OTO推進会議平成8年度第7回専門家会議議事要旨
(平成9年2月 日)
- 日時 平成9年2月24日(月)15:00〜17:00
- 場所 経済企画庁特別会議室(1230号)
- 出席者
- (推進会議)
- 推進会議議長
- 大河原議長
- 議長
- 谷村委員
- 議長代理
- 久米委員、佐々波委員、島野委員、眞木委員、山本委員
- 委員
- 片岡委員、金森委員、兼重委員、児玉委員、細川委員、本田委員、 宮智委員、村上委員
- (問題提起者)
- 在日ベルギー・ルクセンブルク商業会議所 佐藤専務理事 他
- (所管省庁)
- 運輸省海上交通局 千代港運課長 他
- (OTO本部・事務局)
- 小林審議官、滑川貿易投資調整官、川口OTO対策官 他
- 議題
- 港湾料金引下げのための規制緩和
- 個別に審議することとされている案件以外の案件の検討状況
- 審議の概要
- 議題1 港湾料金引下げのための規制緩和
- 事務局から問題の背景、問題提起内容及び所管省庁の対処方針につき説明
問題の所在:港湾関係料金の引き下げの方策について
- 港湾運送事業の需給調整規制の廃止
- 荷役の機械化・省力化 等
- 問題提起者から提起内容につき説明
(問題提起内容)
- 主としてベルギーから日本への輸入をしており、商品は多岐にわたっているが、どれについても思わぬコスト高になっており、大きな原因の一つが港湾費用である。国内産業と比較してハンディになっており、他国と比べ非常に高い。土地、人件費が高い日本ではコストが高くなるのは当然という対処方針が示されているが、同じような現象は全てに言えることであり、それが全てであるというのは納得できない。今後、競争を自由にしコストを下げて欲しい。
- ヨーロッパから日本に船で持ってきた場合の海上運賃は、トン当たり 5,000円から7,000円位の費用であるが、20万円程度の商品の場合、粗利は3〜4万円程度であるのに、港湾費用が4万円程かかる。陸上輸送費まで含めれば容易に6〜8万円位かかる。
- ベルギー、韓国、台湾では港湾費用は大幅に安い。この3国は生活水準は日本と大きな差はなく、物価水準も一般的にはあまり変わらなくなっている。
- 所管省庁からの対処方針につき説明
(対処方針)
- 日本経済が大きく発展する中で、その基盤をなす輸送事業が安定的に運営されることが重要であるとの観点から規制がかけられたが、世の中が変わり規制自体が世の中の経済発展の足を引っ張っているということで、運輸省においては各事業法における需給調整を見直し、安全等の社会的規制は行うが、経済的規制は今後行わないこととした。
- 港湾運送の需給規制については、港湾の安定運営確保方策を確立した上で、3〜5年かけて規制の見直しを行う。港湾運送は日本と外国の間の物流の結節点であり、ここが乱れると日本経済に与える影響も大きいため安定的運営ができるかどうかの策を講じていく必要がある。
- 現在、事業の免許制をとっているため、料金も認可制としているが、今後、事業そのもののについて事業規制をなくす方向で見直す中で、最終的には届出制になると考える。従って、免許規制がなくなることによって自由な競争が行われ、料金についても良い方向にいくのではないか。
- 製品価格の中に占める物流費の大きさという議論があると思うが、諸外国における港湾運送の相場はどうかというと、全ての費用を含めたコンテナ1個当たりの費用は、東アジアについては人件費・土地代が違うために安いが、欧米と比較するとそれ程差がない。
- この後、審議
(委員の主な発言)
- 需給調整の緩和を行い、料金も認可制から届出制になるとのことだが、3〜5年のうちに、港湾運送事業法第9条は全く変わり、第6条1項1号は当然なくなり2、3、4、5号についてもなくなるのか。
- 料金について日本と諸外国はそれ程違わないとのことだが、運輸省の港湾諸料金の国際比較に関する資料は一般的な価格であると運輸省、問題提起者ともに同意する内容なのか。
- 川崎市の第三セクターが既存業者の同意が得られないので港湾運送事業に新規参入できないという事例が報道されていた。規制緩和で既存の業者の同意は不要となっているにも拘らず、川崎市でさえもそう思っている。法令において同意を得なければいけないことになっているということが今だに信じられている。運輸省が規制緩和の周知徹底をしていないからではないか。
