議長　　　大河原議長
委員　　　佐々波委員、谷村委員、増田委員
特別委員　朴特別委員
専門委員　金森専門委員、兼重専門委員、児玉専門委員、細川専門委員、本田専門委員

鈴木国際機関第一課長

土志田調整局長、小林調整局審議官、滑川貿易投資調整官、川口市場開放問題苦情処理対策官

• 世界貿易機関ＷＴＯは、１９９５年１月１日に発足しているが、ＷＴＯを設立するマラケシュ協定のもとに、附属書１〜４があり、このうち１〜３までを全加盟国が締結している。
  附属書１　いわゆるガット協定、農業協定、ＳＰＳ協定等１３の協定を含み、これらを総称してＷＴＯ協定と呼んでいる。
  附属書２　貿易紛争が生じた場合ＷＴＯの提訴手続にしたがって解決するための了解。

  附属書３　各国の貿易政策を事前にチェックし、問題のありそうな政策について、紛争に至る前に政策対話の中で解決する制度であるＴＰＲＭ（Ｔｒａｄｅ　Ｐｏｌｉｃｙ　　Ｒｅｖｉｅｗ　Ｍｅｃｈａｎｉｓｍ）を規定している。

  附属書４　複数国間貿易協定。世界貿易の主たる国の参加が望ましいとされている。民間航空機貿易に関する協定、政府調達協定等があるが、主として加盟しているのは先進国である。

• 貿易の技術的障害に関する協定（以下ＴＢＴ協定）は、東京ラウンドの際に締結されたもので、スタンダード協定と呼ばれており、鉱工業製品等の貿易の障害となる過度の規制を禁止していたものであった。

• ＴＢＴ協定では、国際規格が存在する場合には国際規格の使用を義務とし、安全保障、健康、安全、環境の保全等正当な目的がある場合にはこの限りではないとした。また、規制の根拠に関する挙証責任は、規制を定めている国にあるとしている。その他、適合評価の標準処理期間の公表や協定対象範囲の地方政府機関への拡大などが盛り込まれている。ただし、国際規格そのものについての明確な定義や、義務の履行の実施時期については規定がない。

• 衛生検疫措置協定（ＳＰＳ協定）は、ウルグアイラウンド以前にＴＢＴ協定でカバーしえなかった分野、特に食料品農産物について、衛生・安全基準が貿易障害とならないことを確保するために締結された。

• ＴＢＴ協定とＳＰＳ協定との大きな違いは、ＳＰＳ協定には付表に基準とすべき国際的な基準・指針が明示されている。例えば食料品では「コーデックス」という形ではっきり書いてあり、そこがＴＢＴ協定と大きく違っている。

• 対象としている品目の特殊性に着目して、科学的に正当な理由がある場合には国際的な基準より高い基準を導入・維持することが可能である。これも問題となった場合には挙証責任は維持・導入している国にある。

• ＷＴＯにおける紛争処理体制は、パネル提訴・報告から上級委員会の審理という一連の流れとなっているが、ガットとの大きな違いは、逆コンセンサス方式、すなわち、全ての国が反対しない限りパネルの報告が採択されるということとなったことである。このため、パネルの報告の重要性が増し、紛争処理体制を利用するケースが増えてきた。

• 外交案件としての市場アクセス案件について、米国の場合、過去の二国間合意の期限延長を要求してくるのが特徴である。
  　自動車や半導体については、我が国としては、協定が締結された当時とは状況が変わっているので、自動延長ではなく政府間の取決めが必要なのかどうか確認して考える必要があるという姿勢でいる。
  　流通サービスの問題は、規制緩和協議の対象として考えられる。また、日本の流通サービス全体をＷＴＯ協議の対象とする形で二国間協議が進められている。
  　ＷＴＯ協定に違反しているとして米国から問題提起されたものとしては、著作隣接権の遡及的保護についての件と酒税問題がある。
  　海運サービスに関してはＷＴＯ協定の交渉がまとまっていないので、協定上日本が市場開放をしなければならないと言うことはないが、現在の制度にそぐわない形で閉鎖的であるとされている。
  　警察無線の問題では、政府調達協定上、日本としては公共の秩序の維持のために協定上の無差別原則の例外という認識をしていたが、公共の秩序による無差別原則の例外の範囲について意見の相違があった。
  　ＥＵは、ＷＴＯ協議・提訴をシステマティクに行おうという姿勢であり、案件を政治問題化せずにＷＴＯを活用して問題解決を図ろうとしている。
  　その他の国の場合は、農産物についての市場アクセスの改善要求が強い。韓国、マレーシアなどから関税の引下げ要求があるが、日本は全体としての関税率が相当低いということから、関税が市場アクセス改善の大きな問題とはなっておらず、制度的な問題、規制緩和に係る問題が外交交渉では主体を占めている。

• ＴＢＴ協定の例外規定の解釈は所管省庁が行うのか。または、外務省と協議の上で行うのか。所管省庁が本来のＴＢＴ協定の精神に反して、例外規定を運用した場合は、対抗措置を取りうる制度となっているのか。

