OTO推進会議平成7年度第10回専門家会議議事要旨

                                                        (平成8年2月28日)  

日時  平成8年2月15日(木)15:00〜17:10     
場所  経済企画庁特別会議室(1230号室)
出席者
(推進会議)
  議長      大河原議長
  議長代理  加藤委員、谷村委員、増田委員
  オブザーバー  李特別委員                              
  委員      片岡委員、金森委員、兼重委員、児玉委員、細川委員、松下委員
(問題提起者)
  在日米国商工会議所                                    
  日本貿易会                                            
(所管省庁)
  建設省住宅局            那珂建築指導課長、杉山住宅生産課木造住宅振興室室長  他
  農林水産省食品流通局    村上品質課長      他
  厚生省水道環境部        浜田水道整備課長  他
(OTO本部・事務局)
  経済企画庁
  小林事務次官、河出調整局審議官、道上調整局OTO対策官  他
  
議題
  1)輸入住宅資材等に係る規制緩和                    
  2)その他

審議の概要

議題  輸入住宅資材等に係る規制緩和  
○  事務局から問題の背景、問題提起内容及び所管省庁の対処方針につき説明
  問題の所在:1)  輸入住宅資材、外壁・屋根材に係る規制、規格のあり方について
              2)  住宅金融公庫融資の条件について
              3)  海外の水道器具の受入れの方策について
○  問題提起者から提起内容につき説明
  (問題提起内容)
  1)・2×4工法の住宅を建設する際には、建設省告示により、原則としてJIS規格を
      取得している釘や金物、JAS規格を取得している木材を使用することとされてい
      る。この規制は在来工法による住宅を建設する際には適用されない。このことは、
      外国製品の使用を妨げ、建築コストを上昇させ、更に、場合によっては建造物の構
      造耐力を弱めることになっている。
        更に、建設省以上に、住宅金融公庫は、ほとんどの輸入資材が使用できないよう
      な形でJIS規格を適用している。例えば、住宅金融公庫は、枠組材に使用するJ
      IS認定釘の種類、釘を打つ間隔やパターン、本数まで規定している。同様に、米
      国製の金物の使用も禁止されている。
    ・公庫の融資を受ける際に、JASマークのある製材、合板、構造材等の使用が条件
      であるが、JAS認定材は高価で、認定工場で認定を受けたものに限られる。また
      、認定工場の指定を受ける際、2人の担当官にファーストクラスの航空券の提供を
      求められる場合もあるなど、JAS規格の取得にはコストと時間が極めてかかる。
      また、JAS認定を取るだけで30%コストアップになるという点が重要。一度認定
      工場になれば、利益が大きいJAS材の輸出に力を入れるのは当然。
    ・建築基準法の規定にせよ、公庫融資の条件にせよ、「建設大臣が認めるものは使用
      可能」とあるが、実際には認めてもらうのは非常に困難。
  2)・アスファルト屋根材は日本では建築材料としては認められていないため、公庫融資
      の適用の対象となっておらず、輸入が妨げられている。その他外壁・屋根材につい
      て輸入資材が不燃材料等としての指定を受けることが困難である。
  3)・公庫の仕様書等に定められたもの以外の資材を使用する場合には試験を受ける必要
      があるが、住宅をパッケージとして少ない個数輸入する者にとって試験は期間、コ
      スト的に非現実的。その一部の資材をわざわざ日本製に取り替える必要性は理解で
      きない。また、実質的に仕様書が義務付けとなっている。
  4)・水道器具にJWWA(社日本水道協会)マークがないと水道業者が引き受けない、
      指定された水道業者しか工事を行えない等、水道器具の接続についての規制が厳し
      い。また、JWWAマークが公庫の融資の条件となっていることも問題である。
    これらの問題について、相互認証制度の導入(WWPA(米国西部木材製品協会))
  、APA(アメリカ合板協会)規格等と)等、外国でその使用が認められているものに
  ついては国内での使用を認めると共に、公庫融資の対象とすべきである。また、国内で
  の検定の簡素化、迅速化等も推進すべきである。
  
(議長から所管省へ質問)
  ・2×4工法においては、在来工法にはないJIS、JAS規格適合材使用の規定があ
    るのはなぜか。
  ・現在、海外の規格適合証明機関等と協議を行っているとのことだが、協議の具体的内
    容及び結論の出る時期的目途を示されたい。
  ・公庫の融資基準と建築基準法の基準は同一か。
  ・給水器具に係るJWWAマークの有無が実質的な規制になっているということについ
    て厚生省はどう関与しているのか。
  ・外国で使用が認められている給水器具を日本において型式承認し、更に検査も行って
    いるのはなぜか。

