OTO推進会議平成7年度第5回専門家会議議事要旨
(平成8年2月16日)
日時 平成8年1月31日(火)15:00〜17:00
場所 経済企画庁特別会議室(1230号室)
出席者
(推進会議)
議長 大河原議長
議長代理 加藤委員、千野委員、増田委員
オブザーバー ジョルダン特別委員、李特別委員
委員 片岡委員、金森委員、兼重委員、児玉委員、細川委員、本田委員、宮智委員
(問題提起者)
議題1 東京商工会議所
議題2 〃
(所管省庁)
議題1 労働省
労働基準局安全衛生部 池田安全課長他
議題2 大蔵省
関税局 塚原業務課長他
(OTO本部・事務局)
河出審議官、照井貿易投資調整官、道上OTO対策官他
議題
1)電気機器の防爆基準の相互認証
2)輸入事前申告制度の導入
3)その他
審議の概要
議題1 電気機器の防爆基準の相互認証
○ 事務局から問題の背景、問題提起内容及び所管省庁の対処方針につき説
明
問題の所在:IEC規格に適合している電気機械器具の我が国における認証
のあり方、指定外国検査機関の拡大、相互認証の推進 等
○ 問題提起者から提起内容につき説明
(問題提起内容)
・我が国の電気機械器具防爆構造規格は、国際規格であるIEC規格と整合
化されているはずだが、外国の検査機関で認証を受けた製品についても、
我が国に輸入し、使用するためには、社産業安全技術協会による型式検定
を要し、時間がかかり、かつ、経費の負担になる。また、日本語による申
請書の作成等も負担である。
・IEC規格又はそれと内容的に同一であるEUのCENELEC規格に適
合している旨外国の検査機関で認証した場合は、そのまま我が国でも使用
できるようにすべき。
・例えば、耐圧防爆容器のプロセス配管壁に係る規定の解釈の相違により、
EUの検査機関によって認証されたものであっても、我が国で型式検定を
受ける際、複雑な改造を余儀なくされた。こうしたことは検査基準の相互
認証によって解決可能ではないか。
○ 所管省庁から対処方針につき説明
(対処方針)
・我が国では、昭和63年以降、電気機械器具防爆構造規格第5条により、
IEC規格に基づき製造された場合は、我が国の規格に適合したものとみ
なしているが、輸入された際に我が国で規格に適合していることを型式検
定により確認している。
・検定については、指定外国検査機関からデータを受け入れており、その場
合は実機による検査は省略している。現在、指定外国検査機関は英国の1
機関のみであるが、本年1月にはドイツの機関から申請を受けているので
迅速に処理をしたい。
・問題提起にある耐圧防爆容器のプロセス配管壁の件については、社産業安
全技術協会で調査を行ったが、相談についての実績記録が残っていないた
め、詳細については判断しかねる。
○ その後、審議
(委員の主な発言)
・IEC規格に適合していれば、我が国の防爆構造規格にも適合していると
みなしているにもかかわらず、我が国で型式検定を受けなければならない
というのは外国を信用していないからなのか。それとも我が国の規格(性
能基準ではなく構造基準が多い)が外国の規格と異なるからなのか。型式
検定を受けなければならない理由は何か。
・指定外国検査機関が英国の1機関のみというのは少ない。いつごろからど
の程度広報活動は行ったのか。
・指定外国検査機関の広報について、大使館に資料を送付するのみでは不十
分であり、直接資料を送付したり、面談する等の一層の努力が必要。
・IEC規格との整合化については市場開放の観点からは評価している。し
かし、その効果が現れていないのではないか。つまり、外国の検査機関に
よる合格証があっても、我が国で再度型式検定を行うのであれば、IEC
規格との整合化が不十分ということであり、簡素化するために整合化を図
ったというのであれば、外国の検査機関で認証された製品については、我
が国では自動的に合格証を発行すべきではないか。
・実機による検査は省略し、検査方法のみチェックするといっても、実態上
検査方法のチェックは無意味である。IEC規格を認めた以上、認証結果
を信用すべき。また、防爆構造規格は極めて抽象的な構造基準であり、そ
れゆえIEC規格に適合している旨外国で認証を受けた製品については、
単純に受け入れるべきではないか。
・問題提起内容には耐圧防爆容器の解釈の相違に関するものがあったが、そ
の該当部分はIEC規格で定められていないのか。もし規格がないのであ
れば、我が国でも規定する必要はないのではないか。
・問題提起の解釈の相違については改造を指示したにもかかわらず、記録が
残っておらず、詳細について回答できないというのは非常に不透明な行政
である。
・IEC規格に適合している機械について、型式検定への申請は年間何件あ
り、そのうち不合格は何件か。これまでの指定外国検査機関からの申請で
全て合格ならば、日本で再度検査を行う必要はないのではないか。
・指定外国検査機関以外の検査機関でIEC規格またはCENELEC規格
に適合していると認証した製品について、我が国で検査を行った際、不合
格となった例はあるのか。
・現在、ドイツの検査機関が申請中とのことだが、どのようなプロセスを経
