（平成９年２月19日）

日時　平成９年２月７日（金）15：00〜16：45

場所　経済企画庁特別会議室（1230号）

出席者
（推進会議）

　

第４回専門家会議議長

　八城委員 　

議長代理

　行天委員、佐々波委員、島野委員、谷村委員、山本委員 　

委員

　金森専門委員、兼重専門委員、児玉専門委員、宮智専門委員

（問題提起者）

（議題１）

在日ベルギー・ルクセンブルグ商業会議所　佐藤専務理事　他
東京商工会議所　新田国際経済担当課長　他

（所管省庁）

（議題１）

法務省入国管理局　塩口政策課長　他

（ＯＴＯ対策本部・事務局）

　小林審議官、滑川貿易投資調整官、川口ＯＴＯ対策官　他

議題

議題

1. 上陸審査基準等の見直し
2. 処理状況の審議
   1. ＣＡＴＶ給電電圧及び給電用ケーブル形状規格の緩和
   2. 輸入貨物に関わる法令手続機関の集積について

審議の概要

議題(1) 上陸審査基準等の見直し

• 事務局から問題の背景、問題提起内容及び所管省庁の対処方針につき説明
  　問題の所在: 適正な入国・在留管理を実現しつつ、外国企業の日本進出等の促進の観点から人の移動の円滑化を図るためには、どのような基準が適切か。

• 問題提起者から提起内容につき説明
  （問題提起内容）
  • ベルギー企業の駐在員として「企業内転勤」の在留資格で３年半在留しており、現行の基準では最長５年しか在留できないので、１年半後に帰国せざるを得ない。現在、事務所の従業員は１名であるため、「２名以上の常勤職員」の要件を満たせず、「投資・経営」の在留資格に変更することもできない。
  • ベルギー本社との契約で日本に駐在しているため、「本邦の公私の機関との契約」の要件を満たせず、「人文知識・国際業務」、「技術」の在留資格にも変更することができない。
  • 日本語が出来るベルギー人は少なく、代わりの者をすぐ見つけることは困難であり、日本の顧客にとっても、担当者がいなくなることは困るはずである。また、日本に滞在する職員数を２名に増やすのも非効率である。
  • 取引先からの証明書などできちんとビジネスを行っていることが証明できる場合には、在留期間の上限を撤廃してほしい。
  • タイにある姉妹会社から２人のタイ人を日本の会社の役員として呼び寄せるために申請したところ、半年以上待ち、貿易業者としては資本金が少なく基準に達していないという理由で不交付となった。問い合わせを行った際、基準の詳細について教えられないということであったが、基準を示さないのは法律上問題があるのではないか。
  • その後、事務所を拡張し資本金を増やし再申請したところ、半年間の在留資格を取得したが、その際に「必ず再認可されるとは限らない」と言われた。現在、２人のタイ人については、本社の役員として給与等すべて他の日本人役員と同様の扱いにしており、日本人と同等の雇用関係にある者に対しては、必ず許可してもらえる保証をすべき。
  • 在留資格に際しては、明確な基準の設定及び公開、取得までの時間短縮、再認可の保証、出身国や事業規模による差別的対応の撤廃をすべき。

• 所管省庁から対処方針につき説明
  　（対処方針）
  • 日本の入管制度は米国の制度と類似している。ヨーロッパは滞在許可を取得した上でさらに労働許可を別途取得しなくてはならないが、日本はこれらを一本化している。
  • 「投資・経営」の在留資格は、米国では高額な資本金を要件として課しているが、日本では事務所の確保と従業員数のみを基準として判断している。
  • 「企業内転勤」の在留資格については、外国の企業からの転勤であれば学歴、職歴は一切問わない代わりに、本来本国で在職している人として５年の上限を定めている。「企業に在留延長の決定権を与えるべき」という問題提起については、様々な国から様々な外国人が来日しているので、最低限度のチェックとして在留期間の設定は必要である。また、５年の上限は現在、規制緩和推進計画に基づき検討を行っているところである。
  • 「投資・経営」の在留資格については、米国のように投資額及び事業内容を明示して問うのではなく、架空ではない事業所の確保と２名以上の従業員の常勤雇用を要件としており、更新は何回でも可能である。
  • 「投資・経営」及び「企業内転勤」の在留資格に該当しない外国人は、「人文知識・国際業務」、「技術」の在留資格により就労目的で在留することとなる。この場合は日本で日本の会社や事業所と契約を交わすこととなっており、学歴や職歴を要件としている。これは欧米でも同様である。
  • 通常、就労目的で我が国に入国・在留するのであれば、「投資・経営」、「企業内転勤」、「人文知識・国際業務」、「技術」のいずれかに該当する。
  • 「企業内転勤」の在留資格しかないのであれば問題であるが、様々な在留資格があるので、いずれかに該当するはずである。　　　　　　　　　　　　
  • 日本に留学している学生は「人文知識・国際業務」、「技術」の在留資格で、卒業後は働くことができる。実際に約94％の留学生が卒業後この資格を認められている。また、外国人留学生をベビーシッター等で雇用することについて、「資格外活動」の許可を得た留学生であれば、１日４時間を限度として雇うことができる。
  • 外国人を職種にかかわりなく一般的に終日雇うことについては、チープレーバー及び単純労働者の導入に絡む問題であり、日本政府として慎重に対応せざるを得ない。このことは「第８次雇用対策基本計画」においても閣議決定されている。
  • 「１回許可されれば自動的に継続して保証して欲しい」という問題提起については、自動的に継続することはできず、必要に応じて実態調査等を行い活動内容をチェックしていきたい。

