OTO推進会議平成１０年度第４回専門家会議議事要旨

平成１０年度第４回専門家会議議事要旨

日時：平成１０年１０月９日（金）１５：００～１７：００

場所：経済企画庁特別会議室４３６号室

出席者：

（ＯＴＯ推進会議）

推進会議議長　大河原議長

議長　増田議長

議長代理　久米委員、谷村委員、眞木委員、米倉委員

委員　金森専門委員、兼重専門委員、高瀬専門委員、塚田専門委員、宮智専門委員

（農林水産省）

吉村食品流通局品質課長

（駐日米国大使館）

フランク・Ｇ・カリコ上席商務官、グレーク・ブリスク経済担当官、須藤上席商務専門官

（在日米国商工会議所）

大浜会員

（ＯＴＯ事務局）

川本調整局審議官、市川貿易投資対策官

議題

　１．関係省庁ヒアリング（農林水産省）

　２．問題提起者ヒアリング（駐日米国大使館）

　３．その他の問題提起者からの意見

議題：
１．関係省庁ヒアリング（農林水産省）

食品等の表示・規格制度の見直しについて

①農林水産省からの説明

ア．食品等の表示・規格制度の見直し状況

・昨年１０月に農林物資規格調査会に基本問題委員会を設置し、食品等の表示・規格制度について検討を行ってきており、本年５月に中間報告を行い、１０月中を目途に最終取りまとめを行う予定である。

イ．食品表示制度の充実

・現在の品質表示基準においては、ＪＡＳ規格が定められている品目か、ＪＡＳ規格の設定が困難な品目であってその品質の識別が困難であり品質表示の適正化を図る必要がある品目に品質表示対象品目が限定されているが、表示制度を拡充する観点から、消費者が必要とする品目について表示基準が制定できるよう対象品目の拡大について検討する必要がある。

なお、コーデックス規格では、包装食品全般の表示基準が定められている。

・現在の品質表示基準制度においては、品質に関する表示事項を定めることになっているが、原産地など品質との関連において議論のある項目についての表示ニーズも増大しているので、消費者からの食品の表示に対する広範なニーズに対応できるよう表示制度を拡充する必要がある。

・有機食品等の表示については、現在、ガイドラインにより表示の基準を示しているところであるが、有機食品の需要増に対応して市場流通が増加している状況の中で、表示の信頼性の確保、有機食品の適正・円滑な流通を図る観点から、農産物及び加工品について、中立的な第三者による検査・認証制度の創設について検討する必要がある。

ウ．国際的な表示ルール及び規格との整合化

・有機食品の表示をはじめとする食品の規格・表示に関する諸課題については、現在コーデックス委員会において検討が進められており、林産物規格については、ＩＳＯにおいて検討が進められている。

・技術革新や製品の多様化への柔軟な対応等の観点から、ＴＢＴ協定において「性能に着目した産品の要件に基づく任意規格を定める」よう規定されており、林産物規格の制定・見直しにあたっては、強度等の「材料の性能に着目した規格」の導入を進めていく必要がある。

・このような状況を踏まえ、表示ルール・規格について、我が国の生産、流通、消費の実態を踏まえつつ、国際整合化の観点にいっそう配慮していく必要がある。

エ．格付機関の要件見直し等のＪＡＳ規格・認証制度の見直し

・ＪＡＳ規格については、これまでも随時見直しを行ってきたが、例えば５年毎というように一定期間毎の規格見直し方式の導入、規格制定手続の透明化等規格の制定・見直しの基本的ルールを整備する必要がある。

・ＪＡＳにおいては、既に外国検査データの受入れを行っているが、規制緩和、国際化の要請を踏まえ、格付権限の内外の民間企業等への開放等検査・認証における民間能力の一層の活用を図る必要がある。

・ＪＡＳ規格は、物の規格であるが、ＩＳＯ９０００、ＨＡＣＣＰの要素を取り入れたシステム認証の仕組みを検討する必要がある。

オ．国際規格策定への積極的参加

・国際規格策定作業に積極的に参加していくとともに、我が国やアジア、環太平洋地域の食文化、住環境等を反映した国際規格を能動的に提案していく必要がある。

②主要な意見等

（委員）
林産物規格について「材料の性能に着目した規格」にするとのことであるが、これにより、過去のＯＴＯ案件であるラジアタ松の問題は解決するのか。

（農林水産省）
一般的にいえば、性能規定化すれば個別のトラブルはなくなっていくと思う。ラジアタ松については、相手国からの必要なデータの提示を求めているが、提出が遅れているため処理が長びいている。データ提出が遅れている理由については、今後の対話の中で明らかにしたい。

