38.工業標準化法

(1) 法律・制度の目的
適正かつ合理的な工業標準の制定及び普及により工業標準化を促進することによって、鉱工業品の品質の改善、生産能率の増進その他生産の合理化、取引の単純公正化及び使用又は消費の合理化を図り、あわせて公共の福祉の増進に寄与する。

(2) 法律・制度の概要
主務大臣が工業標準化法に規定する鉱工業品等の形状、品質、性能、生産方法、試験方法等について全国的に統一又は単純化を図る必要のあるものを日本工業規格(JIS)として制定する(第11条〜18条)。JISとして制定された鉱工業品について、国内及び外国の製造(加工)業者並びに輸出入業者又は販売業者は、自己の意思により当該鉱工業品について主務大臣の登録を受けた第三者機関「登録認証機関」に申請を行い、認証を受けて、その製造(加工)する鉱工業品がJISに該当することを示す特別の表示(いわゆるJISマーク)を付すことができる(第19条第1項、第2項、第23条第1項、第2項及び第3項)。登録認証機関はJIS表示の認証申請があった場合、当該鉱工業品の試験用のものについての製品試験の実施とともに、製造品質管理体制等(JISに適合した製品を永続的に生産しうるか否か)を審査し、この審査に合格した場合は、認証を行う(第19条第3項、第23条第4項)。
(注)1. 主務大臣は、JIS制定の場合は、経済産業大臣等7大臣である。
2. 日本工業規格は、任意規格である。

(3) 政省令
工業標準化法に基づく登録申請手数料の額等を定める政令
工業標準化法に基づく認証機関等に関する政令
日本工業規格への適合性に関する省令
工業標準化法に基づく登録試験事業者等に関する省令

(4) 規制の概要
1)対象品目等
鉱工業品(医薬品、農薬、化学肥料、蚕糸及び農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律による農林物資を除く)
・JIS制定数 9,086
・旧指定品目数 532
・旧JISマーク認定件数
 国内 12,449
 外国 474
(注)平成16年3月末現在、JIS制定数のみ平成15年3月末現在。平成16年の工業標準化法改正により指定品目制度は廃止された。

2)JISマーク表示制度
平成16年6月の工業標準化法改正により、平成17年10月より新JISマーク制度が発足した。国(又は政府代行機関)が認定を行っていた制度から、国により登録された民間の第三者機関(登録認証機関)から認証を受けることによって、JISマークを表示することができる制度となった。なお、どの登録認証機関から認証を取得するのかは、自由である。

また、国がJISマーク表示制度の対象となる商品等を限定する指定商品制を廃止し、認証可能なJIS製品規格がある製品が対象となった。 また、指定商品に関しては、認定事業者以外の者がJIS該当性表示を行うことを禁止していたが、事業者自らJIS該当性表示を行う、いわゆる自己適合宣言(ただし、JISマーク又はこれと紛らわしい表示はできない。)が可能となった。

JISマーク表示対象事業者は、国内外製造(又は加工)業者に限られていたが、これに加え、販売業者、輸出入業者についても、対象となった。 また、ある特定のロットに限る(特定の1,000個、1,000枚等)認証を取得することも可能となった。 さらに、工場(又は事業場)ごとに認定を受けなければならないという制約は廃止された。

国際的に整合した認証制度とするため、国際的な適合性評価に関するガイド(ISO/IECガイド65等)」を採用し、審査は、品質管理体制に加え、登録認証機関の責任において製品試験が実施されることとなった。さらに、JISマークのデザインも変更された。また、特定の側面(例えば、環境、高齢者・障害者配慮等)に係るJISに適合したことを示すJISマークも新たに整備された。

<新JISマーク>
鉱工業品 加工技術 特定側面
新JISマーク・鉱工業品 新JISマーク・加工技術 新JISマーク・特定側面

登録認証機関に対しては、定期的な更新手続きに加え、立入検査等の維持管理を行い、必要に応じて、適合命令等の措置が行われる。 認証取得者に対しては、登録認証機関による認証維持審査等が行われることに加え、国は、必要に応じて立入検査等を行い、製品の品質等に問題があると認めた時は、表示の除去命令等の措置を行うこととされている。ただし、認証の取消しは、登録認証機関が行う。 また、消費者やユーザーへの積極的な情報提供、苦情の収集・適切な処理、さらには自己適合宣言品を含む市場からの抜き取り検査(試買検査)によって、制度の信頼性の維持・向上に万全が期されている。

新制度が円滑に移行するべく3年間(平成17年10月1日〜平成20年9月30日)まで、経過措置期間が設けられている。

登録認証機関の登録は、国(対象となる鉱工業品の生産を所管する各主務大臣)が行う。
平成17年11月現在、登録認証機関は以下の5機関である。
財団法人 日本塗料検査協会
財団法人 日本品質保証機構
財団法人 建材試験センター
社団法人 日本水道協会
財団法人 日本建築総合試験所


(5) 最近の法令等改正の要点
上記新JISマーク制度と同時に、JNLA(試験事業者登録制度)が改正された。登録の対象となる試験の範囲は、従来は指定商品以外の鉱工業品に限定していたが、JISで定める全ての鉱工業品の試験に拡大された。試験事業者の登録は、国が定めた基準に基づいて行っていたが、試験所に対する国際的な基準(ISO/IEC17025)に基づいて登録が行われることとなった。JNLAでは、新制度への移行のための経過措置として、平成16年10月から約2年間は既認定試験事業者は、新制度の登録を受けたものと見なされる。

(6)参考情報
問い合わせ先:
経済産業省産業技術環境局基準認証政策課
Tel 03-3501-1511(代表) http://www.meti.go.jp
日本工業標準調査会
http://www.jisc.org
厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室
Tel 03-5253-1111(代表) http://www.mhlw.go.jp
国土交通省総合政策局技術安全課/国土交通省住宅局住宅生産課
Tel 03-5253-8111(代表) http://www.mlit.go.jp