１　日　時　平成９年１２月２日（火）　１５：００〜１６：５５

２　場　所　経済企画庁特別会議室１２３０号室

３　出席者

（ＯＴＯ推進会議）

大河原議長、久米委員、島野委員、谷村委員、眞木委員、増田委員、八城委員、山本委員、ビーグルス特別委員、デュボア特別委員、朴特別委員

（ＯＴＯ対策本部・事務局）

尾身経済企画庁長官、古川内閣官房副長官、糠谷経済企画事務次官、塩谷調整局長、小林調整局審議官、東貿易投資調整官、前川ＯＴＯ対策官　他

４　議　題

(1)　外国人事業者等からの問題提起内容について
(2)　苦情処理部会における審議状況について
(3)　平成９年度海外派遣ミッションの結果報告
(4)　「21世紀を切りひらく緊急経済対策」について
(5)　その他

５　議事要旨

1.　尾身経済企画庁長官挨拶（ＯＴＯ対策本部を代表して挨拶）

　現在の足踏み状態の日本経済を早急に順調な回復軌道に乗せるため、「21世紀を切りひらく緊急経済対策」を、11月18日に決定した。
　本緊急経済対策にも、市場アクセス改善の加速化のため、過去のＯＴＯ案件の総点検を平成10年度中に行うことなど、ＯＴＯを積極的に活用していくことが盛り込まれた。
　また、本日からは、外国人事業者等からの問題提起を受け、第５回目のＯＴＯ推進会議報告書の審議をお願いすることとなる。是非とも十分ご審議の上、意欲的な報告書を取りまとめていただきたい。

2.　審議の概要

(1)　外国人事業者等からの問題提起内容について

ア．　議長より、外国人事業者等からの問題提起を受け、本年度も来年３月中旬を目途に報告書を取りまとめたい旨発言。また、同報告書の政府としての取扱いについては、古川内閣官房副長官から以下のような発言があった。
• 政府としても、本年度の問題提起案件に関する皆様のご意見を最大限尊重し、年度末を目途に、具体的な対応を決定したいと考えている。
• このため、明後日の４日に、ＯＴＯ対策本部幹事会を開催し、関係省庁の事務次官等に対し、推進会議のご審議に関係省庁が十分な協力するよう指示する。

イ．　本年度ＯＴＯ事務局に外国人事業者等から問題提起がなされ、ＯＴＯ対策本部で明確化を図った案件（５３件）について、ＯＴＯ事務局から問題提起の内容及び現時点での所管省庁の現状・対処方針の概要等を資料２に基づき説明。

ウ．　報告書の取りまとめのための審議の進め方については、昨年同様、専門家会議（大河原議長が専門家会議議長、ＯＴＯ推進会議委員が議長代理、同特別委員がオブザーバー、同専門委員が委員となる）を設置し、個別に審議を進めることについて、了承が得られた。

エ．　各案件に対する委員の発言

１−(1)　ベルギー産ピーマン及びトマトの輸入解禁
• 本件については、昨年度もベルギーから全く同様の問題提起があり、対処方針を見る限り、農水省は、現在、ベルギー側の対応を待っている状態であるようだが、２年連続で提起されておりベルギーやＥＵにおける本件の重要度がうかがわれるので、農水省にはできる限り前向きの対応をお願いしたい。

１−(3)　海苔輸入手続の改善

１−(4)　ワカメ輸入事前確認制の廃止

• 所管省の対処方針を見ると、海苔とワカメの問題に共通するのは、業者保護の側面が強いと考えられることである。
• 海苔の問題では、民間ベースの議論を尊重してとあるが、輸入組合が輸入数量の管理を行っている以上、民間ベースだけの問題とは考えにくいので、関係省庁に事実関係を詳細にうかがいたい。
  　また、ワカメの問題に関しても、例えば、輸入数量が増加している中国に対しても同様の措置を取っているかどうかといった点など、関係省庁に詳細についてうかがいたい。
• 海苔の問題については、商取引慣行に関する問題であり、「日本海苔輸入組合」の運営に関しても所管省庁は全く関与できないというものではないと考える。本年６月の建議においても「民間慣行等への対応」を市場アクセス改善のための課題として挙げているので、商取引慣行の問題も取り上げるべき問題である。
  　また、ワカメの事前確認制度については、貿易量合意制が廃止されたにも関わらず、事前確認が必要な理由を所管省は説明していかなければならないと考える。
• しかしながら、いずれの問題についても、現在、日韓政府間で協議されているので、ここでどこまで解決できるのかを見極めた上で、専門家が審議することとした方がよいと考える。

