平成10年度第2回専門家会議議事要旨


日 時: 平成10年9月16日(水) 14:00~16:00

場 所: 経済企画庁官房特別会議室729号室

出席者:

(OTO推進会議)

推進会議議長  大河原議長

議 長  眞木議長

議長代理  久米委員、小柴委員、佐々波委員、島野委員、谷村委員、増田委員、山本委員、米倉委員

委 員  金森専門委員、兼重専門委員、高瀬専門委員、宮智専門委員

オブザーバー  デュボア特別委員、朴特別委員

(経済企画庁)

中藤物価局物価調査課長

(建設省)

荒井道路局道路交通管理課長

(警察庁)

矢代交通局交通企画課長

吉田交通局運転免許課長

(法務省)

片山入国管理局入国在留課長

(OTO事務局)

川本調整局審議官、市川貿易投資対策官

〇 内外価格差の現状について

議題

 1.関係省庁ヒアリング(建設省)

 2.関係省庁ヒアリング(警察庁)

 3.関係省庁ヒアリング(法務省)

 4.その他

 

議事要旨 : 審議の概要

〇内外価格差の現状について、経済企画庁から説明

 

議題:

1. 関係省庁ヒアリング (建設省)

(1)ISO規格国際海上コンテナ積載車両の道路通行規制について

建設省からの説明

ア.特殊車両通行許可制度の概要

・車両が安全かつ円滑に進行できるように、道路構造令及び車両制限令によって車高及び車幅には制限が設定してあるが、車両の構造又は車両に積載する貨物が特殊であるためやむを得ない場合、道路構造の保全又は交通の危険の防止のため必要な条件を付して、通行を許可してきたところである。

イ.特殊車両通行許可の限度重量の引き上げ

・車両の大型化に対応するため、平成5年に設計自動車荷重を20トンから25トンへ引き上げた。既存の路線でも所要の整備を終えたものは、順次20トンを超える車両(最大25トンまで)の通行を認めている。

・さらに、整備済路線においては、許可限度重量を緩和し、本年4月より、特殊車両通行許可により、ISO規格国際海上コンテナ(海上コンテナ)のフル積載通行を可能とした。

ウ.新構造基準に適合したネットワークの整備状況

・新設橋梁については、新構造基準で整備しており、既設の橋梁については、新構造基準に適合するように順次補修工事を実施することとしている。

・過去5年間で約4千億円の公共投資により、約2千の橋梁を補強し、平成10年当初で約3万2千kmのネットワークが形成されたところである。

・今後5年間で、さらに3万km延長し、14年度末には6万kmのネットワークを形成する。

エ.高さ制限の検討状況

・通常の海上コンテナ(高さ8フィート6インチ)を低床式車両により運搬する場合(車高3.8m)には、高さ制限(3.8m)の範囲内である。また、背高海上コンテナ(高さ9フィート6インチ)を、指定経路において低床式車両により運搬する場合(車高4.1m)、許可を受けて通行可能である。

・指定経路における通常の海上コンテナ(高さ8フィート6インチ)の平床式車両による運搬(車高4.0m)は、既に、低床式車両が十分普及していることから、平床式車両で運搬しなければならない特殊性が認められないので許可されていない。なお、特殊性もなく車高3.8m超を認めると、特殊車両通行許可に関し、歯止めがなくなるおそれがある。

・高さ制限自体の引き上げの費用対効果を検討した結果、トンネル改修等の膨大な費用(約1.5~1.8兆円)が必要となる一方、走行経費節減の効果は年間30億円程度である。また、トンネル改修等のためには、長期間の交通規制により、一般物流車両を含め道路利用者全体に多大な影響がある。

・以上から、高さ制限の引上げは当面困難であると考えている。なお、経済情勢、技術開発等の状況の変化に応じ、長期的に必要な検討は行っていく。

②主要な意見等

(委 員)ネットワークが整備されても、現実には工業団地等へアクセスできないという苦情がOTOへ申立てられているが、約6万kmのネットワークが整備されたらその問題は解消されるのか。

(建設省)指定道路につき、現在、工業団地等へのアクセスが可能か、平成11年1月を目途に総点検を行っているところである。

(委 員)建設省による高さ制限の検討内容は、「道路の高さに関する設計基準を見直すことも含めて平成9年度以降検討を行う。」となっている対処方針から想像できる内容と大きく異なるものではないか。前向きに検討する姿勢を示すべきである。

