OTO推進会議平成7年度第9回専門家会議議事要旨

  
                                                          (平成8年2月20日)

日  時  平成8年2月14日(水)9:00〜11:00 
場  所  第4合同庁舎共用第4会議室(1221号室)  
出席者  
  (OTO推進会議)
    議長      谷村委員
    議長代理  大河原議長、行天委員、久米委員、千野委員、増田委員
    委員      金森委員、兼重委員、細川委員
  (問題提起者)
    米国大使館商務部  
      ルース上席商務官  他
    米国リクリエーショナル・ヴィークル産業協会
      ホプキンス副会長(規格担当)
    米国リクリエーショナル・パークトレーラー産業協会
      ガウポウ営業本部長  他
  (所管省庁)
    建設省住宅局
      那珂建築指導課長  他
    運輸省自動車交通局
      久米技術安全部技術企画課国際業務室長  他
  (OTO事務局)
    経済企画庁調整局
      河出審議官、照井貿易投資調整官、道上OTO対策官
    
議題  
  1)  トレーラーハウス、キャンピングカーの輸入の円滑化
  2)  その他

審議の概要
  
○  事務局から、問題の背景、問題提起内容及び所管省庁の対処方針につき説明
  問題の所在:1)  トレーラーハウスを建築物と見なすことの適否について
              2)  我が国における利用形態(使用場所、使用方法等)のあり方について
              3)  その他トレーラーハウス等の輸入の円滑化の方策について
  
○  問題提起者から提起内容につき説明
  (問題提起内容)
  ・米国においては、トレーラーハウス等の特殊車両を用いた「デスティネーション・キ
    ャンピング」というレジャー形態が広範に普及している。これは、インフラの整備さ
    れたキャンプ場において、トレーラーハウス等に宿泊して休暇を過ごすというもの。
  ・このレジャーの普及に対応して、これらの特殊車両の基準がANSI(米国規格協会
    )規格によって詳細に定められ、また、製造業者、販売業者の団体であるRVIA(
    リクリエーショナル・ヴィークル産業協会)、RPTIA(リクリエーショナル・パ
    ークトレーラー産業協会)がこれらの特殊車両の管理母体として活動を行っている。
    米国においては、これらはあくまで「デスティネーション・キャンピング用」の特殊
    車両であり、決して「建築物」として規制されることはない。
  ・日本においてはトレーラーハウス等に固有の規格は存在しないが、トレーラーハウス
    等は恒久的な住宅とは異なるものであり、建築基準法に定める建築物として規制対象
    から除くべきものである。現在は地方自治体によって規制の仕方が様々だが、トレー
    ラーハウスが一般住宅と同様に使用されることは好ましいとは考えていない。従って
    、日本への市場アクセスの改善、デスティネーション・キャンピングの用に供される
    際の消費者の安全の確保等の観点から、トレーラーハウス等について、既存の規制の
    見直し、新しい規格・基準の整備をして頂きたい。
  ・そのために関係省庁が参加する作業部会を設置すべき。
    
○  議長から所管省への質問
  ・建築物の定義を明確にされたい
  ・トレーラーハウスが建築基準法を満たさずに使用される場合に予想される具体的問題
    点を挙げられたい
  
○  所管省庁から対処方針につき説明
  (対処方針)
  ・トレーラーハウスのうち、一定の場所に長期間設置され、居住の用に供されるものは
    建築物に該当することになるが、期間についての明確な定義はない。常時設置されて
    いれば建築物と見なされる。人が住んでいなくても建築物になり得る。
  ・地震、火事等からの安全性を確保するためには、建築基準法と同等以上の性能を有し
    ていなければ、居住、宿泊の目的に利用されることは危険。
  ・キャンピングカーについては特種自動車として登録、運行することが可能であり、建
    築基準法の適用も受けない。
  ・トレーラーハウス等は道路運送車両法上の「自動車」に該当する。同法は、道路運送
    車両が道路上を安全に公害を出さずに運行することを目的としており、そのために道
    路運送車両の保安基準が定められている。自動車の使用の目的にかかわらず、保安基
    準を満たす必要がある。
  ・ANSI規格は主に住居としての基準であるので、米国においてトレーラーハウスが
    道路上を走る際の基準について情報提供されたい。
    
