第19回市場開放苦情処理推進会議議事要旨 (平成9年6月24日) 日時 平成9年6月18日(水) 15:00〜16:00 場所 経済企画庁特別会議室(1230号室) 出席者 (OTO推進会議) 議長 大河原議長 委員 島野委員、谷村委員、眞木委員、増田委員、八城委員、山本委員 特別委員 デュボア特別委員 専門委員 金森専門委員、兼重専門委員、児玉専門委員、本田専門委員、宮智専門委員、 村上専門委員 (OTO対策本部・事務局) 麻生経済企画庁長官、糠谷経済企画事務次官、竹島長官官房長、小林調整局審議官 滑川貿易投資調整官、川口OTO対策官 他 議題 1)建議とりまとめ 2)その他 審議の概要 議題1) 建議とりまとめ ○議長 昨年11月の第10回OTO推進会議において、委員の御発意に基づいて、建議の検討が開 始され、特に本年4月以降は審議を集中的に行ってきた。本日は、これまでの審議、皆様 の御意見を踏まえて、OTO推進会議としての政府への提言を取りまとめるべく、報告書 の原案が作成されたので、御審議頂きたい。 ○基準・認証制度等に係る市場開放問題についての意見−市場開放問題苦情処理推進会議 建議−(案)について事務局から説明 1はじめに 2建議の視点 1)基準・認証制度等の問題点:適合性評価と民間団体の問題 2)市場アクセス改善に向けた動き 3)基準・認証制度等の改善の方向性 4)民間慣行への取り組み 3市場アクセス改善のための課題 1)規格・基準の策定に係る課題 1規格・基準の設定の必要性及びその内容の見直し 2新しい製品に適合した規格・基準の策定 3明確な規格・基準の整備 4国際規格への整合化 5性能規格・基準化の積極的推進 2)規格・基準への適合性評価に係る課題 1適合性評価への競争原理の導入 2海外の適合性評価機関の積極的活用及び相互承認の推進 3第三者認証を義務づけない制度への移行 4適合性評価手続の簡素化・迅速化 3)民間慣行等への対応に係る課題 1民間団体の規格・基準、適合性評価業務への対応 2独占禁止法の厳正運用による競争制限的な民間慣行の是正 4)国内制度の一層の透明化に係る課題 1行政手続法の精神を最大限活かした対応 2市場アクセスに関連深い制度の積極的な広報活動 3地方支分部局に対する指導の充実 4国際ルールを遵守した対応 5)消費者、企業の自己責任の確立に係る課題 6)その他 1対日投資促進の課題 2申請等の負担の軽減に係る課題 ○委員からの主な意見 ・ 原案に賛成する。ただし、外国人事業者の一部には、我が国において現在取り組まれ ている構造改革において、市場アクセス改善の観点が弱いのではないか、改革が内向き になっているのではないかとの意見があると聞く。 この建議に盛り込まれた内容をまじめに実行することは決して容易なものではないと は思うが、国際的な動向や、いくつかの先進的な制度で既に取組がなされていることな どを踏まえ、今後政府で具体的な対応をとってもらいたいと我々が考えたものであるし たがって、構造改革の推進に当たり、市場アクセスの改善も重要な課題として位置付け ていることを示すためにも、この建議を受け、政府としての方針をしっかりと示しても らうことが必要。OTO対策本部において、所要の決定を行い、市場アクセス改善に対 する積極的姿勢を示して頂くことを要望する。 ・ 今回の建議は、OTO15年の歴史の中で従来の経験を踏まえたまとめとなったことを 高く評価する。この15年間に約800 件の審議を行う中で、OTOの方向付けに沿って、 各省庁の協力によって多くの案件が解決に向かった。これ以外の各省庁が所管する他の 制度についても、市場アクセス改善のためにこの建議に沿って努力をし、結果をOTO 推進会議に報告して頂ければ、日本全体として市場アクセスの改善に向かうことができ るのではないか。 ・ 今回の建議では、開放経済の中で日本の一番大事な問題として市場アクセスの問題に 重点を置き、基準・認証制度の問題以外にも,市場アクセスが不十分であるといわれて いる民間慣行に対する政府の対応について具体的に盛り込まれたことは評価できる。