日 時 平成9年6月3日(火)10:00〜11:35
場 所 経済企画庁特別会議室(1230号)
出席者
(OTO推進会議)
議 長:大河原議長
委 員:久米委員、佐々波委員、島野委員、谷村委員、眞木委員、米倉委員、
特別委員:朴特別委員
専門委員:片岡委員、金森専門委員、兼重専門委員、児玉専門委員、細川専門委員、本田専門委員、宮智専門委員、村上専門委員
(OTO事務局)
土志田調整局長、小林調整局審議官、滑川貿易投資調整官、川口市場開放問題苦情処理対策官
議 題
(1) 建議原案検討
(2) その他
審議の概要
議題(1) 建議原案検討
○ 川口対策官より、建議原案について説明
○ 審議
「1 はじめに」について
- 「我が国社会に深く根を下ろした各般のシステムの変革が喫緊の課題になっている。」とあるが、「我が国社会に深く根を下ろした」は、「時代の要請に応えられなくなった」とすべきではないか。
「2建議の視点」について
- 「市場アクセスの改善は、人、物、資金、情報が自由に移動する時代にあって」とあるが、OTOにおいてこれまでサービス貿易に関する案件が出てくることは少なかったが、8年度の問題提起において、上陸審査基準等の見直しに関する案件があったように、「人の移動」もOTO案件の守備範囲になっているのであるから、取り上げるべきではないか。対日投資の促進は重いテーマである。
- 参入障壁ではなくて市場アクセスという概念が出てきたのは、財のみならずサービス貿易が出てきたためであり、この概念をもっと広報すべきではないか。
「2(1)問題点の把握」について
- 「政府の努力にもかかわらず、外国人事業者からは根強い不満があることに対応して、問題点の把握に努めた。」とあるが、苦情があり、それに誠実に対応していくことが必要なので、苦情があることが本来は望ましいことであるというニュアンスが必要ではないか。
- 「外国人事業者」と「内外事業者」という言葉が交互に使用されているが、苦情・問題提起者を見ると、国内事業者も多い。外国人事業者も、一度、市場に参入すれば、インサイダーとなってレントを得ることができるわけだが、国内事業者であれ外国人事業者であれアウトサイダーだと困難があるという点を明確にすべきではないか。
- 「民間団体が、市場アクセスを妨げていることがうかがわれる。」とあるが、もっとはっきり書くべきではないか。
「2(2)市場アクセス改善に向けた動き」について
- 「対応に時間がかかりすぎている。」というだけではなく、各省庁が対応しきれていないという表現が必要ではないか。
「2(3)基準・認証制度の改善の方向性」について
- 必要な規格・基準というだけではなく、特に現時点における必要性を考えるという姿勢が必要ではないか。
- 「政府はどのように民間慣行の問題に対応すべきかという視点から検討を行った。」とあるが、もっと主張をはっきり書くべきである。
「3市場アクセス改善のための共通の課題」について
- 全体的に我が国の商品が劣位にある場合について書かれているのではないか。日本が劣位を続けている場合は、相互承認で問題がないが、日本の製品が逆に新しい場合は、日本の製品が国際基準となっているのであるから、一方的に外国の基準を受け入れるというだけではなく、日本の基準が役に立っていることを表記すべき、相互に利益があるということを明記すべきである。
「3(1)規格・基準の策定に係る課題」について
- 「機動的な見直し」とあるが、この場合、何か起こってから行動をおこすというようにとらえられる。規格・基準は、一度策定されると廃棄されにくい。したがって、「積極的、定期的に見直す」とすべきではないか。
- JISに比べてJASが遅れているかのような印象があるが、JASにおいても、この6月に60余りのJAS規格を廃止するなど対応を進めていることも考慮して表現を工夫して欲しい。
- 「我が国の基準は十分具体的でなく」とあるが、みんなが確実に分かりやすいという考え方を取り入れた表現はないものか。
「3(2)規格・基準への適合性評価に係る課題」について
- 行政の効率化の特効薬は、競争原理だと考えるので、競争原理を 1の見出しの中に入れて欲しい。
「3(3)民間慣行等への対応に係る課題」について
