日時 平成10年2月10日(火)14:00〜15:30
場所 経済企画庁特別会議室(1230号)
出席者
(推進会議)
議長 大河原議長
議長代理 行天委員、久米委員、島野委員、谷村委員、眞木委員
増田委員、山本委員
委員 片岡委員、兼重委員、児玉委員、細川委員、宮智委員
オブザーバー デュボア特別委員
(問題提起者)
議題1、2 東京商工会議所 下島国際部長、新山国際経済担当課長 他
(所管省庁)
議題1 大蔵省関税局 鹿戸業務課長 他
議題2 大蔵省関税局 長内調査保税課長 他
(OTO本部事務局)
小林審議官、東貿易投資調整官、前川OTO対策官
議題
(1)外国郵便物の課税に対する納税方法の改善
(2)税関事後調査方法の改善
(3)その他
審議の概要
議題1 外国郵便物の課税に対する納税方法の改善
○事務局から問題の背景、問題提起内容及び所管省庁の対処方針につき説明
問題の所在:納税者の利便を配慮した関税等の在り方
○問題提起者から提起内容につき説明
- 最近ではクーリエサービス等により、海外から貨物が送られてくることが多くなったので、国際郵便で送られてくることは少なくなっているが、地域によってはいまだに郵便小包で送られてくる。
- 郵便貨物の場合は、税関が先に税額を計算して、それを郵便局経由で受取人へ通知してくる。そして、郵便局へ現金を持参し、引換に貨物を受け取ることになっている。
- その場合、会社に仮払い制度はあるが、貨物がサンプル品や急ぎの時には仮払いを受けている時間がないので、個人で立て替えることになる。頻度にもよるが、個人負担が多くなるといったこともあり、現金納付のみでなく、従来のように収入印紙による納付も認めてほしい。
○所管省庁から対処方針につき説明
- 昨年4月の地方消費税導入までは、輸入郵便物に課される関税、消費税は全て印紙により納付されることになっていた。印紙を購入した時点で郵政事業特別会計に業務外収入として計上され、国の一般会計に繰り入れるしくみであった。
- 昨年4月からは、国税たる消費税と地方税たる地方消費税を合わせて課税価格の5%分を一括して課税することとなった。このため、印紙による納付を続けると、地方消費税分も国の一般会計に繰り入れられることになることから、印紙による納付から現金納付へ変更した。
- 印紙による納付の方が便利であるとの声もあるが、国内取引や一般輸入貨物の場合は従来から現金による納付であり、現金納付方式により地方消費税分が円滑に地方に回るということであるので御理解願いたい。
○この後、審議
(委員の主な発言)
- 現在は日本中がリストラをして経費を節約するなど合理的に仕事をしないといけない時代である。役所も民の声を聞いて、何が合理的・効率的であるのか考えてほしい。バスや電車でもカード式によるコンピュータ処理を行ってる時代に、現金納付のみというのはいかがなものか。印紙はいわば政府のカードのようなものでもあるのでそのあたりも考えてほしい。民間がどうしたら合理的に仕事ができるかという観点から、本件について再検討してほしい。
- 国税収納金整理資金に関する法律には「経理の合理化」とあり、所管省の本件対処方針には「納税者の利便」という原則が明瞭に謳われているが、具体化してほしい。例えば、公営バスと民営バスの共通カードの会計処理のようにうまく出来るのではないか。このような会計処理を禁ずる法律はないはずである。
また、現在は電子マネーなど従来なかった決裁手段が一般化しようという時代に、従来の納付方法以外は将来的にも認めないつもりでいるのか。
- 問題提起者の提案に「国税分は印紙、地方税分は都道府県証紙を併用して貼付することを検討して頂きたい」とあるが、この提案は認められないか。
- 納税者の利便というなら納付方法は、印紙と現金のどちらでも納税者の便利な方で良いのではないか。
- 地方消費税のような新しいものができた時には、納めやすい方法を考えるのが常識だと思う。もっていかれる税を払うのに増々面倒になるというのは考えられない。納税者の利便を図るのが親切というものである。
- 普段我々がレストラン等で払った消費税をその経営者はすぐに税務署に納付している訳ではない。同様に本件についても、毎回その都度納めるのではなく、一定の期間累積させて一括して払うという方法は検討できないか。
- 印紙と証紙の併用の可否を早急に検討して答えて欲しい。出来ない場合は分かりやすい説明を求める。
また、便利か不便かは所管省が考えることではなく、我々が考えることなので、こちらが不便だと言ってることは、まず考えて欲しい。
(所管省の発言)
- 郵便物については、個人のウェイトが高いことと、郵便局は全国を網羅しており徴収のしくみが出来上がっていることから、郵便局を通じて徴税させて頂いており、一般の税金のしくみと違いがある。
一般の国税等の徴収については、振替納税制度があるので、毎回現金で支払わねばならないということはない。
- 国税収納金整理資金に関する法律についての指摘については、正に「経理の合理化」であり、現金で納付されれば地方税分は円滑に地方に回るしくみとなっており、現金納付としているのは、国税収納金整理資金に税金が回るようにさせて頂いてるということである。
