第8回苦情処理推進会議苦情処理部会議事要旨
                           (平成9年5月8日)

1 平成9年4月11日(金) 午後3時00分〜5時25分

2 経済企画庁1230号会議室

3 出席者 谷村部会長、金森専門委員、兼重専門委員、児玉専門委員、細川専門委員、
   本田専門委員、宮智専門委員、村上専門委員、小林調整局審議官、滑川貿易投資調整
   官、川口OTO対策官

4 議題
  1)重要な個別案件についての審議
    1OTO番号539番「モデルロケットに用いられる噴射推進器と点火具の郵便物と
             しての取扱いについて」
    2OTO番号546番「ビールの輸入に係る関税分類について」
  2)最近の苦情受付・処理状況
 3)その他

5 議事要旨

議題1)− 1

 ○事務局から配付資料に基づき説明
   モデルロケットに用いられる噴射推進器と点火具について、日本モデルロケット協
      会の火薬類取締法の法定基準に係る合格証のちょう付を条件として、郵便禁制品の
      対象から外すことが適切か否か。
                    
 ○苦情申立者から苦情内容につき説明
(苦情内容)
  ・モデルロケット等を輸入する際には、火薬類取締法に基づき都道府県知事の許可を得
  なければならない。書類審査を受けた後、許可証が発行され通関できる。その際、現
    物検査はない。
  ・モデルロケットエンジンと点火具は消耗品であり、出荷量が非常に多い。これら以外
  のがん具煙火は、社団法人日本煙火協会がん具煙火検査所の検査を受けなければ輸入
    許可証が発行されない。
 ・平成8年9月2日付けで、日本モデルロケット協会(以下「協会」という。)の法定
    基準検査合格証をちょう付されている等の一定の条件を満たしているものについては
    郵便物としての送付が可能となったが、国内に輸入した時点では、既に火薬類取締法
    に基づくがん具煙火の噴射推進器と点火具としての輸入許可を得ているので、協会の
    法定基準合格証のちょう付がないものでも、郵便物としての送付を認めてもらえない
    か。あるいは、輸入許可証の写しの添付により、協会の合格証がなくても郵便物とし
   ての送付を認めてもらえないか。
  ・協会の行う法定基準検査の検査方法などが不明確であり、郵政省が協会の発行する法
    定基準合格証を有効とする根拠が不明確である。さらに、協会自体が任意団体であり
    独自にアメリカ合衆国よりモデルロケット類を輸入して販売していることからも郵政
    省の求める条件は適当でない。

 ○所管省庁から対処方針につき説明
  (対処方針)
  ・郵便禁制品を設けた主旨は、郵便物の取扱中、郵便職員への危害、郵便施設及び他の
    郵便物の損傷等を避ける観点からのものである。
  ・本件については、関係団体、関係省庁の意見も踏まえ検討した結果、今回の取扱いと
   したもの。
  ・がん具煙火は本来、郵便禁制品であるが、今回、一定の条件の下で郵送可能とした。
  ○この後、審議
  (委員の主な意見)
  ・所管省の回答によれば、合格証については、「日本モデルロケット協会と調整してほ
    しい」とあるが、この両者で話し合いをすれば申立者が満足すると考えたのか。
  ・混乱を避けるというのなら、申立者が利用する特定の郵便局に連絡を行えば解決する
   のではないか。
  ・協会の合格証を有効としたのは、協会から申請があったからか、あるいは郵政省の方
    から指名したのか。その際、省内ではどういう手続で決定したのか。
  ・協会に独占的な地位を与えていることには、民間サイドからみれば不当な行政と思え
    る。
  ・過去の苦情(OTO512)により、一方で規制緩和が実現しているが、他方でその
   実行性を損なうような方向になるのは好ましくない。
  ・花火は郵便禁制品に該当するのか。
  ・郵便禁制品のチェックはどうしているのか。現実問題として、抜き取り検査等窓口で
    事後的チェックは行われているのか。
  ・協会の発行している合格証の性格はどのようなものか。合格証を発行している側が、
    輸入販売しており、競争相手であるというのはアンフェアではないか。我が国の基準
   に達しているかどうかを判断する機関は、海外からみても透明性のあるところにすべ
   きではないか。
  ・先日、横浜の郵便局で小包を依頼した客に「危険物は入っていませんね。」と局員が
    確認していた。こういうことに対しては管理がずさんであるにもかかわらず、今回の
    案件については厳しくするというのはバランスが悪いとは思わないか。
    
