1 日時 平成11年11月24日(水) 15:00〜17:10
2 場所 東海大学校友会館 阿蘇の間
3 出席者
(OTO推進会議)
議題1 高速自動車国道等における自動二輪車の二人乗り禁止規制の撤廃
○事務局から問題の背景、問題提起内容及び所管省庁の対処方針等について説明
1.高速自動車国道等の自動二輪車の二人乗り規制は必要か否か
2.規制の必要性があるのであれば、所管庁が問題提起者に対し、それを説得力をもって説明すべきではないか。
(3) 現在、既に50cc超のオートバイでは、一般道路での二人乗りが認められており、125cc超のオートバイでは、高速道路での単独走行が認められているという現状から、少なくとも、400cc超のオートバイについて、高速道路での二人乗りを認めてほしい。
現在の規制は、1965年に道路交通法が追加修正されたものであるが、当時と比べると、ライダーが安全教育やヘルメット着用の義務付け等によって成長し、また、オートバイの性能が極めて向上したにもかかわらず、当時のまま存続しているのは納得できない。
(4) オートバイは、死亡事故発生率が極端に高いわけではない。また、単独事故が多く、他者を犠牲者として巻き込む危険性は少ない。安全教育への取組みの成果により、自動二輪車の事故は、平成元年以降、大幅に減少している。全事故の71.2%は市街地で起き、市街地で起きた事故の55.2%が交差点で起きている。このことから、交差点のない高速道路での走行を増やすことが事故減少に有効と思われる。年齢が高まるにつれて、あるいは、運転経験年数が増すほど自動二輪車での事故発生件数は大きく減少している。
(5) 自動二輪車については、安定性、データ、米国の保険料率、人間的要素の分析結果から、二人乗り走行は単独走行より安全である。最近の自動二輪車は、当時の自動二輪車に比べ大幅に改善されており、二人乗りを前提として、安全基準をクリアする高性能商品がほとんどである。規制があることにより、大型オートバイの魅力が大きく制限されている。規制の解除は、ユーザーの利便性を大幅に増進することになる。
(6) 同様の規制が存在するのは、他には韓国だけであり(韓国では、二輪車の高速道路走行そのものが禁止されている)、国際的に異例の規制である。ユーザー、製造業者等、多くの関係者が、二人乗り走行の禁止措置の撤廃を支持している。
(7) 先に実施された警察庁によるアンケートはミス・リーディングではないか。質問が「現在、高速道路(高速自動車国道及び自動車専用道路)では自動二輪車の二人乗りは交通安全の観点から禁止されているが、この禁止を解除すべきであるとの意見もあります。あなたの意見は次のどれですか。(ア)引き続き禁止すべきである。 (イ)禁止を解除すべきである。(ウ)わからない。」となっている。本案件は、アンケートよりも、むしろ、安全性データに基づいて考えられるべきである。
(2) 平成10年においては、自動二輪車(総排気量250cc〜)は、車種別保有台数1万台当たり死亡事故発生件数を見ると、普通乗用者と比べて約2.7倍となっている。平成8年〜平成10年の3ヵ年間の高速自動車国道における車種別死亡事故率(死亡事故件数/人身事故件数)を見ると、自動二輪車はその他の車種(軽自動車、普通乗用車、普通貨物車、大型貨物車、大型乗用車の合計)と比べると、事故直前の速度80km/hまでで約1.6倍高く、スピードが増すにつれその比率は高くなり、全速度の合計では、約1.9倍となっている。
(3) 日本と外国の高速道路と道路構造を比較すると、車線幅員では、日本が3.5mに対して、米国は3.66mとなる。この差は車が交差する時に極めて大きな意味合いがあると思う。また、路肩幅員も日本が2.5mに対して、米国は3.66mである。ドイツやフランスと比較すると、曲線半径、車線幅員、路肩幅員、いずれも日本の方が短い。全般的なイメージから言うと、残念ながら、日本の道路はレベルが低いと言わざるを得ない。
(4) この件は法律の問題であるので、国民の意識を把握するために、アンケート調査を行った。先程、質問の仕方がミス・リードしているのではないかとの批判があったが、この規制があることを知らない人がいるので書いただけである。調査結果は、7割強の人が「解除すべきではない。」と答えており、二輪免許の保有者のうち、7割強の人が同様に答えている。
(5) 一般道路は、交差点、歩行者も存在するため事故が起こりやすい要因があるが、比較的、低速で走行するために重大な事故にいたる可能性が低い。他方、高速道路は対面通行や信号がないとはいえ、高速で走行するため、交通安全上、特に防止すべき死亡事故等の重大な事故が発生する可能性が高い。二輪車の事故は、高速道路に限定すると、平成2年と平成10年を比較すると減少していないし、死亡にいたるような重大な事故は減少していない。