- 問題提起者からトータルの費用が割高だとの説明があった。港湾運送サービスの費用を引き下げる他に、とん税や埠頭公社への使用料が高いという問題がある。
- 港湾運送事業法を見ると供給と需要の適正な配分を図るという行政思想があるが、他法も含めて一斉に見直す必要があるのではないか。
- 免許で参入を認めるのかということと高い料金をどうするのかということは別だと思うが、認可料金制度の弾力的運用を検討する余地があるのではないか。また、認可料金制の下でも現在の同一港類・同一料金の運用を改めていく余地があるのではないか。これは3〜5年という需給調整規制の廃止の以前に前倒して実施する必要があるのではないか。
- 日米海運協議が行われているが、そこで問題になっている事前協議制度は、港湾料金が高いことと関係があるのかどうか。
- 港湾の安定運営確保方策の確立とはどういう意味か。
- 日本の料金が高いのは人件費、土地代、円高によるという理由は無理ではないか。与えられた条件を所与のものとして、高いのは仕方がないが努力するという対処方針には納得できない。
- 明確なことは、問題提起者は料金が高いから競争原理を導入して欲しいということであり、所管省も競争原理が導入できるような方向に法律を改正するということである。現在の制限的な運営でも料金の方は、所管省が調べた限りではせいぜい同じ程度であり、これに競争原理が導入されれば、日本の港湾の競争力は大分つくはずである。法律の改正、競争原理の導入を是非早くやって欲しい。
- 需給調整規制の要件だけをはずしても、設備要件等他の要件が残るので、多数の新規業者が参入してきて急激な競争が起こることは実際にはないのではないか。それなら、3年〜5年のうちにやれることをやっておくべき。全く同じ料金で認可する必要はないのであるから、現行の認可制度の下で、ある程度運用を工夫することにより、既存の事業者の間で、ある程度の競争に慣れさせるという検討をしてもいいのではないか。
- 他の分野では需給調整規制の廃止としているが、港湾にはそれがなく、安定運営の確保を強調しており、行革委での審議を経て手続を行うとしている。しかし、行革委の審議の予定が不明確だと、3〜5年後に廃止というのも困難ではないか。3〜5年後に廃止の方向で動くと考えていいのか。
(所管省の応答)
- 需給調整規制を廃止する方向で見直すとしているが、具体的には、来年度、行政改革委員会の場において議論していくことになっている。
- 港湾運送事業法第6条の中で1号については廃止する予定。2、3、4、5号については、今後の検討が待たれるが、何らかの形できちんとした事業者を選別するための社会的規制は残さざるを得ない。
- 料金については条件により違うが、通常の港湾利用形態(平日基本料金、5万トンクラス等)を前提としてそれぞれの港について調べた。
- 業界の中で調整、話し合いが行われていると聞いているが、総務庁行政監察局の指摘もあり、事前に業者間において調整がついていることを免許の際の審査基準とはしていない。規制緩和のについては、マスコミ等を通じて周知しているが、川崎市の事情を調べてみたい。
- 基本方針としては、人流、物流の全事業分野において、目標期限を定め需給調整規制を廃止する。そのための環境又は条件を整備し利用者保護、安全確保の観点から必要な措置を講ずるとしている。
- 免許制の見直しを行っていくに当たり認可料金制についても見直す必要がある。需給調整規制を廃止した結果、自由な参入によって競争が行われ、料金も安くなるような仕組みを考えていきたい。
- 認可料金制については、免許制の議論の中において一対のものとして考える必要がある。認可料金制度全体の見直し以前にも、割引制度についてバリエーションを増やすとか割引の基準を下げる等の見直しはできるのではないか。
- FMCの主張は、基本的には、事前協議制度の運用が不透明ということなので、料金のことを直接いっているわけではない。