(建設省)この記述は、費用対効果を見極めた上で検討する、としたもの。今回、検討した結果、効果よりも費用の方が大幅に大きいことが判明した。

(委 員)軸重10トンの制限を外したのは暫定的に10年間であるということで、10年経ったら元の軸重10トン以下に戻すということか。

(建設省)10年経ったら軸数を増やして頂いて、軸重は10トン以内におさめて頂くという趣旨である。

(委 員)確かに過積載という問題もあるのだろうが、コンテナについては過積載は考えがたく、国際的に通用する11トンという荷重を認めても問題は起こらないと思う。

(委 員)我が国の道路施設は、これまで国際的にみて小さなものが整備されてきたが、費用対効果が非常に悪いので、今から大きなものに作りかえることはできないということか。

(委 員)21世紀を展望すれば、中国などは欧州並みの規格で道路を建設している。今後は、コンテナだけでなく、大型フェリーでトレーラーごと輸入される。我が国が国際物流の拠点であるという考え方からすると、本当に現状のままで良いのか。

(建設省)我が国の道路整備は、地形的、地質的制約条件も考慮せざるを得ない状況にある。今後は、大型車が通行できる環境をできるだけ整備していきたいが、高さ制限を緩和すると改築等が必要な既存のトンネルは数千箇所あり、短期間に全ての道路を整備し直すのは費用対効果でみて非効率である。

(委 員)EUでも始めから40トントラックの走行が可能であったわけではない。ある時期に規格統一されたのだと思う。我が国は島国ということもあり、そのような状況の変化に日本が気づくのが遅かったのではないか。

(建設省)平成5年度に、設計自動車荷重も20トンから25トンにするなど、対応してきた。我が国の本格的な道路建設は戦後から始まったもので、10%以上の経済成長率が20年に渡って続いた時期において、先ずは舗装率を上げ、整備延長を伸ばしていくことが先決という事情があった。

(委 員)費用対効果分析については、コンテナ積み替えコスト等の機会費用も考慮し、国民生活全体にかかる費用と効果を算出すべきである。

(建設省)そういった点も考慮して、全体的な費用と効果を捉えるよう努力する。

 

2. 関係省庁ヒアリング (警察庁)

(1)自動二輪車に関する規制緩和

①警察庁からの説明

ア.高速道路等における自動二輪車の二人乗り規制について

・警察庁としては、二人乗り禁止を維持すべきだと考えている。本規制が導入されたのは、名神高速道路、首都高速道路が開通し、自動二輪車およびその二人乗りによる事故が頻発した昭和40年である。

・他の先進諸国において規制されていないのに、我が国で二人乗りを規制することについて、禁止後は高速道路上での自動二輪車二人乗り中の車数データがないため、データで明確に説明することは難しいが、自動二輪車の走行特性等から定性的に検討すると、二人乗りに対する基本的な考え方は以下のとおりになる。なお、本件を提起した米国大使館からは、当庁から資料請求したものの、二人乗りの安全性を証明するデータは提出されていない。

(a)操縦性に与える影響、すなわち、自動二輪車はカーブや車線変更の際、重心位置を変化させなければならないが、後部同乗者も運転者と同時に的確にバランスを取れるかという問題がある。

(b)二輪車の搭乗者は、運転者も含め車体にしがみついている状態である。高速道路の場合には、台風なみの風圧の中、長時間その状態を続けなければならない。

(c)昭和40年までは普通乗用車より自動二輪車の方が多く走っていたという事実がある等、我が国は二輪車王国であり、日本の交通安全対策上、二輪車対策が昔から重視されている。

(d)高速道路の規格は、地理的条件を反映し、曲線半径、視距等が欧米と比較して小さく、道路環境が異なる。

イ.高速道路における自動二輪車の最高速度規制について

・80km/hと100km/hで死亡事故率に明らかに差があるが、高速道路の第一走行帯を大型貨物車が走行することになったので、自動二輪車を含め、軽自動車等80km/hに抑えられている車種の最高速度を見直すことも検討課題になってきていることから、当庁の所管する財団法人において現在検討中である。

②主要な意見等

(委 員)二人乗りの安全性に関するデータはないということだが、警察庁から米国の担当部局に直接問い合わせ、専門家同士で話し合ってはどうか。米国政府からはデータが未提出だが、損害保険会社は保険料率の算定を行っていると考える。操縦性や走行安定性では、説得力のある説明にはならないだろう。問題提起者が納得できるような説明が必要である。
 高速道路における速度規制については、実態として80km/hの規制が守られているのか実態を十分踏まえた対応を願いたい。

 

(2)けん引免許取得に係る規制緩和

①警察庁からの説明

・キャンピングトレーラー全体についての正確なデータはないが、被けん引車全体でも15万台であり、総車両の0.21%である。

・750kg以上のトレーラーの事故状況(平成8年)をみると2070件と車両保有台数に占める事故件数は1.38%である。なお、「トレーラー保有台数」には、750kg以下のトレーラーも含まれているため、実際には、750kg以上のトレーラーの事 故率はこれよりも高いと考えられる。

