OTO推進会議平成7年度第3回専門家会議議事要旨

                                                        (平成8年1月22日)

日時  平成8年1月22日(月)10:00〜12:00
場所  経済企画庁特別会議室(1230号)
出席者
(推進会議)
  議長      大河原議長
  議長代理  内村委員、谷村委員、中内委員(書面で意見のみ提出)、増田委員、
            八城委員
  オブザーバー  ジョルダン特別委員
  委員      片岡委員、兼重委員、児玉委員、細川委員、本田委員、宮智委員
(問題提起者)
  議題1    東京商工会議所
(所管省庁)
  議題1    厚生省
            生活衛生局  森田乳肉衛生課長  他
(OTO本部・事務局)
  河出審議官、照井貿易投資調整官、道上OTO対策官  他
  
議題
  1)食肉中の薬物残留基準の国際的整合化
  2)個別に順次審議することとされた案件以外の案件の検討状況
  3)その他

審議の概要

議題1  食肉中の薬物残留基準の国際的整合化
○  事務局から問題の背景、問題提起内容及び所管省庁の対処方針につき説明
  問題の所在:外国規格の受入れ等による積極的な残留基準値の設定、国際基準設定への
  貢献及び国際基準との迅速な整合化、薬物残留基準設定スケジュールの明確化  
○  問題提起者から提起内容につき説明
  (問題提起内容)
  ・日本では、食肉中の薬物の残留が一切認められず、薬物残留を認める国際基準並みに
    緩和してほしい。
  ・所管省の対処方針として、ナイカルバジンについては、国際機関での安全性評価がま
    だ行われていないため、直ちに残留基準の設定は行わないとのことだが、日本独自に
    基準値の設定をしてほしい。
  ・ブラジルからの鶏肉の輸入については、国内検査が義務づけられており、日本での検
    査料の負担も大きいので、早急に日本独自の基準値を設定し、海外の検査合格書をも
    って輸入が許可されるよう検討してもらいたい。
○  所管省庁から対処方針につき説明
  (対処方針)
  ・安全性評価のための資料が整備されたため、昨年6物質について残留基準の設定を行
    った。
  ・残留基準の設定については、国際基準の有無を前提としているのではなく、安全性評
    価のために必要な資料が揃っていることが前提。ナイカルバジンについては、国際的
    にも安全性評価のために必要な資料が整備されておらず、直ちに残留基準の設定はで
    きない。安全性評価のためには種々の試験データ(長期慢性、発がん性、変異原性、
    催奇形性、代謝、残留消失等)が必要であり、相当の経費もかかるので、動物用医薬
    品を製造販売しているメーカーからデータを提出してもらうといった協力が必要。
  ・ブラジルからの鶏肉については、休薬期間を厳守する等薬物の使用方法によってその
    残留を防止することが可能。ブラジル国内で残留防止措置を取り、それを政府が保障
    してくれれば、輸入時の残留検査を省略することは可能。そういった残留防止対策に
    ついて、ブラジル政府と話し合いをしている。
  ・安全性評価のできるものについては、残留基準の設定に努めていきたい。
○  この後、審議
  (委員の主な発言)
  ・ナイカルバジンの基準値はあまりに米国との差が大きすぎる。今後基準値の設定を考
    えていないのなら、米国との基準差について、根拠等を公表すべき。
  ・米国でのナイカルバジンの基準値(日本の100倍以上の基準値)の設定は昭和52
    年とのこと、これまで約20年間特に大きな問題が生じていないのなら、それが安全
    性についての根拠である。したがってこの基準を受け入れてもよいのではないか。米
    国では20年近く使われているので、データがないということにはならず、米国から
    提供してもらえば簡単ではないか。米国に比べ、日本は安全基準の設定に関し、消極
    的である。
  ・国際基準の設定を待って、国内基準の改定を行うだけでなく、積極的に国際機関に日
    本の基準値を提案し、国際基準作りに取り組むべき。  
  ・日本も国際基準の設定には関与しているはずだから、国際基準の設定に並行して、あ
    るいは少なくともそれが設定された場合は速やかに基準設定をするべきである。AD
