OTO推進会議平成7年度第6回専門家会議議事要旨

                                                        (平成8年2月23日)

日時  平成8年2月6日(火)10:00〜12:00
場所  経済企画庁特別会議室(1230号)
出席者
(推進会議)            
  議長      内村議長
  議長代理    大河原推進会議議長、谷村委員、中内委員、増田委員
  オブザーバー  デュボワ特別委員、ジョルダン特別委員
  委員      片岡委員、金森委員、兼重委員、児玉委員、宮智委員
(問題提起者)
  東京商工会議所  下島国際部長  他
(所管省庁)
  厚生省  薬務局審査課  稲荷化粧品審査室長  他
(OTO本部・事務局)
  河出審議官、照井貿易投資調整官、道上OTO対策官  他
  
議題
  1)化粧品等の成分規制の緩和、化粧品等の輸入手続の簡素化
  2)その他

審議の概要

議題1  化粧品等の成分規制の緩和、化粧品等の輸入手続の簡素化
○  事務局から問題の背景、問題提起内容及び所管省庁の対処方針につき説明
  問題の所在: 国際的整合性の観点を含めた化粧品規制の在り方の見直し(種別許可制度
  、種別承認制度、輸入販売業許可制度、製品輸入届出制度、成分表示制度  等)
○  問題提起者から提起内容につき説明
  (問題提起内容)
  ・米国FDA基準に従って米国で製造・販売されている商品であっても、日本で輸入で
    きない成分が入っているため承認の必要があり、データをとり揃える等で時間、経費
    がかかった。成分規制の緩和をしてほしい。
  ・サンプルとして12個の石鹸を輸入しようとしたが、厚生省の担当官の説明を受けて
    、輸入販売業の許可がないことを理由に通関時に廃棄させられた。また、輸入販売業
    の許可を取得するためには、検査設備の設置、責任技術者の配置が必要である(「検
    査設備については、自社になくても他の検査機関の利用でもよい」との説明はこの時
    にはされなかった。)が、海外で個人が購入し使用なれしている化粧品に対する規制
    は撤廃すべき。
  ・シャンプー等を輸入するに当たって、同一メーカーの同一商品であっても成分分析等
    を行い申請しなければならないが、一旦輸入許可されたものは、簡易な方法にしてい
    くべきである。
○  所管省庁から対処方針につき説明
  (対処方針)
  ・化粧品全体の9割強が種別許可基準内のもので、これらについては簡易な届出で済む
    ようになっている。残りの1割弱について種別承認製品となっている。
  ・平成8年度内に種別許可基準について、種別の統合、使用可能成分の拡大を図り、手
    続等の簡素化を行うこととしている。
  ・種別許可基準外の成分を含む化粧品について、輸入を禁止しているのではない。全く
    新しい成分が含まれている場合などでは、安全性等に係るデータがないため、申請者
    から提出される資料を審査しており、安全性等が確認されれば、承認を与えている。
  ・検査設備については、厚生大臣の指定する外部の機関を利用することが可能であり、
    必ずしも自社で所有する必要はない。
  ・責任技術者については、例えば高校で化学を学んで3年の実務経験があればよい。フ
    ランスでは日本より厳しい資格が必要になっている。EU指令(来年1月発効予定)
    においても、専門的資格、経験を有するものを置くことになっている。規制内容に違
    いはあるが、保健衛生上の支障がないよう責任者をおくということについては、諸外
    国の制度もかわらない。
  ・サンプルの輸入の件については本日初めて伺う内容であるが、テストに使うとか、展
    示用に使うといった内容の証明(薬監証明)を取れば輸入は可能である。
  ・化粧品規制全般については、規制緩和推進計画の中でEU等の動向を踏まえ見直すこ
    ととしている。
○この後、審議
  (委員の主な発言)
  ・化粧品のトラブルはどれくらいあるのか。
  ・化粧品については、海外旅行時の購入や個人輸入が増えている中で、ボーダーレスに
    なっており、行政の効率化の観点から、こんなに複雑な制度は見直す必要があるので
    はないか。
  ・個人では海外から自由に買ってこれるのに、業として販売しようとするとなぜ規制が
    あるのか。EU等ではこの点はどうなっているのか。
  ・日本の責任技術者は形式的な話であり、責任は会社がとるのであって、配置の義務付
    けはやめた方がよいし、衛生面からの営業所のチェックも不要ではないか。また、在
    庫はほとんどの企業が営業所には置かない状況なので、在庫管理が理由なら配置して
    意味があるのか。
  ・日本での審査よりも、米国FDAの審査プラス米国での使用実績の方が安全性の証明
    として優れているのではないか。人種差を理由にするなら、米、仏ともアジア系の人
    達がいる。また、人種差より個人差のほうが大きい。
  ・米国、EU等で使用が認められているものは、安全性について担保されているのだか
    ら、種別許可基準で同じような申請をしないで済むよう積極的に種別許可基準へ組み
    入れていくべきではないか。また、種別許可基準自体も国際化すべきではないか。
  ・種別許可基準内のもの、承認されたものは安全なもののはず。その安全なものを輸入
    する者が許可を受けるのは、ダブルチェックと思われるので、制度全体を見直すべき
    ではないか。
  ・PL法もできたので、製造者に自己責任をもたせる方法で処理すべきではないか。
  ・情報開示が重要である。消費者は情報に基づき物を買うという習慣を持ってきている
    。そのため、消費者に品質を判定するための教育が重要。例えば表示制については、
    危険な成分が表示されているのでなく、いい成分が表示されているという誤解もある
    。全成分表示の導入も検討すべきではないか。
  ・化粧品は個人差の大きい商品である。海外旅行者も増えており、自分に合うもの、合
    わないものをわきまえているはずだが、被害の報告もあり、欧米と同水準の規制は必
    要。情報開示も含めて、制度の国際的整合化は是非スピードアップして制度の見直し
    をすべきではないか。安くて良い製品を入手できるように規制緩和をすべき。
  ・規制緩和推進計画の実行により、製造業者の成分証明書がとれずに輸入できなかった
    ケースは並行輸入が可能になるのか。また、何か条件がつくのか。
  ・サンプル輸入の話は、厚生省の本省の意向と現場窓口の対応が異なっているのではな
    いか。省内及び関係機関に運用の徹底をすべき。
  ・販売業者も、いいかげんな物を売っても信用をなくすだけである。もう少し信用すべ
    き。
  ・メーカーは並行輸入を阻止するため日本向けと、他国向けとでは意図的に成分を変え
    ているという話だが、規制のすきまをついたものであり、それではコスト高になるの
    も当たり前。このようなことが繰り返されないよう早急に種別許可基準の国際的整合
    化を進めるべきではないか。
  