（委員）
格付機関を内外の民間企業等へ開放するとのことであるが、競争原理を導入しないといけないと思うが、国際競争についてはどう考えるか。

（農林水産省）
現在、我が国の格付機関は公益法人に限られているが、民間企業も外国の企業も対象としていきたい。これはまさしく競争原理を導入するということである。

（委員）
有機食品の表示について、現在はガイドラインによっているが、その位置づけと、コーデックスのガイドラインの位置づけはどのようになるのか。

我が国のガイドラインは、任意といっても非関税障壁ととられ、海外に誤解を与える面もあるので、是非法制度に基づくものにしてほしい。

（農林水産省）
コーデックスにおけるガイドラインは、規格と効果において差はない。ＷＴＯ／ＴＢＴ協定上は、どちらも国際基準として取り扱うこととなっている。我が国のガイドラインは、あくまで任意の制度である。我が国における有機食品については、ガイドライン制定当時国際基準がなく、有機食品自体があまり定着していなかったのでガイドラインから始めたという経緯がある。今後、検査・認証とリンクしたものにするとなると法制度に基づいたものにしなけらばならないと考えている。

（委員）
原産地表示については、外国産のものについてニーズが高いが、国内産のものについても混乱しているのではないか。

（農林水産省）
国内の産地表示については、県名を書くのが一般的なルール。なるべく多くの商品について原産地表示の適正化を図っていきたい。

（委員）
国際規格策定に積極的に参加することは非常に良いことだと思うので、大いにやってほしい。

（委員）
先日、朝日新聞の社説に遺伝子組換え食品の表示問題について、全て表示せよと出ていたが、軽率だと思う。この件について、農林水産省として何か検討しているか。

（農林水産省）
遺伝子組換え食品の表示問題については、昨年５月に食品表示問題懇談会を設置し、検討を続けてきており、本年８月に報告書案たたき台が出された。このたたき台について、現在、パブリックコメントを求めているところであり、１万通を超えた。

現在検討されている遺伝子組換え食品は、厚生省のガイドラインに基づき安全性が確認されたものであるので、安全性に係わる表示ではなくて、商品選択のための表示をすることが目的である。

（委員）
遺伝子組換え食品にはいい面もあり、遺伝子組換えアレルギーのために全て表示の義務化と決めつけるのは問題がある。将来のいい意味での発展も妨げられる。

（農林水産省）
農林水産省では、新しい農業技術についても積極的に取り組んでおり、将来の発展の芽を摘んではいけないと考えている。表示の問題とは別に、遺伝子組換えのメリットについて説明していきたい。

（委員）
遺伝子組換え食品の表示問題については、ＥＵと米国では考え方が違う。そのような状況の中で、国際整合化を図るといったときに、日本がどういう姿勢を示すか難しい問題だと思う。今後も消費者に情報を提供し、国民が幅広く議論に参加できるようにしてもらいたい。

（委員）
ほとんどの消費者は、表示を見てもその良し悪しを判断できない。消費者に判断を求めると、コストがかかる表示になり得るので、このような表示については、官庁で判断する方が効率的である。

２．問題提起者ヒアリング（駐日米国大使館）

過去のＯＴＯ案件に対する意見

①駐日米国大使館からの説明

・米国政府は、ＯＴＯの努力を通じて自由市場の機能が円滑化されていることに感謝する。

・１０月７日に米国政府は、日本政府に対して規制緩和に係る２７０の要望を提案した。

・日本における規制緩和は、より大きな市場の機会を外国企業に対して提供するだけでなく、日本の消費者に対しても便益をもたらすと確信している。

ア．栄養補助食品

・海外で食品として扱われているものが日本でも食品として扱われるべきとのＯＴＯの判断が、完全に効果的に実行されることは根本的に重要なことだと考えている。ビタミン、ハーブ等栄養補助食品について、厚生省もいくつかの前向きの対応をしてきたが、このＯＴＯの判断が十分に効果的に実行されているとは思っていない。