    I(一日摂取許容量)が設定される、あるいはMRL(最大残留基準値)の設定につ
    きある程度の合意に達した段階で、日本も設定手続を進めるべきである。
  ・(残留を)検出限界により決定しているのは不合理であるので、そういうやり方から
    直ちに脱却すべき。
  ・食品衛生調査会は昨年4回開催したとのことだが、国民の健康に関する問題なのだか
    ら、もっと精力的にやるべきではないか。
  ・FAO/WHOでは優先順位、スケジュールがあるが、日本においてもそういったリ
    ストを作成し、スケジュールの明確化を図ることが必要ではないか。
  ・種々の個別案件に適用できる国際基準に関する基本原則を確立することが重要であり
    、この原則にしたがって自動的に国際基準との整合化を図るようにしたら如何。   
(所管省の応答)
  ・米国は昭和52年の科学的レベルで残留基準を設定した。具体的には長期の毒性試験
    のデータなしで、3か月間の毒性試験データ等を基に設定した。現在は、米国でも長
    期の毒性試験のデータが必要とされている。EUにおいては、ナイカルバジンについ
    ての残留基準が無く、自由に流通していると思われる。
  ・検出限界の数値は分析法の進歩により数値が変わらないよう、一定の分析法を特定し
    ている。
  ・食品衛生調査会はいくつかの部会があり、すべての部会について言えば、月に1回以
    上開催されているが、乳肉水産・毒性合同部会に限れば昨年は4回開催した。
  ・米国との基準の差については、日本は含有してはならないとされているので、差が大
    きくなっている。評価できればこんな差はないと思う。残留基準の検討に当たっては
    、本邦をはじめ、国際機関、米国、EUとも現在の科学的レベルを考慮した一定の条
    件にあった安全性評価資料を基に残留基準の設定を行うことがルールとなっている。
    しかし、国際機関におけるナイカルバジンの評価は必要なデータが不足しているので
    、行われていない。
○  議長による総括
  ・国際基準が未設定であっても、資料収集を行い、米国、EU等の基準値を受け入れる
    ことも含めて、積極的に基準値の設定を進めること。あわせて、国際基準設定の場に
    おいても積極的な貢献をしていくこと。
  ・FAO/WHOにおける基準値設定作業がある程度の段階に達したら、国内基準の設
    定の準備に着手し迅速に基準値の設定を行うこと。
  ・すでにFAO/WHOにおいて、基準値が設定されているものについては、速やかに
    国内基準値を設定すること。
  ・食品衛生調査会での審議の一層の迅速化を図ること。
  ・個別の薬物について残留基準値の設定をどのような順番で行うのかを明確化するため
    に、内外の要望等に基づきプライオリィティリストを作成し、内外に公表すること。
    また、いつ設定するか、時期的目途を公表すること。
  ・以上の意見を踏まえて、今後、事務局の方で、問題提起者、所管省とも調整の上、で
    きるだけ具体的な改善内容と実施時期を盛り込んだ報告書の原案を作成し、議長に報
    告してもらいたい。その報告を受けて必要に応じ更なる検討を行いたい。    
議題2)
  昨年11月10日、27日の推進会議で「個別に順次審議すべきとされた案件」以外の
案件の検討状況について、OTO事務局より、その内容等につき説明した。
  OTO事務局から説明した問題提起内容等について、出席委員からは以下のような意見
があった。
  1)総論
    (報告書のまとめに向けて)
    ・問題提起者の対処方針に対する見解で、「致し方ない」というものが多い。これが
    不満があるにも関わらず問題提起者が諦めてしまっていることを意味するのであれば
    、これらの案件について、対外的な見地からも、OTOの精神からも更に検討して貰
    いたい。
    ・外国検査データの受け入れを推進すべき。
    ・検討の結論が出て決定されたのか、施策を実施中なのか、既に実施済みなのか等が
    明確になるように、書き方を工夫すべき。
    ・検討するという対処方針が示されているものについては評価できるが、出来る限り
    検討の方向や結論を得る時期等を具体的に示すべき。
    (その他)
    ・事務局で検討してもらいたいのだが、担当者によって言うことが違うといった問題
    は、行政手続法の対象になるのではないか。
    
