8.肥料取締法

(1) 法律・制度の目的
肥料の品質等を保全し、その公正な取引と安全な施用を確保するため、肥料の規格及び施用規準の公定、登録、検査等を行い、もって農業生産力の維持増進に寄与するとともに、国民の健康の保護に資する。

(2) 法律・制度の概要
肥料を「特殊肥料」と「普通肥料」に分類している(第2条)。「特殊肥料」とは、農林水産大臣が指定した米ぬか・たい肥等で、生産・輸入に当たっては届出が必要である(第2条、第22条)。「普通肥料」とは、特殊肥料以外の肥料で、生産・輸入に当たっては農林水産大臣又は都道府県知事に対する登録又は届出が必要である(第2条、第4条、第16条の2)。

普通肥料については公定規格が定められている。公定規格では、肥料の種類毎に含有すべき主成分の最小量又は最大量、含有を許される植物にとっての有害成分の最大量、その他の制限事項(粒度や原料)が必要に応じて定められており、これをもって肥料の品質・安全性が確保されている(第3条)。

また、普通肥料の中には「特定普通肥料」として指定されるものがある。「特定普通肥料」とは、含有成分物質が植物に残留する性質からみて、施用方法によっては人畜に被害を生ずるおそれがある農産物が生産されるものとして政令で定めるものを指す(第4条第1項第4号及び第5号)。

肥料について、消費者への品質等に関する情報提供及び公正な取引の確保のため、普通肥料には保証票添付の義務がある。保証票には保証成分量、生産業者名等を記載することとなっている(第17条、第18条)。

特殊肥料のうち、その消費者が購入に際し品質を識別することが著しく困難であり、かつ、施用上その品質を識別することが特に必要であるため、その品質に関する表示の適正化を図る必要のあるたい肥等については品質に関し表示すべき事項の基準が定められており、これに基づく表示が義務付けられている(第22条の2)。

肥料の品質を保全するため、生産業者、肥料を使用する農家等への立入検査の制度をとっている(第30条、第30条の2、第33条の3)。立入検査では、農林水産省若しくは、都道府県の職員又は独立行政法人肥飼料検査所が、肥料生産業者等の事業場等に立ち入り、肥料や肥料原料、業務に関する帳簿書類の検査や肥料の収去ができることとなっている。収去した肥料については、持ち帰り分析し、保証票の保証成分量とおり肥料成分が入っているか等を検査し、その結果を公表することとなっている。

(3) 政省令
肥料取締法施行令
肥料取締法施行規則

(4) 規制等の概要
1)対象品目
普通肥料

2)・基準、検査等の概要
i .登録制度
主として普通肥料は、肥料の種類に応じて、農林水産大臣又は都道府県知事に肥料サンプルを添えて登録申請される。サンプルの分析、鑑定等による公定規格との適合性の調査は、独立行政法人肥飼料検査所等が行い、適合していれば登録し、肥料として流通できることとなる(第4〜9条)。

ii .認証制度
主として普通肥料は農林水産大臣又は都道府県知事にサンプルを添えて登録申請し、登録を受けたものが流通できることとなっている。

〔認証制度の概要〕
ア. 普通肥料(指定配合肥料を除く。)の登録(又は仮登録)申請者は、当該普通肥料の銘柄ごとに農林水産大臣又は都道府県知事へ申請する。
イ. 登録申請書及びサンプルを調査し、申請に係る肥料が公定規格に適合している場合には、植物に害があると認められる場合を除き農林水産大臣又は都道府県知事は登録証を交付する。
(仮登録申請にあっては仮登録申請書及びサンプルを調査し、申請に係る肥料の品質が公定規格の設定されている類似する種類の肥料と同等であることが認められた場合には、植物に害があると認められる場合を除き農林水産大臣は仮登録証を交付する。)
ウ. 外国生産登録の申請者は、申請の際に国内管理人(本邦内に住所を有する者(外国法人で本邦内に事務所を有するものの当該事務所の代表者を含む。))を選任しなければならない(第33条の2)。

〔登録(仮登録)手続のフローチャート〕

登録(仮登録)手続のフローチャート

(注)都道府県知事に登録申請が行われると、都道府県職員が検査等を行う。

エ.特定普通飼料については、登録の調査の際に、併せて、適用植物の範囲及び施用方法等も調査の対象となる。

オ.検査機関

   【独立行政法人 肥飼料検査所(本部・地方事務所5ヶ所)】

肥飼料検査所名 住所 電話番号
本部 〒330-9733 さいたま市中央区新都心2-1
さいたま新都心合同庁舎検査棟
048-601-1171
札幌事務所 〒060-0042札幌市中央区大通西10丁目4-1
札幌第2合同庁舎
011-241-3066
仙台事務所 〒983-0842仙台市宮城野区五輪1-3-15
仙台第3合同庁舎
022-295-4211
名古屋事務所 〒460-0001名古屋市中区三の丸1-2-2
名古屋農林総合庁舎第2号館
052-201-7284
大阪事務所 〒540-0008大阪市中央区大手前4-1-67
大阪合同庁舎第2号館別館
06-6942-3492
福岡事務所 〒813-0044福岡市東区千早3-11-15 092-662-1102

iii. 申請手続
普通肥料を登録申請するためには、肥料取締法施行規則別記様式第1号による肥料登録申請書に肥料サンプルを添えて、肥料の種類に応じ農林水産大臣又は都道府県知事に提出する。提出された申請書の記載が適切であるかどうか、また肥料サンプルを分析し公定規格に適合しているかどうかについては独立行政法人肥飼料検査所等に調査させ、問題がなければ登録証を発行し申請者に渡すこととなっている。なお、登録された肥料のみを単に配合したものにあっては、指定配合肥料と呼ばれ、改めて登録を要せず、肥料の種類に応じて農林水産大臣又は都道府県知事への届出でよいこととされている(法第16条の2)。

(5)最近の法令等改正の要点
平成15年に法の目的を含めた大改正が下記の通り行われた。法の目的として「国民の健康の保護に資すること」等が追加された。また、このために普通肥料の中に「特定普通肥料」を指定し、生産、輸入する前に農林水産大臣に登録又は仮登録を要するものとした。特定普通肥料については、適用植物の範囲、施用方法等を指定した。従って、登録の際にも、この範囲や施用方法等が調査対象となる。さらに、特定普通肥料を使用する農家も立入検査の対象となった。

(6)参考情報
問い合わせ先:
農林水産省消費・安全局農産安全課肥料企画班
Tel 03-3502-8111(内3125)03-3591-6585(夜間)
http://www.maff.go.jp
独立行政法人肥飼料検査所本部
Tel 048-601-1171  http://www.ffis.go.jp