　議長より、海苔とワカメの問題は、日韓政府間協議の内容を見定めた上で推進会議としての対応を考えたい旨提案し、了承された。

２−(2)　医療用具の輸入販売許可及び外国製造承認における手続きの簡素化

• 所管省の対処方針は一見もっともだが、疑問点もあり、例えば、医療用具の申請手続に多額の費用が必要な理由や薬事法に基づく承認を受ける必要のない「リスクの低い一部の医療用具」の範囲が著しく狭いのではないのかということ。さらに製造物責任法の精神から言えば、国が必要以上に品質に責任を負う必要はなく、また、国内管理人の選任基準が厳し過ぎるなどの疑問点もあるので、専門家の意見を聴いて議論したい。
• 所管省庁の対処方針に問題があると考えている。対処方針の中で医療用具の有効性、安全性及び品質について国自らは責任を有するとしているが、国が責任を持っているのであれば、国内管理人の設置は必要ないのではないか。国内管理人を選任しなければならない根拠と、国自らが責任を有するという認識との間に矛盾があると考えるので、専門家会議で所管省に説明してもらいたい。

３−(6)　ＴＳＣＡ等で承認を受けている化学製品の輸入許可
• 所管省には、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」の下でジイソプロペニルベンゼンが輸入できる方法等を前向きに検討してもらいたい。

５−(1)　建設業の許可に係る規制緩和

• 建設業の許可については、対日投資の際のコストについての問題提起であり、単なる申請手数料が高いということではなく、我が国で建設業という体をなそうとするのに必要なトータルコストが高過ぎるということが問題にされている。そもそも建設業の許可の在り方が国際的にみて妥当かどうかという点も含め、専門家の方の意見を聞いて議論したい。

６−(1)　ＪＰＮＩＣによるインターネット・ドメインネームの登録方針の改善

• ドメインネームの登録方針に関しては、各国でばらつきがあり、国際的な慣行は存在しないため、日本だけが特殊というわけではない。マルチドメインを認めていないのは日本だけではなく、問題提起者であるオーストラリアでも認められていない。マルチドメインを認めている国も数多くあるが、ドメインの市場ができ混乱をきたすなど弊害もある。こうした点なども踏まえて専門家からよく話を聞いて審議すべき案件と考える。

７−(1)　外国郵便物の課税に対する納税方法の改善

７−(3)　ＢＰ制度の整備等

７−(15)　税関事後調査方法の改善

• 以上３つの案件は、かなり専門的な問題であり、また、実務的にも重要な問題であると考えるので、専門家会議で専門的に検討すべきと考える。

８−(1)　関税見直しメカニズムの明確化

• 本件は、外国からの関税見直し要望に対して、いかにタライ回しを防ぐかということである。そのためにも、外務省は単に外国からの要望をつなぐだけでなく、その結果を十分フォローし、たとえ外国からの要望が受け入れられない場合でも、その結果を明確に説明するなど、対外窓口としての責任を十分果たすべきである。手続きの明文化など、前向きな対応をお願いしたい。

８−(2)　外国人又は非居住者に対する源泉徴収免除制度の廃止

• 本件は、対日投資のコストに関する問題提起であるが、外国銀行のみに源泉徴収免除証明書の提示を課す合理的理由が不明であるので、専門家の方の意見を聴いて議論したい。
• 本制度の趣旨からは、クレジットカードを使用した場合にも適用されるはずだが、実際には行われていない。こうした本制度の適用により、外国の金融機関と日本の金融機関を区別する理由は全くないので、この問題は早く解決すべき問題でもあり、是非とも審議すべき案件である。

