OTO推進会議平成7年度第7回専門家会議議事要旨
(平成8年2月20日)
日時 平成8年2月9日(金)10:00〜12:00
場所 経済企画庁特別会議室(1230号)
出席者
(推進会議)
議長 谷村議長
議長代理 内村委員、大河原推進会議議長、行天委員、久米委員、増田委員、八城委員
オブザーバー ジョルダン特別委員
委員 片岡委員、金森委員、兼重委員、細川委員
(問題提起者)
在日米国商工会議所 井出理事 他、 日本貿易会 松浦企画部長 他
(所管省庁)
厚生省 薬務局 松原監視指導課長 他
(OTO本部・事務局)
河出審議官、照井貿易投資調整官、道上OTO対策官 他
議題
1)医薬品の範囲の基準の見直し
2)その他
審議の概要
議題1 医薬品の範囲の基準の見直し
○ 事務局から問題の背景、問題提起内容及び所管省庁の対処方針につき説明
問題の所在: 栄養補助食品の法的位置づけと医薬品範囲基準の見直し
・食品素材、成分の規制の緩和
・形状(剤型)の制限緩和
・効能効果、用法用量等の表示の制限緩和
○ 問題提起者から提起内容につき説明
(問題提起内容)
・外国で食品として販売されている栄養補助食品を日本でも食品として販売できるよう
にしてほしい。具体的な要望は以下のとおり。
1)栄養補助食品の法的位置づけを明確にし、現行の医薬品の範囲基準を改訂し、その基
準対象から栄養補助食品とされる食材を除外する。なお、米国においては、栄養補助
食品について法的な位置づけがなされており、EUにおいても米国と類似の内容のド
ラフトが提案されている。
2)食品であっても、栄養補助的効能、効果的な使用法、注意表示など必要な情報を表示
できるようにする。
3)消費者の利便性を考慮し、安全で使いやすく、品質保全に必要な形状を自由に選択で
きるようにする。欧米では錠剤やカプセル剤は広く認められており、世界で形状で医
薬品と食品を区別しているのは日本だけである。
4)欧米で使用実績があるものや安全性が十分確認されている食品素材、成分で医薬品と
みなされ、食品として使用できないか、使用基準の厳しいものがあるので緩和する。
食品衛生法のリストに載ってない食品添加物が含まれているため輸入ができないもの
があるが、安全性が確認されていると考えられるものは使用できるようにする。
本日の議題からは外れるが、乳糖が一定比率以上入っている場合には、高関税がか
けられることも輸入障壁となっている点はテークノートされたい。
なお、問題提起者の一方から、食品添加物の指定等については正当な方法が定めら
れており、制度を変える必要はないと考えている旨発言があった。
○ 所管省庁から対処方針につき説明
(対処方針)
・栄養補助食品の取扱いについては、米国では法律が制定されている。また、デンマー
ク、オランダ、英国は法律があるが、他の欧州諸国においては、医薬品を食品とどう
区別するかという形で制度が作られており、その意味でほぼ日本と同様の考え方にな
っている。EUについては、ドラフトがあると聞いているが、どういう方向づけにな
るか明確でない。したがって米国の取扱いは国際的な取扱いと異なっている。
・ビタミンAは妊娠前後に過剰摂取すると催奇形性を有することが発表されており、医
薬品としての規制の対象外にするためには十分な検討を要する一つの例である。
・一般消費者が医薬品と認識するかどうかは、成分本質、形状及び表示された効能効果
等を総合的に考慮して判断することとしており、この考え方は最高裁判例においても
支持されているが、これまで一般消費者の意識の変化等を踏まえて、その判断基準を
改正してきた。
・現在、食品と医薬品の区分の見直しについては、医薬品の範囲に関する研究について
の検討会において、安全性や薬理作用を含めた検討を進めており、ビタミンについて
は平成8年度中に、ハーブ(生薬)については平成9年度に可能なものから医薬品と
しての規制の対象外とすることとしている。
・以上から問題提起について簡潔に回答すれば、1)栄養補助食品の法的位置づけについ
ては、現在考えていない。2)表示の制限緩和については、1)を行わない限りは、行わ
ないことになる。3)剤型の自由化については、現状の基準が弾力的なものだと認識し
ている。4)成分規制の緩和については、一部について検討するところである。
○この後、審議
(委員の主な発言)
