1 日時 平成14年12月9日(月)15:00〜17:00
2 場所 内閣府共用第4特別会議室(406号室)
3 出席者
(OTO推進会議)
大河原推進会議議長、行天委員(議長)、北岡委員、黒田委員、島野委員、谷村委員、眞木委員、松下委員、金森委員、兼重委員、高瀬委員、西村委員、本田委員、村上委員(所管省庁)
国土交通省住宅局建築指導課 佐々木課長、長崎国際基準調査官、杉藤企画専門官(OTO事務局)
加藤大臣官房審議官、渡辺企画官、岡参事官補佐
4 議題
(1)輸入建材等の検査での海外検査データの活用
(2)その他
5 審議の概要
(1) 事務局から、提起された課題、所管省庁による措置の概要(案件を巡る背景)及び課題・論点について説明
(課題・論点)
○ 「承認性能評価機関」及び「承認認定機関」という法的枠組みは設けられていても、当該機関として承認されているものが存在しなければ、意味がないのではないか。○ 国土交通省は、承認実績がない(改正法が当初予定していたスキームが活用されていない)というこの現状について、何が障害になっていると分析しているのか。
今後、承認性能評価機関及び承認認定機関を承認し、さらにその機関数を増やすためにどのような具体的措置を講ずるつもりなのか。
例えば、現在、承認申請(添付書類を含む。)に使用する言語は、英語等外国語も認められているのか。認められていない場合、申請に使用する言語として英語等を認めることにより促進が図られるのではないか。
また、諸外国政府及び外国機関に対する新制度の説明・PRは、どのように行われたのか。申請に係る英語等による手引書等は作成しているのか。○ 国土交通省は、「外国を業務範囲に含めている指定認定機関(国内機関)を活用されたい」と回答しているが、外国企業等にとっては、外国機関を活用する方が利便性が高いことは自明であり、その点を国土交通省も認めているからこそ、承認性能評価機関及び承認認定機関の制度を設けたのではないか。
(2) 所管省庁からの説明
ア 外国の性能評価機関の承認に関する最新の状況としては、現在2機関について承認申請の事前相談を受けている。うち1つ、オーストラリアの機関は、実質的な審査はほぼ終え、最終的な申請書類の提出を待っているところであり、提出があれば、年明け早々にも承認できる見通し。
もう1つは、アメリカの機関で、この機関についても書類審査を進めているところであり、1月には現地での設備等の審査を予定している。順調に進めば、年度内にも承認が可能ではないかと考えている。
また、この外にも、関心を示してお問い合わせ等をいただいている機関が1つある。イ 本件制度は、外国の機関からの申請を待って審査・承認を行うものであり、承認実績がないのはなぜかという点については、そもそも申請が少ないのはなぜかということになると思う。
この点については、外国の機関にとって性能評価業務というものがビジネスとして成り立つかどうか、うま味があるかどうかという意味で、それほど大きく評価されていないのではないかということが一番大きな原因ではないかと考えている。
その背景としては、平成10年以来の一連の建築基準法関係の規定の改正において、技術基準が整備されたということを経て、従来、性能評価が必要だった製品等で認定が不要になったものがかなりある。例えば、スチールハウス、木製トラス、ギャングネイル等が新たに個々に認定を取る必要がなくなった。それから、実際問題として、我が国で建材を輸入して販売する場合には、日本の住宅メーカーあるいは輸入代理店を通して販売される場合が非常に多く、そういったメーカー、輸入代理店等が日本の性能評価機関に申請して性能評価を受けているということが多く行われているという状況がある。
外にも、これは推測だが、例えばアメリカで住宅建設が非常に好調であったということで、我が国の市場に対してそれほど大きな魅力を感じられていなかったのではないか、我が国の住宅市場の総体的な評価が、全体としてこのところ低下しているというような感じもしている。
こういったことが、外国の性能評価機関からの申請が少なかった原因になっているのではないかと考えている。ウ しかし、今後、外国機関による性能評価の需要が高まっていくということも考えられ、従来から当省としては、建築住宅関係の技術関係で2国間会議、あるいは特に米・加とは3国で建築専門家委員会という定期的な会合の場を通じても、制度のPRに努めている。
