平成15年度第2回OTO専門家会議議事要旨

1 日時 平成15年12月5日(金)14:00〜16:00

2 場所 内閣府共用第4特別会議室(406号室)

3 出席者

(OTO推進会議)
大河原推進会議議長、眞木委員(議長)、北岡委員、黒田委員、佐々波委員、島野委員、谷村委員、グロンディン委員、朴委員、金森委員、兼重委員、高瀬委員

(問題提起者)
議題1、2:NNFAジャパン 大浜科学・法務担当ディレクター、池田学術情報ディレクター

(所管省庁)
議題1:厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課 中垣課長
          内閣府食品安全委員会事務局評価課 坂本課長補佐
議題2:厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課 大鶴監視指導室長
          厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課 中垣課長
議題3:厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課 高井課長
議題4:厚生労働省医薬食品局審査管理課 中尾化学物質安全対策室長

(OTO事務局)
加藤大臣官房審議官、渡辺企画官、岩田参事官補佐

4 議題

(1) 「外国で流通する食品添加物の開放(OTO案件の総点検)」(対策本部決定の検証)
(2) 「食薬区分の見直し(OTO案件の総点検)」(対策本部決定の検証)
(3) 「食品検査機関の民間への開放(平成13年度問題提起プロセス)」(対策本部決定の検証)
(4) 「毒物及び劇物のタンクコンテナによる国内輸送容量に関する基準の見直し(平成13年度問題提起プロセス)」(対策本部決定の検証)
(5) その他

5 審議の概要

 議題1 「外国で流通する食品添加物の開放(OTO案件の総点検)」(対策本部決定の検証)

(1) 事務局から対策本部決定に至る経緯等について説明

1) 本件で提起された課題は、外国で安全が確認され流通している食品添加物が、必ずしも我が国で指定を受けていないために輸入できないというもの。特に、多大なコストと時間がかかる個別申請が、事業者から寄せられるのを待って承認するという要請主義がとられているために指定が進まないという問題が指摘された。

2) 推進会議では、行政主導による積極的な指定、審議・検討内容の情報開示、指定基準やスケジュールの事前周知等を行うことを求めた意見をまとめ、これを受けて対策本部決定がなされた。

3) 対策本部決定に対する厚生労働省対応については、問題提起者等からいくつかの指摘をいただいており、それに基づいて事務局から厚生労働省に対して追加照会を行った。1点目は、食品安全委員会に評価を依頼するまでの過程の情報公開が不十分、というもの。2点目は、いわゆる46品目以外の添加物の追加指定が問題提起者等の問題意識に沿った形で行われておらず、また、対策本部決定で行うこととしていた、これらの指定の基準やスケジュール等の事前周知がなされていない、というもの。3点目は、対策本部決定と直接関係するものではないが、使用基準を保健機能食品に限定して指定した添加物については、一般食品への使用は、再申請ではなく、より簡易な方法で認めるようにしてほしいとの問題提起者等意見について見解を伺ったものである。
(2) 所管省庁から対策本部決定への対応状況の説明
[厚生労働省]
 
1) JECFA(FAOとWHOの合同食品添加物専門家会議)で安全性評価がなされ、米国及びEUで使用が認められているという2つの条件に合致したものについては、事業者等からの要請を待つことなく、指定の方向で、行政主導で安全性、必要性を検討していくという本部決定に沿って作業を進めているところ。なお、行政主導での指定は欧米においても全くとられておらず、世界でも初めてのことと考えている。

2) 審議・検討にあたっての情報公開については、食品添加物の指定の可否を検討する薬事・食品衛生審議会、本年7月からリスク評価を行うこととなった食品安全委員会いずれも公開で運用されており、十分配慮していると考えている。また、食品安全委員会に評価を依頼する際や、審議会で議論することを決めた際には、全て公表し、ホームページに必要な情報を掲載している。

3) 具体的に審議・検討が予定されている46品目については、資料の整ったものから食品安全委員会に評価を依頼している。11月18日現在、7品目の評価を依頼したところであり、評価の結果を待って、速やかに審議会を開催したいと考えている。

4) 46品目以外の未指定添加物についても一定の条件にあったものは行政主導で積極的に指定すべき、とのことについては、まず46品目について対応することが第一だと考えているが、現在、香料等5品目について食品安全委員会に評価の依頼をしている。