(6) この件については、所管省庁、問題提起者、双方いくつかのデータ等を提出することになっている。当方からは、高速道路及び一般道路の死亡事故件数、死者数、及び負傷者数について、問題提起者側に提出することになっていたが既に提出した。しかし、問題提起者側からは、以下の資料を米国政府の同意があれば提供してもらうことになっているが、いまだに提出されていない。
(7) この規制は、交通安全のための施策としては有効であると考えており、国民の多くの支持を得ていると考えている。したがって、現時点において、この規制を解除する考えは無い。
(8) 高速道路における最高速度規制については、現在、交通関係団体において、走行実験、詳細な事故分析を含む調査・研究を行なっている。当方としては、これらの調査・研究に参加しつつ、 検討を行なっているところであるので、もうしばらく時間をいただきたい。
(委員の主な発言)
(2) この問題の背景として、「首都高速道路及び名神高速道路の供用後、二人乗りによる死亡事故が多発したことから、昭和40年に道路交通法が改正され、導入された」とされているが、本件にかかる当時の国会の会議録の中では、二輪車の二人乗りについて、実は何も議論されていない。少なくとも、その時、警察庁が提出された資料は、38年度と39年度の事故統計である。38年度の死亡事故は名神高速道路の2件で死亡者数が2名、39年度が18件で死亡者数が19名である。これで国家の法律を決める程の十分な件数であるとは思えないが、警察庁は、この他の死亡事故データを、当時の国会に提供されたのか。1992年に、自動車工業会が全く逆の結論のアンケート結果を警察庁に対して提出しているが、警察庁は取り上げなかった。それは、当時、警察庁がその結果について中立性のある偏りの無いデータでは無いと判断したからだと思う。今回のアンケートについて、中立性のあるものであると判断した基準を伺いたい。
(3) この問題は平成6年にもOTOで審議されている。その時には、日本には高速道路における二人乗りのデータが無いので、米国よりデータを提出してもらって、警察庁がそれを検討して、妥当であれば法律を改正するというものであったはずである。それをもとに提出されたDRIのレポートは事故統計を主としたものであるが、これは妥当なものである。第1に、警察庁は運動力学的なデータを要求されているが、これもあった方が良いが、4輪車、例えばトラックの場合でも、積荷を積んでいるかいないかで運動力学の安定性が異なる。2輪車の場合には、乗っている人が体を動かすことによって車両の安定性を担保しているため、安定性は、主観評価になる。第2に、昭和40年の道路交通法改正時の国会の会議録をみると、警察庁は、主として事故統計に基づいて、法律改正が必要であることを説明している。欧米各国の保険会社が二人乗りの事故について不利な取り扱いをしていないことを含めて、申立者の意見は妥当であると思う。
警察庁が、今回アンケート調査を実施したことは非常に評価しているが、正しい調査の仕方をして欲しい。
高速道路における二輪車の二人乗りの是非については、昭和40年当時の国会では一言も審議されていない。高速道路の開通時期からも、この当時では、高速道路に関して日本国内全体でも知見はなかったと言って間違いない。つまり、審議がされていないで改正された法律であるため、今回、議論しようがない。したがって、平成11年度中に白黒をつけるのは問題が残ると考えられるので、以下の提案をしたい。
先程、「日本の高速道路は欧米に比べると危険な道路である。」とのご説明があったが、事務局は、建設省に対してこの説明で良いのかを確認していただきたい。
(4) 消費者からみて、規制緩和は市民生活の利便性を増すので大変有利な面があり大事であるが、安全性の問題が1番大事である。警察庁の説明によると、道路の条件も異なるし、ドライバーのマナーもまだ差があるのではないかと感じる。警察庁が実施したアンケートでは7割の人々が二人乗り禁止の解除に反対であるとのことだが、プレッシャーがあったとしてももっと低い数字であるべきだと思うし、さらに、解除すべきとしている人の中でも7割の人々が条件付きを希望しているということが不安である。二輪車を運転する人も二人乗りの講習など受けていないし、同乗する者が体重移動を上手にできるかどうか、子供の場合はどうか、不慣れな道ではどうかということも懸念される。したがって、本日の会議で規制緩和という方向付けをすることは早いと思う。二人乗りのマナー等をきちんと勉強する機会を設ける必要もあろう。安全面で適切な対応をしてから、できるだけ早く規制緩和を行うべきである。
(5) 警察庁の説明にある「自動二輪車は乗用車と比べると死亡事故につながりやすい」ということはわかるが、実際に自動二輪車の走行を認めていることを考えると、この規制を存続する理由にはならないのではないか。他の国でも自動二輪車は死亡事故につながりやすい事情は同様ではないか。また、手続きの公平さの観点から、問題提起者側は長い時間をかけて客観的な数値による報告書を提出していることを考えると、今度は警察庁が、それに対して反論する客観的な数値による報告書を提出すべきではないか。体重移動等の問題は主観的な問題である。