また、これから、先ほど申し上げた承認実績が出てくるということも1つのインセンティブになると思われるので、この点も含めてPRに努力していきたい。エ なお、論点の最後で、国内の性能評価機関を活用されたいと申し上げたのは、あくまでこの時点で承認がなかったためで、外国の機関が承認されれば、当然そちらの便利なところを活用して頂きたい。
(3) 委員からの主な発言と所管省庁等の応答
ア 申請が少ない理由として、申請の要件が難しいということもあるはず。
例えば、前回の専門家会議で、厚生労働省は、英語による申請を認めているものがあると回答している。
ところが、国土交通省では全く受け入れられていない。それが、申請が少ない理由になっているのではないか。
民間会社だったらつぶれるようなことを、官庁は平気で時間をかけてやっている。民間の人に、官庁は何か役に立っていると思わせなければ、説得できない。手続さえあればそれで済むというような昔の官庁の態度では済まない時代に入っている。(国土交通省)イ なにか原則があって、日本語でないと全ていけないといまだに考えているのか、それとも現実問題として、わざと日本語でないといけないというバリアを作っているのか。
日本国の公用語である日本語での申請をお願いしている。ただし、やりとりは、英語等で行う場合もある。そのこと(日本語での申請)自体が、そんなに大きな障壁になっているとは考えていないが、例えば日本語に翻訳していくときの技術上のアドバイスなどもしながら、円滑に進むようにしていきたい。
承認申請には、当該機関のいろいろな活動や機能を報告しなければならず、英語から日本語に翻訳するには大変お金がかかる。その点がバリアになって、それ程の費用をかけるほどのことはないと思って申請しない機関が多数あるのではないか。他にもそのようなケースは沢山あった。少なくとも英語は認める必要がある。ウ そもそも、申請書類は日本語でなければいけないというのは、各省ベースで決めているなのか。それとも、政府としての統一ルールがあるのか。
今まで、このOTOで取り上げた厚生労働省や農林水産省の案件で、現にもう申請書類について、英語でもいいようにしようではないかという検討を始めているところもある。(国土交通省)エ 平成9年3月のOTOで、「海外の規格に適合する建設資材の受け入れ等」についての審議があり、そのときは、ASTMに適合してものは、日本でも認めてくれないかという問題であった。
日本語でなければならないということは、基準法の手続規定上は書いてない。ただ、我々の審査能力の問題もあり、また、厳密な部分についての最終的な判断が必要になる場合等に備えて、今までの慣例で日本語で提出していただいている。
ただ、実際、技術の議論をし始めますと、単に英語を日本語に訳せば良いというものではなく、英語の原本に当たって内容を確認した上で、では日本語はこう書いておきましょうというようなことをしている例はある。
最終的な書式としては、国土交通省は遅れているのかもしれないが、日本語で形式を整えて出していただいているというのが実態である。
当時の建設省のお答えは、ASTMは北米だけにしか通用していないから認められない。ISOが進んでいくことに大いに期待しており、そのISOの審議には我々も積極的にかかわっていくというものであった。これは、確かにISOで通れば、国際的に一律になるから結構だが、この審議から5年経って、ISOは今どういう段階にあるのか。プロポーザルの段階なのか、それとも、もうドラフトが出て審議されているのか。(国土交通省)オ ということは、ASTMは認めないけれども、ISOならそのときから認めたということか。
防火戸の試験方法については、ISOの定められたルール、ISOの標準があって、我が国の基準もそれと調和させている。(国土交通省)カ 検査に 100万円以上の費用がかかるとのことだが、本当に 100万円もかかるのか、それとも実際は違う数字なのか。
種別によるが、防火戸については、当時からASTMもISOも国際的にほぼ同一の規格を採用していた。一方、我が国は、当時はまだ独自の基準を持っていたが、平成10年の法改正により、ISOと整合化を図っている。(国土交通省)キ 平成8年のOTOの審議記録を見ると、ISOの基準に適合しているものについては、その承認データを認めて費用を低減すべきとする問題提起があり、これに対する最終的な建設省の回答は、ISO9000に適合する企業の申請は、品質保証体制と、それから品質管理体制に関しては審査を省略して、費用を4割ほど減らすことができた、というものであった。
ご指摘のとおり、防火戸については 100万円以上の費用がかかると思う。試験方法がISOで定められており、その方法で実施すると、必然的にその額が必要となる。