- 収入印紙と都道府県証紙の併用については、本日の提案者の資料で初めて出てきたことでもあり、即答できない。
- 印紙納付が便利であるという議論であるが、現金で印紙を購入し納税するより、現金でそのまま納税できる方が多くの国民からみれば事務の簡素化につながっているのではないか。
立替払いについては、企業にとっては、郵便小包に限らず他の経費でもあるものであり、会社の経理システムの工夫次第だと思う。
収入印紙と都道府県証紙の併用については、多くの納税者にとっては事務の煩瑣になる。例えば一万円以下の品を個人輸入した場合、家に配達された時に印紙と証紙を購入して納税するより、現金でそのまま払えた方が簡便である。
- 国税と地方税という全く別のものを一体として納付してもらうので、印紙の納付ではクリアできない問題がある。
- 地方消費税導入時に証紙併用方式も検討したが、都道府県証紙は各県の指定金融機関で販売されており、必ずしも郵便局では扱われていないこと等から、かえって二度手間になるのではないかということで、現行の制度になったようである。
- 継続的な取引のある貨物の場合は延納制度がある。しかし、郵便の場合は、小口、単発のものが多いので、その都度納めてもらうことにしている。
○議長による総括
- 所管省は、地方消費税と消費税は一体として納付する必要があり、両税を別の方法で徴収することは、納税者の利便から望ましくないとしているが、印紙による納付が認められないために不都合であるとしている納税者がいる以上は、現金納付しか認めないということではなく、印紙等従来の方法に準じた方法を検討すべきではないか。例えば、収入印紙と都道府県の証紙を併せて納付することを認めるなど、納税者の利便を配慮した関税等の納付方法を検討してもらいたい。
- 本日示された委員の意見を踏まえて、事務局で、問題提起者、所管省庁とも調整の上、できるだけ具体的な改善内容とその実施時期を盛り込んだ報告書の原案を作成し、報告頂きたい。その報告を頂いた上で、必要に応じ更なる検討を加えることとしたい。
議題2 税関事後調査方法の改善
○事務局から問題の背景、問題提起内容及び所管省庁の対処方針につき説明
問題の所在:事後調査の効率化及びその負担軽減を図る余地はないか。
○問題提起者から提起内容につき説明
(1)消費税に関して
- 当社では、まず、仕入れ時にかかる消費税として輸入分と国内分がかかっている。そして、売上げについては、輸出分が8割、国内分が2割となっており、輸出分は免税であることもあり、仕入れに係わる消費税額の方が多くなっている。この消費税は全て還付されることになる。また、事後調査により、ケアレスミス等がわかり修正申告をしたとしても、結果として還付される。
- このような事実を鑑みると、今後の事後調査の在り方として、有税品だけを調査対象とすることや、消費税を調査するとしてもその企業の輸出入のバランスはどうなのか、還付されていないのかといった有価証券報告書をみれば分かるようなことは調査した上で、適切な会社に入った方が人員の有効活用にもつながるのではないか。
- アメリカ税関のホームページに記載されている「IMPORTER AUDIT COMPLIANCE ASSESSMENT TEAM DOCUMENTS」によれば、正しい輸入申告を税関と事業者が共同歩調によってつくり出すという考え方である。検査の際には全数検査ではなく、まず、税関から申告ナンバーの提示があり、その検査の内5%分、不適切な申告があれば次のステップとして全数検査及び更にくわしい検査をすることとなっている。
- また、事後調査に必要な書類として、2,3年分の書類を全部用意するため、部屋半分ぐらいのスペースが必要となっている。更に、外部倉庫にかかる費用もかさむ。そのような物、金、人の有効活用のためにも、今までの事後調査の成績や有税品を多く扱う事業所など、適切な調査対象の抽出、臨機応変な運用体制を望んでいる。
(2)関税に関して
- 当社では、事後調査に対応するため、約7年分の書類、ケースにして300箱分を外部倉庫に保管している。また、調査期間の約4日間、その対応者として数名待機させなくてはならない。更に輸入業務は各事業所に分散しているが、調査は一カ所で行われるため、各事業所の分の質問に対応するのにかなり時間がかかることや効率が悪いこともある。
- 事後調査は国税庁と税関の2本建てだが、関税申告の適正さよりも消費税に重点がおかれているようで、この2本建ては無駄な気がする。
- 事後調査にもグローバルスタンダードを考えてほしい。アメリカで6年勤めた経験では、一度も監査はなく、輸入もスムーズであったと記憶している。
○所管省から対処方針につき説明
- 適正・公平な課税を行うためには、最終的な総額としての納税が担保されること、いつだれが支払ったかということが基本にある。