(6) 問題の焦点は安全性に絞られていると思うが、自動二輪車に対して1個の車両としての権利と義務を認識していただきたい。米国では、バイクは側道ではなく車道をきちんと走行し、1車両としての権利と義務を守っている。日本では、バイクは自転車のような中途半端な存在のようであり、私はバイクを乗る人の身勝手さを感じており、バイクに対するいやな印象を拭えないでいる。また、高速道路における二輪車の取締り方法を検討の上で緩和してほしい。
(7) 安全性の確保の観点から、簡単に二人乗り規制を解除することは避けるべきである。アンケートはより公正な方法で行い判断の一つの材料とすべきである。双方とも要求されたデータを提出し、同じ土俵で議論して、その上で、結論を出すべきである。また、マナーの問題もあるので、警察も取り締まる必要があるだろうし、その中で新しい交通政策、交通道徳を確立する必要がある。
(8) 先程、警察庁より、特定の高速道路に限って大型自動二輪車の二人乗りを一定期間認めて事故分析を行うことに対して、消極的であるとの発言があった。理屈上では米国側の主張が正しいように思えるため、先程の提案については、「12年度中に規制を緩和すべきである」と一部修正する。
(9) 社会的実験を行うことは許されない。米国側のデータで議論するしかないのではないか。
(10) バイクにおける交通ルールに習熟するための一定の期間を置いて、それから、規制緩和の方向に行くべきである。最後に撤廃ということになる。
(11) 総理府による新たなアンケート調査はなるべく早く実施していただき、平成11年度中に方向性が出せるように希望する。
(所管庁の主な発言)
(1) 総理府広報室に世論調査の実施を依頼している。実施できたら、我々のアンケート結果と比較したい。二人乗り走行が、単独走行に比べてどれほど危険かということに関しては、高速道路における1人乗りと2人乗りのデータが無いので説得力のある説明はできないが、カーブを走行する際の適応を考えると、二人乗りをすれば危険ではないかと考えている。この規制は暴走族対策ということではなく、39年のオリンピック以降、高速道路における自動二輪車の死亡事故が非常に増加したため、二輪車対策として実施したものである。
(2) 昭和40年のことについて詳細は承知していないが、高速道路における二輪車の死亡事故が非常に増加したため、色々な二輪車対策の中の一環として、国会に法律改正案を提出し、十分な審議を経て対応させていただいた。
(3) 米国側にはまだ何点か資料の提出をお願いしている。それらを提出していただかないと当方でも具体的な検討ができない。特定の高速道路に限って大型自動二輪車の二人乗りを一定期間認めて事故分析を行うという提言があったが、実際に死亡事故が起こった場合に責任をどうするのかという問題がある。当方としては、この提言については消極的である。
(4) バイクに対して交通ルールを遵守させることについては何らかの対応が必要であると感じている。そういったご提言があったことは交通取締の担当課長に伝える。
(5) 総理府による新たなアンケート調査は2月頃に実施できそうであると聞いている。
(問題提起者の発言)
(1) 当方のデータ提出に関しては、少し誤解があるようだ。データは既に3回提出してある。米国商務省を通して提出した。さらに本年5月に開催された警察庁と会合を持った際に、NPTSの報告書は提出したし、DOTTデータについてはインターネットからも入手することができるし、そのアドレスについても提示させていただいている。安定性試験の結果については提出する予定であり、そのデータについては、事務局に今週提出した。遅れたことは申し訳なかったが、このような試験は時間がかかってしまうためである。NPTSの報告書やDOTTデータについては喜んで再度提出する。
警察庁の説明では、自動二輪車は他の車両に比べて致死率が高いことを規制の理由にあげられていたが、それが問題ではない。2人乗り走行と単独走行、高速道路と一般道路との比較が問題なのである。二人乗り走行の方が単独走行よりも安全であり、高速道路の方が一般道路よりも安全であるというデータは提出している。また、アンケートについては、安全性に関する法律を撤廃するか否かという質問であれば、7割の人が撤廃に反対と答えるのは当然の結果である。調査方法の再考を要請する。
(2) 本日、示された委員の意見を踏まえて、事務局で、所管省庁とも調整の上、できるだけ具体的な内容を盛り込んだ報告書の原案を作成し、私に報告していただきたい。その報告をいただいた上で、必要に応じ、更なる検討を加えることとしたい。
次回の専門家会議の日程について事務局から説明。
(問合せ先)経済企画庁調整局市場開放問題苦情処理対策室
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