• この後、審議
  （委員の主な発言）
  （「投資・経営」の在留資格について）
  • 所管省の対処方針では、「投資額や事業内容を特に問うことなく」としている一方で、「書面上の事実のみをもって安易に許可をするのではなく、必要に応じて実態調査を実施し許可する」としており、これは実態に則した行政として評価する。しかし、それならば２名以上の従業員が必要という形式的な基準にこだわらず、実態上、妥当であれば許可する弾力性と事実の調査をする熱意をもつべきであり、それに併せて省令を改めるべき。
  • 単に形式的な基準を確認するだけであれば、わざわざ調査してもらうまでもない。書類上のみでなく実態によって判断しているというならば、人数が多ければ立派な会社と考えるのは、行政としては相当いい加減である。
  • 一度許可したが実態が違っていたことを発見した際には、その時点でどう処置し、また再発防止のために省内ではどのようにしているのか。
  • 不許可の理由の際に、資本金が少なく会社として認められなかったということだが、日本の法律に則して会社として登記されたにもかかわらず、なぜ会社の体をなしていないという判断になるのか。
  • 「投資・経営」の在留資格を与えるために必要な会社の資本金の額についての基準に関する問い合わせに対し、所管省が教えないことは、行政手続法の精神に反するのではないか。入国管理は行政手続法の適用除外であっても法の精神を尊重するべき。
  （「企業内転勤」の在留資格について）
  • ５年の在留期間の上限は、外国企業が、対内投資を行う際の妨げとなっており、外資系企業における人事管理にも支障がある。
  • 民間企業が諸外国に駐在員を出すとき、数年前までは任期が３年であったが、現在は５年が非常に多く、仕事次第で６、７年も珍しくないというのが実態である。法律は長い期間、日本に在留しないことを前提としているが、所管省は実態を把握しているのか。現在調査中の調査結果は出ているのか。
  • 在留資格を毎年更新し、チェックをした上で認めているにもかかわらず、５年たつとそれ以上滞在できないとうのは論理的でない。どういう論理で５年としているのか。
  • 所管省は「企業内転勤」がだめでも他の在留資格の取得が可能というが、問題提起者も述べているとおり他の在留資格に該当しないから困っているのであり、他の道もあるという回答は論理的ではない。
  （その他）
  • 日本語を習ってビジネスを行おうとする外国人にとって５年という在留期間は短か過ぎるのではないか。
  • 対日投資会議を設ける等の努力にもかかわらず、日本への直接投資額は米国と比較してはるかに少ない。対内対外の直接投資のインバランスも大きい。対内投資促進という意味でも所管省の対処方針には納得できないので、早急に改めるべき。
  • 本件についてＯＥＣＤレベルでの国際的標準化の動きはないのか。

  （所管省の応答）
  （「投資・経営」の在留資格について）

  • 「投資額や事業内容を問うことなく」の意味は、会社としての実態が伴っていることが前提ということである。その上で２名以上を要件としているのは、いろいろな議論の末に決定したものであり、会社の経営者として入国・在留が認められるには２名の常勤職員は最低必要であるということである。
  • 実態調査で問題があった場合は、様々な措置をとっている。
  • 会社として登記をしているというが、本件は会社ではなくタイ人の在留資格という切り口で見ており、会社の共同経営者としての実態があるかどうかによって判断している。

  （「企業内転勤」の在留資格について）

  • 現段階では、在留期間について平成９年度に見直しを含めて検討するということ以上のことは言えない。調査結果については、現在集計中である。本日の御指摘を踏まえて引き続き検討を行ってまいりたい。
  • 「企業内転勤」の在留資格はスムーズに入国できる代わりに、５年の上限を定めているのであり、５年以上の在留を望むなら「投資・経営」や「技術」の在留資格の取得も可能である。
  （その他）
  • 御指摘のとおり入管行政は、時代の要求、流れに応じて変わっていかなければならないと認識している。
  • 留学生については、昨年12月末に身元保証書の制度を廃止したが、今後とも必要な改革・改善を行っていかなければならない。
  • ＯＥＣＤレベルでの国際的標準化の動きは今のところない。ＥＵの中でも意見が分かれているものと承知している。