- 消費税の事後調査をなしとすると、総額としての納税が担保されない。例として、国内での免税業者や簡易課税制度によるみなし仕入れを適用して一つ一つの取引の証明を免除されている業者は、輸入段階で課税しない限り課税漏れということになる。このようなこともあり、現在の輸入段階で消費税をかけることが適正・公平さを確保する制度だと思っている。
- 事後調査の頻度としては、現在でも企業に応じて頻度を決めており、優良企業であれば調査頻度を緩めている。
- 事後調査を一カ所で集中して行うのは、複数の税関で輸入申告している輸入者が複数の税関から調査を受けることになると過度の負担になることから、これを避けるためである。また、必ずしも本店所在地で行ってるわけではない。
- 事後調査の際に要請する書類は関税法では決まっていない。法人税法等で何年保存義務があるなど定まっているものを要請している。問題提起にある銀行の送金証明、先方のインボイス、諸掛かり請求書は、法人税法上保存が義務づけられているものである。また、為替レート証明については求めてはいない。できるだけ業者に負担をかけないように、最小限度としている。
○この後、審議
(委員の主な発言)
- 昨年10月より過少申告加算税と無申告加算税が導入されたが、これは10%,15%とかなり大きな率である。このペナルティーは警告の意味もあり、申告の不正確さも減っていくと考えられることから、アメとムチではないが、事後調査については、以前の厳しさを維持することもないのではないかと思う。
また、問題提起者は、300箱もの書類を倉庫に保管しているとのことだが、こんな無駄なことがないようにFDでの保管等電算処理システムの活用を進めてほしい。
- 事後調査での必要書類は法人税法上規定されている以外のものを要請する場合はあるのか。あるとすれば、それはどのように決定され、それは公示されているのか教えてほしい。
- 従来無税のものは書類の保管義務がなかったが、消費税が導入されたため無税のものも保管しなければならなくなり、手間がかかるようになった。また、書類で保管していなくてもFDで保管できれば良いと思うがこの点はどうなっているのか教えてほしい。
- FDの中をみて調査していると言うが、書類として残しておくことは義務であるか、それともFDで残せばよいのか。
- 米国のCOMPLIANCE ASSESSMENTのように、行政の負担も減り、納税者側も参画意識をもってやっていける方法に転換する気が将来的にあるか。
(所管省庁の主な発言)
- 必要書類については、法人税法あるいは消費税法にのっとったものを要請している。法律によらずして強制することはない。ただし、社内規定で持っているような書類を参考として見せてもらう場合もある。
- 関税無税品であったものが、消費税が導入されたために調査の対象となったことは事実である。しかし、冒頭申し上げたとおり、輸入段階で課税しないと課税漏れが起こってしまい全体から見ると不公平になる。
また、FDでの証拠書類の保管については、実際、パソコンでFDの中をみて調査を行っている。
- 証拠書類の保管状況については、関税法ではどのようなものをどのような状態で保存してほしいということは一切ない。法人税法等で規定されているものを要請している。
- 基本的に事後調査制度は、輸入者が自主的に輸入申告するとそれに基づいて我々が輸入通関なり事後調査を行っている。そういう意味では、輸入者に適正に申告していただくこと、まずはそれを信頼しているところからスタートしているので、考え方は米国と同じだと思う。
○議長による総括
- これまでの審議を通じて、税関当局としては適正通関、迅速通関そして事務の効率化を図っていると言うことだが、他方、問題提起者からは、通関関係の書類を地方から東京などにまとめて集めなければならない、実際に調査する書類に比較して納税者が事前に用意させられる書類が非常に多いなど、税関の事後調査においては、納税者である輸入者に過大な負担が強いられている。
- また、関税及び内国消費税については、昨年10月より新たに加算税が導入され、納税者が適正な申告を行うインセンティブを高める工夫がされている。
- 従って、税関の事後調査においては、納税地の税関での調査を実施してもらう、事前に用意する書類を削減する等、税を徴収する側の利便だけでなく、納税する側のコストや能率を一層考慮した方法が取られるべきである。また、米国の例のように優良な納税者に対して調査頻度を軽くすることや必要書類の面で負担を軽減する等、いろいろ工夫をこらすことによって、徴税事務の効率を高めつつ納税者の負担軽減を図るということを積極的に考えてほしい。
- 本日示された委員の意見を踏まえて、事務局で問題提起者、所管官庁とも調整の上、できるだけ具体的な改善内容とその実施時期を盛り込んだ報告書の原案を作成し、報告頂きたい。その報告を頂いた上で、必要に応じ更なる検討を加えることとしたい。
議題3 その他
今後の専門家会議等の日程について
前川OTO対策官より説明。
(速報のため事後修正の可能性あり)
[問い合わせ先]
経済企画庁調整局市場開放問題苦情処理対策室
直通 03−3581−5469