5) 追加指定に際しての具体的な対象、指定基準、スケジュールについて事前周知すること、については、46品目については既に審議会で公開したほか、ホームページにも掲載している。香料についても同様に進めたいと考えている。

6) 追加照会を受けた情報公開の問題については、46品目を進めていく順番については昨年末に既に公開しており、ホームページに掲載しているところ。公表している順番で公益法人に作業を依頼している。リスク評価に至る過程については、依頼した事実や依頼内容の概要をまとめて公表するとともにホームページにその都度掲載している。また、情報公開に基づく請求にも対応している。

7) 追加照会の2点目、46品目以外の未指定添加物の検討状況に関しては、ステアリン酸ナトリウムについて申し出があり、先に述べた2条件に合致することから46品目のグループの中に追加する形としたところ。また、香料5品目については、食品安全委員会への依頼に際して国立医薬品食品衛生研究所等の専門家からなる検討会でまとめられた安全性評価の方法の考え方を添付しており、これが指定の基準である。食品安全委員会へ評価依頼した事実についてホームページ、報道を通じて公表しており、これがスケジュール公表に相当する。

8) 追加照会の3点目、保健機能食品に限定した指定をめぐる問題については、そもそもビタミン、ミネラルは我が国で医薬品として使用されてきたとの実績に鑑み、これらが用いられることを念頭に置いて、保健機能食品という特例が作られている。指定要請等にかかる指針は欧米よりも簡略化されたものとなっており、従って特例を越えて一般の食品に使うということであれば欧米と同じ基準に基づく審査が必要になると考えている。
(3) 所管省対応に対する問題提起者等意見
[NNFAジャパン]

1) 厚生労働省の回答を聞いて実際に食品添加物の開放が着実に進み始めているという実感を受け、業界として大変感謝している。

2) 46品目の未指定添加物の審議・検討について、具体的な作業に入っていることは承知している。食品安全委員会及び薬事食品衛生審議会等の公開、資料配布あるいはインターネット等で一部の資料、議事録の公開がなされているが、その情報にたどり着くことが難しい場合があり、必ずしもいつも必要な情報が入手できるとは考えていない。システマティックで継続的でかつタイムリーな情報開示をお願いしたい。対象となった成分について、具体的な品目、指定基準、判断、結論に至った理由、食品安全委員会に提出された資料、スケジュール等を事前にタイムリーに周知することにより透明性を確保して欲しい。

3) OTO対策本部決定では、行政主導で審議・検討を行い、積極的に指定していくこととされているが、まだ関係事業者からの要請または資料提出によって開始される場合が多いように感じる。対策本部決定にしたがって、行政主導で指定の検討を進めて欲しい。

