OTO推進会議平成10年度第1回専門家会議議事要旨

平成１０年度第１回専門家会議議事要旨

日時：　平成１０年８月３１日（月）　１５：３０～１７：３０

場所：　経済企画庁特別会議室４３６号室

出席者：
（ＯＴＯ推進会議）

議　長　　　大河原議長

議長代理　久米委員、小柴委員、島野委員、谷村委員、眞木委員、山本委員

委　員　　　金森専門委員、兼重専門委員、塚田専門委員、本田専門委員、宮智専門委員

オブザーバー　　デュボア特別委員、朴特別委員

（厚生省）

　白石医薬安全局監視指導課長、吉田生活衛生局食品保健課新開発食品保健対策室長、川原医薬安全局審査管理課医療機器審査管理官

（ＯＴＯ事務局）

川本調整局審議官、市川貿易投資対策官

議題：　１．ＯＴＯ案件の総点検の具体的進め方について（２）

　　　　　２．関係省庁ヒアリング　（厚生省）

　　　　　３．第１１回苦情処理部会における審議状況

　　　　　４．その他

議事要旨：　審議の概要

議題：　
１．　ＯＴＯ案件の総点検の具体的進め方について（２）（１）　ＯＴＯ事務局から、専門委員会合の議事要旨及び今後の審議の具体的進め方について説明し、了承された。
（２）　委員の意見の概要は以下のとおり。 ①　グループ化して検討すべき課題以外の案件の審議の進め方に関して、委員の意見に対する所管省庁のコメントを文書で求める際、委員の質問や意見と所管省庁のコメントとの間にすれ違いが生じないよう、正確に質問等を伝え、的確なコメントが得られるようにされたい。２．　関係省庁ヒアリング　（厚生省）（１）栄養補助食品を新たなカテゴリーとする対応を取ることについての検討状況 ①厚生省からの説明ア．医薬品と食品の区分

医薬品と食品は、原材料、形状及び効能効果等の表示により、一般の消費者が医薬品として認識し得るか否かで区分される。ここでは、通常食品ではないが、伝承慣行等により医薬品的な効能効果を期待して使用されるもの、及び主に医薬品として用いられるが食品としても消費されることのあるものの区分が問題となっている。

イ．規制緩和の状況

１３種のビタミンについては、一部を除き一日の摂取量に上限なく「食品」と表示されていれば、形状に関わりなく食品として扱えるようにした。
欧州では生薬として認識されているいちょうの葉等１６８種類のハーブについても、本年３月、食品として販売されるものについては、形状規制を撤廃しており、表示についても「身体にいい」程度のものであれば、認めることとした。
現在、ミネラルについては、鉄やセレン等の鉱物の食品としての取扱いが国毎に異なるため、その安全性を確認した上で、平成１０年度中に食品としても扱えるようにすべく検討している。

ウ．食品として扱う際の問題点

栄養補助食品の類似の概念として「健康食品」があるが、この分野でも過剰摂取や効能効果の表示に関する問題があるため、国民の健康を保護するという観点から、摂取量や摂取方法の表示、健康食品の表示等に関する指針を出している。
医薬品として扱われてきたものが、食品として扱われる際、医薬品で認められていた添加物が食品添加物としては必ずしも認められていないという問題がある。

エ．国際的な動向

米国では、１９９６年、「栄養補助食品健康教育法」が公布され、本年から施行されている。同法では、ビタミン、ミネラル、ハーブ及びその他の植物並びにアミノ酸等とし、タブレット等医薬品的な形状のものを栄養補助食品として位置づけている。表示については、医薬当局による裏付けのないことを注記することを条件に効能等を表示できる。
欧州における規制は、必ずしも国毎に統一されているわけではないが、ビタミン、ミネラルについては、１日の摂取許容量の１～３倍までの範囲内で食品と認められており、ハーブは、医薬品として扱われている国が多い。
各国間で異なる制度を国際貿易という観点から統一的な制度とすべく、ＦＡＯ／ＷＨＯ合同食品規格計画（ＣＯＤＥＸ）が設けられ、この栄養特殊用途食品部会において、ビタミン、ミネラルの取扱い基準を検討している。
同部会では、「各国の健康管理行政に委ねるべき」という意見と「既に市場に出回っていることから規制や基準を設けないと混乱するのではないか」という意見があり、現状では、統一的な見解が出されていない。

