3.家畜伝染病予防法

(1) 法律・制度の目的
家畜の伝染性疾病の発生を予防し、及びまん延を防止することにより、畜産の振興を図る。

(2) 法律・制度の概要
国内における家畜の伝染性疾病の発生の予防及びまん延防止の防疫措置等について規定するとともに、動物及び畜産物の国際流通に起因する家畜の伝染性疾病の伝播の防止のために輸出入検疫制度を設けている(第36条〜第46条)。

(3) 政省令
家畜伝染病予防法施行令 (昭和28年政令第235号)
家畜伝染病予防法施行規則 (昭和26年農林省令35号)

(4) 規制等の概要
 1)対象
<指定検疫物>
ア. 偶蹄類の動物、馬、鶏、うずら、だちょう、七面鳥、かも目の鳥類、犬、兎、及びみつばち(これらの死体を含む)
イ. 鶏、七面鳥、うずら、だちょう、及びかも目の鳥類の卵
ウ. アの動物の骨、肉、脂肪、血液、皮、毛、羽、角、蹄、腱及び臓器
エ. アの動物の生乳、精液、受精卵、未受精卵、ふん及び尿
オ. アの動物の骨粉、肉粉、肉骨粉、血粉、皮粉、羽粉、蹄角粉及び臓器粉
カ. ウのものを原料とするソーセージ、ハム及びベーコン
キ. 家畜伝染病予防法施行規則第43条の上欄に掲げる地域(その地域に属する諸島を含む)から発送され、又はこれらの地域を経由した穀物のわら(飼料用以外の用途に供するために加工し、又は調整したものを除く。)及び飼料用の乾草
ク. 輸入が禁止されているもので、試験研究の用に供する場合その他特別の事情がある場合において、農林水産大臣の許可を受けて輸入するもの(法第36条1項ただし書)

 2)規格・基準、検査等の概要
i. 規則の内容
輸入された検査対象物(以下「指定検疫物」という。)については、家畜防疫官により、輸入禁止品に該当するか否か(法第36条)、検査証明書の添付の有無(法第37条)、家畜の伝染性疾病の病原体をひろげるおそれの有無についての検査を実施している(法第40条)。

ii. 申請手続
指定検疫物を輸入した者は、遅滞なくその旨を動物検疫所に届出、原状のままで、家畜防疫官の検査を受けることとされている(法第40条第1項)。

iii. 認証制度
家畜防疫官は、検査の結果、指定検疫物が家畜の伝染性疾病をひろげるおそれがないと認めるときは、輸入検疫証明書を交付すると共に、指定検疫物にらく印、いれずみその他の標識を付することとされている(法第44条)。

iv. 輸入検査の概要
ア. 日本に向けて輸出される指定検疫物には、その政府機関により発行されると共に、その検疫の結果、監視伝染病の病原体をひろげるおそれがないことを確かめ、又は信ずる旨を記載した検査証明書又はその写しが添付されていなければならない(法第37条1項)。
ただし、動物検疫についての政府機関を有しない国から輸入する場合等、また検査証明書に記載される事項が輸出国政府機関から動物検疫所の電子計算機に送信され、当該電子計算機に備えられたファイルに記録された場合にはこれを適用しないとされている(法第37条2項)。
検査証明事項の電子的送信については、オーストラリアと我が国の間で実施している。
イ. 指定検疫物のうち、農林水産大臣の指定するもの(偶蹄類の動物及び馬、鶏、うずら、だちょう、七面鳥及びかも目の鳥類、犬)を輸入する者は、事前に書面により動物検疫所に届出なければならない(法第38条の2第1項、同施行規則第47条の2)。
ウ. 指定検疫物を輸入した者は、動物検疫所に輸入検査申請書を提出した上、家畜防疫官による輸入禁止品に該当するか否か(法第36条)、検査証明書の添付の有無(法第37条)、家畜の伝染性疾病の病原体をひろげるおそれの有無についての検査を受けなければならない(法第40条)。
エ. 検査の結果によっては、当該家畜等について、と殺、焼却、消毒等をしなければならない。
オ. 検査の結果、指定検疫物が家畜の監視伝染病の病原体をひろげるおそれがないと認められるときには、輸入検疫証明書が交付されると共に、指定検疫物にらく印、いれずみその他の標識が付される(法第44条)。

〔フローチャート〕
フローチャート

v. 検査機関
動物検疫所は、現在、横浜に本所を、成田、中部空港、関西空港、神戸、門司及び沖縄の6か所に支所を、また、その他の主要な海空港17か所に出張所、並びに9か所に分室等を設置し輸入される動物・畜産物において動物検疫を実施している。

検疫所名・課
(営)
住所 電話番号
横浜本所 〒235-0008 横浜市磯子区原町11-1 045-751-5921
成田支所
検疫第1課
〒282-0011 成田市三里塚御料牧場1-1
第1旅客ターミナルビル
0476-32-6664
成田支所
検疫第2課
〒282-0004 成田市古込字古込1-1
第2旅客ターミナルビル
0476-34-2342
成田支所
検疫第3課
〒282-0111 成田市三里塚大字天浪字西原254-1 0476-32-6651
成田支所
検疫第4課
〒282-0111 成田市三里塚大字天浪字西原254-1 0476-32-6658
中部空港支所 〒479-0881 愛知県常滑市セントレア1丁目1番地 CIQ棟 0569-38-8577
関西空港支所 〒549-0011 大阪府泉南郡田尻町泉州空港中1CIQ合同庁舎内 0724-55-1956
神戸支所 〒651-0073 神戸市中央区脇浜海岸通1-4-3
神戸防災合同庁舎
078-222-8990
門司支所 〒801-0841 北九州市門司区西海岸1-3-10
門司港湾合同庁舎内
093-321-1116
沖縄支所 〒900-0001 那覇市港町2-11-1
那覇港湾合同庁舎内
098-861-4370

(注)検査体制の改善措置について
動物検疫については、動物検疫体制の整備・拡充を図るため、動物けい留施設の拡充・新設、検査官の増員、主要空港における貨物検査時間の延長等を実施してきたところである。今後とも、家畜の伝染性疾病の侵入を防止するという立場を堅持しつつ、迅速かつ的確な動物検疫の実施に必要な体制の整備に努めていくこととしている。

vi. 動物、畜産物等の輸出検査
輸出される動物、畜産物等の検査は、輸入検査に準じて実施するが、輸入国政府が家畜の伝染性疾病の侵入を防止するため特に必要としている検査も併せて実施する。

(5)最近の法令等改正の要点
高病原性鳥インフルエンザの侵入防止に万全を期すため、家畜伝染病予防法施行規則を改正し、平成17年9月から、だちょう及びかも目の鳥類が新たに指定検疫物に追加されている。

(6)参考情報
問い合わせ先:
農林水産省消費・安全局動物衛生課国際衛生対策室検疫業務斑
Tel 03-3502-8295 http://www.maff.go.jp
農林水産省動物検疫所
Tel 045-751-5921 http://www.maff-aqs.go.jp/