OTO推進会議平成8年度第2回専門家会議議事要旨
(平成9年1月23日)
日時 平成9年1月21日(火)15:00〜17:00
場所 経済企画庁特別会議室(1230号)
-
出席者
-
(推進会議)
議長 谷村議長
議長代理 行天委員、久米委員、島野委員、眞木委員、増田委員
委員 片岡委員、兼重委員、児玉委員、細川委員、本田委員
オブザーバー 李特別委員
-
(問題提起者)
駐日米国大使館 クレイグ・アレン上席商務官 他
東京商工会議所 新田国際経済担当課長 他
駐日オーストラリア大使館 ジェーン・マッデン参事官 他
-
(所管省庁)
厚生省薬務局 間杉監視指導課長 他
農林水産省畜産局 瀧倉競馬監督課長、経済局 伊藤国際企画課長 他
-
(OTO本部・事務局)
小林審議官、滑川貿易投資調整官、川口OTO対策官 他
-
議題
-
(1)個別に順次審議することとされている案件以外の案件の検討状況
-
(2)その他
-
審議の概要
議題1 個別に順次審議することとされている案件以外の案件の検討状況
○ 事務局から問題提起内容、所管省庁の対処方針及び対処方針に対する問題提起者の意
見等につき説明
○ 問題提起者から意見陳述
[2−2 栄養補助食品の形状等に係る規制緩和] (駐日米国大使館)
- OTO対策本部決定に基づく対応が遅く、対応も過少であることを懸念している。
- OTO対策本部決定に従い、ビタミンC、その他のビタミン及び栄養補助食品は食品と
見なしすべて自由化すべき。
- すべての栄養補助食品について、カプセルや錠剤が使えるように必要な措置を即時取る
べき。
- 通常海外で食品として流通・販売されているものが医薬品として規制されることなく食
品として取り扱いできるようにすることについての詳細な内容やスケジュールを公表すべ
き。
- 昭和46年の局長通知はOTO本部決定と整合性がなく、大幅な改正を行うか、もしくは
廃止すべき。
[2−6 化粧品等に関する規制緩和] (東京商工会議所)
- 成分が各種別で使用できるか確認するためには多大な時間がかかるため、許可済成分は
使用できる種別と共に即刻公表すべき。
- 審査期間の短縮化と事務手続きの合理化のため、許可済成分は種別許可基準へ早急に収
載するとともに、許可手続を見直すべき。
- 種別許可基準への新規成分の追加を年1回以上すべき。
- 化粧品の販売名の基準をすべての都道府県で統一し、不適切事例の即時公表をすべき。
- 成分許可制度を抜本的に見直し、欧米及び東南アジア諸国と整合性を図るべき。
- 本年度行われている見直しの具体的な内容について早急な経過報告を要望する。
[8−4 中央競馬における外国産馬の出走枠及び海外居住者の馬主登録に関する規制の
緩和] (駐日オーストラリア大使館)
- オーストラリア政府は、外国競走馬の日本市場への参入について特に2つの点、1)高関
税(現在は一頭につき380 万円)、2)JRA(日本中央競馬会)による差別的取り扱い
(外国産馬の出走制限及び国内非居住者の馬主登録の制限)について非常に残念に思って
いる。
- ウルグアイラウンド等により関税率は下がりつつあり、外国産馬に開放されるレースも
徐々に増えつつある。しかし、日本のレースがオープンでないことは主要競馬国の中で際
立っている。
- 我々は、1995年の在日オーストラリア・ニュージーランド商工会議所及び今回のオース
トラリア大使館による問題提起によって、JRAの計画に全く前進が見られないことに非
常に失望している。
- 2回の問題提起の際に所管省庁から得られた回答が全く同じであるのは残念なことだ。
(所管省庁の発言)
(厚生省)
- OTO対策本部決定は政府の対内・対外的な公約であり、これに基づいて対応中だが、
今後も着実に実施していきたい。ビタミンCの対応はその一部であり、中長期的には栄養
補助食品という第三の範疇を作ることの検討に早く着手する必要があると考えている。今
年度内にも省内で横断的な検討に着手したい。