この 100万円以上の費用がかかるというのは、ISOも受け入れた上で、なおかつ 100万円かかるということか。(国土交通省)ク 本件に係る分野に関しては、相互認証制度の推進ということは図られていないのか。別の課だと思うが、以前、建設省の問題で、相互認証制度を推進することによって問題を解決したいと大変前向きな答えがあったように記憶している。
はい。ご指摘のISOは、ISO9000品質管理に関する規格であり、建材については、まずその製品の性能があるかという性能試験にもそれぞれISOが定められており、これについての試験費用が、100万円以上かかるという部分だと思う。それ以外にも、工場の品質管理体制等についても書面あるいは現地審査が必要となっているが、その品質管理部分については、ISO9000シリーズに適合することにより、審査が一部省略されるということ。(国土交通省)ケ 民間企業でいうと信じられない、会社がもう倒産している位の時間がかかってもまだ進んでいないという感じの状態。
ご指摘のように、相互認証については、長期的にはそのような可能性も出てくると思う。
例えば、今回の発端になった防火関係の試験につきましても、EUあるいは北米では、それぞれかなり厳密なお互いの監視、実地検査をやった上で、相互認証のような制度が始まっていると聞いている。将来、我が国も導入できる可能性はあろうかと思う。
ただ、現在は建築基準法を性能規定化して、そして外国のデータを受け入れる仕組みをつくって、いわばその前段のところまではようやく来た、(相互認証は)これからの課題だろうと考えている。
せっかく作った制度に外国が乗ってこない理由としては、その検査機関なり認定機関のステイタスがプラスにならない、つまりそもそも魅力がないという部分がかなりあるのではないかと思う。
逆の例を言うと、日本の農家が無農薬栽培の仕事を進めるに当たって米国の基準の適合認証を取ろうという努力をしている例がある。これは、「アメリカに輸出しようというのではなく、米国のこの基準に適合するということは、日本の農家の体質改善を最も確実にさせる一番良い道である。それを取ることによって国内の市場、マーケットの信頼をも得ることができる。だから、この米国の基準というのは是非とも取りたい。」ということであった。現在、日本の規格に合致すること、あるいは、日本の基準を取得するための機関であることが、アジア、アフリカ諸国にとって大いに販路が広がるようなメリット、魅力のある仕事となっていない。長い目で見ると、結局、日本の特殊な規格というのは全部吸収されて行かざるを得ないと思う。
したがって、日本の規格・基準を守っていくということより、早く国際的な方向に一致させることの努力をしないといけない。
しかし、大体において、ISOの審議というのは大変時間がかかる。また、私の知っている限りでは、残念ながら日本のスタッフが、ISOのワーキンググループやサブコミッティーに行って、堂々と議論して自分たちの主張を通すということは、ほとんど不可能に近い。リーディングカントリーにはなりきれない。
むしろこういうときには、日本の方が率先して、ASTM、ISO、EUの規格などと手を結び、もっと多国間の提携による規格・基準の制定なり運用の推進ということを考えていかないと、結局、日本の市場というのは魅力がないということだけが残ってしまって、何も得るところがないということになる。
規格・基準は、長い目で見ると産業にとって非常に重要なものであり、もっと長期的・国際的な戦略というものを考えるべき。火事は世界中どの国でも起こるし、地震も大抵の所で起きるものであり、日本の規格を守っていくということにそんなに頑張る必要はない。むしろ大事なことは、これから長い目で見て、日本の産業が世界と太刀打ちしていく時に、変な規格で押さえられて競争力を失っていく、あるいは日本のマーケットに魅力がないので、中国の方に流れていかないようにするためには、もっと国際的に開かれた規格体系を早く自分でつくらなければいけない。
これは、きょうの答えに直接は結びつかないけれども、これに似た問題は各省で頻繁に起こる。日本の規格・基準の国際的な長期戦略というものをもう少しまじめに考える必要がある。
実際に、個々の場面では、各省庁は努力していると思うが、何年経っても甚だ成果が出てこない。もう少し別の道を求めることも必要だということを申し上げたい。コ 今の話は、この建築資材という問題に限らず、非常に多面的な問題だと思う。最近、グローバルスタンダードという言葉が流行り物になっているが、日本としてこのグローバルスタンダードというものにどのように対応していくかということは、1省庁の問題ではなく、国全体として考えなければならない話である。
