OTO推進会議平成10年度第6回専門家会議議事要旨

平成１０年度第６回専門家会議議事要旨

日　時：　平成１０年１１月１０日　（火）　１５：００～１７：００

場　所：　経済企画庁特別会議室４３６号室

出席者：
（ＯＴＯ推進会議）

議　長　　　　　久米議長

議長代理　　　大河原推進会議議長、行天委員、小柴委員、谷村委員、眞木委員、増田委員、八城委員

委　員　　　　　金森専門委員、兼重専門委員、高瀬専門委員、塚田専門委員、本田専門委員

オブザーバー　朴特別委員

（ＯＴＯ事務局）

川本調整局審議官、市川貿易投資対策官

議　題　
１．ＪＡＳ規格の在り方　

２．背高コンテナ、トレーラーハウス、自動二輪車等、物流・道路交通

３．外国検査データの受入れ

４．その他

Ⅰ．議　題：

ＪＡＳ規格の在り方

（１）事務局からこれまでの審議内容を説明。

（２）主要な意見等

ア．昨年、規格・基準の包括的な見直しを行うことが必要であると建議で述べたが、農林物資規格調査会基本問題委員会において、今般、ＪＡＳの見直しの方向性が取りまとめられたことを評価したい。

農林水産省は、この取りまとめに盛り込まれた内容を時限を定めつつ着実に実施すべきである。

イ．ＪＡＳの見直しに当たっては、国内の意見を聴取するということであるが、表示事項が増えることによって、途上国の負担が増えることも考えられるので、ＷＴＯ等での国際的な動向も十分把握しながら見直しを行ってほしい。

ウ．水産物や有機食品等新たな製品については、これまでガイドラインという法制度に基づいていない基準により運用されてきたものもある。特に、先日の日経新聞でみたのだが、輸入したシジミ、アサリ、ハマグリなどの原産地表示に関し、現行の水産物表示ガイドラインが効果を発揮していないとのことであった。

　今後、ＪＡＳ規格を見直す際には、これまで規格がなかったもので、ＪＡＳ規格化のニーズがあるものについては、その積極的な規格化を図るべきである。

エ．ＪＡＳ規格の見直しに当たっては、ＪＡＳ不要論にも配慮し、消費者にとって本当に必要なものは何かといった観点から行ってほしい。

オ．本当に必要なＪＡＳ規格は何か、将来性のことを考えて見直しを行ってほしい。ガイドラインの問題についても、こういう手法がいいのか、ＪＡＳ規格全体の見直しの中で考えてほしい。

（３）議長による総括

ア．農林水産省において、ＪＡＳ規格の包括的な見直しを行い、今般、見直しの方向性が取りまとめられたことを評価したい。

農林水産省は、この取りまとめに盛り込まれた内容を時限を定めつつ着実に実施すべきである。

イ．ＪＡＳ規格の見直しにより、途上国の負担が増え、新たな貿易障壁と取られかねないよう、国内の意見だけでなくＷＴＯ等国際的な動向を十分把握すべきである。

ウ．今後、ＪＡＳ規格を見直す際には、水産物や有機食品等これまで規格がなかったもので、ＪＡＳ規格化のニーズがあるものについては、その積極的な規格化を図るべきである。

エ．上記意見を踏まえて、事務局で所管省庁とも調整の上、できるだけ具体的な内容を盛り込んだ報告書の原案を作成し、議長に報告されたい。その上で、必要に応じて更なる検討を加えたい。

背高コンテナ、トレーラーハウス、自動二輪車等、物流・道路交通

（１）事務局からこれまでの審議内容を説明。

（２）主要な意見等

（背高コンテナ関係）

ア．背高コンテナ等を原則通行可能とし、通行不可のルートを例外とするようなネガティブリスト的な考え方をしないと、これから先の日本の物流は世界の潮流から遅れてしまうのではないか。

イ．建設省が実施した背高コンテナの規制緩和にかかる費用対効果の分析は納得しかねる。同分析では、直接コストのみを考慮し、コンテナを積み替えコスト等の機会費用を考慮していない。また、短期的に全ての道路を整備し直すとの前提に立っているが、物流基幹道路への集中的投資や新設・改修道路への新規格の適用などにより、計画的に高さ制限の緩和を図ること等を考慮に入れた分析をするべきではないか。したがって、民間の中立的な機関に委託して調査し、早急に結果を得ることを提案したい。

ウ．コンテナが通れないような低いトンネルは東京周辺で多いと聞いている。費用対効果分析でも地域別の視点等、もう少し詳細な調査が必要である。

エ．ＩＳＯ規格の海上コンテナ輸送ルートについては、平成１４年度末までに合計６０，０００ｋｍのネットワークを形成するとあるが、できるだけ前倒しに実施することが望ましい。

オ．物理的に通過できる場合に、行政が予防的に規制する必要があるのか。仮に事故が起こったら起こした者の責任であるという考え方もあると思うが、行政の責任はそこまで負うものであるのか。

（トレーラーハウス関係）

カ．トレーラーハウスに関する建設省通達は文章が曖昧なので、担当者によって運用が恣意的になってしまう懸念がある。ＯＴＯ対策本部決定では、「キャンプ場のような用途がはっきりしているところで使用するトレーラーハウスについては建築基準法を適用しない。」ということだったはずであり、その点を明確にすべきである。

キ．規格・基準を十分整備するという観点からは、単に通達の文章を明確にするだけでは不十分であり、法律の改正も必要な場合もあると考えられる。問題点をさらに専門的に検討するためには、ＯＴＯの専門委員の知恵も借りながら、検討会を設けて具体的な検討をするべきである。