• 議長による総括
  • 就労を目的とする外国人の在留資格にかかる具体的基準については、健全なビジネスを行おうとする者が我が国に入国・在留することが阻害されることのないように見直すべき。
  • 在留資格の基準については、裁量の幅を最小限にとどめ、資格取得に必要な全ての基準を出来る限り明確にすべき。
  • 「企業内転勤」の５年の上限については、健全なビジネスを行おうとする者にとって支障がない期間に延長すべき。
  • 「投資・経営」の在留資格については、従業員数、事務所の大きさといった形式的な基準でなく、その経営の実態をみて健全な運営が証明される場合には、「企業内転勤」からの変更を柔軟に認めるよう改善すべき。
  • 以上の意見を踏まえて、今後、事務局の方で、問題提起者、所管省とも調整の上で、できるだけ具体的な改善内容と実施時期を盛り込んだ報告書の原案を作成し、議長に報告してもらいたい。その報告を受けて必要に応じ更なる検討を行いたい。　

議題(2) 処理状況の審議
1)ＣＡＴＶ給電電圧及び給電用ケーブル形状規格の緩和

• 事務局から問題の背景、問題提起内容、所管省庁の対処方針及び処理状況につき説明。
  • 問題提起者は自分の機材が認められる方向で話が進んでいることもあり、対処方針を了解。ただし、給電電圧については、ＣＡＴＶ運営の効率化及び米国技術の導入のため、将来は90Ｖにすることを要望している。

• 議長による総括
  • 本案件については、問題提起者が概ね了解しているとのことであり結構である。
  • 本件は、性能規定に関する案件であるが、規格については、構造規定から性能規定へという動きがあるので、今後の建議の際の検討に役立てて欲しい。

2)輸入貨物に関わる法令手続機関の集積について

• 事務局から問題の背景、問題提起内容、所管省庁の対処方針及び処理状況について説明
  • 問題提起者は以下３点の要望事項があるが、所管省庁の対処方針に８割方満足。
    1. 厚生省と農林水産省のシステムと税関のＮＡＣＣＳのインターフェースにより、具体的にどのような手続が簡略化できるのか関係者にしっかり公表して欲しい。
    2. 法令手続機関は、書類の簡略化など輸入手続を極力簡略化するよう相互の協力・支援体制を整備して欲しい。
    3. 既存港の整備や新港の開設等がなされる場合には、法令手続機関は一か所に集約して欲しい。
• この後審議
  　（委員の主な発言）
  • 法令手続機関の集積が問題になっているが、実際には多くの役所が関連していて進まない恐れがある。輸入手続きについて各省庁間で議論する場はないのか。（事務局より大蔵省関税局が事務局を務める輸入手続関連省庁連絡会議を紹介）
  • そういう会議があるならば、ＯＴＯで輸入貨物に関する法令手続機関を集積すべしとの議論があったことを紹介し、各省庁で前向きな対応を工夫してもらうことが必要。
  • 輸入関連の電算システムのインターフェース化を推進するという前向きな対応は大使館等の在外公館に情報提供等をするなど、事前のＰＲに努めるべき。

• 議長による総括
  • 問題提起者が所管省庁の対処方針に概ね了解しているとのことであり、また、輸入関連の電算システムのインタフェース化を推進するということは、輸入手続の迅速化・簡素化の観点からも望ましい方向にある。
  • 厚生省と農林水産省のシステムと税関のＮＡＣＣＳとのインタフェース化が図られる予定であり、これにより、複数の機関へ出かける必要がなくなる。この点について、関係者に具体的に今後どうなるか説明すべき。
  • 輸入手続関係省庁は相互の協力・支援体制を一層整備し、緊密な連絡体制のもと、より一層の輸入手続の簡素化・迅速化を図るよう務めるべき。例えば、一つの輸入品目で複数の輸入手続が必要である場合は、二重のチェックがかかったりしないよう極力簡素化すべき。
  • 輸入手続関連省庁連絡会議の場を有効活用していくべき。
  • 輸入関連の電算システムのインターフェース化を推進する計画については、在外公館等に情報提供等をするなど、事前のＰＲに努めるべき。
  • 以上の意見と問題提起者が指摘している点について、どのような対応が可能なのか、事務局及び所管省庁の方で早急に御検討頂きたい。その検討結果については議長に報告してもらいたい。その報告を受けて、必要に応じ更なる検討を行いたい。

（速報のため事後修正の可能性あり）

［問い合わせ先］
経済企画庁調整局市場開放問題苦情処理対策室
直通　　３５８１−５４６９