1 日時 平成16年6月21日(月)10:30〜11:30
2 場所 内閣府共用第2特別会議室(404号室)
3 出席者
(OTO推進会議)
大河原議長、松下委員(部会長)、金森委員、兼重委員、木村委員、高瀬委員、本田委員、宮智委員、村上委員(OTO事務局)
内閣府 加藤大臣官房審議官、渡辺企画官、岩田参事官補佐 他
4 議題
最近の苦情受付・処理状況について
5 審議の概要
○事務局から、配布資料に基づき説明
(1) 現在までの受付件数は668件、平成15年度に受け付けた苦情の数は8件。前回の「苦情受付・処理状況」取りまとめ時(平成15年6月)から新たに3件を受け付け、5件が処理済となった。引き続き処理中となっている案件は6件。○この後、審議、主な議論は以下のとおり
(2) 処理中の案件のうち、OTO番号658と659(苦情の基礎は同一)については現在進展が見られない状態にあり、658の苦情申立者から苦情処理部会での審議を希望する旨要望が寄せられているところ、事務局としても本件を部会の審議に付することについてご検討いただきたいと考えている。
(3) なお、本件輸入業者は、OTO番号658、659とほぼ同様の主張に基づいて、香川県の不許可処分が違法であるとして損害賠償を求める訴えを起こしているが、平成15年1月に高松地裁において請求が棄却されている。また、平成16年2月には高松高裁から地裁判決を支持する控訴審判決がなされている。
(1) OTO番号658と659の主題は高松港F地区の使用許可申請に対する香川県の裁量権の行使が不当であったかということである。主題の問題は裁判所で判決されているので、それに立ち入ることはできない。川砂は他の港でも輸入されていることから、県の裁量権の行使を輸入障壁として考慮することも難しい。また、高松港F地区の使用ができないことの付随的な結果として主張されている輸入障壁について議論することは、OTOが誤解されることにもなるので、本件を審議すべきではないと考える。
(2) 審議の対象にはならないという点について賛成。港湾法に違反しているから輸入障壁であるとか、国連の条約に違反しているから輸入障壁であるという議論をするのは、今の段階では無理であろう。
(3) ア.裁判所の判決で確定した事項を他の国家機関が再度取り上げて議論するというのは、裁判所の決定事項の既判力に関係する。1)港湾法の現規定は条約に違反しないこと、2)砂の陸揚げはF地区の物流拠点としての経済活動その他に悪影響を与えるおそれがあること、3)処分は香川県の裁量権の範囲内で行われていること、については裁判所で確定した事項であるので、これらを個別に争うことは、OTOだけでなく、ほかのどこの機関でもおかしな話になる。
イ.ただし、港湾法の関係規定が輸入障壁になっている等、立法政策上の問題があるのであれば、そのことを議論することはあり得ると思うが、そうした主張は行われていないようである。
(4) ア.審議しないという方向性について異存はない。法令そのものに輸入障壁になるような問題点がある場合は議論をしていく必要性が出てくるが、ただ輸入障壁だというふうに申し立てられても審議できない。
イ.OTOに対する申立者の理解が不足している面があるように思う。単に不満足だから訴えたいというのでは困る。法律のこと以上を主張するのであれば、申立者も説明しなければならない。
(5) どこが具体的に貿易障壁になっているのか、法律判断以外にどうすれば事態を改善できるのか、といった点が明らかになればOTOで扱うことができるかもしれないが、その部分が曖昧になっている。
(6) 申立者の資料を見た範囲では、香川県はほめられる行政をしたとは思えない。八方美人的ではあるが、香川県の対応について全く問題がなかったといえないということを表明しておくべきではないかと思う。
(7) 裁判所の判決も出ており、香川県が明白に間違っているとも言いにくいと思う。ただ、もう少し親切にできたかという点はあるかもしれない。
(8) この問題の本質は、高松港F地区を使わせるかどうかの話であって、輸入障壁の問題ではない。審議すべきでない理由は、本質的に輸入障壁の問題ではないからである。
(1) 本件苦情は、高松港F地区の港湾管理者である香川県が、粉塵等を理由に同地区における川砂の輸入に係る港湾施設の使用許可申請を全て不許可処分としていることが輸入障壁となっている、とするものである。2.その他の処理中の苦情案件については、事務局は申立者および所管省と緊密に連絡をとりつつ、引き続き適切な対応に努めていただきたい。
(2) 苦情申立者は、粉塵等のおそれはなく、また当該不許可処分は港湾法や国連海洋法条約に違反している等の主張を行っているが、国土交通省は、当該処分には合理的な理由があり、港湾法上の問題は認められない、また、国連海洋法条約との関係でも、外務省の解釈に照らし、同条約に抵触するものではないと考えられる、としている。
(3) 一方、香川県に使用許可申請を行った輸入業者は、本件苦情申立てと並行して、ほぼ同様の主張により、香川県の不許可処分は違法であるとの訴えを起こしたものの、高松地裁および同高裁において、当該処分は港湾法の趣旨に照らして違法ではなく、また国連海洋法条約にも反しない、等の判決言渡が既になされている。
(4) 香川県の不許可処分については、上述の通り既に裁判所において公益性の観点から正当性が与えられていることから、当該処分を輸入障壁であるとする本件苦情を審議することは、裁判所の法解釈を議論することにつながる。したがって、本件苦情を当部会で審議することは適当でない。
(5) また、苦情申立者は、香川県の処分について、違法性の有無を問う以前に、輸入障壁としてこれを排除すべき旨主張しているが、我が国として砂の輸入を制限しているものではなく、また高松港でも他の地区では砂の陸揚げが認められていることなどに鑑みれば、同港F地区で陸揚げを認めていないからといって、このことが直ちに輸入障壁であると解することはできない。
(6) OTOとしてはこれまで、苦情申立者に対して情報提供等の面で要望に応じてきたところであるが、上述の裁判所の判断に照らせば、本件苦情は、その論拠を失っているといえる。本件苦情については、経緯的に行政当局側の説明にも十分でなかった面があったのではないかとの受け取り方もあったものの、申立者の側で香川県の処分を輸入障壁とする論拠を明確に示していないことから、本件苦情は処理を進めることができない状態にある。個別苦情には処理中と処理済の2つの扱いしかないところ、本件は処理済とするのが相当である。
以 上(速報のため事後修正の可能性あり)[問合せ先]
内閣府市場開放問題苦情処理対策室
TEL 03-3581-0384(直通)