  (所管省の応答)
  ・消費生活センターでの化粧品についての被害発生状況は、主にスキントラブルである
    が、94年度で379件であり、トラブル上位品目の一つである。
  ・個人使用は米国等でも規制の対象にはなっていない。業として輸入する場合は不特定
    多数に販売するので、その規制の手法の差はあるが、どの国も行っている。
  ・責任技術者は保健衛生上必要な注意をすることを任務としている。化粧品は取扱いを
    おろそかにすると品質劣化のおそれがあり、一定の品質管理のために責任技術者の配
    置は必要。実際にトラブルが起きた際には、個人でなく会社が責任を取ることになる
    。厚生省としては、責任技術者の変更命令をだせる。また、責任技術者については、
    分置倉庫ごとには必要はない。    
  ・米国FDAは承認のシステムをとっていない。実際に外国で多くの方が長期にわたり
    使っている実態をどう見るかについては、評価が難しい。外国のデータは基本的には
    受け入れるが、長期間皮膚に使う場合には国内データも一部必要である。個人差もあ
    るが、日本人と外国人で皮膚の構造、色素の沈着等で違いがある。
  ・承認は物に対する審査であり、許可は製造所(営業所)の衛生面等をチェックするも
    の。米国、EUにおいても、これらを分けて扱っており、部分部分で厳しいところ緩
    いところはあるが、全体のシステムとしては同じような規制と理解している。
  ・規制緩和推進計画にあるように、並行輸入化粧品については製造業者の証明は省略し
    、同一であることを確認するものを添付してもらう予定であり、具体的な取扱いにつ
    いて、まだ詳細は申し上げる段階にない。
  ・サンプルの輸入の件については、制度の運用に齟齬が生じないよう努めてまいりたい
    。
○  議長による総括
  ・米国、EU諸国等で使用の認められている成分については、米国、EUの基準を参考
    に種別許可基準へ組み入れていくべきではないか。あわせて、種別許可基準の国際的
    整合化を早急に進めるべきではないか。
  ・種別許可基準外の成分等でも、今までの承認手続の際に集まっているデータがあるは
    ずであるから、それらを公表し、また迅速に種別許可基準へ収載していくべきではな
    いか。
  ・他の者が既に輸入している化粧品は種別許可基準外のものであっても、既に輸入され
    ているものと同一のものならば、承認は不要ではないか。少なくとも承認手続は大幅
    に簡素化できるのではないか。また、同一であることの確認のやり方について、実務
    上負担がかからないように工夫すべきではないか。
  ・営業所毎の輸入販売業の許可は不要なのではないか。また、仮に許可制が必要であっ
    ても責任技術者の配置、試験検査設備の設置という要件は、さらに緩和できるのでは
    ないか。
  ・実際に製品を輸入する際に提出する輸入製品届出書は不要なのではないか。輸入手続
    の際には、販売業許可書の写しの添付等で済ませられるのではないか。
  ・仮に製品届が必要であっても、種別許可基準に適合する化粧品については、製造メー
    カーの作成した成分表の添付は不要ではないか。
  ・以上の意見を踏まえて、今後、事務局の方で、問題提起者、所管省とも調整の上で、
    できるだけ具体的な改善内容と実施時期を盛り込んだ報告書の原案を作成し、議長に
    報告してもらいたい。その報告を受けて必要に応じ更なる検討を行いたい。
  ・PL法もできたし、自己責任の社会に変わっていかなければならない。厚生省は大胆
    な規制緩和を行うべきである。

                              −−−−以上−−−−

(速報のため事後修正の可能性あり)

    
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