4) 保健機能食品については、かなり限定されたものだけが認められている状況であり、実際には大部分の健康食品が保健機能食品に属さない形で流通している。食品添加物は有効に使用することにより、安全性を確保し品質を確実なものにするという意義があるので、一般食品あるいはいわゆる健康食品にも是非使用させて欲しいと考えている。一般の食品やいわゆる健康食品に拡大する場合には、もちろん追加的に資料が必要と理解している。どのような手順でどのような資料を提出すればよいかといったルールを決めて欲しい、ということである。
(4) 委員からの主な発言等
1) 公益法人に作業を依頼とあるが、それは書面によるものか口頭によるものか。また、いつまでにどのようなことをして欲しい、という形で依頼したのか。公益法人の名称についても教えて欲しい。
(厚生労働省)46品目について、審議会で公開した順番で安全性、必要性に関する資料の収集を書面で依頼した。スケジュールについては、順番しか指定しておらず、いつまでという期限は切っていない。名称は、日本食品添加物研究振興財団である。
2) 順番だけを指定したものはスケジュールとは普通言わない。また、「速やかに」と対策本部決定で決めているのに時間を明示しないのも不可解である。また、保健機能食品に限定されている食品添加物を一般の食品にも適用するにあたっては改めて検討が必要と言っているが、要するに日本の場合は食薬区分の問題があるから欧米と同じではないという説明であった。しかし、対策本部決定は、海外で普通に食品として流通しているものが日本では非常にわずらわしい面倒な手続をしなければ認められないというのはおかしいので、それを速やかに解決せよということが根底にある。厚生労働省は、今の回答が対策本部決定に対して十分な回答となっていると考えているのか、それとも食薬区分の制約のために非常に不満足な回答であると考えているのか。
(厚生労働省)対策本部決定をないがしろにしているとも、食薬区分のために制約を受けているとも考えていない。46品目や香料については、対策本部決定に従って行政主導で指定の作業を進めているが、ここで言われているのは、それ以外の、どこかでは使われているといった食品添加物のことである。
3) 要請主義は機能しないから行政主導でというのは大変評価できる。なぜ機能しないかと言うと、要請は日本語でしなければならないからで、原語の方が良い場合もある。
(厚生労働省)通常段ボール箱で2,3箱の資料を提出してもらっているが、日本語でなければならないのは概要書だけで、他は英語での受付も行っている。しかし、改めて御指摘を頂いたので、例えば外国大使館や業界と懇談する機会により一層の徹底に努めたい。
4) 46品目以外に、日本独自に食品安全委員会で評価をして指定したケースはあるのか。
(厚生労働省)食品安全委員会は今年の7月に発足したばかりなので、食品安全委員会の評価を基に輸入が始まった実績はまだない。しかしながら、それ以前に薬事食品衛生審議会で認めたケースはある。
5) 公益法人への依頼は、契約上特に期限を示していないという話だったが、それはどのような理由によるものか。また、その公益法人に依頼することとした理由は何か。
(厚生労働省)スケジュールを付さなかったことに理由があるというよりも、予算は単年度であるため、もともと今年度中にやってもらえる十数品目しか頼めないということ。当該法人を選んだのは、食品添加物を扱っている公益法人が他になかったためである。
6) 他に能力のある機関に依頼する可能性をもっと慎重に検討すべきではないか。その処理能力にも限界があるということであれば、他の方策も含めてスピードアップを検討する必要があるのではないか。
(厚生労働省)契約や会計法の問題もあるので、今ここで直ちに回答はできないが、スピードの問題については、例えば、1970年代に国際的な専門家会議で安全と評価された添加物についてその当時の資料を集めたところ、現在の科学レベルからみると不十分であったため、試験をやり直したところである。こういうことを考えると、46品目に香料を含めて全て処理するのに5年程度かかるのではないかと考えている。我々としても速やかに進めていきたいと考えており、先に述べた事情等もあって精一杯やっていることをご理解いただきたい。
7) 海外で安全と評価され、何年も使われているものを4,5年かけて調査するというのは誰が見てもナンセンス。70年代の評価資料が古いとのことであるが、30年以上市場で使われているのだから、それこそ安全と言えるのではないか。どこかで問題が起きていれば、情報として真っ先に出てくるものではないか。
(厚生労働省)日本でもEUでも30年以上使われているものをアメリカが認めなかったり、EUで認めなかったりする例はあるわけで、使われてきたから安全というのは一つの大きな証左にはなると思うが、それのみをもって断言することは難しい。

(NNFAジャパン)評価のための作業に苦労しているということは理解するが、提案として、民間にも優秀な機能・能力があるので、民間の力を活用することも検討していただきたい。
8) 問題提起者等から提案があったように優秀な民間機関を利用することでもっとスピードアップできるのではないか。今まさしく民活と総理自身が言っているのだから、民間機関ではだめな理由を示せなければ、処理能力に限界がある公益法人に依頼することを誰も納得しない。
(厚生労働省)民間機関ではいけないということはないと思う。いろいろな研究所等と付き合いはあるが、今直ちにどこという機関は浮かばない。しかしながら、ご指摘を踏まえて是非探すなり公募するなりしてみたい。
(5) 議長による総括等
1) 本件は、平成14年度の総点検作業において、外国で流通する食品添加物の行政主導での積極的な指定、およびそのための審議・検討内容の一層の情報開示を求めたものであった。

2) 平成14年度の対策本部決定の後、食品安全委員会が発足し、食品添加物の指定にあたってのリスク評価を担うこととなった。今回検証の結果、厚生労働省はいくつかの添加物については行政主導で同委員会にリスク評価を依頼しており、対策本部決定の方針に沿った対応を行っていることが明らかとなった。

3) しかしながら、審議において、食品安全委員会にリスク評価を依頼するまでの検討状況に関する情報開示が不十分との指摘があった。厚生労働省は、対策本部決定の方針に従い、検討内容について一層の情報開示に努める必要がある。