- 本年4月に東京地裁において本件に関係する判決があった。エアソフトガン協会という民間団体が、エアガンの基準を定め、検査機関に合格シールを添付させて販売させている。これに従わない商品を扱う問屋や小売店に対しては商品を供給しない、という提訴があり、独占禁止法違反の恐れがあるとして、2000万円程度の損害賠償請求を認めた。地裁の判定は、必ずしも自主規制を策定することが悪いということではなく、自主規制を遵守していないものを販売した場合には、合格シールを添付した製品を供給しないとするのはやりすぎである、一部の民間機関の認定基準が恣意的であったということで、独占禁止法違反となった。こうしたことから、この案文を考えると、各行政分野においては、法に従って適切な行政を行うべき、すなわち、業界関係者と癒着してはならないとすべきである。その他、民間商慣行で問題なのは、認可法人、公益法人による法に基づかない基準・適合性評価行為と純粋民間法人による基準・適合性評価行為であると思われる。これに対して言えることは、国の認定であると誤解を与えないようにすること、実施態様によっては、独占禁止法違反になることもあるので、その場合は、厳正に取り締まるべきということを明確に示すべきである。
- 「食品日付表示等については、厳正に対処することが必要である」とあるが、それだけでなく、消費者の理解を得ること、すなわち、なぜ現行制度が妥当であるかという広報活動が必要なのではないか、表現の検討をしてはどうか。
- 食品日付表示の問題は、ヒアリングした団体によって意見が異なったので、一方の意見を明記しないほうがよいのではないか。その代わり合意できている流通の問題(短い納入期限の問題)を例に入れたほうがよいのではないか。
- マスメディアへのプレゼンテーションを考えると、民間の扱いをもっと前に出すなど構成上の工夫もすべき。
「3(4)国内制度の一層の透明化に係る課題」について
- 英語はインターネットが出てきて以来、国際共通語となっているのであるから、重要な書類を英語にするということを、もっとはっきり明記すべきではないか。
「3(6)消費者、企業の自己責任の確立に係る課題」について
- 「消費者教育」という言葉は適切ではなく、むしろ、消費者啓蒙等の言葉を使うべきではないか。
- 文部省でも使っている言葉なので、「消費者教育」でもよいのではないか。
- 「企業においても、消費者に対する情報開示の強化が期待される」とあるが、「期待」よりももっと強い表現にしてはどうか。
「4むすび」について
(「さらに、我々の指摘した一般的な課題について十分な対応がなされないという事態が生じた場合には、今後の問題提起プロセスの中で個別・具体的な問題の提起を受け、その改善について、市場開放問題苦情処理推進本部に対し、必要な対応を意見として申し述べることとしたい。」について)
- (この部分は)確固たる意思のようでもあり、また、うまく行かなかった場合には個別に対応するというとプラスにもマイナスにも取れる。
- 初めて出す報告書なので、今回の一般的課題については、OTO対策本部において最大限尊重する決定を行うのは難しい面もあるかもしれないので、今後の問題提起プロセスの中で個別・具体的な問題の提起を受け、その改善について事務局に対し、必要な意見を述べるという原案でよいのではないか。
- 建議の冒頭で、OTO推進会議に与えられた機能を最大限活用し、積極的に貢献していこうと見栄を切っていることからすると、この部分は多少品が落ちる気がする。「市場アクセス改善努力を十分フォローアップしていきたいと考える。」ということで十分意をつくしているのではないか。
「補論」について
- 「積極的な対応と高く評価できる」とあるが、これからやってみないと分からない点もあるので、「高く」という評価は必要ないのではないか。
○議長総括
- 本日頂いた意見を出来る限り全部盛り込む形で原案を再検討したい。
- 改めて作成する二次案を再度委員の皆様に検討して頂きたい。
- 6月18日の第19回推進会議において建議のとりまとめを行いたいと考えているので、それまでの間、事務局から個別に御相談に伺った場合には、宜しくお願いしたい。
以 上
(速報のため事後修正の可能性あり)
[問い合わせ先]経済企画庁調整局市場開放問題苦情処理対策室
直通 03−3581−5469