○  所管省庁から対処方針につき説明
  (対処方針)
    (建設省)
  ・2×4工法において、JIS、JAS規格に適合した材料の使用を規定しているのは
    、2×4工法が気密性の高い工法であり、我が国のように高温多湿の気候・風土等を
    考慮すると材料の品質確保のための一定の条件が必要であり、また、2×4工法を我
    が国で一般的な工法と認め、普及させるために昭和57年に建設省告示が制定され、当
    時日本で一般的な規格であるJIS/JAS規格を引用した。ただし、建設大臣が構
    造耐力上支障がないと認めた場合には、これらの規定に基づかないものであっても使
    用可能である。現時点においても、現場での円滑な施工と建築物の安全性の確保のた
    め、2×4工法にJIS、JAS同等以上の性能の規格を求めるという考えを撤廃す
    るつもりはない。
  ・ただし、JIS、JASに相当する規格をもつ海外製品があるのであれば、JIS、
    JASにはこだわらない。平成7年3月の規制緩和推進計画において外国規格の受入
    れを決定した。海外規格のグレードとJAS規格のグレードとのすり合わせのため、
    昨年春以降、米、カナダの各地域と協議中。現在、最後の詰めの段階。外国規格とJ
    IS、JASとの同等性及び適合証明の妥当性が確認され次第、明示的に指定してい
    く。ただし、なかなか先方から必要なデータが提出されないので歯がゆい。
  ・住宅金融公庫融資の共通仕様書は、個人と建築業者との契約に係るサービスとしてモ
    デルを示したものであり、曖昧性をなくすため、細部に渡って列記してある。しかし
    、すべてが公庫融資の条件となっているわけではない。2×4工法については建築基
    準法に則っている。よって、JIS、JAS以外の資材を使用することも可能である
    。
  ・建設業者を含めてJIS、JAS等が義務づけられているとの誤解を招きかねない表
    記については、平成8年度版共通仕様書については、書換えを行う予定である。
  ・住宅金融公庫融資の条件は、一部建築基準法の基準に上乗せしているところがあるが
    、屋根材の不燃材規定等については、平成8年4月より廃止の予定である。
  ・屋根材に係る建築基準法の規定については、我が国は市街地が密集しているので安全
    性の確保の観点から、不燃材の規制を完全に撤廃することは困難である。ただし、新
    しい不燃材や外国材の認定については時間がかかるなど合理化すべき点が多くある。
    不燃材については外国試験データの受入れを平成7年3月に決定し、諸外国に周知を
    図っており、カナダの試験機関(ULC)の試験機関としての指定を平成7年12月に
    行った。米国についても検討中である。
  ・給水器具について公庫との関連では、仕様書にはJISやJWWAを引用しているが
    、これらは条件ではなく、水道事業者の認める範囲で外国製品等、他の製品も使用可
    能。

