28.消防法

(1) 法律・制度の目的
火災を予防し、警戒し及び鎮圧し、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、火災又は地震等の災害による被害を軽減し、もって安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資することを目的とする。

(2) 法律・制度の概要
1)高層建築物、地下街、劇場、ホテル等の防炎防火対象物において使用する防炎対象物品(カーテン、じゅうたん等)は政令で定める基準以上の防炎性能を有するものでなければならないとされている(第8条の3)。

2)一定数量(指定数量)以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱う施設(危険物施設)を設置しようとする者は、一定の基準に従いあらかじめ市町村長等の許可を受けなければならないこととされている(第10条第4項、第11条第1項)。

3)危険物の運搬は、その容器、積載方法及び運搬方法について一定の技術上の基準に従って行わなければならないこととされている(第16条)。

4)消防の用に供する機械器具等について、一定の形状等を有することを担保するため、必要な事項が規定されている(第21条の2等)。

(3) 政省令
消防法施行令
危険物の規制に関する政令
消防法施行規則
危険物の規制に関する規則
消火器の技術上の規格を定める省令等

(4) 規制等の概要
1)対象品目
防炎対象物品(カーテン、じゅうたん等)、危険物、危険物施設、危険物運搬容器、消防用機械器具等

2)規格・基準、検査等の概要
i. 規制等の内容
ア.防炎対象物品
防炎対象物品の種類ごとに定められた防炎性能基準を満たすことが必要とされている。

イ.危険物
別表第一に掲げる物品(酸化性固体、可燃性固体、自然発火性物質及び禁水性物質、引火性液体、自己反応性物質、酸化性液体)で、同表に定める区分に応じ同表の性質欄に掲げる性状を有するものをいう。

ウ.危険物施設
危険物施設は、施設の区分(例えば、製造所、屋外タンク貯蔵所等)に応じ、その位置、構造及び設備について、貯蔵し又は取り扱う危険物の量・危険性等に応じて技術上の基準が定められている。

(危険物運搬容器)
危険物の運搬容器については、その材質、構造、最大容積が規定されており、原則として収納する危険物に適した材質で造られ、一定の性能を有するものでなければならない。なお、この性能基準については原則として国連勧告(「危険物輸送に関する勧告」(Recommendation on the Transport of Dangerous Goods)等の基準をとり入れている。

エ.消防用機械器具等
検定対象機械器具等である消火器、閉鎖型スプリンクラーヘッド、火災報知設備の感知器、受信機等の14品目について、形状、構造、材質、成分及び性能に係る技術上の規格を総務省令で定めている(消防法第21条の2、消防法施行令第37条)。なお、消防機器の国際規格の策定に関して積極的にISO/TC21(消防器具)の審議に参画している。

ii. 認証制度
ア.防炎対象物品
防炎対象物品は、防炎性能を有する旨の表示が付されているものでなければ防炎物品として販売し、又は販売のために陳列することはできないとされている(第8条の3)。なお、登録確認機関において、防炎対象物品が消防法令で定められた性能を有するかどうかの試験を行っており、試験を依頼しようとする者は、登録確認機関に、防炎性能試験依頼書及び試験試料等を提出することになっている。また、「防炎対象物品等の試験業務における外国検査機関の検査データの受け入れに関する要領」を定め、外国検査機関の試験データを受け入れることとしている。

イ.危険物
国連勧告の基準に適合している運搬容器には、UN表示が付されているが、外国の機関等において表示された運搬容器であっても、これらUN表示が付された運搬容器にあっては、原則として消防法に定める運搬容器の基準に適合しているものとして取り扱うこととしている。

ウ.消防用機械器具等
検定対象機械器具等については、型式に係る形状等が総務省令で定める技術上の規格に適合している旨の確認(型式承認)及び個々の機械器具等が型式承認を受けた型式に係る形状等と同一であることの確認(個別検定)を受ける必要がある。この際、型式承認に先立って日本消防検定協会又は登録検定機関の試験を経る必要がある。また、検定に関して手続きの簡素化・迅速化を図るとともに外国検査機関の試験データを受け入れることとしている。検定対象機械器具等について、型式承認の申請は総務大臣に、型式試験及び個別検定の申請は日本消防検定協会又は登録検定機関に行うこととしている。

【検定手続のフロー】

検査手続のフロー

(5) 最近の法令等改正の要点
平成16年6月の改正においては、住宅用防災機器の設置の義務付け(平成18年6月1日施行)及び指定可燃物等の貯蔵又は取扱の基準の充実(平成17年12月1日施行)が図られた。

(6) 参考情報
問い合わせ先:
総務省消防庁
http://www.fdma.go.jp
予防課 Tel 03- 5253-7523
危険物保安室 Tel 03-5253-7524
日本消防検定協会 http://www.jfeii.or.jp