日時 平成10年2月3日(火)14:00〜16:00
場所 経済企画庁特別会議室(1230号)
出席者
(推進会議)
(問題提起者)
議題1 台北経済文化代表所 余経済組副組長 他
議題2,3 駐日韓国大使館 孫一等書記官 他
(所管省庁)
議題1 厚生省医薬安全局審査管理課 村上医療機器審査管理官 他
議題2 大蔵省主税局 谷口国際租税課長、国税庁課税部 山内法人税課企画専門官 他
議題3 自治省税務局 片山府県税課長 他
(OTO本部事務局)
小林審議官、東貿易投資調整官、前川OTO対策官
議題
(1)医療用具の輸入販売許可及び外国製造承認における手続の簡素化
(2)外国銀行に対する源泉徴収免除証明書制度の廃止
(3)外国企業の日本国内支店に対する住民税算出基準の改善
(4)その他
審議の概要
議題1 医療用具の輸入販売許可及び外国製造承認における手続の簡素化
○事務局から問題の背景、問題提起内容及び所管省庁の対処方針につき説明
問題の所在:
1 医療用具の承認不用品目をどこまで拡大すべきか
2 国内管理人の選任要件はどうあるべきか
〇問題提起者から提起内容につき説明
- 今回の問題提起では、日本とEUの制度比較をしているが、EUの制度はあくまでも一例なので、EUの制度を日本に当てはめてほしいと要求してるのではない。しかし、EUでは検査機関が域内代理人を兼務できるので、外国製造業者にとって、とても便利な制度となっている。
- 今回提起した低周波治療器と体脂肪計に加え、電気温吸気、赤外線摩擦機、体温計等も輸出したいと考えている。これら、人体に悪影響の心配がないものについては、承認不要品目として取り扱ってほしい。
- 日本の国内管理人制度は、学歴、経歴等選任基準が厳しいので選任基準の緩和を求める。また、この管理人は必ず雇用する必要があることからコストアップにもつながっている。
- 厚生省はJIS規格に適合したものについては承認は不要と言われるが、平成5年に電取法の型式承認を受けたにもかかわらず、厚生省の承認が必要と言われたこともあり、厚生省の裁量で不要とは限らない場合もあるのではないか。
〇所管省庁から対処方針につき説明
- 昨年のOTO推進会議の意見をふまえ、マッサージ器や磁気機器の2品目のみならず、安全性について特段問題のない家庭用医療用具については、本年3月を目途に承認不要とするよう検討している。
- EUにおいても、今回提起されている品目全てが承認不要ではない。我が国においても、諸外国で承認不要の品目については緩和する方向で考えている。
- 低周波治療器については、人体に電流を流すものであり、設計によってはショックが大きい場合もあることから、承認不要とするのは困難と思われる。
- 国内管理人については、そもそも外国製造業者に直接承認させてほしいという外国からの要求により導入したものである。最も必要な目的は、製品の不具合情報の収集や回収責任のためである。しかし、資格要件については、大学を出ていなくても実務経験がある程度ある人なら可能であり特に厳しいとは思えない。また、過大な要求をしているとは考えてない。
〇この後、審議
(委員の主な発言)
- 薬事法施行規則第26条の5項3に「国内管理従事者」とあるが、これはなんであるか。また、「国内管理従事者の意見を尊重すること」とはどういうことか。
第24条の責任技術者の要件が適用される国内管理人は、不具合情報の収集、回収責任があるというが、法律上どういう責任、どういう権限があるのか。
- 承認に要する標準的事務処理期間について、新規の医療用具は1年、その他の医療用具は4カ月とは、どういう根拠で決定されたのか。
問題提起者の発言にあった、JISに適合していながら承認を必要とするケースがあるというのは、行政の裁量があるのではないか。
対処方針に「国民的なコンセンサスを必要とする・・・・」とあるが、どのような方法でコンセンサスを知るつもりでいるのか。
- 承認不要品目の拡大は賛成するが、一方で、消費者センターへの苦情件数の上位に医療器具が入っている。この点を考慮し、警告表示や不具合情報等表示の工夫がほしい。
電取法の合格イコールJISの合格でないなど、日本の法制度は理解しにくいので、理解しやすくする広報の必要もある。
- 国内管理人の役割如何。ただ帳簿を付けているだけのような感じがするが、現実には何をしているのか。
国内管理人の雇用コストが高いというが、どの程度なのか。
- 最近H2ブロッカーが市販されたが、このように従来は医師の指示で使用していたものでも、徐々にセルフで使えるようになるものもある。消費者の学習の度合いを勘案しながら、承認不要品目にするなど対応する必要がある。