4) また、具体的に審議・検討が予定されている46品目の未指定添加物については、引き続き対策本部決定に従い、行政主導で速やかに審議・検討を行い、その結果に基づき指定を行うよう、一層の努力が求められる。

5) さらに、46品目以外の未指定添加物については、対策本部決定に従い、積極的な追加指定を行うにあたり、具体的な対象品目、指定基準、スケジュール等について事前周知する必要がある。

6) なお、検証に際して指摘があった食品添加物指定のスピードアップ、ならびにそのための民間企業の活用等の課題は、対策本部決定とも関連する重要な問題である。問題提起者等は、今後の扱いについて事務局に相談し、事務局は所要の対応を図られたい。
議題2 「食薬区分の見直し(OTO案件の総点検)」(対策本部決定の検証)

(1) 事務局から対策本部決定に至る経緯等について説明
1) 本件は、外国で食品とされるL-カルニチンを日本でも同様に食品として扱えるようにして欲しいというものであった。
   
2) 推進会議では、行政主導により食薬区分の積極的な見直しを行うこと、速やかに見直しの品目やスケジュールを明示すること、またそれらの物質が支障なく流通・販売できるように措置すること等を求めた意見をまとめ、これを受けて対策本部決定がなされた。

3) 対策本部決定に対する厚生労働省対応への問題提起者等指摘に基づき、事務局から厚生労働省に対して追加照会を行った。1点目は対策本部決定への対応として3年計画で行われる厚生労働科学研究の概要について。2点目は、対策本部決定で「速やかに」行うこととしている見直しの対象品目やスケジュール等の明示は、3年計画の後に行われるのか、という点を確認したもの。3点目は、過去に食品として承認されたミネラルについても、対策本部決定の趣旨に照らして、食品として支障なく流通・販売できるように措置してほしいとの問題提起者等意見について、見解を伺ったものである。
(2) 所管省庁から対策本部決定への対応状況の説明

      [厚生労働省]
1) 通常海外で食品として流通・販売されているにもかかわらず、我が国では「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に収載されている成分本質について、当該成分の食品成分としての含有量、安全性、機能に関する情報等を整理することについては、今年度新規採択で厚生労働科学研究を行うこととしている。

2) 研究の中身は、右リストに収載される全ての成分本質、原材料について、3年計画で情報を整理し、また海外での状況も調査するというもの。

3) また、来年度予算要求の中で食薬区分国際整合性確保事業費を要求しており、行政主導で海外での食薬区分の状況や健康被害の情報、あるいは安全性に関する科学的な情報について収集する予定であり、厚生労働科学研究とあわせてデータベース化し、検討を進めることとしている。

4) 科学的な見地から必要な検討を行うことについては、厚生労働科学研究の結果あるいはデータベースを基に学識経験者の意見を踏まえ、判断基準の見直しも含めて検討していきたい。

5) リストについて速やかに見直しの具体的な対象品目、スケジュール等について明示することについては、前述の厚生労働科学研究においてリストの全品目を検討対象として情報を整理しているところであり、その結果を踏まえて対象品目を選定していきたい。

6) 食薬区分の見直しと併せてそれらの物質が食品添加物として指定を受ける等、食品として支障なく流通・販売できるように措置をすることについては、L-カルニチンについては平成14年12月25日に都道府県等への通知がなされている。今後とも食薬区分の見直しと併せて個別に対応していきたい。

7) 追加照会を受けた厚生労働科学研究の概要については、全328品目のうち今年度は75品目程度の調査を予定しているところ。主任研究者は海老塚豊東京大学大学院薬学系研究科教授にお願いしている。諸外国における状況の調査や、文献によって安全性、機能、含有成分等について調査を行う予定。また、必要に応じて諸外国での実際の商品を入手したり、成分分析あるいは動物実験等も実施予定。

8) 追加照会の2点目、見直しの対象品目の候補リストやスケジュール等の明示が3年後に行われるのか、ということついては、全ての成分本質について見直すこととしており、このような基礎的な情報をもとに検討していきたい。

9) 追加照会の3点目、対策本部決定の趣旨に照らし、平成11年より食品として承認されたミネラルについても食品添加物として指定することにより食品として流通できるようにすべきということについては、平成11年3月の医薬安全局長通知にてカルシウムなど13のミネラルについては医薬品的な形状をしていない限り医薬品に該当しないものとしており、ミネラル類の流通が食品にも認められた形になっている。これを受けて、平成13年3月にその指定等に関する指針を示し、医薬品で使われていたという実績を踏まえ、一部試験成績の省略を認めたところである。
(3) 所管省対応に対する問題提起者等意見
[NNFAジャパン]