・一般消費者の考え方を調査する方法について、民間企業はマーケットリサーチの厳密
な方法により行っている。厚生省はそれを自分の考えで判断しているのでないか。こ
れは恣意的な行政につながるのでないか。例えば、消費者の理解について、統計学的
に適正な調査を行い、消費者の理解を把握した上で厚生省に申請してきた場合、基準
を変えて認めるつもりはあるか。
・米国の取扱いが国際的な取扱いと異なるとするなら、将来、欧州も米国と同様となれ
ば我が国でも取り入れるのか。
・食生活の変化に厚生省は追い付いておらず、消費者は規制のために栄養補助食品を享
受するチャンスを失っている。消費者は自分で十分に適切な判断ができるので、消費
者を信用して任せていいのではないか。
・どんな物でも過剰に摂取すれば何らかの害がでるものだから、ビタミンAの過剰摂取
による弊害がでる例では栄養補助食品を法的に認知しない理由にはならないのではな
いか。
・医薬品該当性の判断についてだが、成分によっては剤型だけで医薬品に当てはまるも
のがあるので、剤型については弾力的な運用とはいえない。
・安全のために必要な規制は最小限にし、オープンかつ機械的に運用されるべきで、「
弾力的」と称して恣意的に運用されるのは好ましくない。
・栄養改善法において特定保健用食品を規定した際、栄養補助食品の国際的整合性の観
点から、その位置づけについて検討したのか。
・栄養補助機能のある物、ない物が混在している現状では、適正表示を含めた栄養補助
食品としての新しい枠組みを国際的整合性の観点から検討することが必要ではないか
。
・医薬品には医薬品である旨の表示義務はないとのことであるが、薬局では食品と薬の
両者を扱っていて混在しており、消費者自身が商品を選択する状況を考えると医薬品
の表示の義務付けを含めて、表示については検討すべきである。
・栄養補助食品は現在の表示規制のため、不親切な売り方になっている。栄養補助食品
は高価な物で、保険制度により薬が安価で手に入る現在、薬と間違えて飲む人はいな
いのではないか。
・新しい栄養補助食品のカテゴリーを作るべきではないか。認知されれば、新しい市場
として成長していくはずである。現状では適切なマーケティングができない。
(所管省の応答)
・通常人の理解の調査に関する委員指摘の場合については、仮定の問題であり回答が難
しいが、厚生省としては尊重する。
・剤型のみにより、医薬品であるかを決定しているのではなく、成分、形状、効能効果
等の表示等から総合的に判定している。したがって、成分によっては、カプセルの使
用も認められている。この意味で弾力的に運用している。
・平成3年に栄養改善法施行規則を改正し、清涼飲料水、テーブルシュガー等の食品を
対象として、特定保健用食品の制度を導入したところであるが、栄養補助食品はこれ
らとは異なる形状を有するものであり、同制度の対象としていないので、栄養補助食
品の規則の国際的整合性は配慮されていない。
・食品添加物については、米国、日本ともポジティブリストによる規制を行っており、
新規の物は必要なデータとともに、申請してもらうこととしている。外国での使用は
審査する際の参考にはなるが、それだけでは十分ではない。食品添加物の申請方法等
については、平成8年3月にガイドラインを作成する予定である。
○ 議長による総括
・時代の変化に合わせ、中長期的には、栄養補助食品を新しいグループとして認知する
対応を検討すべきではないか。
・また、当面栄養補助食品について対応すべき具体的内容としては、
1剤型による規制は分かりにくいので、やめるべきでないか。少なくとも規制の大幅
な緩和が必要である。
2消費者のために、栄養補助食品においても適切な表示はできるようなシステムを考
えるべきではないか。
3上記 1 2を含め、医薬品と栄養補助食品の区別の方法について抜本的に見直すべき
ではないか。
・食品添加物の規制の緩和については、問題提起者間で意見が一致していないが、問題
を指摘する意見もあった。
・以上の意見を踏まえて、今後、事務局の方で、問題提起者、所管省とも調整の上で、
できるだけ具体的な改善内容と実施時期を盛り込んだ報告書の原案を作成し、議長に
報告してもらいたい。その報告を受けて必要に応じ更なる検討を行いたい。
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