- 新規の医療用具の事務処理期間、1年は最長ということか。4カ月はどうか。
- 不具合情報の収集や回収責任は正に会社の管理者の重要な業務であり、全く別の国内管理者というものの権限が強いというのは実務上もおかしいのではないか。
- 所管省の発言を聞いても、国内管理者の仕事は何であって、何を期待されているのかわからない。
- 対処方針に「国内管理人の選任は・・・・外国に住所を有する者に域外適用することができないため・・・・設けられている」について、域外適用できないのは薬事法だけに限らず多数あり、これをもって国内管理人を置く理由としては希薄ではないか。
(問題提起者の発言)
- 国内管理人を雇う費用は、一品目につき年60万円程度である。
(所管省の発言)
- 国内管理人については、新たに雇用する必要はなく、すでに雇用している者を兼務させることができる。仕事内容については薬事法第77条にあるように不具合の報告等、法令上明記されている。
- 承認に要する標準的事務処理期間については、これは行政側に上限として科せられているものであり、新規の医療用具であれば、1年以内に結論を出すということである。2国間協議等で事務処理期間を明らかにしろということになり、このような約束をしている。米国も同様に1年となっており、それほど日本が長いというわけではない。
このように、新規の医療用具の事務処理期間の1年は最長であり、通常は8〜10カ月で処理している。その他の4カ月の方はぎりぎりで処理している。
- JISに適合していても承認が必要な場合があるという件については、JISに適合していれば承認不要であり、裁量によって審査しているということはない。
- 国民のコンセンサスについては、このケースでは、法律改正つまり国会の議決が必要ということである。
〇議長による総括
- 医療用具については種類が様々であり、それが人体に与える影響も様々である。にもかかわらず国内管理人について、要件を一律に規定しているのは、危険度の低い製品のみを製造する業者にとって過度の負担になっていると思われる。
国内管理人と責任技術者では本来、設置目的が異なっているはずだが、国内管理人の資格要件として責任技術者の資格要件を当てはめる規定は必ずしも必要でなく、完全に別の要件を設けることが可能ではないか。
国内管理人について、どの程度必要なのか説得力のある説明がほしい点と、仮に国内管理人を置くとして、その資格要件は、人体に与える影響の度合いに応じて、ランク分けするなどの見直しを図るべきである。
- 第4回OTO推進会議報告書に従い、政府は家庭用医療用具の承認の不要化について、本年3月末までに結論を出すべきである。
- 家庭用医療用具以外についても、人体にとってリスクの低い医療用具については、承認不要品目を引き続き拡大していくべきである。
- 本日示された委員の意見を踏まえて、事務局で、問題提起者、所管省庁とも調整の上、できるだけ具体的な改善内容とその実施時期を盛り込んだ報告書の原案を作成し、報告頂きたい。その報告を頂いた上で、必要に応じ更なる検討を加えることとしたい。
議題2 外国銀行に対する源泉徴収免除証明書制度の廃止
○事務局から問題の背景、問題提起内容及び所管省庁の対処方針につき説明
問題の所在:外国銀行に関する源泉徴収免除証明の方法に改善の余地はないか。
〇問題提起者から提起内容につき説明
- 以前は源泉徴収免除証明書のオリジナルを税務署から必要枚数交付してもらい取引先に郵送していた。平成7年に法律が改正され、現在、毎年1回税務署から源泉徴収免除証明書の交付を1部受け、取引先に提示することになっている。同証明書の有効期限は1年である。税務署に提示方法について問い合わせたところ、顧客が理解できるまで内容を説明して欲しいとのことであった。
- 取引先は、税務調査の際に、証明書の提示を受けたか又は源泉徴収したかを聞かれるが、大企業と違い中小企業や個人事業者は十分制度を理解できないことも多いので、当方では、取引先に同証明書のコピーを郵送するとともに、その受領書を取って1年間保存しており、事務量は平成7年の法律改正以前とほとんど変わっていない。
○所管省から対処方針につき説明
- 税法上、居住者(内国法人)の場合、源泉徴収により取り敢えず税を徴収しておき、最終的には申告で税の調整が行えるが、非居住者(外国法人)の場合、源泉徴収しないと日本の税の管轄が及ばないため日本において所得が発生しているにもかかわらず、税金が徴収できない。したがって、非居住者についてはそれぞれの所得の区分によって源泉徴収を行っている国が多い。納税者番号が完備され、日本ほど源泉徴収に頼っていない米国においても、非居住者(外国法人)への利払いは、原則として源泉徴収となる。
