36.農業機械化促進法

(1) 法律・制度の目的
農業機械化を促進するため、高性能農業機械等の計画的な試験研究、実用化の促進及び導入に関する措置、農機具の検査に関する制度、農機具についての試験研究体制の整備その他必要な資金の確保等の措置について定めて農機具の改良普及に資し、もって農業生産力の増進と農業経営の改善に寄与する。

(2) 法律・制度の概要
農林水産大臣は、高性能農業機械導入基本方針等を定め、高性能農業機械の導入を図る(第5条の2〜第5条の4)。また、性能等が一定の基準を満たした農機具の導入促進に資するため、型式検査の実施等を行う(第6条〜第15条)。独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構において農機具の改良に関する試験研究等の業務を規定する(第16条)。

(3) 政省令
農業機械化促進法施行令
農業機械化促進法施行規則

(4) 規制等の概要
1)型式検査の対象機種(平成17年度)
農用トラクター(乗用型)、田植機(乗用型)、野菜移植機、動力噴霧機(走行式)、スピードスプレヤー、コンバイン(自脱型)、コンバイン(普通型)、ポテト・ハーベスター、ビート・ハーベスター、農用トラクター(乗用型)用安全キャブ及び安全フレーム

2)規制等の概要
i. 規制等の内容
国は、農機具の検査を実施し、合否の判定、検査成績の公表により、農業者が農機具を選定する際の指標を与え、製造業者に対しては農機具の改良の指針を示し、もって農業機械化の促進に資する。型式検査は、依頼された同一の構造を有する型式ごとに行うことを原則としており、農機具の性能、構造、耐久性及び操作の難易について、「型式検査の主要な実施方法及び基準」に基づき、独立行政法人農業・生態系特定産業技術研究機構が実施する(型式検査の対象機種の選定は、「農機具型式検査の対象機種の考え方」(平成6年11月11日農業機械化審議会検査部会決定)に基づき、選定することとなっている)。
農林水産大臣は、型式検査に合格した型式の農機具が検査当時の性能等を維持していることを確認するため、事後検査を行う。事後検査は、農林水産省の職員が依頼者の事業所に赴き、現物について確認調査を行う。

ii. 規格・基準、検査等の制定、改正手続
農林水産大臣は、農業資材審議会の意見を聞いて、当該年度において型式検査を行う農機具の種類(毎年度)、型式検査の主要な実施方法及び基準を定め又は変更し、これを公示する。なお、農用トラクター(乗用型)及び農用トラクター(乗用型)用安全キャブ及び安全フレームについては、当該型式がOECD標準テストコードの受検・承認型式である場合、その成績の転用による試験省略が可能である。また、既合格型式と同様の構造を持つ受検型式については、既合格型式の成績の転用が認められる。

型式検査を行う農機具の種類、型式検査の主要な実施方法及び基準の制定・改正の手続のフローチャート

iii. 申請手続

製造業者、輸入業者等は、申込期日があるものはその期限内に生研機構に対し、「農機具型式検査依頼書」を提出して型式検査の受検を依頼する(生研機構は、毎年度型式検査の申込案内を作成し、製造業者、輸入業者等に無料配付している)。作物による試験時期の制約のない農用トラクター(乗用型)並びに農用トラクター(乗用型)用安全キャブ及び安全フレームについては、年間常時申込の受付を実施して検査手続の迅速化を図っている。なお、型式検査では、5カ月の標準的事務処理期間を設定(ただし、コンバイン(自脱型)については7カ月、農用トラクター(乗用型)並びに農用トラクター(乗用型)用安全キャブ及び安全フレームについては4カ月)している。

iv. 認証制度
生研機構は、型式検査を実施した結果、当該農機具の型式について、検査基準に照らして合否を決定するとともに、依頼者に対しては合否の結果及び検査成績を通知し、農林水産大臣に対しては合格機の型式名等及び合格機の検査成績を報告する。農林水産大臣は、合格機の型式名等及び検査成績表を公示する。合格の通知を受けた依頼者は、当該型式の農機具に検査合格証票を付することができる。この場合、検査成績表の写しも併せて付さなければならない。

(5) 最近の法令等改正の要点
1)型式検査の主要な実施方法及び基準の改正(平成17年)
i. 安全性・操作性の向上
ア.操作性の向上:農用トラクター(乗用型)については、女性・高齢農業者に配慮した操作性及び安全性の向上に資する観点から、視認性や操舵性を評価する調査項目を追加する。

イ.シートベルトの装着安全シール:転落・転倒事故の際には、シートベルトの装着の可否が安全対策の上で極めて重要であることから、農用トラクター(乗用型)について、運転者にシートベルトの装着を呼びかけるシールの貼付を調査項目に追加する。

ウ.安全キャブ及び安全フレームの性能向上等:転落・転倒の際の安全性の向上を図るため、後部負荷試験を行う安全キャブ及び安全フレームの対象範囲を拡大するほか、シートベルトの強度確認を検査の基準に追加する。

ii. 環境負荷低減の評価
農業機械においても、ディーゼル排出ガスの低減に向けた取組みが実施されており、また、ディーゼル特殊自動車(農耕作業用特殊自動車)に対しても排出ガス規制が実施されたことを踏まえ、農用トラクター(乗用型)、田植機(乗用型)、スピードスプレヤー、コンバイン(自脱型)(普通型)で公道を走行するものについては、排出ガス成分の確認検査等を新たに設ける。

iii. 検査の効率化、簡素化
農業機械の利用実態や検査依頼者への負担の軽減を図る観点から、コンバイン(自脱型)については作業能率試験をシミュレーション化するほか、コンバイン(普通型)については、運転性能の向上が認められたことから試験面積を大幅に見直し、検査対象作物を選択性とする。また、全対象機種について、検査で異常等が認められた場合に実施する分解調査を、構造調査の際に一体的に行うことで、検査の効率化、簡素化を図る。

(6) 参考情報
問い合わせ先:
農林水産省生産局農産振興課技術対策室
Tel 03-3591-4958 http://www.maff.go.jp