ク．キャンプ地であるから建築基準法の適用を受けないというのはおかしい。特定の用途地域において建築基準法がうまく適用できないのであれば、基準の方を考え直すべきである。固定されてしまったトレーラーハウスに対し建築基準法を適用すること自体は当然だと思う。

ケ．けん引免許に関する調査は、早期に結果を出すべきである。

（自動二輪車関係）

コ．自動二輪車については、２人乗りや速度差の規制の問題もあるが、もっと交通道徳についての取り締まりを厳重にすることによって安全性を確保するべきではないか。

サ．高速道路での自動二輪車の速度差に関して、現在、所管省庁を中心に調査中とあるが、速度差があることに明確な理由があるのか。もしないのであれば、速度差を解消するべきである。いずれにしても調査結果を早期に出すべきである。

（３）議長による総括

ア．背高コンテナ等への対応について、建設省が実施した高さ制限緩和による費用対効果の分析には国民経済全般へ与える影響を考慮に入れるべきであり、民間の中立的な専門機関へ委託して早急に結論を出す必要がある。また、同分析の費用については短期的ではなく長期的な視点が必要であり、物流基幹道路への集中的投資や新設・改修道路への新規格の適用などにより、計画的に高さ制限の緩和を図ること等を考慮に入れるべきである。

イ．ＩＳＯ規格の海上コンテナ輸送ルートについては、実質的な運用の早期実施や約６０，０００ｋｍのネットワーク整備の前倒し実施への努力が必要性である。

ウ．自動二輪車への対応に関して、規制への対応よりも交通マナーの確立が先決ではないかという意見があったが、二人乗りについては、個別苦情として再度申し立てられていることもあり、必要に応じて苦情処理部会において審議するなど、所管省庁における処理を見守っていくこととしたい。また、速度制限差については、所管省庁等が行っている調査は、早期に結果を出すべきであり、けん引免許においても同様の対応が必要である。

エ．トレーラーハウスについては、結局、現行法内の運用ではなく、既存法である建築基準法を改正する等の抜本的な対策が必要であり、専門委員の知恵も借りながら、きちんとした検討会を設けて検討するべきである。

オ．本件についても、報告書の原案を作成し、私に報告されたい。その上で、必要に応じて更なる検討を加えることとしたい。

３．外国検査データの受入

（１）事務局からこれまでの審議内容を説明。

（２）主な委員の意見

ア．外国の検査機関のデータや外国政府が発行した証明書等については、受入が不可能である特別の理由がない限りは、基本的に受入れるべきである。また、国内検査の省略のみならず、外国での適合性評価そのものを認める方向が良いのではないか。相互承認は推進していくべきであるが、相互主義に必要以上にとらわれる必要はなく、率先して外国の基準やデータを受入れてもよいのではないか。

イ．相互主義にこだわらず率先して外国の基準を受入れるとの考えは重要である。特に、途上国の試験機関に対して先進国のものと同レベルのデータをいきなり求めても、必要な基準を満たすのが難しい場合がある。１つの案として、外国の試験機関に対してある程度の試用期間を設け、その間に特に問題が生じなければそのデータを採用するというのはどうか。

ウ．ＥＵとの相互承認協力協定については、関連法案を次期通常国会に提出する方向で調整中ということであるが、しっかりやっていただきたい。

エ．相互承認は工業製品が主たる対象と説明されているが、今やＧＤＰの７０％はソフトであり、ハードが売れるにはソフトの充実も必要となる。例を挙げれば、外国人弁護士や外国人建築士の受入れなどである。逆に外国の立派な大学の日本校が、大学法に定められた物的要件を満たさず、各種学校としてしか認められないといったこともある。こういうソフト面の認証につき日本自ら積極的に動いていくべきである。

オ．相互承認という最終的な姿のみにこだわらず、外国検査データの受入を１～２年で徹底的に強化するというやり方もあるのではないか。　　　　

ＩＳＯ等の国際規格策定に参画しているとあるが、果たしてどこまで実質的に議論に参加しているか疑問である。若いディベート力のある国際的人材を養成すべきである。

カ．ＩＳＯに関しては、日本はカネは出すが、関係者間の調整やドラフティングを行わなければならない事務局を引き受けたことがなく、このままでは国際規格・基準は全て外国製となってしまう。英語で議論のできる人材の要請が急務である。

キ．相互承認に関し、国内法の改正に労力を要する理由として日本の法律の組立て方が欧州より精緻だと説明されているが、精緻というより単に煩瑣なだけではないのか。また、所管省庁コメント中には、外国に対し表現に不適切な箇所がある。

（３）議長による総括

ア．外国検査データの受入についても、これまで様々な苦情が出され、個別に処理してきたが、抜本的な解決策として相互承認の推進が大いに期待される。

イ．外国の検査機関のデータや外国政府等が発行した証明書等については、「受入が不可能である特別の理由」が明確にされない限り、基本的には、受入れることとすべきである。

ウ．我が国の市場アクセス改善のためには、必ずしも相互主義にとらわれる必要はなく、自ら率先して外国の認証結果を受け入れるべきである。

エ．日・ＥＵ相互承認協力協議を進展させることは、相互承認を推進し、我が国市場へのアクセスを改善する上で非常に有効であるので、同協定の締結に向けて、関係省庁は関連法案を次期国会へ提出すべきである。

オ．規格に関する国際協議で活躍しうる優れた人材の育成が不可欠である。

カ．外国人建築士等の受入れにみられるようなソフト面における我が国市場へのアクセスの改善も、対日投資促進の観点から積極的に推進していくべきである。

４．その他

事務局から、次回、第７回専門家会議（１１月１９日）の議題等について説明。

以　上

（速報のため事後修正の可能性あり）

［問合せ先］

経済企画庁調整局市場開放問題苦情処理対策室

ＴＥＬ　　０３－３５８１－５４６９（直通）