８−(4)　外国企業の日本国内支店に対する住民税算出基準の改善

• 本件も、対日投資のコストに関することである。法人住民税の算出方法に関しても、市場アクセス改善の観点から、議論をする価値があると考えるので、専門家会議で議論されたい。

オ．議長総括として、専門家会議で審議すべき案件として以下のとおり整理。

２−(2)　医療用具の輸入販売許可及び外国製造承認における手続きの簡素化

５−(1)　建設業の許可に係る規制緩和

６−(1)　ＪＰＮＩＣによるインターネット・ドメインネームの登録方針の改善

７−(1)　外国郵便物の課税に対する納税方法の改善

７−(3)　ＢＰ制度の整備等

７−(15)　税関事後調査方法の改善

８−(2)　外国人又は非居住者に対する源泉徴収免除制度の廃止

８−(4)　外国企業の日本国内支店に対する住民税算出基準の改善

また、各省庁で前向きに対応して欲しい案件として以下のとおり整理

１−(1)　ベルギー産ピーマン及びトマトの輸入解禁

３−(6)　ＴＳＣＡ等で承認を受けている化学製品の輸入許可

８−(1)　関税見直しメカニズムの明確化

　

• 専門家会議で審議すべしとされた８件について、早急に審議できるよう準備し、第１回専門家会議を１月13日（火）に開催することついて了承された。

(2)　苦情処理部会における審議状況について

　部会長を務めた谷村委員より、11月５日に開催された第９回苦情処理部会の審議状況及び自治省より同審議を踏まえた対処方針を受取っていることについて報告があった。

　

(3)　平成９年度海外派遣ミッションの結果報告

ア．　八城委員より、本年９月８日〜12日にかけて、ニューヨーク、シアトル、サクラメント、サンフランシスコの４都市を訪問し、政府関係者、経済団体及び現地企業等と行った意見交換の結果について以下の通り報告。

• ＯＴＯのようなシステムが日本政府の中に存在するという点が米国側に高く評価された。
• ＯＴＯの活動に関するＰＲが重要であること及びＯＴＯへの苦情申立の手続き・窓口について説明すると高い関心がもたれた。
• 政府間協議で取り上げている問題をＯＴＯでもは扱うのかという質問に対して、ＯＴＯでは案件としてあまり扱っていないが、日本の規制緩和の流れの中で、ＯＴＯの役割が重要であり、特に民民規制についても注目している。また、所管省庁を飛び越して、ＯＴＯに直接苦情を出すと関係省庁から反発を受け、いやがらせを受けるのではないかということを懸念していたので、これは誤解であると説明した。

イ．　山本委員より、本年10月５日〜12日にかけて、ミュンヘン、ボン、パリ、ブラッセルの４都市を訪問し、政府関係者、経済団体及び現地企業等と行った意見交換の結果について以下の通り報告。

• ドイツと欧州委員会ではＯＴＯの制度がよく理解されていたが、フランスではあまり知られていなかっが、いずれの都市でもＯＴＯの活動に対する評価は高く、特にフランスでは、日本市場をねらう中小企業にＯＴＯの活動をＰＲしたいとの意見が出された。
• 欧州委員会では、ＯＴＯ推進会議の建議の内容が「基準・認証制度等に関するＥＵの政策内容を反映したものであり、歓迎」と評価された。また、現在日・ＥＵ間で相互承認協議が行われているが、ＯＴＯとしてもこの協議の動向を適宜フォローアップする必要があると感じた。
• ＣＣＪ会合や大使館説明会において、在京の各国関係者にはＯＴＯの活動を説明しているが、ミッションで現地の関係者に直接働きかけることが、ＯＴＯの活動を進める上で効果的であるという感想を持った。

(4)　「21世紀を切りひらく緊急経済対策」について

資料６−１、６−２の配布のみで、事務局からの説明は時間の関係で省略した。

以　　上

［問い合わせ先］

経済企画庁調整局市場開放問題苦情処理対策本部