サ (1)事前相談という制度で動かしているようだが、事前相談をして断念したという外国機関はあったのか、なかったのか。
(2)オーストラリアの機関とアメリカの機関が、今、事前相談にかかっているという話だが、その事前相談が開始された時期はそれぞれいつか。(国土交通省)シ オーストラリアの方は2年半かけて実質審査を終えたという話だが、その実質審査には、例えば現地調査も含まれるのか。
(1)実質的な中身の話に入って断念したところはない。ただ、どういう制度か聞きに来て、それ以来音沙汰がないのがイギリス方面に1つある。
(2)オーストラリアの機関は、制度ができて比較的早い時期に承認を受けたいという話があり、それ以来ずっと協議してきた。初めてのことであり、文化・習慣の違い、言葉の違い等により、審査のための書類を整えるためにかなり時間がかかってしまったというのが実態である。
例えば日本の制度ですと、成年被後見人が役員にいないことといったことが基準に書いてあるが、そういう概念をオーストラリアでどう証明するのかということ、あるいは試験方法の具体的な中身まで、いろいろなことを1つ1つ詰めてきた。結果的に、2年半近くかかっている。
もう一方のアメリカの機関は、半年前に最初の相談があり、年明けには実地検査に行けるという段階まで来ている。
今後はもっと早くなるのではないかと思っている。
また、事前相談段階で問題点を全部クリアしたものを承認するという運用なのか、それとも、ある程度の段階が来たらすぐに申請はさせて、そこで申請(審査)の過程でチェックをしながら、最終的な行政の判断を下すのか、実際の運用というのはどのようにすべきだと考えているのか。(国土交通省)ス 多分、事前相談という制度はどこにも法律には書いていない制度だと思う。法の建前は申請後、それを承認するか否かという制度になっており、事前審査の段階で、オーストラリアの方が2年半かかるというのは、多少長過ぎるのではないかという気がするが、その辺はいかがか。
1点目の現地調査については、かなり早い段階で実施し、防火試験のための炉を実地に調査している。
2点目の事前審査については、現実(の運用)を申しますと、一番最初に部次長に相当する人のサインの入った申請書が、添付書類不完全で出てきたということあった。それについては、まず部次長の代表権の有無を確認するなど、1つ1つ修正し、現在に至っている段階である。
そして、今度は全部書類が整った段階で、最終的にその組織の代表者のサインの入った正式なものを提出してもらい、あとは、国土交通省の内部決裁だけという段階になっている。このような手続を踏んでいる。(国土交通省)セ 今の問題は、ほとんどの部分がこの申請に係る英語等による手引書がないために生じた問題である。英語等による手引書などを作成し、ホームページに載せるといったことは考えていないのか。
今にしてみれば長いと思う。何でこんな簡単なことが早くできなかったのかというような部分も中にはある。
例えば、先ほどの例の中に、部次長のサインで申請書が出てきたという話を上げたが、それ以前の問題として、その申請者に日本で言うところの法人格があるかどうかということについて問題が生じ、法人格を取得しているところに申請主体を変更するというようなことがあった。そのようなことでも時間がかかっている。
ただ、これも、最初の申請だからのことであり、次からはこのようなことはないと思う。現に、2番目に来ているアメリカの機関については、申請者の法人格について多少の疑義があったが、比較的簡単に処理することができた。(国土交通省)ソ 性能認定といった問題は、まず日本の基準と外国の基準が相違するか否か、また相違する場合の理由といったことから始まる。
現在、そのような物を作成する予定はないが、様々なやりとりの際の英文資料がかなり手元にあり、照会があれば、その種の資料を渡して対応することは可能かと思う。
本件の場合、防火戸の場合、ISOが一応その基準を作ったとのことだが、多分、そのISOの基準というのは、そのレベルが書いてあると同時に、試験方法まで詳細に決めていると思うがいかがか。(国土交通省)