1) すべての医薬品成分について、海外状況の調査を含め、3年計画で具体的な情報整理や調査を行うことや、併せて食薬区分国際的整合性確保事業費を平成16年度予算として要求しているとのことで、これらを実施することはそれ自体は大変結構なことだと思う。

2) しかしながら、現在懸案となっている様々な成分の見直しが計画終了まで行われないとすると、3年以上待たなければならないことになる。あるいは平成16年度予算が却下された場合、データベース化が十分に行われなくなるとすると、当分の間見直しが行われなくなるのではないかと危惧している。これが誤解であればよいが、差し支えなければそのあたりのことをはっきりさせて欲しい。

3) また、大部分のミネラルについては、特殊な例を除いて実際には食品添加物に指定されていないため健康食品等に使えるものがほとんどないという状況にある。12月2日に銅と亜鉛のグルコン酸について食品安全委員会に評価依頼が行われたことは、1つの大きな進歩ではあるが、この点について更なる配慮をお願いしたい。
(4) 委員からの主な発言等
1) 本件がOTOで審議されたのは平成14年11月、対策本部決定がなされたのは平成15年3月だが、海老塚教授の研究計画書は平成14年3月か4月に提出されているはず。つまり、この研究は対策本部決定を反映したものではないのではないか。厚生労働省は対策本部決定の内容について何らかの説明をして、研究計画に希望を表明したのか。
(厚生労働省)最終的な交付申請書は平成15年の4月以降に提出されており、その中では昨年度のOTOでの議論を踏まえて研究をするということでお願いしている。
2) 普通だったらこういう3年にわたる長期の研究計画の立案が2週間や3週間でできるわけがない。年度の研究がはるかに遅く始まっていいようなものではないはずだから、もともとこういう国際的な問題に関しての研究計画が立てられていたところへ、OTOの対策本部決定がたまたまちょうどいい具合に乗っかっただけのものではないか。つまり、厚生労働省が改めて新しいアクションをとったものではないのではないかという疑いを持って今のような質問した。速やかにという対策本部決定の意義に対して、厚生労働省は常識では考えられない理解をしていると思う。

3) 今の委員の意見は、できるだけ早く結果を出して欲しいとの願望が背景にある。具体的な対応もなく、3年待って下さいという証文を置いて、しかもそれが空証文になる危険性があるというのでは、いつまでたっても内外の信用を得られない。厚生労働省はOTOの委員が何を求めているか、どこを議論しているかということをしっかり考えていただきたい。明快な回答よりも中身である。今回答する必要はないが、待つのにも限度がある。
(5) 議長による総括等
1) 本件は、平成14年度の総点検作業において、通常海外で食品成分とされているにもかかわらず、我が国では医薬品の成分とされているものについて、行政主導で食薬区分を積極的に見直すこと、さらにそれらが食品添加物として指定を受ける等、支障なく流通・販売できるよう措置することを求めたものであった。

2) 今回検証の結果、厚生労働省からは3年計画で情報の整理・調査、ならびにデータベースの整備を行い、その上で見直しを行うとの方針が示された。

3) しかしながら、政府としては「速やかに見直しの具体的な対象品目、スケジュール等について明示する」との対応を決定したのであるから、厚生労働省は対策本部決定に従い、速やかにこれを実施する必要がある。

4) さらに、「食薬区分の見直しと併せて、それらの物質が食品添加物として指定を受ける等、食品として支障なく流通・販売できるように措置する」との対策本部決定の趣旨に照らせば、ミネラルのように過去に食品と認められたものについても、食品として支障なく流通・販売できるように措置することが求められる。

5) 厚生労働省には、対策本部決定された事項を着実かつ速やかに実施に移すよう所要の対応に努めること、さらに、その進捗状況について適宜事務局を通じて推進会議に報告することを求める。
議題3 「食品検査機関の民間への開放(平成13年度問題提起プロセス)」(対策本部決定の検証)

(1) 事務局から対策本部決定に至る経緯等について説明
1) 本件は、平成11年度の問題提起を経て平成13年度に再度問題提起されたもので、輸入食品の検査機関が公益法人に限定されていることが輸入業者に低水準のサービスあるいは高い検査費用といった負担を強いる結果となっているとの認識に基づき、検査機関の民間への開放を求めたもの。 

