OTO推進会議平成7年度第4回専門家会議議事要旨

                                                        (平成8年1月29日)

日時  平成8年1月24日(水)13:00〜14:20

場所 経済企画庁特別会議室(1230号)

出席者 (推進会議) 議長 八城政基 議長代理 内村良英、谷村昭一、千野境子、 オブザーバー ローラン・デュボワ、トーマス・ジョルダン 委員 兼重一郎、児玉一彌、細川清澄、本田敬吉 (問題提起者) タイ国農務省農業振興局 チャラーン局次長 他 タイ大使館 グラウィー商務担当公使 他 (所管省庁) 農林水産省農産園芸局 坂野植物防疫課長 他 (OTO本部・事務局) 河出審議官、照井貿易投資調整官、道上OTO対策官 他

議題 1)輸出前の生果実の蒸熱処理のための植物防疫官の派遣 2)その他

審議の概要 議題1 輸出前の生果実の蒸熱処理のための植物防疫官の派遣 ○ 事務局から問題の背景、問題提起内容及び所管省庁の対処方針につき説明 問題の所在:蒸熱処理の確認の見直し(植物防疫官による現地確認の見直し、タイ国当 局が認めたデータの受け入れの可能性) ○ 問題提起者から提起内容につき説明 (問題提起内容) ・マンゴウのための蒸熱処理については、タイの専門家も日本で研修を受け、日本の機 械を使っており、1986年以来十分経験を積んでいる。したがってタイ当局で十分 管理できるので、検疫証明書にコンピューターによる温度の記録を添付してそれを確 認するというやり方にしてほしい。その上で不合格なら輸入不許可ということでよい 。 ・1996年については、従来どおり蒸熱処理の確認をするための日本人植物防疫官の 派遣を受け入れるが、翌年からは、蒸熱処理をタイの専門家だけで、管理させてほし い。 ・マンゴウは、タイから主にアジア諸国、米国、ドイツ、イギリス、オーストラリア等 12か国に輸出しているが、植物防疫官の派遣はおろか蒸熱処理を行っているのは日 本だけであり、他国はタイ政府の証明書で受け入れている。 ○ 所管省庁から対処方針につき説明 (対処方針) ・蒸熱処理は温度の管理が重要なファクターである。温度センサーの補正等が大切であ るが、その不備の事例もあるので、それが植物防疫官派遣の理由の一つである。 ・植物防疫官派遣のもう一つの理由は、消毒した後ミバエによる再汚染がないよう、防 止措置を取ることが必要であるが、今までに再汚染防止の不備事例もあったので、十 分な防止措置が取られていることのチェックのためである。 ・ミバエが仮に入ってしまうと、その撲滅には莫大な予算と時間を要することになる。 ・問題が生じていないではないか、という意見については日本から派遣された専門家が 事前にタイ側担当者と共同でチェックを行っているのでトラブルが生じていないので ある。 ・これまでのような不備事例が解決しないと、来年からタイ側だけで蒸熱処理を行うと いうのは難しい。 ○ この後、審議 (委員の主な発言) ・タイ側の費用負担により日本政府から植物防疫官を派遣して蒸熱処理の確認を行って いるのに、何か問題が生じた場合、タイ側が一義的に責任を負うとするのはおかしい のではないか。逆に言えば、タイ側が責任を負うなら蒸熱処理も全てタイ側の責任の 下で行って日本側が確認しないということにしないとおかしい。 ・派遣については、タイに全て任せて派遣しないことにするか、派遣する場合でも設備 の点検をシーズンの始めだけ行う、途中だけ行う又は最後だけに行う等、簡便な方法 が取れるのではないか。 ・日本の植物防疫官による確認を段階的に簡素化していくような方法を所管省は検討す べきではないか。 ・植物防疫官派遣の経費については、対外援助の活用等を含め、タイ側の負担を少なく する方向へもっていけないのか。 ・日本の植物防疫官による確認の簡素化の方法・手順、経費の節減、タイ側の負担の削 減方法について、日タイで話し合って改善の方向で進めるべきではないか。 ・ミバエを防止する重要性は分かるが、蒸熱処理はそれほど難しいものとは思えない。 温度の調整・確認に3か月も植物防疫官を派遣する必要性は疑問だ。タイの専門家も 研修を受けているとのことであり、資格を持った人間に検査を任せればよいのではな いか。また、センサーももっと安定した機能のものを日本から供給すればよいのでは ないか。コンピューターで管理しているということでもあり信頼できるのではないか 。どうしても任せられないのであれば、理由を明らかにするべきだ。また、現場の技 術者間の話にするのではなく、素人にわかるように説明するべき。 ・今の制度を変えるにはどうしたらいいか、所管省は明らかにするべきである。 ・タイ側の要望のとおり、今年は従来どおりとするのはやむをえないとして、温度管理 なら今年中に技術移転を行い、センサーメーカーとも協力して来年には派遣を打ち切 るようにすべきではないか。 ・米国等は、蒸熱処理をマンゴウの輸入の条件とはしていないとのことである。日本だ け特別という事例が多いのではないか。 ・米国の検疫は世界一厳しいと聞いているが、タイ産マンゴウを検査だけで受け入れて いるというのは本当か。 ・日本に派遣されている米国等からの検査官の日本での業務内容、派遣の頻度等は、条 約上、運用上どうなっているのか。 (所管省の応答) ・国際植物防疫条約の規定に基づき、輸出国であるタイはその責任において日本の要求 事項であるミバエの殺虫を行う必要があり、日本はそれが適切に行われたかどうかチ ェックするため、植物防疫官の派遣をしている。 ・ミバエについては、水際での検査が難しいので合意した方法により輸出国で十分な防 止策を行ってもらう必要があり、一度入ってしまうと大変なことになる。温度の計測 と汚染防止策については毎年問題事例がある。これらについて、日本とタイ側の専門 家の間ではよく話し合いをしている。 ・問題としているのは、温度センサー自体の性能でなく、温度計及びセンサーが正しい 示度を示すよう調整して正しく計測できるようにすることである。 ・実績を積んでもらえば、日・タイ間で技術的な検討をしてもよいと考えているが、現 実には問題事例があり、問題がない場合を仮定しての議論は難しい。また、温度等の 現場のトラブルが発生した場合には、日・タイの検査官同士で話し合いを行っており 、現場の担当者はトラブルがあることを十分承知しているはずである。 ・日本に米国等から検査のため派遣されている防疫官は、果実により異なるが、フィー ルドチェック、出荷のパッキングの立会いなどを行い、1月ほど滞在している。 ○ 議長による総括 ・蒸熱処理の確認の問題は、適切な設備と研修を受けた技術者が配置されていれば十分 であり、タイ側の植物防疫官の確認で十分ではないか。日本側がダブルチェックする 必要はないのではないか。 ・費用の問題については、たとえ派遣するにしてもそのその滞在期間を全体として短く する等簡素化をすれば少なくできるのではないか。 ・所管省は現場で技術者同士の話し合いをしているというが、タイ側と所管省には事実 認識の違いがあり、まずきちんと事実の確認をすべきである。事実確認を含め、日・ タイ間で話し合いをする必要があるのでないか。 ・以上の意見を踏まえて、今後、事務局の方で、問題提起者、所管省とも調整の上、で きるだけ具体的な改善内容と実施時期を盛り込んだ報告書の原案を作成し、議長に報 告してもらいたい。その報告を受けて必要に応じ更なる検討を行いたい。 ・いずれにしても、事実確認を含め、日・タイ間でよく話し合いをする必要がある。

−−−−以上−−−− (速報のため事後修正の可能性あり)

+− −+ | 専門家会議日程 1月31日 (水)15:00〜17:00 於1230号室 | | (1月中) 議題(1) 電気機器の防爆基準の相互認証 | | 議題(2) 輸入事前申告制度の導入 | +− −+

    
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