オ．今後の方針

新たなカテゴリーの設置については、本年度中には、新たなカテゴリーの設置を含めて、栄養補助食品の位置づけを検討すべく、省内の会議を立ち上げる予定である。現時点では具体的な内容や実施時期は明言できないが、検討の際には、国際的な動向を踏まえつつ、国民の健康という観点から踏み込んだ規制が可能かどうかも含めて総括的に検討する。

②主要な意見等（委　員）現在でも医薬品と食品の区分は、昭和４６年厚生省薬務局長通知に基づき行われているのか。また、同通知の法的根拠は何か。

（厚生省）現在でも、医薬品と食品の区分は、昭和４６年の薬務局長通知に基づいており、実態に合わせて変えていくものである。例えば、本年度規制緩和されたハーブについても、同通知を見直したものである。

本通知は法形式という意味での強制力はないが、薬事法で定義している医薬品について解釈を示すものであり、法律を運用するためのガイドラインである。

（委　員）法律ではない同通知に実質的な強制力があるのは問題ではないか。今後は、決定過程の透明性が確保された法律のみ強制力を持つように、制度を改めていくべきである。

（委　員）医薬品の飲み方等の注意表示と、栄養補助食品において可能な注意表示の違いが曖昧であり、同様に表示してはならない理由が明確ではない。

（厚生省）例えば、毎食後何錠といった、通常では薬の飲み方であると誤解を受けそうな表示があるものについては、食品としては認められない。

（委　員）ミネラルの規制緩和については、平成１０年度中に措置とあるが、手続として、調査会や審議会に図る必要があるのか。

（厚生省）ビタミン、ハーブ、ミネラルの規制緩和に関しては、中央薬事審議会等を経る必要はない。ただし、専門家による検討会において、安全性に関する検討をした上で厚生省の責任において決定している。なお、食品添加物については、食品衛生調査会への諮問答申が必要であり、審議会や調査会が必要な場合は、その旨法律で示されている。

（２）化粧品規制の在り方に関する検討会における「今後の化粧品規制の在り方について」の内容

①厚生省からの説明ア．「化粧品規制の在り方に関する検討会」の設置

化粧品は、薬事法により医薬品と同様に事前の承認許可、指定成分の表示等の規制を行っているが、欧米諸国では、企業の自己責任において、全ての成分名を表示して供給されている。
化粧品はそもそも人体に対する作用が強くなく、また企業の製造物責任の考え方の進展と相まって、最近では重大な健康被害をもたらす恐れが少なくなってきており、基準の国際整合化を進めていく必要が出てきた。
検討会は、平成８年１２月に設置され、成分規制方式の国際的整合化や許可制、表示規制の在り方の見直しについて検討し、昨年３月３１日の中間取りまとめ及び本年７月２３日の最終取りまとめにより、今後の化粧品規制の在り方と新たな制度における具体的な取扱いについて取りまとめた。

イ．検討会の検討結果

今回の見直しは、消費者への必要な情報提供を確保しつつ規制を緩和し、我が国が欧米に比べ、新たな製品の導入が遅れることがないよう欧米の規制制度との整合化を図ることによって、化粧品の国際的な流通をさらに促進するとともに、消費者の需要の多様化に対応した製品の選択を可能としたものである。
具体的には、配合禁止・制限成分については欧米と同様にネガティブリスト、防腐剤、タール色素等特定成分群の配合可能成分についてはポジティブリストを作成する。これにより、これまでの種別毎の承認制や個別品目の許可制を廃止することになる。
配合成分については、全成分の名称を表示する制度とし、併せて、消費者等への情報提供も推進する。
製造所（営業所）毎の許可制に関しては、存続させるという方向が出された。

ウ．今後の方針

規制緩和推進計画にもあるとおり、検討会最終取りまとめに基づき、平成１２年度までに所要の法律の改正等を実施する。

②主要な意見等（委　員）例えば、薬事法施行規則第２６条の５にある国内管理人には、学歴要件もあるが、その任務は、法に基づく文書の提出や保管業務にすぎず、実態に則したものではない。このような管理者の設置を許可要件とすることは、中小企業にとって大きな負担である。また、企業にとって安全衛生管理は最も重要な問題であるが、自動車や電子機器など他の製造業においてはこうした管理者を設置しなければならない制度はない。