- 外国銀行の場合、非居住者(外国法人)に該当するため、利子を受けるときには原則として利払いをする方、つまり、借り手が源泉徴収義務を負う。ここでポイントは、その所得が特例で源徴免除となる外国銀行の支店の所得となるのか、本店の所得となるのかという点である。従って、借手は、自分が源泉徴収義務を負っているのか、負っていないのか判断しなくてはならない。支店は現地法人と異なり、本店の手足にしか過ぎないので、貸付が支店の所得か本店の所得か表面では解り難いからである。このため、従前は当該貸付が源泉徴収免除の対象となっている支店から行われていることの証明書を交付することとしていたが、手続簡素化の要請もあり、源泉徴収免除の対象となっていることを借手に見せればよく、いちいち交付する必要はないとしたところである。これが特例としての源泉徴収免除証明書を提示方式であり、借り手についても同証明書の保存義務がなくなった。韓国からの問題提起は、制度的な問題ではなく運用上の問題ではないか。個別に問題が生じているのならそれは運用の中で善処したい。
〇この後、審議
(委員の主な発言)
- 源泉徴収は仮払い、前払いという性格が強いが、法人課税を前提としている場合は、納税者を信頼し何かもう一工夫できないか。借主が、国外の本店から借入れているのか、東京の支店から借りているのかの仕分けをした書類の提出を求めて税の査定をするのは事務的に可能ではないか。個別の借主側に義務を課すのは市場の自滅行為ではないか。
- 韓国においては源泉徴収免除証明書のような制度は存在するのか。
- 提示方式になったとはいえ、有効期限が1年というのはいかがなものか。一度店を構えたら、撤退するまでは基本的に店の状況は変わらないのではないか。
- 外国銀行と取引をした場合、本店扱いと支店扱いが違ったとしても契約書は外国銀行と日本の借主との契約であるはずだが、その点を区別をする根拠は何か。源泉徴収免除証明書を交付する場合本店扱いか在日支店扱いかを区別して交付しているのか。源泉徴収免除対象となる外国銀行名を官報に公示するということでは何か問題があるのか。
- 本店の取引か支店の取引かで税の徴収方法が決まるので、後はその確認手段をどうするかということである。本件は、もともとは規制緩和により便利にするはずが、実際はそうではなかったということではないか。
- 証明書提示制度は、特例により源泉徴収免除とされる外国銀行等であることを確認するため必要であるとしているが、誰が確認するのか。また、借主は外国銀行が源泉徴収免除になっているということを確認する義務があるのか。
- 証明書提示制度は、歴史的には戦後、「非居住者・外国法人」については申告納税が担保されにくいと考えられたためと思われる。今日では、外国銀行に関して、この制度を存続させるべき合理的理由は全く考えられない。
対案として、免除証明制度の交付に変えて、国税庁長官が源泉徴収を要しない外国金融機関を官報に公示し、その公示に基づいて、貸付金の利子に係わる源泉徴収を免除するなど、官民双方にとって不必要な事務量の削減を達成することによって効率化をはかるべきである。
- 証明書提示制度は元々いつ作られたのか考えるのも重要である。もし、歴史的に古いのであれば、今後のビックバン等の状況に適合できるのかという論点も重要になってくる。
- 本店扱いと支店扱いをどこで区別するのか理解できない。
- 官報公示など大蔵省により制度の周知徹底を行うことや、証明書の有効期間も延長するなど事務処理を軽減するべきである。
(所管省庁の主な発言)
- 源泉徴収免除証明書を悪用した場合は、次に証明書を発行しないとか取り消す等ということで担保しているが、幸い今のところそういうことはない。非居住者・外国法人に所得を支払うときは源泉徴収するのが原則である。外国銀行の在日支店についての特例について知らない源泉徴収義務者もいるので、外国銀行の方も免除証明書があるので源泉徴収不要である旨を説明し、疑問があれば、税務署に問い合わせるように説明していただけると有り難い。税務署においても、免除証明書を発行した銀行の一覧表を配布し、説明も行っている。なお、平成8年12月、外国銀行協会との間でも話し合いを行っており、その後問題があるとは聞いていない。
