第25回市場開放問題苦情処理推進会議 議事要旨


1 日時 平成11年11月16日(火) 10:10〜11:50

2 場所 経済企画庁特別会議室436号室

3 出席者

(OTO推進会議)

大河原議長、行天委員、久米委員、佐々波委員、谷村委員、眞木委員、八城委員、山本委員、米倉委員、デュボワ特別委員、朴特別委員
(OTO対策本部、事務局)
古川内閣官房副長官、中名生経済企画事務次官、坂経済企画庁官房長、河出経済企画庁調整局長、川本経済企画庁調整局審議官、市川経済企画庁調整局貿易投資対策官 他
4 議題
(1)外国人事業者等からの問題提起内容について
(2)第5回報告書フォローアップ
(3)第13回苦情処理部会における審議状況
(4)平成10、11年度海外派遣ミッションの結果報告
(5)その他


5 議事要旨

(1)外国人事業者等からの問題提起内容について

ア.議長より、外国人事業者等からの問題提起を受け、来年3月中旬を目途に報告書を取りまとめたい旨発言。また、同報告書の政府としての取り扱いについては、古川内閣官房副長官から以下のような発言があった。
    ・政府としては、皆様のご意見を最大限に尊重し、年度末を目途に具体的な対応を決定したいと考えている。

    ・このため、11月18日にOTO対策本部幹事会を開催し、関係省庁の事務次官等に対し、推進会議のご審議に関係省庁が十分に協力し、積極的に対応するよう指示する。

    イ.本年度、外国人事業者等からOTO事務局に問題提起がされ、OTO対策本部で明確化を図った案件(51件)のうち、問題提起者が所管省庁の対処方針に不満である旨表明している案件等(16件)について、OTO事務局から問題提起の内容及び現時点での所管省庁の現状・対処方針の概要等を説明。

    ウ.報告書の取りまとめのための審議の進め方については、例年同様、専門家会議(OTO推進会議委員が議長代理として交代で議長となり、同特別委員がオブザーバー、同専門委員が委員となる)を設置し、個別に審議を進めることについて、了承が得られた。

    エ.案件に対する委員の発言

    1-(6) 海苔輸入手続の改善

    ・問題提起者の見解として、今年の12月に予定されている両国政府間の水産物に関する実務者会合の結果を踏まえて、対応を検討するとなっているが、それに任せていいのか。むしろ専門家会議で検討して、それなりの意見を出すべきではないか。農水産物というのはセンシティブな問題であるが、現在日韓投資協定締結のための作業が進んでいる、さらに将来的には自由貿易地域を作ろうという話も動き出している。その中でもっとも近い両国であるのに、既得権を主張しているというのは問題である。

    議長より、海苔の問題は12月の日韓政府間協議の内容を見定めた上で専門家会議で取り上げるか否かを考えたい旨提案し、了承された。

    1-(10) 食品検査機関の民間への開放

    ・一般原則として、「建議」で検査の民間開放による競争原理の導入は指摘している。それにしたがって、通産省や農水省のように一部民間開放を行った省庁も出てきたようだ。食品衛生法は、OTOで取り上げられることが最も多い法律であり、検査がらみの苦情が多い。そこで苦情の減少につながることも考えられるので、専門家会議で議論してみたい。

    ・対処方針にある料金が前もって知らされているからそれでいい、というのは問題であり、取り上げた方がいい。民間でもできるものはあり、しかも安くできる。

    2-(1) 栄養補助食品に関する規制緩和

    ・長年の懸案事項で、昨年の総点検で包括的な解決に向けやっと動き出したと理解していた。しかし、今回の問題提起や対処方針を読むと栄養補助食品の形状について現在検討中であるという。全体として遅い、あるいはあまり熱意がないと思われる。この際、専門家の意見も聞いて議論し、片付けてしまいたい。

    4-(1) 高速自動車国道等における自動二輪車の二人乗り禁止規制の撤廃

    ・かつて他の問題とあわせてOTOで取り上げた問題である。その時、申し立て者から提出されたデータの検討を行って安全性に問題がなければ規制を見直すという整理がされていたと思う。昨年、そのデータが提出されたようだが、問題提起者と所管省庁には認識の食い違いがあるようだ。この問題は社会的にかなり多くの人の関心があるようなので専門家会議で議論してはどうか。