・前回の厚生省による自由化で取り残された６種類のビタミンについて、ＲＤＡ（一日栄養勧告量）、その他の規制を撤廃し、食品として分類された７種類のビタミンと同等の扱いにするべきである。

・米国では、１５０種類のハーブが食品として販売されており、厚生省からの要求に基づきこれら１５０種類のハーブのリストを提出した。厚生省は、本年４月１５０種類のうち６０種類を食品とした。しかし、残り９０種類のハーブのうち２０種類は食品として分類できないとしており、７０種類は検討することとされている。このことは、ＯＴＯの判断と一致していないので、これら７０種類のハーブが食品として分類され、２０種類のハーブが検討されることを要望する。

・ミネラルについては、現在検討会において検討されているが、迅速に作業が進むことを期待している。

・「ＳＬＳ」が添加されているものは、日本では医薬品とみなされ食品としての利用は禁止されている。しかし、「ＳＬＳ」が含まれていないカプセルを日本から米国へ送り、米国で「ＳＬＳ」を添加して日本へ再出荷しているという実態があり、これは、時間とコストの浪費である。

・日本の消費者が、栄養補助食品の決定を情報に基づいて行うことができるように、販売時点で情報が提供される必要がある。これは包装に表示されるもの及び店舗の棚に取り付けられる資料等を含むべきである。

・厚生省からは、昭和４６年の薬務局長通知を本年度中に改正すると聞いている。この薬務局長通知は、当該分野の多くの問題の原因となっている。

その改正手続においては、透明性が保たれ、厚生省に対して関係者が意見を表明する機会が与えられることを確実にしてほしい。

・栄養補助食品の輸入関税（最高２０％）が、なるべく早期に削減されることを望む。

イ．トレーラーハウス

・建設省は、平成９年３月、トレーラーハウスのうち規模、形態等により建築基準法に規定する建築物には該当しないものがある旨、建築指導課長通達により周知した。しかし、この通達には、使用目的及び場所に関する規定がないため、「トレーラーハウスのうち、キャンプ場においてキャンプのために使用されるものについては、建築基準法の適用を受けないこととし、その旨周知する。」というＯＴＯ対策本部決定に対し不十分であり、現場で混乱を招いている。したがって、建設省は、より抜本的な対策を講ずるべきである。

②主な意見等

（委員）
８月３１日の第１回専門家会議の際に、厚生省は、昭和４６年の薬務局長通知について、「現在でも、医薬品と食品の区分は、昭和４６年厚生省薬務局長通知に基づいており、実態に合わせて変えていくものである。例えば、本年度規制緩和されたハーブについても、同通知を見直したものである。本通知は法形式という意味での強制力はないが、薬事法で定義している医薬品について解釈を示すものであり、法律を運用するためのガイドラインである。」と述べているが、米国大使館の理解はこれでよいか。

（米国大使館）
ＯＴＯ対策本部決定では、「中長期的には、栄養補助食品を新たなカテゴリーとすることを検討する。」となっており、厚生省も検討を行っている。その過程において、昭和４６年薬務局長通知の見直しが必要になると厚生省から聞いており、大変重要なことだと認識している。

（委員）
トレーラーハウスについて、通達の定義、解釈が曖昧であることが問題であるということであれば、建設省が適切に対応すれば解決すると思われるが、建設省が対応してくれないということなのか。

（米国大使館）建設省は、トレーラーハウスについては、キャンプ場に置かれていようとも、建築基準法第２条第１項に規定する建築物であるとしており、通達の解釈というレベルの問題ではないと思っている。

（委員）
トレーラーハウスについてのＯＴＯ対策本部決定のもう一つの内容は、「規格・基準の整備のための法令の整備について関係省庁が検討し、１年以内を目途に結論を出す。」ということであった。しかし、こちらの作業は遅れていると聞いている、この理由は何だと思うか。

（米国大使館）
我々としても米国の法制度と比較してどこが問題なのかということを建設省に対して提出しなければならないが遅れている。そもそも我々としては、トレーラーハウスは特殊車両だと認識しているが、建設省は、建築物だとしており基本的な認識が異なっていることがその理由だと思う。

３．その他問題提起者からの意見

事務局から資料２「過去のＯＴＯ案件に対する問題提起者からの意見」について説明。

４．その他

次回の専門家会議の日程について事務局から説明。

---以上---

速報のため事後修正の可能性あり）

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経済企画庁調整局市場開放問題苦情処理対策室

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