2) 推進会議はできる限り「今国会」中に法律改正を提案することを求め、これを受けて対策本部決定がなされた。なお、対策本部決定にある「今国会」とは、平成14年1月から7月に開催された第154回国会のことであり、このような決定に至った背景には、平成14年2月に本案件をご審議いただいた際、平成12年中に結論を得るとした平成11年度の対策本部決定への対応が不十分とのご指摘があったとの経緯がある。
(2) 所管省庁から対策本部決定への対応状況の説明
[厚生労働省]
 
1) 指定検査機関制度について、従来の公益法人に加えて民間検査機関も指定の対象とし、検査機関の指定制を登録制に変更する改正食品衛生法が第156回国会で成立し、今年の5月30日に公布されたところ。

2) 指定検査機関の民間開放等を含めた施行は9ヶ月以内の政令で定める日となっており、本日の閣議で来年2月27日の施行が決定された。今後、施行までに様々な手続を定める省令等の用意をする予定。
(3) 所管省対応に対する問題提起者等意見(問題提起者等欠席のため、事務局から説明)
[事務局]

問題提起者の方からは、時間がかかったが民間への開放が実現して感謝している旨ご意見をいただいている。
(4) 議長による総括等
1) 平成11年度の問題提起を経て、平成13年度に再度問題提起がなされた本件は、輸入食品の検査機関が公益法人に限定されていることが、輸入業者に低水準のサービス、高い検査費用といった負担を強いる結果となっているとの認識に基づき、検査機関の民間への開放を求めたものであった。

2) 今回検証の結果、検査機関の民間への開放等を盛り込んだ改正食品衛生法が本年5月に公布され、年月を要したものの、対策本部決定された方針が実施に移されたことが確認できた。

3) 今後は、民間検査機関の参入を通じて競争原理が働き、より効率的な検査、輸入業者の負担の軽減が実現することが期待される。

4) 厚生労働省には、今般の改正により民間参入が円滑に進むよう必要な措置を講じるとともに、改正法施行後の動向についても、所期の効果が上げられているかとの観点から、十分監視することを期待する。

5) なお、平成11年度の対策本部決定から年月を要した経緯に関し、厚生労働省の対応に不十分な点があったことは留意されるべきである。
議題4 「毒物及び劇物のタンクコンテナによる国内輸送容量に関する基準の見直し(平成13年度問題提起プロセス)」(対策本部決定の検証)

(1) 事務局から対策本部決定に至る経緯等について説明
1) 本件は、我が国における毒物及び劇物を運搬する際の容器に関する基準が国際基準と整合的でなく、輸入を阻害する要因となっていることから、国内基準を国際基準に整合させるよう見直しを求めたもの。 

2) 推進会議は国内基準を国際基準に整合するよう見直しを行うことを求め、これを受けて対策本部決定がなされた。
(2) 所管省庁から対策本部決定への対応状況の説明
[厚生労働省]
 
国際基準に適合するタンクコンテナの国内使用を可能とすることについては、平成14年11月に薬事・食品衛生審議会から、必要な措置を講ずることが適当であるとのご意見をいただき、毒物劇物取締法の政・省令の改正を昨年末から本年初に行い、本年2月1日より基準に適合するものを認めているところ。
(3) 所管省対応に対する問題提起者等意見(問題提起者等欠席のため、事務局から説明)
[事務局]

問題提起者の方からは、政令及び省令の改正により輸入がスムーズに行われることとなった等、感謝している旨ご意見をいただいている。
(4) 議長による総括等
1) 平成13年に問題提起がなされた本件は、我が国における毒物及び劇物を運搬する際の容器に関する基準が国際基準と整合的でなく、輸入を阻害する要因となっていることから、国内基準を国際基準に整合させるよう見直しを求めたものであった。

2) 今回検証の結果、平成14年度の政令改正において、国際基準に適合するタンクコンテナの国内使用を可能にする規定が設けられ、対策本部決定が着実に実施に移されたことが確認された。

3) 取り分け、当該規定において国際基準を引用することにより、国際基準の変更に応じて整合性の維持が図れるよう措置が講じられ、平成13年度の専門家会議における議論を反映した形で改正が行われたことは評価される。