    4-(3) モーターホーム(大型キャンピングカー)に係る保管場所証明の発行基準等の見直し

    4-(4) けん引自動車と被けん引自動車にかかる車検制度の改正等

    ・OTOでもキャンピングカーとトレーラーの話を随分前からいろいろやってきている。この問題提起や対処方針を見ていて非常に不思議に思うのは、欧米の諸国では極めて広範にかつ自由に行われていることが、我が国では、いちいち引っ張る車が何かとか、車検に通っていないとか、およそ考えられないような複雑な規制が存在するのが現状である。所管省庁は、規制を緩和なり撤廃することの国民経済・生活に対するメリットとデメリットを、自分たちはどう判断するのかを明らかにする必要がある。それが役所のアカウンタビリティーであり、それがなくて従来の規制がこうだったとか、あるいは安全などという極めて抽象的なことだけで規制を守ることの根拠があるという言い方はアカンタビリティーに欠ける。

    4-(5) 港湾業務への市場原理導入

    ・日本のコスト高は企業活動にとってもマイナス、消費の拡大にとってもマイナスである。市場原理導入は非常に重要な視点であるので、本件も審議案件に付け加えていただければと思う。

    7-(9) 税関職員による出張検査の導入

    ・税関当局も従来から通関業務の迅速化、公正化等に努力していることは承知している。本件のやり取りを見ていると問題提起者がかなり怒っているようだが、冷静な議論が必要と思われる。
    ・問題の争点は、密輸取締や虚偽申告のチェックが目的なら、コンテナを移動させたりしないで、税関職員が出張検査で抜き打ちで対応すべきというところにある。所管省庁の答えは必ずしもそれに答えておらず、問題がすれ違っており、議論だけエキサイトしている。この件を問題視する企業も非常に多いと聞くので、専門家会議で取り上げてはどうか。
    ・コンテナを動かすより、職員がその場に赴いて、その費用を負担させてはどうか等、別の観点から議論すべきである。

    7-(10) インターネットを利用したNACCSの改善

    ・NACCSは、政府の情報化、ワンポイントサービスといった電子政府の先駆的な存在であった。今回は所管省の意見はわりあいに消極的。回答書改ざんの可能性、情報量の問題とあるが、どういうルートで誰が情報を改ざんする必然性があるのか、不思議に思う。情報量の限界はいかようにでも解決の道がある。NACCSは、これからの日本政府の電子化を進める先駆的なシステムになりつつある。専門家会議で意見交換してみたい。

    8-(1) 上陸審査基準の見直し

    ・双方の主張にわかりにくい点があるため、専門家会議で議論してみてはどうかと思う。ただ、今のようにベンチャーキャピタルや新しいビジネスがどんどん出てくる時代に、本当に2人の人を置かなくてはいけないのか、検討する必要がある。インターネットでいろいろな仕事ができる時代にこの規定は古いのではないか。

    8-(3) 消防法における外国基準の受入れ

    ・「建議」で一般論として国際基準への整合化ということを提案したものである。したがって、積極的に対応し始めた省庁もあるようだが、消防法関係は遅れているようだ。特に、課長の都道府県への通知で実質的に規制しているようで、これも問題だと思う。専門家会議で議論すべきである。

    オ.議長総括として、専門家会議で審議すべき案件として以下のとおり整理。

    1-(10)食品検査機関の民間への開放
    2-(1)栄養補助食品に関する規制緩和
    4-(1)高速自動車国道等における自動二輪車の二人乗り禁止規制の撤廃
    4-(3)モーターホーム(大型キャンピングカー)に係る保管場所証明の発行基準等の見直し
    4-(4)けん引自動車と被けん引自動車にかかる車検制度の改正等
    4-(5)港湾業務への市場原理導入
    7-(9)税関職員による出張検査の導入
    7-(10)インターネットを利用したNACCSの改善
    8-(1)上陸審査基準の見直し
    8-(3)消防法における外国基準の受入れ