（委　員）検討会では、当初は規制の在り方全体のことも議論されていたが、結果的には表示規制の内容が中心となり、業の許可制についてはあまり議論されなかった。しかしながら、業の許可要件についても必要のないものは、廃止すべきと検討会の委員が認識している点を重視すべきである。

（厚生省）検討会の中間報告の取りまとめにあたっては、規制の在り方全体についても議論が行われてきたが、その後、更に細部に至る検討が必要とされたのは、表示規制に関することであった。こうした議論の経過や論点については公表している。

業の許可制に関する物的、人的要件を緩和する方向性については、検討会でも議論があり、今後、企業の品質確保努力の進捗状況も踏まえて考えていく。

（委　員）検討会には、在日米国商工会議所や欧州ビジネス協会も参加しており、規制緩和の方向性については、大きな一歩を踏み出したと評価していた。

（委　員）検討会においても、早期に実施できるよう委員から意見が出されていた。平成１２年度実施としているが、なぜ平成１１年度中に実施できないのか。

（厚生省）大きな制度改正を伴うことから、各方面、消費者等各方面への周知、啓発が必要であり、法改正等に係る準備もあるため、平成１２年度の実施を目指していることを理解されたい。

（委　員）国内手続を経る必要性は理解できるが、例えば平成１１年の通常国会で法律を改正するといった具体的な手順を示さない点が疑問である。この点について、委員の意見を踏まえて、厚生省で内部的に検討すべきである。

（委　員）ネガティブリスト、ポジティブリストとも、従来日本で認められてきた成分を基本とし、欧米の成分も取り込むとしているが、こうした方針では、欧米のリストと日本のリストとの間で差別化が行われ、結果として輸入障害となるのではないかという懸念がある。なぜ欧米と同一にできないのか。

（厚生省）最終的には、欧米と日本とのポジティブリスト、ネガティブリストを整合化させていくべきと考えている。ただし、欧米間でも個々には相違があるので、米欧日の専門家の間で議論しながら、整合化を図っていきたい。

（３）体外診断薬の規制に係る欧米諸国の制度に関する動向調査

①厚生省からの説明ア．欧米の制度調査

体外診断薬については、国際ハーモナイゼーション対策費により、平成８年度より欧米の規制制度の状況調査を実施している。

イ．米国の規制状況（平成８年度）

ＨＩＶの輸血検査に用いられるものは医薬品、その他の体外診断薬は、医療用具として扱われている。新規、または臨床診断上重要な体外診断薬については、我が国同様に承認制であるが、その他については承認を要しない。

ウ．欧州の規制状況　（平成９年度）

仏、独は体外診断薬を医療用具として規制の対象としている。英においては、規制の対象としていない。
現在、ＥＵ域内で統一的な取扱いをするためにＥＵ指令を策定中であり、医薬品及び医療用具とは別の第３のカテゴリーの設置や、ＨＩＶ検査薬の承認制等、具体的内容を検討している。

エ．今後の方針

以上調査結果と今後の欧米の動向、特にＥＵ指令の内容に対応して、我が国の体外診断薬の取扱いについても、国際的な調和を図っていくことを検討したい。

②主要な意見等（委　員）平成８年度から調査を実施しているが、欧米において、その後制度が変更されてきているという前提で行ったのか。

（厚生省）特に欧州指令の案文が、今まさに議論されているところである。また、本調査だけではなく様々なルートから情報収集を行いながら検討を進めている。

（委　員）諸外国の制度、とりわけＥＵ指令の状況をなぜ待たなければならないのか。国内だけでは規制緩和を進められない理由、対応が遅れる理由が明確ではない。

（厚生省）現時点で欧州指令の検討状況が不明なため、具体的なスケジュールは示すことができない。なお、体外診断薬については申請手続の簡素化などを随時実施している。

（４）　その他の意見等

・委員並びに専門委員から迅速性や公開性などに関する意見が出されたが、これらの点を十分受け止めて対応してもらいたい。

３．第１１回苦情処理部会における審議状況

　谷村部会長から、最近の苦情受付・処理状況及び専門委員の主な意見等について説明。

４．その他

次回の専門家会議の日程について事務局から説明。

以　上

（速報のため事後修正の可能性あり）

［問合せ先］

経済企画庁調整局市場開放問題苦情処理対策室

ＴＥＬ　　０３－３５８１－５４６９　　（直通）