独 占禁止法の厳正な適用は非常に重要なポイントであり、厳正な独占禁止法の適用により 競争制限的な民間慣行の是正が必要との認識で政府が対応すべきであるとした姿勢は、 大変高く評価できる。なお、文章が難しい点もあるので、解説的な文章を作成してみて はどうか。 ・ 委員の意見が十分反映された報告書案であり評価できる。建議の意見が十分関係省庁 の対応に反映されるためにも、OTO本部の理解を得てその実現を強力に進めるととも に、マスコミへの説明も分かりやすくポイントが訴えられるような説明をして、日本全 体からのバックアップを受けて進めていくことが重要と考える。 ・ この建議は評価する。現在政府が進めている構造改革と規制緩和を促進することによ り市場アクセスが容易になり、日本市場への海外からの新たな参入が増ることから苦情 も増える可能性がある。本来、苦情処理の基本は、本来独占禁止法やPL法にあるとい うことである。企業が責任をとるのは、市場の問題であれば独占禁止法、製造物に関す る責任はPL法によってである。日本が海外から信用を得るには、独占禁止法の適用を 強化するとともに、企業がPL法を尊重すべきであるという点を強調して頂きたい。建 議の解説版を作成する時があれば、強調してもらいたい。 ・ 対日投資はOTOの中でも重要な課題であるので、「36)その他」としてある見出し を例えば「投資並びに輸入促進に係る諸負担の軽減について」など格上げした表現とし た方が良いのではないか。 ・ メガコンペティションのなかで、独占禁止法の運用スケールが国内だけを視野に入れ るのではなく、世界を視野に入れての運用に変わってきている。この建議における「独 占禁止法の厳正運用」は、意味が異なることは理解できるが、「厳正運用」の意味を誤 解されないよう留意すべき。 ・ 申請の負担軽減に係る課題については、ぜひ現実面でOTO対策本部は対応をとって 頂きたい。 ・ 建議については全面的に賛成する。内容をみても言うべきことをはっきり述べており、 評価したい。 ・マスメディアへの広報の際、「民間慣行等への対応に係る課題」についてはOTOのテ ーマとして新鮮であり、この点を積極的に説明すべきである。 ・ 人、物、金、情報といった市場アクセスが自由になってきているのは着実な前進であ るが、とりわけ人の問題は重要であると感じる。OTOに人に関する案件が出されるこ とは少ないが、対日投資の促進の観点から、人に関する壁は依然高いと思われ、今後大 きなテーマになってくると思われる。 ・ 建議については、新しい視点で、従来からの根本的な課題を指摘しているという点で 評価できる。 ・ これまで取り組んできた市場アクセス改善の効果は、海外の企業のみならず国内の企 業、消費者にとっても非常にプラスになっていると思われる。しかし、こうした改善事 例について、OTOの活動によるものとは一般の方々には十分に周知されていないので 、機会をみて、具体的に成果の高かった事例などを分かりやすく紹介するなどOTOの 活動のPRを積極的に行うべきである。 ・ (記者発表等に際して、)競争法は世界共通のルールであり、独占禁止法は先進国間 ではハーモナイゼイションで調整すべきものとして、適用に関しても日本のみ強いレベ ルではなく、米国・EUと同等のレベルで行うべきであることで説明すべきである。 ・ 独占禁止法に関連して、ここで言われている厳正な法の適用とは、市場占有度という 観点からではなく、規格の策定や適合性評価に関して競争制限的な場合の時のみ対象と するということである。メガコンペティションのために世界で企業合併によりかなり大 きな市場占有度を持つ企業が登場することなどが問題点となっているわけではなく、あ くまで不公正な取引方法が対象であることを記者発表の際に留意すべきである。 ・ WTOにおいても科学的な基準による判断が必要とされているが、遺伝子工学を組み 込んだ食品の問題など、食品の問題では、国民、宗教的、社会的な信条も尺度になって おり、規格・基準については世界的な交渉の場において決める際に、その基準が日本国 民のコンセンサスを得られるかが問題となってくるのでその点について考慮していくべ き。 ○議長総括 ・ 「36)その他」については、「36)対日投資促進等の課題」とすることにする。 ・ 各委員からの意見は取りまとめた原案について賛成というものであったと思う。 ・ 各委員の意見を集約すると、 1政府に対する提言の提出時、プレスに対する発表時、今後の各省庁に置いての取り 組みの際に、特に構造改革という政府が進めている大政策の中で市場アクセスの改 善がいかに重要な役割をもっているかということについてより積極的に正しい理解 をして欲しいということ。 2競争政策の国際的なハーモナイゼーションという大きな流れを十分捉えた対処をし て欲しいということ。 3今回の提言では、民間における商慣行についても具体的な提言をしているので十分 な注意を払うべきであるということ。 4今回の報告書の新聞等に対する発表にあたっては、大事な点を強調するとともに無 用な誤解を生じないように留意すること。 以上であったと思うがこれらの意見については十分配慮する。 ・ OTO対策本部に対してこの報告書を提出するが、OTO対策本部に置いては速やか に具体的な対応を検討し、それに基づく措置を取るようにお願いする。OTO対策本部 としての決定を行うにあたっては、この報告書にあるように、関係省庁が所管の制度を 見直す際の判断材料、あるいはOTOにおける処理の際の判断材料とするように必要な 措置を取ってもらいたい。すなわち一部の省庁に置いて既に行われている改善措置が他 の省庁においても今後続いて行うべき事例があるので他の省庁においても考えてもらい たい。 ・ 本日の委員からの意見についてもOTO推進会議の政府に対する強い要望として事務 局からOTO対策本部に伝えるようにする。本会議として市場開放問題苦情処理推進会 議建議を原案通り採択し、麻生太郎経済企画庁長官に提出することとする。 麻生経済企画庁長官挨拶(OTO対策本部を代表して挨拶) ・ 第二次橋本内閣において、「改革なくして新たな発展はない。」という合意に基づい て6つの改革などが始まっている。 ・ 市場アクセスの改善を求めるのは海外からだけではなく国内からも多くの声が上がっ ている。日本は、国際競争をしているわけであり、御指摘の点については非常に問題が 多いところである。物流関係の経済構造改革はすでに手を付けて、今、正にいろいろ進 んでいる。 ・ 今回過去10数年間の中から、建議という形で取りまとめられたのは、大変時宜を得た ところでもあり、これまでの蓄積がまとまった形となっているので、この内容は、現在 政府が取り組んでいる改革に対して大変示唆に富んだものと思っている。 ・ 先ほど御意見もあったように7月上旬にOTO対策本部を橋本総理大臣御出席の下に 開催をさせて頂きたいと思っているが、そこで了解されると各閣僚としてはこの対策本 部決定に基づいて自分の所管の省庁においてこれを進める責任を負うことなる。 ・ 具体例として、厚生省所管の社日本水道協会において制度が大きく変わったが、これ は輸入住宅を始めとして大きな影響がある。また、こうしたことは、他省庁への刺激に もなる。 ・こうした対応は海外からの輸入を促進することだけが目的ではなく、結果として日本の 中で言われている高コスト構造を解消するのが本来の目的である。時宜を得てこの様な 建議を取りまとめられたのは大変ありがたいことなので、今後とも政府として必要な対 応を速やかに行うべく他省庁と十分協議をして早急に実施して行きたい。さらに経済構 造改革という観点からも大変大きな意味をもっているということは御指摘の通りであり、 更に新しい問題、独占禁止法なども含めて今後の問題として大事に取り扱っていくつも りである今後とも委員の皆様には変わらぬ御理解をお願いしたい。 ・ 最後に、経済企画庁ではマクロ経済が中心なので、このような具体的な話は勉強にな ったというのが実感であり、委員皆様の御指摘、御教示が大変参考になり、役所として もいい刺激になったことについても感謝している。 ────以上──── (速報のため事後修正の可能性あり) [問い合わせ先] 経済企画庁調整局市場開放問題苦情処理対策室 直通 3581−5469