OTO推進会議平成7年度 第1回専門家会議議事要旨

 

                                                (平成7年12月18日)

日時  平成7年12月11日(月)15:00〜17:00
場所  経済企画庁特別会議室(1230号)

 出席者
(推進会議)
  議長      増田實
  議長代理  行天豊雄、久米豊、谷村昭一、千野境子、八城政基
  オブザーバー  トーマス・ジョルダン、李鎬允
  委員      片岡一郎、金森房子、兼重一郎、細川清澄、宮智宗七
(問題提起者)
  議題1    日本貿易会
  議題2    韓国貿易協会
(所管省庁)
  議題1    農林水産省
            食品流通局  村上品質課長  他
  議題2    建設省
            大臣官房    鈴木技術調査室長  他
(OTO本部・事務局)
  河出審議官、照井貿易投資調整官、道上OTO対策官  他
  
 議題
  (1) 輸入果汁に係るJAS規格の一部変更
  (2) 建設資材の品質審査証明制度の改善
  (3) その他

 審議の概要

議題1  輸入果汁に係るJAS規格の一部変更

○  事務局から問題の背景、問題提起内容及び所管省庁の対処方針につき説明
    問題の所在:国際規格との整合性、規格改正の内容の周知等に十分配慮しつつ、
    輸入果汁の実態に即したJAS規格の早急な見直しを行うこと

○  問題提起者から提起内容につき説明
  (問題提起内容)
  ・輸入果汁が増加しているにもかかわらず、輸入果汁について、例えばオレンジ
    果汁は酸度、グレープ果汁はアミノ態窒素/灰分でJAS規格を満たさないも
    のがあり、JAS規格は実態に即していない。このため、輸入果汁の実態に即
    して、JAS規格の抜本的な変更をお願いしたい。
  ・オレンジ果汁における酸度、グレープ果汁におけるアミノ態窒素/灰分はいず
    れも国際規格であるコーデックス規格に想定されていない項目であり、この点
    でJAS規格は日本独自のものである。
  ・アミノ態窒素/灰分の測定方法は難しく、事実上国内でしか出来ないため、コ
    ストがかかる。
  ・100%果汁でないものを100%果汁と書けば罰せられるのであり、それで
    十分と考えられる。

○  所管省庁から対処方針につき説明
  (対処方針)
  ・JAS規格は、事情やニーズの変化に合わせて改正してきたが、輸入果汁の品
    位と不適合のケースがみられるので、実態になるべく合うような形で見直した
    い。
  ・産地毎に規格を設けると複雑になるのでなるべく包括的に検討する。
  ・11月に見直しの公告を行ったが、国際的規格も十分勘案して検討していきたい。

○  この後、審議
  (委員の主な発言)
  ・なぜジュースに規格が必要なのか。消費者が選択できる成分表示で十分ではな
    いのか。
  ・JAS規格と国際規格であるコーデックス規格が異なるのはなぜか。
  ・任意規格であるJAS規格の普及・維持のために財政的資金は用いられている
    のか。・なぜ規格の中に酸度や灰分等の項目が設けられているのか。これは単
    に味覚の問題ではないのか。それとも国民の健康・安全にこれらの項目が関係
    するのか。
  ・JASはまがいものの追放等一定の成果をあげてきたが、最近の消費者ニーズ
    の多様化にJAS規格はうまく対応できなくなっているのではないか。どの位
    の頻度で改正されてきているのか。ニーズが多様化している部分については、
    あまり規格の中に入れなくてもよくなってきているのではないか。規格改正に
    当たり、国内で幅広く意見を聴取しているのか。  
  ・JAS規格が制定されたときは国産品を基準に規格を定めたのだろうが、今後
    は輸入されているものを含め規格を幅広く決めてはどうか。
  ・JAS規格改正の具体的な要請を受けた後、データ提出を待って改正を行うと
    いうことではなく、もっと積極的に対応すべきではないか。
  ・将来的には安全性のために設けている規格・基準以外は廃止すべきではないか。
   
(所管省の応答)
  ・規格によりある一定の品質が保証されることは、製造、流通、消費の各方面に
    便益がある。これがJAS法の基本的な考え方である。米国にもジュースにつ
    いて規格があり、どこまで規格を定めるかは別にして、一般的な必要性はある。
    成分表示は栄養改善法で規定されているが、規格とは目的を異にする。
  ・一般論としてコーデックス規格との整合化を進めていくとしても、各国ともコ
    ーデックス規格をそのまま受け入れているわけではなく、気候・風土等各国の
    事情に合わせて主体的に判断している。逆に汚染物質のレベル等のように、コ
    ーデックス規格にはあるがJAS規格にないものもある。
  ・財政資金は、ポスターやパンフレット等の作成に補助金の形で一部使われてい
    る。
  ・酸度や灰分は、100%果汁でないジュースを判定する手法として必要であり、
    味覚の定義にもよるが、味覚について規格を設けているわけではない。
  ・改正手続きについては、業界の意見等を聴取し、農林物資規格調査会で審議を
    行う。改正の事前公告は、農水省の広報誌「AFF」に載せており、またジェ
    トロの通商弘報にも載せている。
  ・昭和45年以降21回の改正を行っており、11月に改正の検討を始めたところ。今
    回はこれまでよりももう少し大きな改正となろうが、輸入品も十分視野に入れ
    て改正を行いたい。
  ・要請を受けてからというのではなく、ご指摘の通り前向きに取り組んでいきた
    い。データについても幅広く収集する予定である。