・けん引免許現在数は、このところ年3.5%程度増加しており、他の種類の免許より伸びが高くなっている。

・けん引免許に被けん引車両の重量に応じた区分を設けることについては、現在、重量別の事故特性、限定的なけん引免許のニーズ等について調査に着手したところであり、アンケート調査の内容の検討や都道府県警察への調査を行っている。

②主要な意見等

(委 員) 本件については、調査中であり、結論はまだ出せる段階にないということか。

(警察庁) 貴見のとおり。

 

3.関係省庁ヒアリング (法務省)

(1)外国人の入国審査及び在留管理行政の現状について

①法務省からの説明

・上陸審査基準に関しては、その解釈や運用指針等を広く示すことにより、なお一層の明確化・透明化を図るため、インターネット等のメディアを活用しつつわかりやすい広報に務めている。

・本邦に入国し在留する外国人については、在留資格と在留期間が定められる。在留資格とは、外国人が本邦に在留し活動する根拠となる活動内容、身分、地位を類型化したもので、現在27種類の在留資格が入管法別表に規定されている。

・在留期間は、在留資格ごとに法務省令で定められており、この場合、外交、公用及び永住者の在留資格以外の在留資格に伴う在留期間は、3年を超えない範囲で定められている。1つの在留資格について、3年、1年、半年と在留期間が重複して定められているものもある。

・本年1月からは原則として法務省令で定められている数種類の在留期間のうち最も長期の期間を付与することとしている。

・今後の運用については、本年1月以降の運用状況を踏まえ、平成10年度中に結論を出すこととしている。

・在留資格「企業内転勤」から他の在留資格への変更については、同一企業内において地位の変更を理由として経営・管理に従事することになった場合に限り「投資・経営」への変更を認めることとしていた。

・本年1月に「企業内転勤」に係る最長滞在期間(5年)の制限を廃止したことに伴い、本年8月から「企業内転勤」から他の在留資格への変更についても、変更を希望する在留資格の要件に適合し、かつ、在留状況に問題がない場合には変更を認めることとした。

②主要な意見等

(委 員)最長3年という在留期間は、どのようにして決まったのか。また、今後の運用に関し、在留期間そのものも見直される可能性はあるか。

(法務省)入管法は、米国の法制度を母法としており、米国が3年としていた在留資格については、3年ということで運用してきている。また、在留期間については、最長1年のものを3年にすることが可能かどうかを検討する。なお、最長期間は3年ということになっているが、同じ活動であれば資格更新することについて回数の制限はない。

(委 員)3年という期間は短いという印象を持っていた。在留期間について検討する際には、在留資格の付与の条件も緩和する方向で検討してほしい。

(委 員)在留期間を定める際に、外交上の相互主義は関係ないか。

(法務省)欧州の法制度には、在留資格制度がない等、各国によって入国管理行政は運用が異なるが、基本的には相互主義の観点を考慮して在留期間更新等の運用を行っている。

(委 員)我が国が一方的に在留期間を定めることは可能か。

(法務省)相互主義ということではなく、長期に渡って滞在している者には、在留期間に制限のない「永住者」の在留資格への変更の途も開かれており、その取扱いの緩和も行った。

(委 員)最近米国の入国管理が厳しくなってきているが、余り相互主義にとらわれると縮小均衡になっていく恐れがある。1月に企業内転勤の最長滞在期間の制限を撤廃しながら、なぜ8月まで在留資格の変更が認められなかったのか。

(法務省)在留資格の変更と最長滞在期間を撤廃したことが、必ずしも連動するわけではない。資格変更への要望がどの程度あるかということ等を踏まえながら検討していたため、時間が必要であった。

(委 員)今のように老齢化・少子化が進むと、どうしても若い労働力として外国人を入れる必要があると思う。かつての米国のように積極的に外国人を入れてもよいのではないか。入国管理は、その国の方針によって決めるべきであって、あまり相互主義ということは関係ないと思う。

(法務省)これからの日本のあり方が変わっていく中で、御指摘の点について出入国管理が果たすべき役割がどこにあるのかを検討していく必要があると考える。

(委 員)入国管理のそもそものあり方は、国政の基本的な問題であって、OTOとして法務省に意見すべき問題ではないのではないか。大量に外国人を入れると文化が崩れる。米国のように多民族国家で人工的に建国された国と日本とは基本的に違う。フランスのように保守的に文化を守る一面があって然るべき。

4.その他

次回の専門家会議の日程について事務局から説明。

以 上

 

(速報のため事後修正の可能性あり)

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経済企画庁調整局市場開放問題苦情処理対策室

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