• 適合性評価に関し、単に評価機関の評価結果を受け入れるのみならず、外国のしかるべき適合性評価機関そのものを我が国の評価機関と同じステイタスまで持ち上げることにより相当な合理化が可能である。

• 政府による国際規格の導入後に、日本の業界（民間企業）が自主規制としてより厳格な規格を採用した場合、輸入自体には問題はないが、販売段階で障害が生じる。政府として、この自主規制の緩和に責任があるのか。

• ＪＩＳ規格について抜本的な見直しを行うこととなっており、また、ＪＡＳについてもＪＩＳと同様包括的な見直しが必要との意見が前回の会議で出されたが、ＴＢＴ協定の加盟国として、他に抜本的な見直しが必要な基準等はないか。

• ＴＢＴ協定の解釈は必ずしも明確ではない。外務省は協定交渉当事者として、解釈に　ついて意見を言う立場にある。

• 規格・基準等の国際整合化には、２つの流れがある。１つは規格そのものを国際的に統一していくハーモナイゼーションである。しかし、実際には難しい面があるので、次善の策として、外国の適合性評価の受入れといった相互承認のネットワークの拡大を進めている。相互承認については、個別の品目毎の行政取決めという従来手法を超え、ＥＵでは、包括的な相互承認協定の締結交渉を進めている。

• ＷＴＯ協定は、政府間の協定であり、民間の自主規制に対する政府の介入を命じているものではない。今後は、競争政策上の問題も含めて政府の不作為がＷＴＯ協定上問題となる可能性もあるが、今のところは問題となっていない。

• ＪＡＳに関する市場アクセスに関する要求が出ているが、ＴＢＴ、ＳＰＳともに国際規格が存在する場合には、積極的に国内の規格を合わせていく。

• ４月１８日及び２３日に行われた関係省庁（建設省、通産省、厚生省、運輸省、農水省、公正取引委員会）ヒアリング結果について

• 行政手続法におけるＯＴＯ案件の取り扱いについて

• 製造物責任法の考え方、企業・団体の取り組みに係るアンケート結果について

• 認証に関するＩＳＯガイドラインにおける適合性評価の方法、適合性評価機関等について

• ＥＣにおける基準・認証制度統一の動き、適合性評価の相互承認について

• 苦情及び問題提起案件に現れた認証等を行っている認可法人、公益法人、任意団体及び公益法人の設立許可及び指導監督基準等について　

• 最近ＯＴＯで取り扱った投資に係る案件、経済構造の変革と創造のための行動計画、対日直接投資の動向について

• 基準・認証制度の改善、市場アクセス改善のためのアクションプログラムの骨格、ＳＩＩフォローアップ第２回年次報告書について

• 法的根拠が無いにもかかわらず、認証を行う団体については、閣議決定に基づいて対応を進めなくてはならない。本当に必要な認証については概要、根拠を明確化し、認証機関の指定についてもＩＳＯのガイドラインを利用するなど透明性の確保を図るべきである。また、必要性の低い認証については、水道の給水装置と同様に第三者認証を義務づけないとした対応を行うべきである。閣議決定によれば、平成１２年末までに措置を行うとしているが、平成１２年度まで待たずに市場アクセスの観点から積極的に前倒しして進めるべきである。

• 関係省庁のヒアリングに関連して、各省庁はＯＴＯ推進会議の意見を踏まえて、積極的に基準・認証制度の改善に取り組んでおり評価できる。ＪＡＳの制度についてもＪＩＳと同様に積極的に取り組むことが、日本の市場アクセスの改善の為に重要ではないか。

• 過去の苦情の類型をみると国際基準に整合化していないものが多いが、公益法人が自主的に行っている検査が法的根拠なく独自の基準に基づいているならば、市場アクセス上問題となることもあるのではないか。
  　また、各事業者に対してこのような団体の検査を受けることが必要だと誤解されないこと、公益法人には法的根拠が必要とある閣議決定の内容の周知徹底を、各所管省庁は行うべきである。

• 行政手続法の適用除外について、法的に認められているといっても不利益処分を受ける者の納得を得られるよう努力することが各所管省庁にとって必要である。

• 日本では米国などと比べてＰＬ法に関する意識が依然として低い。ＰＬ法に対する業界自主規格の策定をＰＬ法に対する免罪符としないようにしなくてはならない。そのためにも政府規制を必要最低限のものとすべきである。

• 対日直接投資の低さをみると、マクロ的な面と制度的な面での問題がある。マクロ的な面では地価が高さも含めた資本効率の低さ、日本の労働市場の硬直性などあるが、一方制度的な面での問題については、ＯＴＯ案件にはあまりみられないように思える。
  　最近地方において、外国投資を積極的に受け入れるための動きが出ているが、このような動きをＯＴＯとして何か支援できることはないのだろうか。

• これまでに委員から頂いた意見を基にして、建議の原案を作成することにしたい。各委員には適宜事務局から個別にも御相談に伺うようにさせたいと思うので宜しく御協力をお願いしたい。書面で意見を提出していただける方は事務局まで送付願いたい。

以　上

（速報のため事後修正の可能性あり）

［問い合わせ先］

経済企画庁調整局市場開放問題苦情処理対策室

直通　０３−３５８１−５４６９