- 税法上、現地法人と外国法人支店とは異なるものである。現地法人は外資100%であっても日本法人であり、全ての所得が法人税の対象となるが、支店は外国法人であるので、一般に、国内源泉所得のうちその支店の所得のみが法人税の対象になる。本店に帰属する貸付は支店が手続をやっていても、法人税の対象とならず、源泉徴収が不可欠である。なお、韓国では、外為規制により外国銀行の本店からの直接貸付が行い難く、本店貸付か支店貸付かの区分の必要性が小さい。
官報による公示については、税務署において免除証明書を発行した銀行の一覧表を配布しており、便宜を図っている。源泉徴収義務者である借り手は、これを参考にし、源泉徴収しなくてもよいということを確認してもらう必要がある。本店に払う利息ならば源泉徴収する必要があるが、契約上のみで確認できるとは限らないので、提示制度がある。
- 本制度を作るに当たっては、外国銀行協会と広範に議論を重ね、適正課税の要請の中で、どのように事務を簡素化していくかについて交付方式から提示方式に制度改正された経緯がある。
- 米国でも非居住者・外国法人への利払いの際源泉徴収免除されるためには一定の書類の提出が必要である。
- 官報掲載といっても、源泉徴収義務者は大企業から個人事業主まで様々であり、このような源泉徴収義務者に源泉徴収義務免除となる外国銀行名を確認させるのは酷である。
(問題提起者の主な発言)
- 韓国においては、韓国国内銀行と同様外国銀行支店の貸付金に対する利子には源泉徴収が免除されている。収入金である利子には法人税が課せられるため源泉徴収免除証明書は必要ない。
- 提出から提示になったことによっても銀行の仕事量はかわらず、所轄税務署の証明書の発行事務が減っただけではないか。
- 現状では、借主は税務調査の際に不利益を受ける可能性がある。具体的には、外国銀行が証明書を提示しても、顧客が所管税務署に源泉徴収税を納めていないことで、調査を受ける可能性があるため、外国銀行との取引を避ける原因となっている。
また、長期的に外国銀行と取引を行う場合でも、毎年証明書の提示を受けなければならないが、顧客は当制度を忘れることも多く、顧客の立場からすると不便である。
- 韓国のように日本も、外国銀行も国内銀行と同様に法人所得税の納付のみで、顧客の受け取り利子に対する源泉徴収が免除となれば、外国銀行が源泉徴収を免除される外国銀行であることを顧客に説明する必要がなくなる。
- 外国銀行がこの証明書をもらう場合ともらわない場合で税務上どのような違いがあるのか。
〇議長による総括
- この問題については、居住者、非居住者を区別する制度の問題と、源泉徴収免除証明制度の運用によってどの程度関係者が負担を受けているかという二つの側面がある。
- 外国銀行についての源泉徴収免除制度はあくまで「特例」ということで、制度の改善努力を払ったということだが、提出から提示への仕組みの変更は、現場からみれば事実上負担が変わっておらず、国内銀行と外国銀行間の競争条件上問題といった指摘がある。
また、提示方法や融資先が提示されたことを証明する方法も現場からみると不明確であり、実際には「提示」という証明方法は有名無実化しているのではないか、という指摘ももう一つの問題である。
- 従って、提示に替わる方法として源泉徴収免除を認められた外国銀行名の大蔵省による周知徹底のための公表の仕組みを考えること等により、当該外国銀行が免除資格を持つことを明確にすることが望まれる。また、委員から指摘のあったように証明書有効期限の延長など同証明にかかる事務手続きを実質的に軽減すべきではないか。
- 本日示された委員の意見を踏まえて、事務局で問題提起者、所管官庁とも調整の上、できるだけ具体的な改善内容とその実施時期を盛り込んだ報告書の原案を作成し、報告頂きたい。その報告を頂いた上で、必要に応じ更なる検討を加えることとしたい。
議題3 外国企業の日本国内支店に対する住民税算出基準の改善
○事務局から問題の背景、問題提起内容及び所管省庁の対処方針につき説明
問題の所在:法人住民税における均等割りの課税基準は適正か
〇問題提起者から提起内容につき説明
- 現在の法人住民税は基本的にとても高いと言える。例えば、駐在員1人の外国会社支店が100人規模の日本法人より多く住民税を払わねばならない場合もある。この理由は、道府県民税の均等割りの標準税率が、従業者数に係わらず本社の資本金額によって決まっているからである。
- 韓国の均等割り住民税の場合は日本の約1/20程度である。日本の場合、本社の資本金によって課税標準することに問題があると考えている。
〇所管省等から対処方針につき説明
- この問題提起は、それぞれの国の租税政策の問題だと思っている。住民税が高いという指摘は、確かに韓国の均等割りと比較すれば高いのだろうが、それは、それぞれの国の財政の中で必要な税をどこから求めるかということの政策の違いである。例えば、日本と韓国の地方団体を比べた場合、仕事量が違うということも基本的にある。