試験方法に関する基準です。タ その場合、そのISOの基準に適合する形で試験を行っている外国の試験機関も、やはり試験機関としての実地検証を受けないと承認されないのか。 また、国土交通省からの回答には、「種類によっては、輸出国の試験データをもとに、性能評価を受けることができる」とあるが、一方で、例えばISOの試験方法に準拠していることが明らかで、アメリカやEUなど相当シビアにやっている国のものであっても、やはり日本国が要求している基準を充足するためには、あくまで国土交通省が機関の役員や法人格等あらゆることを調べ上げた上でなければできないという体系となっている。
もう少し肩の力を抜いて、ISOも一般化し、各国ISOの試験方法でやっているなら、合格とする試験結果は、30、50、100と国々によって異なっても、データそのものは受け入れよう、そのかわり、こちらの方も受け入れてくれよといったことにはならないのか。これは、突き詰めればReciprocal Recognition(相互認証)になるわけだが、正式な相互認証を実施する前の段階においても、事実上そのような運用を図るということはあり得ないのか。(国土交通省)チ 先程、法人格の有無が問題であるとの話があったが、日本でも法人格のない団体は沢山あり、法人格を有する団体が非常に能力があるということはない。その点はどのような考え方になっているのか。申請の適格性というものについてはどういう基準になっているのか。
先程、アメリカとカナダの間、あるいは英連邦の中で試験機関がお互いに認定され合っている関係があるという例を申し上げたが、その際にも、やはり相互に当該試験機関が的確に試験を行えるかという実地検査も含めてチェックをした上で受け入れているとのこと。そういう意味では、私どもは、特に厳しく見ているということではないと思う。
また、外国データの受け入れに関しては、大抵のデータは、信頼が置けると思われるものであれば受け入れている。「信頼が置ける」という意味は、例えばISOの試験方法に則って行われているとか、その試験記録が適正に管理されているということであれば、中立的な機関でなくても、場合によっては自社データの試験であっても評価の対象としている。
ただし、例外があり、防耐火関係の試験、それから壁倍率と言って、木造住宅の壁の強度を測るための試験、大きく分ければこの2つの試験については、試験装置によっての誤差が非常に大きく出るということが経験的に分かっており、実際にそれぞれの試験施設に行って、標準試験体を燃やし、そのデータが正確に出るか否かの確認をして、初めてaccreditation(認定)している。
ちなみに、北米とEUは相互には承認していないと聞いており、あくまでも北米、EU圏内、英連邦圏内で、日本は今のところ単独でぽつんといるというような状況。(国土交通省)ツ 英語による申請の可否が問題になっているが、先程の話では、法律上、日本語で申請書を出さなければならないということにはなっていないということなので、そうすると、特にこれについて何かのルールはない、つまり、省でもし英語で良いと決めればそうなるということで宜しいか。
法律上、申請できるのは「個人又は法人」と明記されており、そのため個人又は法人でないと、承認あるいは国内機関であれば指定できないということとなっている
また、非英語国である外国、例えば韓国等では、申請に英語が認められているのか自国語のみとなっているのか、実情が分かったら伺いたい。(国土交通省)テ 事前審査は、本件に限らず、我が国における許認可においては必ずと言ってよい程ある話だと思うが、なぜ事前審査に長期間を要するかということを考えてみると、一つには、そもそも許認可の要件が大変厳しい、したがってそう簡単にその資格は満たせないという問題があると思う。また、もう一つは、どのように申請したらよいのかということが分からないといったことがあると思う。現在、非常に分かり易いマニュアル、手引書が、恐らくないのだろうと思う。したがって、特に外国人が日本でこのような申請をしようとする時に、これを見れば大体申請の仕方がわかるというような親切な対応を取るべきである。
英語での申請受け入れについては、建築基準法の中に禁止規定はないが、ビザ申請といった以外を除けば、日本の省庁で外国語での申請を受け付けている例はないと思う。もしかしたら何かどこかに包括的に禁止している規定があるのかもしれないが。その点は、不勉強で分からない。
もし仮に受け入れるとした場合、英語は良くて韓国語、中国語はだめなのかといった難しい問題も出てこようかと思う。
また、韓国等で自国語以外の申請が受け入れられているかどうかについては、承知していない。
また、事前審査は別として、本申請があってから承認までの期間について、国土交通省は、目途となる期間を設定しているのか。