- 港湾運送事業者は中小事業者が9割でしかも数が多い。かつて乱立し秩序が乱れ、輸送がうまくいかなかったため港湾運送事業法で免許制とした。単に規制を緩和して弱小の所へ多数の新規事業者が参入すれば、港の安定的運営が阻害される可能性がある。良い方向を目指した規制緩和が結果的に経済の足を引っ張ってはよくないので港の安定運営が乱れないように規制緩和を行っていきたい。
- 港運についてはまだ行革委で審議されていないが、本年4月から行われることとなっている。おおむね3年乃至5年というのは、早くやれる分野から早くやるということであり、行革委で議論してもらい、法律改正も最低1年は必要であることから設定している。港運の場合難しい問題が存在しているが腰が引けているわけではない。
- 議長による総括
- 運輸省が需給調整規制を廃止するということを予定しており、今後、具体的に検討するという基本方針は明確になっており、それは結構なことだと思うが、その検討の際は本日の意見に十分配慮して今後取り進めて欲しい。
- 需給調整規制の廃止をおおむね3〜5年で行うとされているが、積極的にやらないとなかなか実現しないのでもっと短い期間で積極的にやるべき。さらにその過程においても価格規制に関し、料金認可制度、硬直的な料金体系等の見直しなどについて段階的に実施していくことが必要ではないか。
- 需給調整規制の廃止の方向を打ち出しているが、それだけでなく実態的に参入を妨げない制度とすべく抜本的な対策を講ずるべき。
- いずれにせよ港湾運送事業の現状は、厳しい参入規制、価格規制の下で、市場メカニズムが働かず、利用者のニーズに応えられていない。結果として高コストが生じ、輸入品が不利になっているのではないかというような基本的問題の指摘があるので、所管省においては、本日の意見を十分踏まえて進めて欲しい。
- 以上の点について、事務局の方で、問題提起者、所管省庁と調整の上、出来る限り具体的な改善内容、実施時期を盛り込んだ報告書の原案を作成し、議長に報告をしてもらいたい。その上で更なる検討をしたい。
- 議題2 個別に順次審議することとされている案件以外の案件の検討状況
- 事務局から問題提起内容、所管省庁の対処方針及び対処方針に対する問題提起者の意見等につき説明
(委員の主な発言)
[1−4 食品添加物の使用基準の国際的整合化]
- 平成8年3月に作成されたガイドラインは、国際的整合化の側面をどれくらい取り入れているのか。
[2−6 化粧品等に関する規制緩和]
- 本件は前回の一括審議の際に問題提起者から強い不満が示されたものであったが、所管省においては、前向きに規制緩和に取り組んでいく予定で、問題提起者の納得もほとんどの部分で得ているようなので結構なことである。しかし、所管省の言っているのはすべて将来の行動の約束なので、これらについては迅速かつ確実に、できれば予定を前倒しするくらいのつもりで取り組んでもらいたい。
[3−4 X線フィルムの分類基準の明確化]
- 所管省が新たにJISを制定し周知を図るとの対応を取ることは評価できる。これによって、発注者から特定企業の銘柄指定などではなく、適正な発注が行われることを期待する。政府調達は額が大きく、かつ透明化が問題となることでもあり、この際、政府部内にも改めて周知を図り、問題に前向きに取り組む姿勢を示すべき。
[4−2 船舶用エンジンの輸入検査の見直し]
- 本件では、問題提起者の主張のポイントは「国際的に受け入れられている認証を認め、日本政府による個品毎の検査をなくし自己認証を取り入れるべき」ということだが、対処方針はその点についてはっきり回答していない。これから合理化について検討するとしているがもう少しはっきりとした回答が欲しい。
[4−3 キャンピング・トレーラの構造基準の緩和、およびキャンピング・トレーラに係わる保管場所法の扱いについて]
- 基準の国際的整合化は重要であり、本件に係る日本の牽引免許の基準も、欧米基準への準拠をその根拠としている。日本と欧米とは事情が異なることも考慮しつつ、こうした整合化を図っていく必要がある。
[5−1 北米型枠組工法輸入住宅の規制緩和]