  (所管省の応答)
  ・米国から輸入したモデルロケットの検査は協会のみが行っていると聞いていた。苦情
    申立者も協会の会員であることから、両者の話し合いにより何らかの調整がつけても
    らえればと思った。
  ・郵便物は誰でもが同じ条件で送れることが必要。また、申立人が送ったものが再送さ
   れる可能性があり、特定の郵便局のみに連絡すればよいというものではない。
  ・火薬類取締法に基づく輸入許可証は、モデルロケットの安全性を細かく検査した上で
   与えられたものではない。通産省や社団法人日本煙火協会からモデルロケットの検査
    を行っているところは協会のみと聞き、協会では米国で検査を受けたことの確認の上
    、国内の法定基準に該当することの検査を行っているとのことであるので、協会の検
    査証のあるものにつき、取り扱うこととしたもの。協会からの申請、郵政省の指名と
    いうものではない。
  ・花火はがん具煙火に該当し、発火性が極めて高いものであるため、郵便禁制品として
   いる。
  ・郵便物の内容については基本的には申告であり、必要に応じて差出人から内容品の確
    認を行い、爆発物在中の疑いのある郵便物については開示を求めたり、それに応じな
    い場合は引受けを拒否できることになっている。また、郵便物によっては、金属探知
   機も使用し内容の確認を行っているところ。
      
  ○議長の総括
   ・モデルロケット等については、火薬類取締法令及び関係規則(告示)で基準が設け
    られており、この基準を満たしていないと輸入できないこととしていることに鑑みれ
    ば、郵便物として差し出す際に、法的根拠のない日本モデルロケット協会の合格証の
    ちょう付が求められるというのは合理的でない。安全性については、火薬類取締法の
    基準を満たしていれば十分であるはずなので、郵便窓口における輸入の際の許可証の
    提示等で足りるはずである。
    
     以上の点を踏まえ、郵政省の方でさらに御検討頂いた上で、その結果を私まで御報
    告頂き、必要に応じて次回の部会で審議することとしたい。郵政省におかれては、是
    非とも前向きな対応を取ることをお願いしたい。
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  

  議題2 OTO番号546番「ビールの輸入にに係る関税分類について」
  ○事務局から苦情処理の経緯等について説明
   麦芽使用率46%のミントのビールを「その他の発酵酒」に分類し、「ビール」として
   扱わないという現行の関税分類基準が明確か否か
  
  ○苦情申立者から苦情内容につき説明         
  (苦情内容)
  ・「ビール」とは、HS条約で”beer made from malt " と定義されているが、所管省
    は「麦芽を主たる原料としたアルコール麦芽飲料」として歪曲して訳している。「主
    たる」という言葉は入っていないし、またこれを50%以上と解するのも恣意的であり
    きちんと訳して運用して欲しい。
  ・4月1日から関税が引き下げられたとしても、従来の運用が間違っていたのならそれ
    まで半年分については税金の還付を受けたい。
  ・ビールの分類に関する申立者の主張が正当であるかどうかOTOで判断して欲しい。
      
  ○所管省庁から対処方針につき説明
  (対応方針)
  ・我が国の関税率表は関税分類に関する国際条約であるHS条約に準拠した関税定率法
    別表として規定されている。同別表には酒税法のようなビールについての麦芽使用率
    を引用した定義はないが、WCOが作成した解説書を翻訳した関税局長通達等に基づ
    き統一的な関税分類を行っている。この結果、関税率表には麦芽比率50%云々という
    ような規定はなく、麦芽を主たる原料としたもので味がビールであるものという解釈
    で統一的に分類しており、麦芽使用率をもって画一的に分類することはしていない。
  ・従来我が国では麦芽使用率60%程度のものがビールとして流通していたが、近年低麦
    芽ビール(発泡酒)がビールということで国内で販売され、また輸入されてきている。
  ・諸外国におけるビールに係る麦芽使用率については、例えばドイツの国内法では麦芽、
    ホップ、水から発酵させたもののみをビールとしているようであるが、輸出入に際し
    ては麦芽が入っていればビールとして扱われているようである。また、米国では麦芽
    比率25%以下は発泡酒として扱われている。
  
  ○この後、審議
  (委員の主な発言)
  ・高いビールを飲まされているとの印象があるが「主として」というのであれば49%以
    下でも主たる成分ということはありえるのではないか。「ビール」とはビール特有の
    味、香りを有するものであるという定義ではトートロジーではないか。回答としては
    乱暴ではないか。
  ・関税における麦芽使用率について海外に対しどのような説明をしているのか。また、
   味について問題になるならば、税関にはかつての国税庁のように利き酒のできる権威
   者がいるのか。
  ・基準が明確でなければ今後も関税上問題が出てくるのではないか。もっと明確にして
    定義すべき。本資料で説明されている定義で運用するのは恣意的行政をもたらす危険
   がある。透明性を確保する方向で考えて欲しい。
  ・ビールの定義を明らかにすることは他の法律との整合性で何か問題はあるのか。定義
   を合わせられたら合わすべきではないか。
  ・関税率表解説は何年頃作られたのか。また柔軟に訳してもよいのか、機会をみて見直
   しを行う必要があるのではないか。何らかの事情で我が国だけ違うところがあるので
   あれば、日本の場合はこういう事情でこういう解説書になっているというように透明
   性を確保すれば、消費者としても理解しやすい。
   