- また、従業員規模の小さな支店の方が住民税を多く支払う場合があるとの指摘については、確かにそのようなケースもあるが、外国企業に対して格差を設けている訳ではなく、内外無差別な制度となっている。
〇この後、審議
(委員の主な発言)
- なぜ、外国法人の場合でも、外国にある本社の資本金を基準とするのか、対処方針を読む限りでは理解できない。内国法人と外国法人の区別をしていないことをもって問題なしと考えるのか。なぜ、外国企業の本社の資本金を日本で準用するのか理由を説明してほしい。
- 道府県民税は資本金のみで税額の計算をしており、従業員数基準は入っていない。これを市町村民税と同じように算出根拠に従業員数も基準とすれば、非常に小さな支店が住民税をたくさん払うということはなくなるのではないか。
一方、市町村民税をみると、従業員数の区分は50人未満と以上という区分である。これも、外国企業の場合、50人も雇用している支店は少ないと思われるので、日本の中小企業にも係わる問題であるが、3段階、4段階等もっと細かな区分とすれば、結果として、小さな支店が多くの住民税を払うことはなくなるのではないか。
しかし、この見直しによって、増税となる場合も考えられ、住民税全体の収入、区割り、税の公平性等考慮する面が多々あると思われるので、慎重に議論する必要がある。
- 本店の資産は円換算しているのだろうがその換算率はどうなっているのか。また、それは時々見直しているのか。
- 「地域社会の費用についてその構成員である法人にも幅広く負担を求める」という課税基準の考え方は、日本の租税体系の一つの理念であり、内外無差別である限りは問題ないとのことだが、実際問題として、内外で税制に差がある場合に外国企業は参入しにくいということもあるので、税制の差異自体も考える必要があるのではないか。
(所管省の主な発言)
- 東京に本社のある企業が例えば鳥取に少人数の支店を出した時も東京本社の資本金を基準としている。ソウルに本社のある企業が鳥取に支店を出した時も同様にソウル本社の資本金を基準としている。これは、市町村から受ける行政サービスと本社の資本金は直接関係ないかもしれないが、資本の金額がその企業の担税力を示しているという考えからきている。なぜ、外国にある本社の資本金を基準とするかという問いは、なぜ、東京本社の資本金を基準とするのかということでもある。そういう意味で内外無差別であり、法人の資本金の背後にある担税力に着目してのことである。
- 提案のあった「道府県民税にも従業員基準を設ける」、「市町村民税の従業員数区割 りを見直す」については、政策選択としてはありえると思う。しかし、現在それを行ってないのは、市長村民税と比べて道府県民税は高くないことがある。市長村民税は最高300万円だが、道府県民税は80万円であり、それほど下との開きがないので、そこまでやる必要がないとの考えがある。
- そもそも均等割りの考えは、頭割りであり、いろいろな要素によって細かくすべきではない。例えば個人でも均等割りがあって、所得、資産、家族が多かろうと少なかろうと一緒である。ただし、法人の場合は額が大きく、中小企業に配慮するといったこともあり、資本金額や従業員数50人規模を目安としている。これはあまり細かくする趣旨のものではないと考えている。
- 資本金の円換算については、課税団体で適切な換算レートを使うことになっている。詳細はわからないが、毎年それぞれの団体で換算レートを使っていると思う。
〇議長による総括
- 市長村民税の場合には算出根拠に資本金と従業員数を基準としているので、道府県民税においても算出基準に従業員数を導入してもいいのではないか。
- 市町村民税においては、従業員数を算出基準としているが、その区分の仕方が50人未満・以上だけでは大雑把すぎるのではないか。例えば外国企業の支店の規模などをみても、50人もの従業員を抱える支店はごく少数である。従って、従業員数の区分を少し細かい区分にすべきではないか。
- これら、本日示された委員の意見を踏まえて、事務局で問題提起者、所管官庁とも調整の上、できるだけ具体的な改善内容とその実施時期を盛り込んだ報告書の原案を作成し、報告頂きたい。その報告を頂いた上で、必要に応じ更なる検討を加えることとしたい。
(速報のため事後修正の可能性あり)
[問い合わせ先]
経済企画庁調整局市場開放問題苦情処理対策室
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