て指定するに至るのか。
・欧米等の検査機関に国際的な評価基準はあるのか。また、検査機関の評価
にISO9000シリーズとの関係はないのか。
(所管省の応答)
・指定外国検査機関で防爆構造規格に合格した製品については、我が国の型
式検定の申請書は提出してもらうが、実機による検査は省略している。外
国での検査方法等について書類審査し、適切に検査が行われていれば、我
が国の合格証を出すことにしている。したがって、外国の検査結果を信頼
していないわけではなく、指定外国検査機関ならそのデータを信頼してい
る。
・指定外国検査機関制度は昭和63年に導入しており、在日大使館には広報
を行ったが、外国の検査機関には行っていない。
・昭和63年にIECと整合化した際は、相互認証をするのではなく、デー
タの受け入れくらいなら可能であろうということであり、それにより外国
の検査データを受け入れて検査を簡素化しようという議論に止まった。
・我が国で合格証を発行しなければ、防爆電気機器を使用する側は戸惑うの
ではないか。外国の検査機関での認証をフリーパスにするとどのようなも
のが入って来ているかわからないので、フリーパスには出来ない。
・耐圧防爆容器のプロセス配管壁といった細かい問題については、IEC規
格では規定していない。このような問題については、それぞれの検定機関
の見解に従うものと考える。
・指定外国検査機関からは年間20〜50件程度型式検定の申請が行われて
おり、全て合格している。型式検定の際、実機による検査は行わず、書類
審査のみで簡素化を図っている。
・指定外国検査機関以外の検査機関については、どのような水準の検査が行
われているのかが不明であり信用できないため、あらためて日本で全て検
査する必要がある。実際、外国で認証された製品であっても、我が国の型
式検定で不合格になった例はある。
・指定外国検査機関の申請がなされれば、その検査機関の検査体制、人員、
設備等を現地へ行き検査した後、指定する。
・IEC主催で本年度から国際認証制度が発足される予定であり、ISO9
000シリーズの資格を備えていなければ参加出来ない。将来的には参加
国間で相互乗り入れが可能となろう。
(議長の総括)
・本件に関する審議の方向性は極めて明確であると思われる。
1我が国の防爆構造規格がIEC規格と整合化されているものであれば、I
EC規格またはそれと整合化されている外国規格と適合している旨外国で
認証を受けた製品については、我が国の型式検定に合格したものとみなす
べきではないか。
2また、そうみなせないのであれば、我が国の規格をIEC規格に真の意味
で整合化することにより、型式検定を不要とすべきではないか。
3以上により、型式検定制度の対象とするのは、IEC規格またはそれと整
合化されている外国規格適合への認証を受けていない製品のみに限るべき
である。
4検定が必要な場合には、指定外国検査機関制度を積極的に広報するなどに
より、外国検査データの受入れをより積極的に推進すべきではないか。
5外国検査データの受入れについて、外国の公的機関が認定した検査機関の
データも受け入れるべきではないか。
6IEC規格以外の規格に基づき製造された製品についても、積極的に相互
認証を行うことにより、日本において型式検定を行わないでもすむように
すべきではないか。
まとめ
・今後、事務局の方で、問題提起者、所管省とも調整の上、できるだけ具体
的な改善内容と実施時期を盛り込んだ報告書の原案を作成し、議長に報告
してもらいたい。その報告を受けて必要に応じ更なる検討を行いたい。所
管省においては是非とも前向きな対応を期待している。
議題2 輸入事前申告制度の導入
○ 事務局から問題の背景、問題提起内容及び所管省庁の対処方針につき説明
問題の所在:予備審査制や航空貨物についての到着即時輸入許可制度によって、どの
程度輸入業者の迅速通関のニーズに対応可能か。
(制度の適用範囲、通関時間、事務量の軽減の程度等)
○ 問題提起者から提起内容につき説明
(問題提起内容)
現在、緊急貨物については「予備審査制度」を活用して通関手続を行っているが、あ
くまで「仮の申告」であり、貨物到着後の搬入届けが出されてから「本申告」に切り替
えられ許可となる。米国同様貨物到着と同時に荷受け、引取りができるように願いたい。
また、平成8年度早期に航空貨物について 制度改善が図られるとのことだが、海上貨
物についても同様の措置を講じて欲しい。
○ 所管省庁から対処方針につき説明
(対処方針)
輸入申告件数の増加(平成6年には720万件(対前年比14.8%増))及び物流
のスピードアップに伴い、輸入通関手続の簡素化・迅速化の要請が高まっており、電算
化の推進、予備審査制の導入、他省庁との連携強化などにより輸入手続全体の簡素化、
迅速化を図ってきている。
これにより、平成3年における輸入申告から許可に要する平均時間は、海上貨物(航
空貨物)で1.1日(2.3時間)、貨物到着から許可までに要する時間は、7.0日
(52 6時間)であったが、平成5年には、輸入申告から許可までが0.5日(1.