- 建築資材については、昨年も同様の問題提起があった。この時、建設省からは、建築規制を性能規定型に改正するため、平成8年度中に新たな建築規制の制度的枠組みを策定するという対処方針が示されたが、今回の対処方針は、それよりも具体性に欠けて後退しているようだ。現在の検討状況を含め、詳細に対処方針に示すべきである。
[5−2 海外の規格に適合する建築資材の受入れ等]
- 1)に対する対処方針で「ASTM/E84は日本の告示による試験方法とは検証、評価項目が違うから取り入れることは困難である」というが、木造家屋の火災という共通の問題でなぜ違う項目になるのか、内装の被覆材の延焼に影響する空気の乾燥の程度は米国の方が厳しいのではないか。
- 1)、2)について、対処方針において、国際調和化を図るため、総合技術開発プロジェクトが進行中ということであるが、他の案件に比べて具体性がなく進度が遅れているようなので、もっと具体的な内容を対処方針に盛り込むべきである。
- 2)、3)について、建設省告示1125号をみると性能基準になっており、実際問題として木製サッシ、プラスチックサッシの複層ガラスが合格する可能性はなさそうに思う。合格した実例はあるのか。
- 4)については、BS,ASTM,DIN適合品は日本の基準では合格する製品の選択の幅が狭くなることを指摘しているのだから、対処方針の「告示109 号の基準を満たしていれば使用可能」というのでは答にはならない。何故日本では合わせガラスの薄い方が主として強度に寄与すると判断するのかの理由を説明した上で、対処方針を記述すべきである。
[7−4 特恵関税適用のための原産地証明書に係る輸入手続の簡素化]
- 行政の立場は、全体としては、社会的な要求に応えるものとし、例外的なものは罰則で処分するというように転換すべきではないか。本件についても、コピーによる通関を認めた上で、事後的に原本を持って来なかった場合には重加算税を課すといった懲罰を与えるという形を考えてみる必要がある。対処方針の再検討を求める。
- 特恵関税の精神は途上国に対して安い税率で入れてあげるということである。法の精神としては途上国への支援という側面があるいうことに留意が必要である。
[8−4 中央競馬における外国産馬の出走枠及び海外居住者の馬主登録に関する規制の緩和]
- 外国産馬をすぐに自由化するという話は、外国産馬についてのデータが揃わないこと等によって競馬ファンにとって推理としての競馬がおもしろくなくなってしまう面があるので、外国産馬を参入させる方向性はよいが、興業との関係により、一挙に進めるのではなく、着実に進めていくことが必要。
- 外国産馬の件が、相撲や野球の外人枠と同じように議論がされることがあるが、馬の場合と人間の場合を同じように議論するのはおかしい。
- 議長による総括
- 本日御審議頂いた各案件の中には、所管省庁においてかなり前向きな対応を図って頂いているものもあり、大変結構なことだと思うが、一方で、問題提起者の納得を得られていないものもまだいくつかあるので、所管省庁においては、来月の報告書の取りまとめに向けて、本日の各委員からのご意見を踏まえ、さらに、できる限りの対応を図って頂きたい。
- 個別に順次審議することとされている案件以外の案件については、昨年度と同様に、問題提起の内容と所管省庁の対処方針を報告書に表の形式で記載したい。その際、問題提起者から理解の得られている案件については、その旨明らかにしていただきたい。
- なお、これらの案件について、各委員の方で追加的意見があれば、後日事務局の方へお伝えいただきたい。
- また、これまで各委員から2回にわたって御意見を頂いたので、その頂いた意見はできるだけ報告書に盛り込み、所管省庁の対応の時期的目途と具体的内容をその中で可能な限り明確化してまいりたい。
- 具体的にはどの案件について意見を盛り込むこととするか、表形式とするのかは、私の方で大河原議長とも相談の上、事務局に後程指示をして原案を作成させ、それを推進会議にはかりたい。
────以上────
(速報のため事後修正の可能性あり)
[問い合わせ先]
経済企画庁調整局市場開放問題苦情処理対策室
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