16.薬事法

(1) 法律・制度の目的
医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質、有効性および安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、医療上特にその必要性が高い医薬品および医療機器の研究開発促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図る。

(2) 法律・制度の概要
薬事法の規制対象である医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器について、製造製造販売業の許可、製造販売の承認、医薬品についてはさらに薬局開設、医薬品及び医療機器販売業の許可等の承認・許可制度を通じて、製品の有効性および安全性を確保する（第12条、第13条、第14条、第4条、第24条、第39条）。
そのほか、誇大広告等の禁止（第66条）、監督庁による立入検査（第69条）、副作用等の報告義務（第77条の4の2）等が、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器に共通して適用される。

(3) 政省令
薬事法施行令
薬事法施行規則
薬事法関係手数料令
薬事法施行規則第十二条第一項に規定する試験検査機関の登録に関する省令
薬事法施行規則第九十一条第三項第三号に規定する講習等を行う者の登録等に関する省令
薬事・食品衛生審議会令
薬局等構造設備規則
医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令
医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令
動物用医薬品等取締規則
動物用医薬品の製造管理及び品質管理に関する省令
動物用医療機器の製造管理及び品質管理に関する省令

(4) 規制等の概要
１）対象
医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器（動物用医薬品、動物用医薬部外品、動物用医療機器を含む）

２）規格・基準、検査等の概要
i. 規制等の内容
ア．製造販売業・製造業の許可
「製造販売業」とは、製造等（他に委託して製造をする場合を含み、他から委託を受けて製造をする場合を含まない。）をし、又は輸入をした医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器（以下「医薬品等」という）を、販売、賃貸、又は授与する業態であり、厚生労働大臣より製造販売業の許可を受けた者でなければ、業として医薬品等の製造販売をしてはならないこととされている。製造販売業者に対しては、販売後の安全体制の充実・強化・責任の明確性が求められている。

平成17年の法改正により「輸入販売業許可」は製造販売業許可に包括されている。なお、医薬品等を業として輸入する際には、通関のときまでに製造販売業者の氏名・住所等、所定の事項を記入した輸入届等を関東信越厚生局または近畿厚生局に提出する必要がある。

「製造業」とは、医薬品等の製造行為のみ（製造及び製造販売業者への納品のみ許され、直接卸売業者等の販売業者に販売等を行うことはできない）を行う業態であり、厚生労働大臣より製造業の許可を受けた者でなければ、業として医薬品等の製造をしてはならないこととされている。なお、製造工程のうち、包装・表示・保管工程のみ行うものについても製造業の許可が必要である。
また、外国において本邦に輸出される医薬品等を製造しようとする者（外国製造業者）については、厚生労働大臣の認定を受けることができ、この認定は外国製造販売医薬品等の製造販売承認の要件とされている。

イ．製造販売の承認医薬品等の製造販売をしようとする者は、品目ごとにその製造販売についての厚生労働大臣の承認を受けなければならない。
また、日本に輸出される医薬品等について、厚生労働大臣は、外国製造業者から申請があったときは、品目ごとに承認（外国特例承認）を与えることができることとされている。但し、申請時に外国製造業者が選任した医薬品等の製造販売業者（選任製造販売業者）を通じてのみ、製造販売をさせることができることとされている。

ウ．適合性審査等
製造販売業の品質保証と市販後の安全対策に関する許可基準として、「医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質管理の基準に関する省令」（Good Quality Practice, GQP）及び｢医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の製造販売後安全管理の基準に関する省令（Good Vigilance Practice, GVP）｣が定められている。GQPでは、製造業者を管理監督し、品質の確保された医薬品等を市場に出荷すること、及び流通後の医薬品等の品質を確保すること等を適切に実施するために必要なシステムの構築を要求している。GVPでは、医薬品等の製造販売後に、安全性に関する情報を適切に収集・検討し、必要な措置を講じるために必要なシステムの構築を要求している。さらに、医薬品、医療機器の製造販売後の調査・試験方法については「医薬品（医療機器）の製造販売後の調査及び試験の実施の基準」（Good Post marketing Study Practice, GPSP）が定められている。

また、医薬品及び医療機器の承認申請の際に必要な試験については、標準的な方法に基づいて実施されることが重要なことから、「安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令」（Good Laboratory Practices, GLP）、「臨床試験の実施の基準に関する省令」（Good Clinical Practices, GCP）が定められている。化粧品については、化粧品規準（厚生労働省告示）が定められており、特定の成分についてはネガティブ・リストによって配合禁止又は最大配合量が制限されている。防腐剤、紫外線吸収剤、タール色素についてはポジティブ・リストで配合可能なものが規定されている。

医療機器については、平成17年4月から、リスクに応じたクラス分類（一般医療機器、管理医療機器、高度管理医療機器）が導入されている。一般医療機器については製造販売承認が不要であり販売規制もない。管理医療機器のうち大臣が指定したもの（指定管理医療機器）については、厚生労働大臣により登録された第三者認証機関による認証が行われており、販売は届出制である。高度管理医療機器の製造については厚生労働大臣の承認が必要であり、販売は許可制である。

動物用医薬品等については、動物用医薬品GLP、動物用生物学的製剤基準、動物用抗生物質医薬品基準などが定められており、農林水産省の管轄下に置かれている。なお、生物由来製品については安全性確保のため、一定の要件を満たした管理者の設置が義務づけられる等、規制が強化されている。

ii. 認証制度（承認審査制度）
基本的な認証制度の手続の流れは以下の通りである。
医薬品の承認申請手続きは、申請書類を都道府県に提出することから始まる。都道府県は、書類の形式をチェックした上で、独立行政法人医薬品医療機器総合機構に送付する。

申請書が受理されると、新医薬品については機構において申請資料の適合性調査等が行われる。適合性調査（書面）が実施された後、専門チームによる詳細審査が行われ「審査報告書」が作成される。この報告書も踏まえて必要に応じて薬事・食品衛生審議会の意見を聞きながら、医薬品の品質・有効性・安全性に関する審査が行われ、一連の審査終了後に新薬品として厚生労働大臣の承認が与えられる。

医薬部外品、医療機器についても、独立行政法人医薬品医療機器総合機構が品質、有効性又は安全性に関する審査も行っている。
動物用医薬品、動物用医薬部外品、動物用医療機器の製造（販売）輸入手続を行うには、申請書が都道府県を経由して農林水産省で受付けられ、審査の上、支障がなければ都道府県を通じて承認指令書、許可証が交付される。動物用医薬品等の承認・許可についての標準的事務処理期間も設定されている。

(6) 参考情報
問い合わせ先：
厚生労働省医薬局審査管理課
Tel　03-5253-1111（代表）　http://www.mhlw.go.jp
農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課
Tel　03-3502-8206　http://www.maff.go.jp