○  議長による総括
  ・酸度等がそもそもJAS規格に必要かという点を含め、消費ニーズの多様化や
    輸入品の実態を踏まえたJAS規格の見直しを前向きに行うという所管省の努
    力に期待する。早急に前向きの方向を出して欲しい。
  ・事務局が問題提起者及び所管省と調整して、本日頂いた委員の意見が十分活か
    されるよう、できるだけ早く前向きの解決の方向を出し、改善内容、実施時期
    を盛り込んだ改善策をまとめて、議長に報告して頂きたい。必要に応じ、委員
    の方々に再度お諮りしたい。

議題2  海外建設資材の品質審査証明制度の改善

○  事務局から問題の背景、問題提起内容及び所管省庁の対処方針につき説明
  問題の所在
  (1) ISO認証を取得している企業については品質審査証明の手続きを簡素化又
    は省略することについて
  (2) 審査証明期間の延長について
  (3) 申請料金の引下げについて

○  問題提起者から提起内容につき説明
  (問題提起内容)
  ・海外建設資材の品質審査証明の際の提出資料は、ISO9000シリーズの認証の
    取得の際の提出資料とほとんど重複しており、また、品質とは関係ない項目も
    多い。ISO認証取得企業については品質審査を免除するか提出書類を大幅に
    簡素化すべき。特に、外国人にとっては日本語で書類を作成することの負担も
    大きい。
  ・公共工事は期間が長いものが多いので、例えば5年間の期間の工事では5回の
    審査証明を受ける必要がある。建設資材は工場で製造される規格商品であり、
    一定品質である。JISにも有効期間はない。したがって、有効期間を5年以
    上あるいは公共工事の平均期間まで延ばすべき。
  ・50万円の審査料金も割高。毎年の更新料金10万円も負担が大きく、引き下げる
    べき。

○  所管省庁から対処方針につき説明
  (対処方針)
  ・建設省の公共工事では、審査の公正の確保、品質の確保、コスト縮減が最も重
    要だが、本制度はコスト縮減を念頭に置いたもので、海外の安くて品質の良い
    資材を積極的に受け入れようというもの。
  ・ISO9000シリーズは、品質管理体制を保証するものであり、製品の品質を保
    証するものではない。ISO認証と重複しているところは既に省略している。
    しかし、例えば「輸送」については、輸送中の管理が悪ければ品質が劣化する
    ので省略することはできない。
  ・1年間という期間については問題ありと考える。しかし、JISが5年に一度
    更新されるのに対応する必要もある。一律1年というのは問題があるので改善
    を考えたい。・料金については、当初、申請件数等について仮定を置いてコス
    トを積み上げて決定したが、制度の活用を促進するためにその後半額(100 万
    円→50万円)に引き下げた。今後も引下げ努力の必要性は認識している。

○  この後、審議
  (委員の主な発言)
  ・この制度が、審査機関となっている2つの財団法人の設立目的に合っているの
    なら、固定費用まで原価に含めて回収する必要はない。また、この制度による
    審査は書類審査主体とのことだが、固定費用を含めないなら、この料金は高す
    ぎるので引き下げるべきではないか。更に、原価を勘案するなら、ISO認証
    を取得して審査項目が簡素化されているケースについては料金を引き下げるべ
    きではないか。
  ・本制度の審査とISO9000シリーズ認証の審査で異なるところは「品質の確認
    」の部分のみではないか。しかもそれは、本制度では書類審査のみである。
  ・期間については延長すべき。品質保証体制の持続が重要ならISO取得で期間
    に差をつけるべきではないか。
  ・内外価格差が問題になっており、特にバブル崩壊以降の経済対策の総額60兆円
    のほとんどが公共事業費に当てられていることから考えても、料金の面につい
    ては大幅に改善すべき。
  ・問題提起者の言っていることは全てもっともであり、賛成する。
    
  (所管省の応答)
  ・本制度とISO9000シリーズ認証とで審査内容が異なるのは「品質の確認」と
    「輸送・保管体制」の2点。
  ・財団法人は本来基金で運用すべきものだが、現実にはそれは困難であり、ある
    程度経費を回収する必要がある。
  ・価格、期間については本日のご意見を踏まえて改善策を検討したい。
  ・しかし、ISO9000シリーズの認証が品質保証にはならないということについ
    てはご理解頂きたい。
    
  (議長の総括)
  ・期間の延長については具体的改善策を早急に示して頂きたい。
  ・審査料金については、料金を費用で回収するのが困難であるから公益法人で行
    うのである。また、そもそも原価計算も困難である。書類審査が基本であると
    のことだから、安くするよう努力すべき。
    公共工事には外国企業の参入が困難であるとの批判が外国から寄せられるが、
    そのような点から考えても本制度の料金もできるだけ安くすべき。資材の品質
    を確保した上で、海外の安い資材を積極的に受け入れるよう建設省は前向きに
    取り組むべき。
  ・ISO9000シリーズ認証を取得している企業については、ISO認証と重複し
    ている項目については省略し、省略した分については料金を安くすべき。
  ・ISO認証取得企業については審査証明の手続きを簡素化すること、審査証明
    期間を延長すること、申請料金を引き下げることについて全員がもっともとい
    う意見であったので、それを踏まえて、事務局が中心となって、問題提起者、
    所管省の調整をして、改善内容、実施時期を盛り込んだ報告書の原案を取りま
    とめ、議長に報告してほしい。必要に応じ更なる検討を加えることとしたい。

                                  −−−−以上−−−

(速報のため事後修正の可能性あり)

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        |次回専門家会議日程                                                |
        |                  12月12日 (火)15:00〜17:00 於1230号室            |
        |                    議題(1) 輸入許可前貨物引取承認申請に係る担保  |
        |                            の対象官署の共通化                    |
        |                    議題(2) 労働者派遣事業の見直し                |
        |                    議題(3) 職業紹介事業の見直し                  |
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                            経済企画庁調整局市場開放問題苦情処理対策室
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