  (所管省の応答)
  ・ビールについては関税法上の定義はないが、通達に基づき統一的な関税分類を行って
    いる。これは、関税が全ての輸入貨物を課税対象とし、品目が多種多様であるため全
    てを個別に規定できないためであると考えられる。ビールと発泡酒については50%と
    いう点も考慮しないわけではないが、画一的に麦芽比率50%という数値基準で切るわ
    けにはいかないので、統一的に課税の公平を図るため分類センターを設けて調整し、
    輸入者にも情報提供している。
  ・本件については、納税申告の際ビールとして申告があったが疑義があったため、事後
   審査扱いとし、後日変わることがあるということを了承の上通関したのであって、突
   然高税率をかけたわけではない。
  ・今まで日本に入ってきていたビールは麦芽比率の高いものであった。今まで低麦芽ビ
   ール(発泡酒)というのはなかったので問題になっていなかったし、世界に対して日
    本は何%で分類しているかという問題は生じていなかった。4月1日以降ビールの税
    率と発泡酒の税率が同一となった。これは、関税の目的には国内産業の保護という面
    があるが、ビール会社が発泡酒を造っており、産業政策上影響がないと判断したため
    と思われる。
  ・税関には国税庁ほど知識のあるものはいないが、税関の通関部門は貨物の種類毎に担
    当が分かれており、ビールを扱う者は常にビールをみており、それなりの知識はある
    のではないか。
  ・1988年にHS条約が発効しており、解説書はWCO加盟国の委員会で採択されたもの
   である。我が国は直訳して関税局長通達として採用している。
  ・透明性確保について、税関においては関税率表解説、分類例規集等、関税分類に係る
    資料を積極的に公開しており、税率等についての問い合わせが年間5万件位有り、申
   立人からも事前教示制度を利用した問い合わせが過去にはなされたが、本件について
   はなされなかった。また、電算システムを使って情報提供している。ビールの定義に
    ついて明確性を欠いているということに対しては50%で画一的に切るかは別として類
    似の情報を何らかの形で公表したい。ビールについて1カ月以内に基準を明確化する。
  ・本件のような行政処分に不服があれば、輸入申告書に記載されているように、2ヶ月
    以内に申立てが可能だったが、それをしなかったため、税の還付には応じられない。
  
  ○部会長による総括
  ・ビールの分類基準が明確でないために生じた問題である。輸入者にとって、輸入品が
   どう分類され、その関税額が幾らになるかは極めて重要な問題である。透明性の確保
   あるいは国際的な関係が明確に説明できるように早急に手当てして欲しい。
  ・問い合わせの制度があるのに事前に問い合わせがなかったということを言うのは、行
   政の公平性等の見地からみてどうか。問い合わせがあろうがなかろうが基準が明確で
   あれば民間の人が判断できる。いずれにせよ関税の分類基準は明確にしておく必要が
   あり、その基準を最大限公表し目安として分かる様にすべきである。この点につき検
   討し、1カ月以内に議長に報告して頂き、必要に応じ次回の部会で審議することとし
    たい。
  ・所管省においては民間からみて明瞭でない、透明性が欠けているということにならな
   いよう前向きに対応して頂きたい。
  ・税の還付については行政処分のとり消しが必要であり、これはOTOの審議によって
   はとり消すことのできないものである以上、法律上の正規の手続きに従ってやって頂
   く以外はない。
   
  議題3)                  
  ○事務局から配付資料に基づき説明
  ・前回の部会(平成9年1月)以降、新たに6件受け付け、その時処理中または検討中
    であった11件とあわせ、計17件について、2件が新たに処理済となり、現在15件が処
    理中・検討中である。
 ・新たに処理済となった案件及び処理状況に変更のあった案件について、その概要を説
   明。
 ○委員の発言
  ・534番(仮設構造物等の承認手続について)に関して、民間団体の行う承認類似行
    為は今後問題となるのではないか。こういう問題に対してOTOが関与できることを
    明確にして欲しい。
 ○議長総括
  ・苦情受付・処理状況については、当部会として結構であると考えるので、関係省庁連
   絡調整会議において決定の上、公表していただきたい。
             ──── 以  上 ────  
 (速報のため事後修正の可能性あり)

                [問い合わせ先]
                 経済企画庁調整局市場開放問題苦情処理対策本部
                    TEL 3581−5469(直通)