6時間)、貨物到着から許可までは、4.8日(43.7時間)と輸入手続全体に要す
る時間は短縮され、特に通関に要する時間はわずかなものとなっている。
航空貨物についての到着即時輸入許可制度では、予備審査制の下で検査が不要とされ
た貨物のうち、引取りを急ぐ貨物については、保税地域への搬入確認を待つことなく到
着が確認され次第、通関情報処理システム(NACCS)により瞬時に許可を得ること
ができる。
米国の事前申告制度は貨物到着前に許可が下りるが、貨物の引取りは貨物到着確認後
であり、到着即時輸入許可制度では貨物到着と同時に許可を得ることができ、貨物の早
期引取りという観点からみれば、実質的に米国の制度と同様の効果があると考えている。
○ この後、審議
(委員の主な発言)
・海上貨物についても到着即時輸入許可制度を導入する予定はあるのか。
・海港での荷役については全港湾の理解、協力も必要だと思うが、各省で連携して迅速
化を進める考えはあるのか。
・到着即時輸入許可制度と米国の事前申告制度の違いは貨物到着前に本申告ができるか
否かと思われる。予備申告をそのまま本申告にすることはできないか。
・土、日については荷役作業が限られており、料金も高い。本制度の導入によりそのよ
うな面の改善も図られるのか。
・到着即時輸入許可制度の導入は平成8年度早期とのことだが具体的にいつごろか。「
一定の引取りを急ぐ航空貨物」とはどういうものか。「貨物の到着の確認」とはどの
ようになされるのか。
・航空貨物の本制度の利用状況をみて海上貨物についても検討するということだが、是
非実施していただきたい。
・到着即時輸入許可制度の導入については法律改正が必要なのか、政令改正で十分なの
か。
・臨時開庁制度については、平日の貨物の集中を緩和して施設の効率的な利用を図ると
いう観点から直接の受益者の料金負担のみで賄うのは考え直してはどうか。
(所管省の応答)
・到着即時輸入許可制度の海上貨物への導入については、来年度の航空貨物における利
用状況等をみて検討したい。
・輸入通関手続全体の迅速化については、食品衛生、植物防疫、動物検疫との関連から
関係省庁とNACCSとのインターフェース化を進めており、こうした面からも迅速
化を図りたい。
・予備申告、本申告と二つの手続があるようにみえるが、書類を出し直したり、NAC
CSに入力する必要はない。NACCSの中で自動的に本申告になるので実態上問題
ないと思う。我が国の制度は貨物を国内に持ち込むという通関面での許可と税金が納
入されたことを確認するという手続を一つの許可で行っている。米国の場合はこの二
つの手続を分けており、一長一短あると思う。
・土、日の取扱いについては、昨年3月の規制緩和推進計画で土、日対応の空港を増や
しており、昨年9月からは下関でも職員を常駐させている。今後は、予算、定員面で
の制約もあり、具体的な行政需要をみて行政効率にあうものから検討したい。臨時開
庁手数料については通常の公務員の勤務時間外なので、受益者負担をお願いしている。
・平成8年度早期の具体的な実施時期については、正式に答えられる段階にない。「到
着の確認」とは、航空会社等により、貨物の到着が確認され、その旨をNACCSに
入力することによりなされる。「一定の引取りを急ぐ貨物」とは、予備審査制度で検
査が不要とされたものは全て対象となる。
・本制度の導入については政令の改正で対応することを考えている。
○ 議長による総括
・到着即時輸入許可制度について、輸入者の利便のためその適用の範囲や手続を含め運
用面に配慮し、貨物の到着の確認についてもできるだけ輸入者の利便に配慮すること
を一番のポイントにして頂きたい。文字通り到着即時に輸入許可が得られるようにし
、また、この制度をできるだけ広く周知するように図られたい。
・本制度の海上貨物への導入については、航空貨物における利用状況等をみてからとの
ことだが、迅速通関の観点から具体的にその検討を進めてもらいたい。
・臨時開庁制度の費用負担について、どのように考えるべきか、今後の検討課題として
おきたい。
・今後、事務局の方で、問題提起者、所管省とも調整の上、できるだけ具体的な改善内
容と実施時期を盛り込んだ報告書の原案を作成し、議長に報告してもらいたい。その
報告を受けて必要に応じ更なる検討を行いたい。
・本日大蔵省からは具体的で前向きの対応が示され、委員の評価もあったことはOTO
として結構なことと思う。
−−−−以上−−−−
(速報のため事後修正の可能性あり)
[問い合わせ先]
経済企画庁調整局市場開放問題苦情処理対策室
直通 3581−5469