    ・専門家会議で審議すべしとされた10件について、早急に審議できるように準備し、11月下旬から専門家会議を開催すること、及び昨年度の総点検において、トレーラーハウス等に関しては、その規制のあり方の検討結果及びけん引免許の区分化に関する調査結果を今年中に報告を受けることになっているので、12月中に会議を開催するよう議長から事務局に指示があった。
    ・議長より、委員から意見の出なかった案件についても、OTO対策本部側でさらに検討を進め、その結果報告を受け、さらなる検討が必要と判断される案件が出てきた場合には個別に審議する旨提案があり、了承された。

(2)第5回報告書のフォローアップ 平成10年3月17日に取りまとめられた第5回報告書を受けた政府としての対応の実施状況について、OTO対策本部で対策本部決定された案件(8件)に関し、OTO事務局から問題の背景、本部決定及び政府の対応状況を報告。
・対策本部の決定に対し所管省庁の方で前向きに対応しているように思えるが、関係省庁は一層の改善のための努力を続けるよう議長が発言。
(3)苦情処理部会における審議状況 4月23日に開催された第13回苦情処理部会の審議状況及びその後の個別苦情の状況について、部会長を務めた眞木委員より以下のとおり報告。 ・前回の部会(平成10年10月23日)以降、新たに14件が処理済となり、A処理案件が8件と多い。
・主な案件(5件)の内容を紹介。
・現時点で24件の個別苦情が未処理であり、引き続き苦情の解決を図っていく必要がある。
・A案件が8件もあるのは結構だが、24件の個別苦情が未処理であるというのは問題、引き続き苦情の解決の促進に努めるよう議長が発言。
(4)海外派遣ミッションの結果報告 ア.眞木委員より、本年2月8日〜12日にかけて、インドネシアのジャカルタとタイのバンコクの2都市を訪問し、政府関係者や経済団体関係者等と行った意見交換の結果について以下のとおり報告。
・OTOは極めて有意義な組織であることを認識していただいた。
・今後はインターネットや商工会議所の機関誌などを通じてOTOを広く紹介していき、積極的に活用したいとの意見が出された。
・OTOミッションをもっと頻繁に派遣して欲しい旨要望が出された。
・テレビや新聞においても紹介され、関心の深さが表れていた。
・今後もできるだけ頻繁に資料を送って、OTOについてPRしていくことが重要であるとの感想を持った。

イ.久米委員より、本年3月4日〜9日にかけて、メキシコのメキシコ・シティとチリのサンティアゴ2都市を訪問し、両国の政府関係者や経済団体関係者等と行った意見交換の結果について以下のとおり報告。


・いずれの訪問国においても、今回のミッションを契機として、貿易担当部局とOTO事務局との関係の強化や、経済団体会員企業に対するOTOの活動の積極的な広報を行いたいとの意向が示された。
・特にチリでは、OTOのような組織をチリ政府としても検討すべきとの指摘があった。
・チリは、チリからみた海外市場における非関税障壁に関する報告書をとりまとめていて、日本についてはOTOをかなりのスペースをさいて紹介していた。

ウ.谷村委員より、本年7月11日〜13日にかけて、韓国のソウルを訪問し、政府関係者や経済団体関係者等と行った意見交換の結果について以下のとおり報告。

・韓国政府からは、日本の市場アクセス改善にOTOの活動が極めて有意義であるとの評価が示されるとともに、今後も対日貿易・投資における隘路事項の解決をOTOに期待したいとして、その具体的な提示もなされた。
・貿易関係機関からは、OTOの有効性を再認識した旨、また、その積極的な活用を韓国の事業者に広報していきたい旨の意向が示された。
・新聞報道においてもOTOの活動と韓国訪問について紹介され、特に、本格的な市場開放を控えている韓国としても近い将来OTOのような機構が必要との記述があった。
以上
(速報のため事後修正の可能性あり)
[問合せ先]経済企画庁調整局市場開放問題苦情処理対策室
TEL 03-3581-5469(直通)