4) 本措置により、我が国への毒物及び劇物の輸入が円滑化されるとともに、国内輸送コストの低減化が実現することが期待される。
議題5 その他

「家電リサイクル法に基づくリサイクル料金設定」に関する対策本部決定の検証(第1回専門家会議案件)に係る問題提起者等立場の報告等(大河原推進会議議長による議事)

(1) 事務局から問題提起者等立場について報告
1) 前回の専門家会議での議論を問題提起者等にお伝えした上で、改めて本件に対する立場を伺った。

2) 前回専門家会議で事務局からご説明したとおり、問題提起者側は平成13年度問題提起プロセス当時の主張を特に変えているものではなく、リサイクル料金の大小区分の導入は引き続き必要と考えているとのことであった。
 
3) しかしながら、平成13年度当時の審議において、「リサイクル料金はメーカーが自由に設定しているものであり、政府は関与できない」との経済産業省の主張等を踏まえ、「大小区分の導入に進展は見込めない」と結論付けるに至っているため、前回専門家会議にも出席しなかった、とのことである。

4) 問題提起者側に対し、前回の専門家会議において多くの委員から、「対策本部決定に対する経済産業省対応は十分でない」とのご意見があった旨も伝えたが、「適正原価の把握ならびに情報公開は重要であるが、経済産業省がリサイクル料金には関与できないと主張している以上、そのことが直ちに大小区分の導入につながるものではないと考えている」とのことであった。

5) 本件に関する問題提起者側の立場は、あくまで大小区分の導入の早期実施を求めたいというものである。

6) 問題提起者側の立場を聴取した結果は以上であるが、前回専門家会議でも申し上げたとおり、対策本部決定は政府として対応を決定したものであり、所管省である経済産業省は引き続き実施の義務を負う、というのが事務局としての見解である。
(2) 委員からの主な発言等
現在の料金設定にはかなり不透明な点があり、1つの課題であると思う。経済産業省が前回の審議においてコスト調査をやると言っていたこともあり、介入できないまでもデータについて所管省庁がどこまで把握するか、それがOTOにどれだけ情報提供されるかは大変重要なことである。
(事務局)特定家庭用機器再商品化法の中で、リサイクル価格は適正原価を上回ってはならないと規定されており、また、経済産業省は対策本部決定に基づき、適正原価について情報の公開に努めていきたいとの回答であったので、当然その責務を負っているものと考えている。今後も適正原価の把握に努めるよう求めていきたい。
(3) 推進会議議長による総括等
1) 本件対策本部決定に至る背景となった問題提起は、大手家電メーカーがリサイクル料金を一律に設定していることが、結果的に小型の家電製品を製造・販売している韓国家電メーカーの価格競争力を弱めているため、政府は、リサイクル原価に応じて対象品目ごとに大小を区分して料金を設定するよう指導・是正すべきである、との内容であった。

2) 平成13年度に議論した当時は、法施行後間もない時期であったこともあり、推進会議は経済産業省に対して、まずはリサイクル料金の適正原価について情報公開に努めるとともに、これを十分監視するよう求めた。また、公正取引委員会には、製品市場及びリサイクル市場における競争が制限されることのないよう注視すべきことを求めた。

3) 今回検証の結果、リサイクル料金の適正原価の情報公開に関して、経済産業省からは、適正原価の把握は継続的な課題となっている旨説明があった。この点については、粗大ゴミ処理費用との比較は、当面の対応としては評価できるものの、経済産業省にはリサイクル料金が適正原価を上回っていないことを確認する法律上の義務を有する故、適正原価の把握に向けて一層努力する必要がある。

4) その上で経済産業省は、対策本部決定に従って、リサイクル料金の適正原価について情報の公開に努めるとともに、これを十分監視することが引き続き求められる。本対策本部決定を着実に実施することは、リサイクル料金に大小区分を導入すべきとの問題提起者の申立てに対する措置となる。

5) 公正取引委員会においても、引き続き対策本部決定に従って、製品市場及びリサイクル市場における競争が制限されることのないよう注視することが求められる。

6) 経済産業省には、適正原価の把握に向けた取り組みについて、進捗状況を適宜、事務局を通じて推進会議に報告することを求める。
以上

(速報のため事後修正の可能性あり)

[問い合わせ先]内閣府市場開放問題苦情処理対策室
TEL 03-3581-0384(直通)