第13回市場開放問題苦情処理推進会議議事要旨 (平成9年5月22日) 日時 平成9年4月18日(金)10:00〜11:30 場所 経済企画庁特別会議室(1230号) 出席者 (OTO推進会議) 議長 大河原議長 委員 久米委員、佐々波委員、眞木委員、増田委員、山本委員 専門委員 片岡専門委員、金森専門委員、兼重専門委員、児玉専門委員、細川専門委員、 宮智専門委員、村上専門委員 (建設省) 浅野住宅局建築指導課長、保立国際基準調査官 (OTO事務局) 土志田調整局長、小林調整局審議官、滑川貿易投資調整官、川口市場開放問題苦情処理 対策官 議題 1) 関係省庁ヒアリング 建設省(建築基準法について) 2) ヒアリング対象案件のフォローアップ状況について 3) その他 審議の概要 議題1) 関係省庁ヒアリング 建設省 ○ 事務局から「輸入住宅資材等に係る規制緩和」(OTO推進会議報告書第3回報告書 (平成8年3月18日))に関するフォローアップについて報告 ○ 建設省から説明 ・3月24日に建築審議会から答申が出され、建築物単体の基準及び建築規制制度の枠組み を再構築することとしている。 ・建築基準法の体系は、建築物の安全性等の単体についての規定(構造、防災、環境衛生 等)、建築物が集合して街を構成する際の相隣関係などの集団規定(建ぺい率、用途規 制等)及び手続規定(建築確認、完了検査等)という3つの部分から構成されている。 ・従来の仕様規定では、使用できるものは明確に定められていたが、他方定められている もの以外ははじかれてしまうデメリットがあった。 ・建築基準の性能規定化を進め、性能項目、水準、検証方法を定め、具体の工法、材料、 寸法について細かいところまで決めない方式を導入することにより、多様な設計が可能 となり、海外からの資材も入りやすくなる。 ・全てを性能規定化するには困難な面もあり、従来通りの仕様を承認基準書、例示書のよ うなかたちで残し、ルートを2本とした。 ・行政執行上の問題として年間約100 万件の建築確認・検査を約1700名の建築主事が行っ ているが、十分に行き届いていないという批判がある。行政庁の職員を拡充して対応す るという考え方もあるが、それもなかなか難しいため、確認・検査については民間機関 でもできるように規制制度の枠組みを見直す。 ・技術開発の進展等により規制からはずす又は緩和してもよい規定については見直しを行 う。 ・相互認証の実績については、平成7年度から8年度にかけてカナダの試験機関の指定、 カナダの防火戸、韓国の耐火構造に係る試験結果の受入れを行っている。また、枠組壁 工法用建築資材の受入れについては米国の製材(6規格11機関)、カナダの製材(1規 格15機関)を通則的に受け入れたところであり、海外の規格品が日本の市場に入る道が 開かれた。 ○ 委員の主な意見 ・性能規定化の実施のために、基準、検査方法等は十分検討した上で作成されるのであろ うが、新しい規制は常に迅速な見直しが必要であり、さもないと新しい規制が次の障害 となり得る。基準は必要に応じいつでも見直すのか。または何年か毎に見直すような仕 組みにするのか。 ・規制緩和の需要拡大効果を試算した「近年の規制緩和による経済効果の定量的試算」に よれば、輸入住宅の需要拡大効果はほとんどないため、その中に含まれていないようだ が、実際、輸入住宅は、需要拡大効果をあげていないと判断できるのか。 (事務局の回答:輸入住宅についての需要拡大効果は140 億円で全体の7兆9千億円に比 し、それ程の規模ではないもののないわけではない。) ・資料の性能規定の例としてある「極めてまれに発生する大規模な地震に対して、建築物 が倒壊又は崩壊しないこと」については明快な基準を決めているのか。 ・民間に検査・確認を委託することができるようになるのは、事務の簡素化、迅速化とい うことで結構であるが、民間機関としてはどのような資格を持った者にさせるのか。民 間に検査をまかせる場合、海外からみると国産品より輸入品を厳しく検査するというこ とがあると言われることがある。どのような資格の民間の機関を指定しようとしている のか。 ・民間に検査・確認を任せるために却って煩雑な要求が課されることのないように十分慎 重に検討して欲しい。 ・審査手数料について、団体の会員になると割引になるという恩典などが問題になるケー スがあるのでその点について注意して欲しい。 ・相互認証された場合に米国、カナダの規格が使用できることとされても、地方の建設業 者は取引関係等から日本の業者の物を使うことになるのではないか。民間慣行の問題で あるが、相互認証で米国、カナダの規格に基づいた物が使用できるということを地方の 工務店レベルまで周知徹底する手段はどうするのか。 ○ 所管省の応答 ・性能規定化を原則としたいが、これまでの仕様規定も残ることとなる。性能規定につい ては随時見直しは行っていく。 ・資料については、性能規定化の要旨をまとめたものであって、具体的な水準は決めてあ り、それに即して運用していく。 ・法律の改正については、次の通常国会において行う予定。民間の確認・検査機関につい ては、まだ確固たるイメージはできていないが、従来、建築主事という公的機関の者が 中立的に検査を行ってきたことを民間に任せるので、審査能力、責任体制、第三者性が 重要である。特に第三者性については、業界団体等にできるのかという点について法案 を作成するに当たり議論になると思われるので、委員の意見を踏まえ検討していきたい。 ・相互認証に係る周知については広報する機会がある限りしているが、実際使われるのは マーケットの問題であり、使用できる道を開いたからといってユーザーが必ずしも使用 しているという状況にはないようである。一方、パッケージで入る住宅については、輸 出国の規格の物が使用されていると聞いている。 ○ 議長の総括 ・本日、委員から出た意見を十分参考にして、事務局でフォローアップの報告書を作成す ると同時に、建議のための具体的な検討の準備を行って欲しい。 議題2) ヒアリング対象案件のフォローアップ状況について ○ 事務局から以下の案件の政府の対応状況について説明 ・ 第2回報告書再フォローアップについて 1 切り花の輸入に係る植物検疫制度の改善 2 工業用X線フィルムの分類基準の設定 3 壁紙の認証制度の改善 4 景品規制の見直し ・ 第3回報告書フォローアップについて 1 輸出前の生果実の蒸熱処理のための植物防疫官の派遣 2 船舶及び船舶用エンジン推進装置等の輸入検査制度の見直し 3 輸入住宅資材等に係る規制緩和 ○ 委員の主な意見 ・ 切り花に係る案件で事務局に確認してもらいたいことがある。 「病害虫の付着の少ない荷口については、再検査は実施することが不可欠となり」と 所管省からの報告にあるが、次の点からこれは事実誤認もしくは間違いだと思うので確 かめてもらいたい。 所管省の報告が事実であれば、ほとんど全ての荷口は不合格となって廃棄することに なり、そうすると今までの各国からの苦情がこの程度で済むはずがないのではないか。 また、昨年のフォローアップの審議の時に、所管省から2段階抽出検査の問題点とし て、検査現場の負担が増えるこ とと検査時間が延びることにより輸入業者が被害を受 けることが出てきたが、これにつ いては、横浜植物防疫所のデータを根拠に検査現場 の負担の増加は15%ぐらいだと意見 を出した。このことが今回触れられていない。 なお、この問題について、平成7年2月に専門家の見解を問うことになり、平成7年 11月21日に、OTO事務局を通じて横浜植物防疫所の業務部長から文部省の統計推理研 究所の清水所長に対して、同所が作成したレポートを対するコメントを求めた。その報 告書の結論では、「過度な検疫措置を命じられることを避ける方法として、現行の1回 抽出検査での合否判定だけではなく、必要に応じて2回抽出検査の考え方が導入できる ように検査現場の調整等改善に向けて条件を整えていくこととする」とある。したがっ て問題は「検査現場の改善」は負担が増える分についてどうするかであり、この結論と この所管省の報告の文章とは、はなはだ違う。 ○ 大河原議長総括 今の点を事務局の方から農水省に十分連絡して、次回の推進会議で説明できるようにし てもらいたい。 議題3) 建議の検討のスケジュール ○ 事務局からの報告 ・ 前回お諮りして御了承を受けた方針に沿って、委員の方の御日程をお聞きしながら調 整している。今後の日程については次の通り。 ・ 第14回(4月23日) 本日紹介した5つの案件について制度の改正全般 について各省庁からヒアリングを 行う。 ・ 第15回(5月12日) フォローアップについて今回御紹介した案件も含めて平成6・7年度の案件について フォローアップ報告書をOTO対策本部として御報告し、御審議いただく。 ・ 第16回 (5月23日) 第11・12回に委員から御指摘をいただいている視点に沿って事務局で資料を取りまと め御報告し、さらに建議全般について御審議いただく。 ・ 第17回 (5月29日) 内外の経済団体等から建議に対する御意見をいただく予定。 ○ 議長総括 ・ 5月29日の団体ヒアリングについては、苦情問題提起の申立ての実績やその国からの 輸入額を勘案して出席団体を選定する考え方で、国内の経済団体、在日の外国商工会議 所のいくつかの団体及び前回御意見のあった消費者団体を加える方向で事務局で調整し てもらっている。 団体ヒアリングの際には、3月に事務局から報告した過去の案件を整理した資料、今 までの当推進会議での議論について紹介し、各団体から御意見を伺う。 4) その他 事務局より次の通り報告。 1 第4回報告書のその後の取り扱いについて ・資料3−1について 平成9年3月17日にOTO報告書で意見をいただいたものについて、関係省庁と調整 の上、資料3−1のとおり平成9年3月25日、総理及び関係閣僚出席のもと政府の対応 を決定した。 ・資料3−2について 古川内閣官房副長官ほかから方針として申し上げていたが、OTO対策本部決定は、 最大限規制緩和推進計画に盛り込むという考え方のもと、関係省庁において調整が図ら れた。結果としては、OTO意見19項目のうち16項目について規制緩和推進計画に盛り 込まれている。 2 ロシアにおけるOTOセミナーの開催について ・ 外務大臣とロシアの第一副首相の間で会合を行っている貿易経済に関する日露政府間 委員会というものがあり、ここでロシアにおける貿易・投資に関する情報を提供をして 外国からの苦情処理する窓口をロシアに設置すべきということを日本から提案している。 日本としてはOTOの経験を踏まえた協力を行う用意があるとして、川口OTO対策官 が4月2日モスクワでOTOの活動内容、統一的窓口設置の重要性について説明してき た。ロシア側も歓迎の意向を表し、今後ロシアにおいて統一的な窓口設置の方向で検討 を進めるとのことである。 以 上 (速報のため事後修正の可能性あり) [問い合わせ先] 経済企画庁調整局市場開放問題苦情処理対策室 直通 03−3581−5469