- 医薬品と食品の範疇を決めるために、法律の体系が似ている欧州やWHO、CODEX
の議論を踏まえ、一定の線引きをしていきたい。
(農林水産省)
- JRAは、外国産馬の出走制限について92年に出走制限緩和計画を公表しており、所管
省はOTO対策本部決定に基づきその内容の着実な実行を促している。
- 結果として、平成7年度の外国産馬出走可能レースにおいて出走可能延頭数19,570頭に
対して、実績延頭数2,430 頭(国際レースでは44頭に対し11頭(平成8年))となってお
り、現在の緩和計画においても出走余地が大きい。
- 今後の緩和計画においては、外国で出走経験のない外国産馬が出走できるレースの編成
率を97年50%、98年52%とすることを昨年末決定した。
(委員の主な発言)
(総論)
- 新しい製品等に対する規制を考え、国民生活の安全性を守ってもらうのは結構なことだ
が、それでは規制が増える一方であるので、同時に、今までの規制品目でやめてよいもの
を考えるべき。規制が増えれば役人の数も増やさなければならなくなる。
- 海外の証明書の提出については、インターネットなどコンピューターを使い手続を迅速
化すべき。
- 日本の行政は透明性が足りず、検査の内容、結果、基準等について民間に不明な点が多
い。例えば、米国では新しい規制を作る際、公聴会等の意見陳述の機会が十分与えられ、
規制の策定プロセスに参加できるなどはるかに透明な行政が行われている。
- 行政手続法があるにもかかわらず苦情が出てくるところを見ると、法に違反していなく
ても法の精神が蹂躪されているからではないのか。法は守られていても内容は依然不明で
あることは、深刻に受け止めるべき。
- 1−3 農水省検疫と厚生省検疫の手続の一元化、2−6 化粧品等に関する規制緩
和、7−4 特恵関税適用のための原産地証明書に係る輸入手続の簡素化、7−14 輸入
通関手続の改善について共通していることとして、行政、民間両方についての効率性の問
題がある。外部機関に任せて効率化が進むものについてはどんどんやらせるべき。
(各論)
[1−2(3) 燻蒸料金」
- 燻蒸業者の数についての問題提起者と所管省で認識の違いがあるが、実際には燻蒸処理
業者はいくつあるのか。
[1−3 農水省検疫と厚生省検疫の手続の一元化」
- 農水・厚生両省の証明書の観点が異なり、要件を同一にはできないとある。しかし、統
一証明書の作成は、記述欄を増やすというような簡単なものなのではないか。そうであれ
ば、早急に統一書式を作成し、関係者に周知すべきである。
- 厚生省の衛生証明書の記入事項の誤りについては、関係者への記入事項の周知に努める
べきである。
[2−2 栄養補助食品の形状等に係る規制緩和]
- 昨年度の報告書において、ビタミン、ハーブ等の個別品目についてはタイムスケジュー
ルを示して順次規制緩和をするとともに、形状や表示についても大幅な緩和を行い、中長
期的には新しいカテゴリーをつくることを検討すべきことをOTO推進会議の意見として
述べた。厚生省はこの意見に沿って努力されている最中と思うが、報告書で期待した緩和
の規模とスピードからすると十分ではないのではないか。問題提起者は対応の実行につい
て不信感を募らせているので、形状や表示の規制緩和及び新しいカテゴリーを設けること
について具体的な予定を対処方針に示すべき。
[2−6 化粧品等に関する規制緩和]
- 昨年度の審議の結論として、平成8年度中に化粧品規制全体のあり方についての見直し
を行うこととなっているが、本年度も種別許可基準の拡大など全く同様の問題提起がなさ
れている。本問題提起者は厚生省の対応が具体的に述べられていないこと、規制緩和の作
業のスピードが遅いこと等を不満に感じているとのことなので、厚生省は是非現在行われ
ている見直しの作業の状況について対処方針に具体的に盛り込むべきである。本年度中に
見直しの結論を出すのであるなら、現時点では相当具体的な方向性は示せるはずである。
- (3)については、薬監証明の申請手続等は厚生省は簡便なものと認識しているようだが
