにお考えか。
(経済財政政策担当大臣)事前調整型の行政から事後チェック型の行政へということの重要性は広く認識されているが、それを支えるためのソーシャルインフラストラクチャーが要る。弁護士の数、日本の法的風土については司法改革という観点から既に幅広く議論されている。また、経済に直接関わる分野として公正取引委員会の強化がある。これも、総理の所信表明演説に公取の強化が入っており、制度設計を開始している。社会的な制度を変えるのは難しいが、その決意が今の総理にはある。もうひとつは、人員配置の問題として、公務員制度改革について石原大臣が取り組んでいる。目に見える成果を出せるようにしたい。

(イ)司法制度改革審議会で明日出る予定の報告書があるが、まだ現実にあわない。公取の強化は非常に評価するが、これも弁護士の数が足りないとうまく運びにくいという現実がある。
(竹中経済財政政策担当大臣)そのためにどうすればいいかについては、ロースクールや教育改革が必要になる。これには本当に社会全体を動かしていかなければならない。構造改革には時間がかかる。重要なのは、こういう方向に行っているという明確な方向を示して、市場がエクスペクテーションを持つことが重要。責任を持って内閣としてやっていきたい。

(ウ)時間もコストもかからない問題として、外国人弁護士とのパートナーシップの問題が解禁されないのが残念。

イ 議長から以下のように発言。
大臣が対外黒字の増大の可能性について言及があったが、まさに対外黒字が広がれば広がるほど、諸外国からの日本市場へのアクセスの改善、特に投資、サービス分野での要求が高まることが懸念される。OTO推進会議としては、細かい問題がまだまだあると認識している。外国人弁護士の問題もその1つかもしれない。我々も一生懸命やるので、引き続き大臣にもご支援いただきたい。
(経済財政政策担当大臣退室)

(3)平成12年度海外派遣ミッションの結果報告

ア 佐々波委員より、本年2月25日から3月3日にかけて、ヴェトナムとシンガポールを訪問し、政府関係者や経済団体関係者等と行った意見交換の結果について以下のとおり報告。
  OTOミッションとしてヴェトナムへ行ったのは初めてであり、日本に対する輸入拡大への期待が大きいのを痛感した。OTOミッションの役割を説明したが、討論の中では必ずしもOTOの守備範囲ではないものも含まれていた。シンガポールについては年末を目指して日本がFTAを結ぶ相手国となっていることもあり、幅広い意見交換を行った。また、迅速に処理を行う港湾システムを視察した。ヴェトナムでの新聞報道を添付してあるが、このように数多く取り上げられたのは日本への期待をあらわしていると思う。
ヴェトナムは農水産物の輸出が多く、農水産物の検疫の問題が話題になった。その他繊維・履物が話題になったがOTOではなく両品目とも輸入関税の高さや関税割当制度が問題である。また、日系企業は日本へ研修生を出す場合、在留資格をとるのに時間がかかることを問題視している。日本は労働者不足が問題であるならば、ヴェトナムは若年の労働者が豊富であるから是非受入体制を整えてほしいとの指摘あり。
シンガポールでは港湾システムを整備し、迅速な通関を行っている。コンピュータによる通関システムで荷物を実際に開けさせるが、どの積荷を開けさせるかソフトウェアを常時変更している点など興味深かった。

イ 他委員から以下の意見があった。

日本人は少子高齢化が進んでおり、入国政策を考えなければいけない。その辺について日本では十分な議論がされているのか非常に興味がある。WTOのサービス一般協定の1つに労働移動に関するプロトコールがあり、一時的に自然人を流入させることが国際間の交渉としてできることになっている。今のところマネージャーとテクニシャンについてはどこの国でも積極的に受け入れている。日本で不足しているのは、いわゆる「3K」といわれる職業や介護に携わる者である。日本では将来この少子高齢化や入国政策、一時的なヘルパーの入国政策を関連付けて考える必要がある。どういう官庁がどういう所でやるのかわからないが、非常に重要であると考え、興味を持っている。

ウ 議長及び佐々波委員から以下の発言があった。
(議長)これからの日本の社会政策、経済政策に関連して大きな問題である。国家戦略会議のようなところで今後議論していただけたらいいのではないか、と思う。
(佐々波委員)入国政策に関連するが、シンガポールでは、インド系、マレーシア、インドネシアなどアジア周辺国の労働者なしにはやっていけない。シンガポールでは、入国をした人が就労後何年か後に確実に送り帰す制度がある点が重要であるとのことであった。シンガポールのシステムについては今後調べてみる必要があると思う。
(議長)シンガポールの人と話していると外国人労働者の話がよく出てくる。シンガポールの人口は現在300万だが、20年後には外国人労働者の導入によって400万にするとのこと。

以上
(速報のため事後修正の可能性あり)

[問い合わせ先]内閣府市場開放問題苦情処理対策室
TEL 03-3581-0384(直通)