(農林水産省)
  ・木材については、それぞれの国が規格を有している。
  ・JAS規格については、'80年代始め頃から日米間で協議し、技術的なデータ等を交
    換の上合理性のあるものについては、北米規格との整合化を図ってきた。
  ・また、'83年には外国認定工場制度を、'86年には指定外国検査機関制度を設け、こ
    のシステムの下で海外からのJAS製品の輸入は着実に増加している。
  ・2×4製材に係るJAS規格は、曲がり、腐れ等に違いがあるが、基本的に北米規格
    に整合化されている。
  ・米国内の住宅メーカーがJAS製品を入手したい場合、大口でないと入手しにくいこ
    ともあるかもしれない。
  ・格付けは内外無差別であり、工場の認定や製品の格付にかかるコストは同じである。
  ・現在もJAS認定工場への指定の要望があるが、その指定については書類の簡素化等
    の面で迅速化を図るべきであると思う。
  ・指定外国検査機関(FTO)制度もより一層活用していく。
  ・今後、JAS規格については、構造部材について、性能規格化する方向で検討してい
    きたい。
  (厚生省)
  ・JWWAの規制が実質的な規制になっているというのは事実であるので、水道に関す
    る規制緩和についての検討委員会をひらき、その検討に基づいて社日本水道協会が平
    成6年9月に給水装置の型式承認制度に係る改善措置を取った。今後、行政改革委員
    会の意見、すなわち、
       1型式承認基準の性能基準化、国際的整合化を踏まえた最小限の項目への限定、
       2水道事業者による加重承認の撤廃を促進、
       3検査の簡素化・合理化、
       4型式承認の有効期間の廃止、合理的な更新制度への見直し
    等の指摘を踏まえてJWWAの改善に早急に取り組む。また、地方公共団体に対して
    も不合理な点は改善するように働きかける。
  ・海外の規格認定データの採用の適否等を判断するための調査は予定通り平成7年度よ
    り3年間で行うが、規制緩和措置は規制緩和推進計画を前倒しで行う。
  ・相互承認には、外国との検討が必要であり、できるだけ国際的整合化を図るべく、相
    互認証を目指した外国との協議に取り組んでいきたい。具体的な品目について認める
    べきであるという点があれば、JWWAを指導する。
  ・大手メーカーが寡占状態にあるというという話があったが、それらのメーカーの型式
    承認件数に占める割合は10%程度に過ぎず、むしろ流通機構等の問題であろう。
  ・指定工事店制度については、指定要件を全国的に統一、明確化し、資格試験も全国的
    に一本化する。このため、今通常国会に水道法改正案を提出する予定。    

○  この後、審議
  (委員の主な発言)
  ・建築基準法の改正を行うとのことであったが、どの様な内容か。また、今回検討され
    ている問題提起内容と改正内容との関係はどのようなものか。
  ・2×4工法において我が国が高温多湿だからJIS、JAS規格の材料使用を規定し
    ているというのは、米国にも高温多湿な地域があるので説得力がない。2×4工法が
    導入された当時(1982年) は日米貿易摩擦問題があった時期だと思うが、貿易摩擦に
    対する配慮があったならば、北米規格の木材を受け入れるという柔軟な態度が取れな
    かったのか。
  ・建設省としては、今回の建築基準法に関する問題提起は、法律はきちんとしていて問
    題提起者が不勉強だと考えているのか、又は法律がおかしいと考えているのか。
  ・海外にJAS認定の指定を受ける場合ファーストクラスの航空券を提供する必要があ
    るとの話だったが、ファーストクラスが必要なほど地位の高い人物が出張するのか。
    単に適当に決めているというのであれば改めるべきではないか。
  ・日本は、木材資源が少ないので、輸入木材が今後とも増えるであろう。外国の木材が
    入りやすくなることにより日本の若者が住宅を手にいれられやすくなるように配慮す
    べき。住宅をパッケージとして輸入する者にとっては、規制に合わないと苦労すると
    いう問題提起者の主張は理解する。
  ・統計数字を見ると、JAS制度の浸透により木材の輸入量は増えており、米国の認定
    工場も同制度を活用しているように解釈できる。
  ・公庫融資の条件は建築基準法の規定に等しいのか否か。等しいならその旨周知徹底す
    べきではないか。
  ・給水装置の型式承認制度が平成6年9月に改善され、審査委員会の審査から事務局の
    審査になったということであるが、審査が早くなっているのにもかかわらず件数が増
    えていないのはなぜか。
  ・JWWAでは、型式承認を行ったあと、検査も行っているが、給水器具程度のものな
    ら現在の工場では安定して生産できると思われるので検査は廃止すべきではないか。
    品質の保証が必要ということであれば、ISO9000シリーズの認証の取得を条件とし
    て検査を廃止すべきではないか。
  