、問題提起者の認識は異なるようである。きちんとした申請書を持ってくればすぐ証明が
とれるのか、それとも手間がかかるのか、何が問題か実態をよく詰めて頂きたい。
- (7)については、承認前例不明成分を確認する際、業界のまとめている資料では情報が
不十分だということのようだが、配合前例がある成分については、問題提起者のいう通り
、規制をしている厚生省自身が責任を持ってまとめるべき資料ではないか。
- (10)については、化粧品の名称について、都道府県により判定が異なるとのことだが、
厚生省はそれぞれの見解が異ならないよう基準を統一化し、また、過去の不適切事例を公
表するなどその整合に努めるべきである。
[3−7 冷凍設備に関する規制緩和]
[3−8 附属冷凍に関する規制緩和]
- 9年度中に委員会を設置して検討するとのことであるが、委員会の設置くらいであれば
8年度中に十分に可能ではないか。対処方針に示された予定を前倒しして早期に結論を得
るべきである。
[3−9 容器再検査期間の緩和]
- 容器再検査について、審議会において既に大きな方向が示されているのであれば、委員
会の検討について早急に結論を得て欲しい。「所要の規制合理化に着手する予定」という
のではその内容及び実施時期について全く具体性がなく、もっと具体的に示すべき。
[7−1 電算システムの活用による書類提出の簡素化]
- 通産省の必要情報がNACCSシステムにより入手できるのか、もし入手できなければ
NACCSの方で項目を追加する、又は通産省でとるのを省略するか、税関と通産省で協
議する必要がある。そのうえで、できないというのならその理由とともに明らかにするべ
きである。
[7−7(2) 不良品の修理等に係る再輸入時の免税手続の簡素化]
- 本件のような現場の個別的な話は、本省の方はそんなはずはないといい、また企業の方
は後難を恐れて発表できないというのでは、不透明なまま終わってしまう恐れがある。本
省から全国各地の税関の現場に十分説明・調査をして本省の意向を実現するよう努力して
もらいたい。そうすれば不透明な部分は解消されていくはず。
[7−14 輸入通関手続の改善]
- 書類の確認については、原本またはカーボンコピーでなければならないということでは
なく、現在利用可能な種々の技術を考慮した方法を考えて頂きたい。
[8−4 中央競馬における外国産馬の出走枠及び海外居住者の馬主登録に関する規制の
緩和]
- JRAでも努力をされているが、まだ外国の不満は根強いので、将来的なプログラムを
はっきりさせ、それについてお互いに具体的な話をすべきではないか。
- 現在でも外国産馬の出走枠に余りがあるからこれ以上の自由化の必要はないという話で
は外国の納得は得られない。
- 今年度問題提起があったにもかかわらず、今日の所管省の説明によると、一昨年度から
進んでいないという印象を受ける。JRAは日本の競馬ファンに対して、外国産馬と日本
産馬に関するアンケートを取ったことがあるのか。日本のファンが外国産馬の出走につい
てどういう意見を持っているのか伺いたい。
- JRAは毎年数%ずつレースをオープンにしていくのではなく、全面的にオープンにす
べき。そうすれば、日本の競馬も競争に揉まれてよくなるであろう。
- 現在の開放水準においても外国産馬の出走の余地が大きいということであるので、問題
の所在は枠の大きさ以外の問題、例えば外国からの輸送費がかさむといった経済的要因も
あるのではないか。こうした点について話し合いが十分行われていないのではないか。
- 馬主の認定制度については、外国の認定制度よりも日本が厳しいということであるが、
これまでの調査結果に基づいて、今後、公正なレースの実施という点にも考慮して具体的
な話し合いを外国と行うべき。
○ 議長による総括
────以上────
(速報のため事後修正の可能性あり)
[問い合わせ先]
経済企画庁調整局市場開放問題苦情処理対策室
直通 3581−5469