○  この後、審議
  (委員の主な発言)
  ・(米国大使館主催のトレーラーハウス見学会に参加したが)現物を見ると、従来の日
    本の法規が規定する建築物でもないし、自動車としても律しきれない。将来のゴール
    としては、自己責任原則を基本に、消費者の安全を第一に考えて必要最小限にこのカ
    テゴリーを規定する新しい法律を策定するのが理想的。そのためには、セミナーの開
    催等、日米の専門家による検討の場を設ける等の対応が必要。当分の間は、インフラ
    の整備されたキャンプ場、個人の別荘地で使用されるトレーラーハウスに限り、AN
    SI、RVIAの基準等を満たしたものについては、日本の法規によるチェックは最
    小限にして使用を認めるべきではないか。
  ・建築物に該当するか否かについて建設省の有権解釈だけで決まるのでは新しい商品や
    新しい技術の普及を妨げることにもなるので、第三者の意見も聞くべき。
  ・このスタイルのレジャーが日本で将来普及するという見通しで対応する必要がある。
    こういう新しい製品は既存の分類で割り切ることは難しい。新しいルール作りが必要
    。
  ・自動車かつ建築物という規制がなされ、税金も二重に徴収されるのでは政府としてお
    かしい。
  ・新しいライフスタイルに対応して法体系を作るべき。現状は建築物としても自動車と
    しても実態が把握されていないようだが、ある日突然既存の法律に基づいた規制が行
    われて「そんなはずではなかった」となるのでは困る。
  ・市街地で住宅として使われる場合、キャンプ場で本来の用途に使われる場合と、使用
    形態に応じて建築物か車かという分類を変えれば現行法で対応できるのではないか。
  ・使用形態に応じて分類を変えるやり方は長続きしないだろうから、やはり独自の規格
    をつくるべき。
  ・行政はタテ割りではあるが、関係省庁の共管で法律を作ることも可能。
  ・トレーラーハウス等を本来の使用方法に限定して規格を作り、市街地で住宅としての
    使用は認めないという問題提起者の主張は妥当なものである。
  ・キャンプ場内で使用される場合は、トレーラーハウス本来の使用方法に近く、建築基
    準法の対象外となるのではないか。
  
  (所管省の応答)
  ・我が国ではトレーラーハウスが明らかにデスティネーション・キャンピングとは異な
    る使われ方を市街地においてされていることがある。我が国での使用実態を見る限り
    、その全てを建築基準法の対象から外すという議論には納得できない。本来の使用方
    法をすると言われても、キャンプ場がそもそも整備されていない。新法措置以前の問
    題。新しいルールが必要か否かについてはどちらでもよい。本来の使い方は、新しい
    ルールがなくてもできる。
  ・道路運送車両の保安基準は種々の目的で走る全ての道路運送車両に共通する最低限の
    安全基準。原子炉等の運搬についてはやむを得ず基準を緩和しているが、個人のレジ
    ャー目的に供するものについては特例は認められない。米国でも州法その他の規制が
    あるのではないか。
  ・自動車として車検を受け重量税を支払い、更に住宅として固定資産税を支払うという
    ことになれば、問題があると思う。
  ・現在までに輸入されているものについては、建築確認申請、自動車登録申請の何れも
    されていないので、現状は把握していない。
  ・トレーラーハウスが市街地にあれば建築物と見なすが、同じものが本来の使い方をさ
    れれば車である。キャンプ場内で使用する場合はトレーラーハウス本来の使用方法に
    近いと言える。
  
  (議長の総括)
  ・現在の状態で中長期的に放置しておくことは望ましくないので、新しい形態の製品に
    ついては新しい対応が必要。対応の仕方として、新法を策定するか現行法を前提に進
    めるか、早急に問題提起者、所管省庁の両者で話し合って現実に適応する方策を考え
    るべき。
  ・使用目的によって分類するのが現実的との提案も示された。デスティネーション・キ
    ャンピングという本来の使われ方がされているものについては建築物とは考えていな
    いという所管省庁の見解が示されたが、関係地方公共団体に明確化して頂きたい。
    
                        −−−−以  上−−−−
  
  (速報のため事後修正の可能性有り)
  
                                [問い合わせ先]
                                    経済企画庁調整局市場開放問題苦情処理対策室
                                          電話(直通)  3581−5469