  (所管省の対応)
  (建設省)
  ・建築基準法は昭和25年にできた法律であり、これまで手直しで対応してきたが、国際
    化の中で個別の対応は限界であるため、建築基準法の仕組みの抜本的見直しを考えて
    いる。平成7年11月に建築審議会に諮問し検討しているが、国際協調と自己責任原則
    の観点に立って見直す。また、現在の建築基準のほとんどは、仕様規定であるので、
    それを性能基準化し透明化することが望ましいと考えている。
  ・2×4工法を取り入れた当時は、工法をオープンにするために、当時の生産システム
    で可能であり、施工者が慣れている寸法や日本で流通している資材等を指定した。ま
    た、その当時はドル高であり輸入住宅の対日輸出要望もなかった。
  ・現在の建築基準法は複雑で、海外からの輸入に不便をかけていると認識しているが、
    建築基準法が要求している性能の保証は必要である。
  ・個々の資材・部品ではなく、輸入住宅をパッケージで受け入れるケースにおいて問題
    があるという指摘に対しては、同じ認識である。
  ・住宅金融公庫融資の条件として、一部で建築基準法の規定よりも上乗せする規定があ
    るが、2×4工法の場合はほとんど告示通りである。上乗せの主なものは、屋根の不
    燃と木造三階建て戸建住宅の防火規定及び木造三階建共同住宅の耐久性規定であるが
    、この要件は平成8年4月に廃止する予定である。
  (農水省)
  ・ファーストクラスの件については、現時点では確認できない。
  (注)後日、農林水産省側からは、格付機関担当官の出張は内部規定によりビジネスク
        ラスに限られているとの連絡が、問題提起者側からは、会員に確認したところフ
        ァーストクラスの航空券の提供を求められた事実があるとの連絡が寄せられた。
  ・国内で、北米規格とJAS規格とが併存したとしても、どちらを選択するかは市場が
    決めることである。
  (厚生省)
  ・事務局による審査は以前より早くなった。審査件数の増減は、審査の簡素化と結びつ
    いているものではない。
  ・検査のあり方については、多方面から意見を頂いているが、平成5年には、検査の負
    担を軽くするために、一回あたりの検査ロット数を増やした。また、現在、大・中小
    企業を問わず同様の検査を行っていることに関しては、品質管理の十分な工場等につ
    いては、検査を省略する方向で検討したい。外国では工場単位に審査している例もあ
    る。ISO9000を取得できない中小メーカーについてはどうするかという問題はある
    が、検査の改善策を検討してJWWAを指導する。

○議長による総括
  ・2×4工法におけるJIS、JASの原則使用の規定については、在来工法との間に
    規制の差を設けていることの理由が、日本が高温多湿であるというのでは納得がいか
    ない。  
  ・現在建設省においては海外の規格適合証明機関等との間で検討、協議を行っているが
    、木材、釘、金物等について、諸外国において一般的に認められている規格等をその
    まま受け入れるという対応を当面取る必要がある。この際、現在行っている検討、協
    議は早急に結論を得るべきであり、外国で一般的に普及している住宅については、そ
    の住宅に用いられている資材等をパッケージで受け入れられるように配慮し、仮に規
    格の受入れのために慎重な検討が必要であるとしても、データの提出を求めるのでは
    なく、所管省が自ら試験、認定を行うという積極的な対応に転じる必要がある。
  ・さらには、同告示を、現在のように具体的な規格名等を列挙する方式から、構造耐力
    上必要な性能基準を示すよう抜本的に改定すべきである。  
  ・住宅金融公庫融資に係る条件が建築基準法と同等でないなら、早急に建築基準法と同
    じにし、周知・徹底すべきである。
  ・外壁・屋根材についても、諸外国において一般的と認められている規格等をそのまま
    受け入れる必要がある。            
  ・厚生省においては種々の規制緩和を検討中とのことであるので、是非その方向での検
    討をさらに一層積極的にまた早急に進めて具体的な措置に結び付けていただきたい。
  ・なお、外国で一般的に使用が認められている給水器具については、型式承認・検査と
    も不要として我が国に受け入れる方向で検討すべきである。
  ・当面必要な対応として、型式承認制度については、諸外国で一般的に使われている給
    水器具について、関係者の要望も踏まえてJWWAが自ら試験・承認を行うことによ
    り輸入を促進するという積極的な対応を行うべきである。
  ・型式承認後の検査については、製造業者の品質管理体制を信頼し、廃止すべきである
    。品質管理体制の保証が欠かせない場合は、ISO9000シリーズの認証を取得してい
    ることを条件にJWWAの検査を早急に廃止すべきである。
  
  ・以上について、少なくとも現在検討中のものは早急に実施に移すべきである。
  ・今後、事務局の方で、問題提起者、所管省とも調整の上、できるだけ具体的な改善内
    容と実施時期を盛り込んだ報告書の原案を作成し、議長に報告してもらいたい。その
    報告を受けて必要に応じ更なる検討を加えたい。
  
  
                              −−−−以上−−−−

                                            (速報のため事後修正の可能性あり)




                                  [問い合わせ先]
                                  経済企画庁調整局市場開放問題苦情処理対策室
                                        直通  3581−5469