  2)各論
    ・外国検査データの受け入れに関する例えば以下の問題提起について、技術的に見て
    データの信頼性に欠ける場合は別として、法令上の問題であればすぐ受け入れるよう
    に改めるべき。
      1−8)  動物用飼料添加物の指定制度の見直し
      1−10)  シアン化合物を含有する豆類の規制の緩和
      1−11)  食品添加物等の基準の国際的整合化
    ・例えば以下の案件には、問題提起内容の中で重要と考えられる点に対処方針で明確
    に答えていないので、きちんと答えるべき。
      1−10)  シアン化合物を含有する豆類の規制の緩和
      1−12)  謙R[ 等肥飼料原料の輸入手続きの簡素化
      1−16)  植物検疫の透明化・簡素化
      2−6)  医療用具の範囲の明確化
      3−13)  化学品の税関検査の簡素化
    ・「1−15)  食品等輸入届出書及び添付資料等の簡素化」について、多くの国でやっ
    ていないという製造所等の記載は、輸入障壁と見られかねないので、やはり改めるべ
    きではないか。
    ・「1−16)  植物検疫の透明化・簡素化」について、昨年も検討したが、燻蒸料金に
    ついて、この料金が外国と比べて非常に高いという苦情があることを業者に言うくら
    いのことはまず第一歩としてすべき。こうした問題は追及していく必要があると思う
    。
    ・「2−5)  医療用具の輸入手続きの簡素化」について、所管省では過剰な規制を行
    っているのではないかと思われる点があるが、これらは不要とできないか。
    ・「3−2)  輸入絹織物の事前確認手続きの簡素化」の対処方針において示されてい
    る検討について、いつまでに結論を得るのか、対処方針に具体的内容を記すべき。
    ・「7−9)  特恵原産地証明書に係る輸入手続きの簡素化」の対処方針において示さ
    れいるForm Aの簡素化について、対処方針にもっと具体的な内容を記すべき。
  3)議長総括
    ・「致し方ない」と問題提起者が言っている案件については、その実質的内容は、「
    引き続き検討してほしい」という案件と「所管省の言うことも一理あるので仕方ない
    と納得した」という案件の二つに分かれると考えられるので、その内容を精査し、報
    告書の取りまとめに向けての対応を再検討すべし。
    ・各委員から意見のあった案件及び議長として対応すべきと考える案件は以下のとお
    り。
      1−8)  動物用飼料添加物の指定制度の見直し
      1−10)  シアン化合物を含有する豆類の規制の緩和
      1−11)  食品添加物等の基準の国際的整合化
      1−12)  謙R[ 等肥飼料原料の輸入手続きの簡素化
      1−15)  食品等輸入届出書及び添付書類等の簡素化
      1−16)  植物検疫の透明化・簡素化
      2−5)  医療用具の輸入手続きの簡素化
      2−6)  医療用具の範囲の明確化
      3−2)  輸入絹織物の事前確認手続の簡素化
      3−6)  高圧容器の認証の国際的整合化
      3−13)  化学品の税関検査の簡素化
      7−9)  特恵原産地証明書に係る輸入手続きの簡素化
    ・これらについては、委員の方々から頂いた御意見に基づき、どのような対応が可能
    なのか、事務局及び所管省庁の方で早急に検討されたい。また、本日委員から特に意
    見の無かった案件についても、問題提起者の理解が得られていない案件が見られるの
    で、これらの案件についても事務局及び所管省庁の方で御検討を進められたい。それ
    らの検討結果については、2月20日に開催する専門家会議に再度報告し、各委員の
    御意見を頂いた上で、推進会議の意見を報告書に取りまとめることとする。
    ・行政手続き法に関しては事務局の宿題とする。
    
議題3)
    事務局より今後の専門家会議の日程について連絡したところ、出席委員から以下の発
  言あり。
    ・労働者派遣事業の見直し及び職業紹介事業の見直しを再度審議する予定になってい
    ないが、本件は重要な問題であり、昨年の専門家会議の検討の結果が所管省の検討に
    十分に反映されるよう、改めて所管省に前向きの対応を促したい。        
  議長による総括
    ・これらの案件については、事務局から至急所管省に本日の議論を伝え、事務局及び
    所管省で対応について早急に検討を進め、その検討結果を専門家会議に報告されたい
    。そこで各委員の意見を頂いた上で、推進会議報告書に取りまとめることとする。
    


                              −−−−以上−−−−


(速報のため事後修正の可能性あり)

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      |  専門家会議日程  1月24日 (水)13:00〜14:00 於1230号室            |
      |  (1月中)        議題(1) 輸出前の生果実の蒸熱処理のための      |
      |                            植物防疫官の派遣                      |
      |                  1月31日 (水)15:00〜17:00 於1230号室            |
      |                    議題(1) 電気機器の防爆基準の相互認証          |
      |                    議題(2) 輸入事前申告制度の導入                |
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                                    [問い合わせ先]
                                    経済企画庁調整局市場開放問題苦情処理対策室
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