行政手続法でも標準的な期間を定めるべきという考え方があり、本件について、国土交通省はどのような考えを持っているのか。(国土交通省)ト 申請者にその情報は当然開示されるということで宜しいか。
これについては、標準処理期間は定めていない。
ただ、整った形で出てきた申請であれば、もうこれは内部決裁の手続になるので、何カ月あるいは何週間ということはなく迅速に処理できると考えている。
適正な申請書が提出されればどれ位の期間で処理が終了するか、つまり、申請者はその期間を前提にビジネスの準備をして大丈夫といった情報は、開示されているということで宜しいか。
やはり、申請してからどれ位で許可がおりるかを知ることは、正に国土交通省の発言にもあった通り、これもビジネスだと考えれば、非常に大事なことだと思う。(国土交通省)ナ 事前相談はいろいろなところで行われており、それ自体が必ずしも悪いとは思わないが、別の官庁の例で、確定的な回答をなかなかもらえないという問題があった。駄目な場合は「だめ」と言われるが、大丈夫な場合には、「これは必ず大丈夫だ」という回答がなかなかもらえず、様々な条件を付されて、こういうことがあれば大丈夫かもしれないがと非常に不確定な回答しか貰えないという問題があった。
最終的に整った形の書類が提出されるために、私どもはいろいろな形でコミュニケーションに努めており、その中で、承認までの期間について、目安としての説明はできると考えている。
また、もう一つは、時間の問題が挙げられる。時間がかかるということの外に、案件によって時間のかかり方が全て異なり、予測が非常に難しいという問題がある。それから、事前に文書での回答は非常に貰い難いと。これは、外国企業だけでなく、日本企業もそういう問題を非常に抱えているわけです。
一般的にそのような問題があると考えており、透明性や迅速性といったことを念頭に置いて事前相談制度というものは、運用することが非常に重要だと思う。ニ 英語のことで2点申し上げたい。
国土交通省から、もしかしたら各省に対し英語を使わないという何らかの指定が包括的にあったのではないかという発言があったが、もしもそれがなければ前向きに考えようということであるのなら、大変結構だと思う。というのも、そのような包括的な指定があるかというと、ないのだと思う。
昨年度、他の省庁で同じ英語による申請の問題を議論した時に、なぜ英語を受け入れないのだと質問したら、その省の答えは非常に明快であって、「当然だから受け入れないのだ」と。なぜ当然なのだと聞いたら、その答えがまた大変明快で、「当然だから当然なんだ」との回答であった。つまり、簡単に言うと(包括的な指定は)ないはず。
したがって、包括的に縛られているというおそれはないのだから、確実に進めるべきである。
また、技術上の問題は、むしろ英文を見る必要があるという話があった。私も本当に重要な書類であればあるほど、もとの言語に当たっておかないと心配でしようがないというのは、契約なり認可する担当者としては普通だと思う。翻訳文には日本の法規に適合するようにうまく書いてあったところで、実は当該申請機関が存する外国では異なる解釈をしていたということは大いにあり得る。大事なことを認可するのだったら、英語の書類を必ず受け入れるということをまず習慣づけておかれることを進言する。
(4) 議長による総括
「承認性能評価機関」及び「承認認定機関」という法律的枠組みが設けられても、実際に当該機関として承認されているものが存在しなければ、そもそも意味がない。
したがって、国土交通省としては、承認実績が未だないという現状分析を的確に行い、早く承認実績をつくり、さらにその機関数を増やすために、いろいろな努力をするべきである。
諸外国の政府及び外国の機関に対して効果的なPRを行うこと、また、申請を容易にするための措置として、承認に係る標準処理期間を定め、英語等での申請マニュアルを作成し、さらに、英語等の外国語による申請を認めるなど、積極的な措置を講ずる必要がある。
また、利用者の利便性を図る観点からも、国際的な基準に適合するよう、将来的には諸外国との相互認証が実現できるような仕組みについても早速検討を行うべきである。
本日は、政府機関による認定の問題について幅広い意見が委員から出された。国土交通省も、単に国土交通省という立場だけではなく、日本国政府の一員として、このような非常に幅広い問題について、できるだけ広い視野を持って取り組むべきである。
(速報のため事後修正の可能性あり)